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28話 誤解と決意
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翌日の朝。ちょうど家から出てきた悠真と顔を合わせた瞬間、悠真が口を開いた。
「で? 告白した?」
「そんなにせかさないでよ」
ここ最近、悠真は顔を合わせる度に同じことを聞いてくる。心配してくれてるんだとは思うけど、私にもタイミングがあるんだから。
「ってことは、まだなんだね。モタモタしてたら、またバッドエンドになるよ」
歩き始めた悠真から呆れ顔を向けられる。
「ん~……」
「このままだと、吉川潤がどう出てくるかも分からないよ」
まだ七月だし、そんなに急がなくてもって思ってたけど、そっか。たしかに潤くんのことは心配だな。
昨日の一件で諦めてくれたならいいけど。
「他に彼氏ができたら、潤くんも諦めてくれるかな?」
「それは知らないけど、」
「あれ?」
悠真が何か言いかけている途中で、別の男の人の声が聞こえてきた。この声って……。
声のした方に視線を向けると、そこには一成先輩が立っていた。ちょっと驚いたように、こっちを見ている。
「松永さん。どうしたんですか?」
一番早く反応したのは、悠真だった。
一成先輩は悠真の方をチラリと見てから、気まずそうな顔で私に視線を向ける。
「昨日の一件もあって心配だったから迎えにきたんだけど……」
悠真に視線を戻し、一成先輩はニコリと笑った。
「悠真と一緒なら、大丈夫だね」
「は、」
呆気に取られたような表情になる悠真。
同時に、一成先輩の胸についているハートのピンク色がガクッと減ってしまう。
え、ええっ。
「じゃあ、また困ったことがあったら相談してね」
「え、と」
「悠真と仲良くね」
それだけ言い残し、行く方向は同じだというのに、一成先輩は足早に去ってしまった。
「もしかして、なにか勘違いされた?」
「みたいだね」
「早く告白しないから」と悠真はため息をつく。
そ、そんなー……!
せっかくここまでがんばってきたのに、また失敗なんて。やだやだ、諦めたくないよー。
うう……。よし、決めた。
「私、今週中に一成先輩に告白する」
誤解を解いて、それから一成先輩に告白する。
好感度がかなり減っちゃったから勝算は薄いかもしれないけど、このまま何もしないでバッドエンド直行なんて嫌だもん。
どうせバッドエンドになったら、私と悠真以外からは全部記憶が消えるわけだし。やるだけやっちゃおう。
「がんばって」
悠真はこめかみをおさえ、またため息をついていた。
「で? 告白した?」
「そんなにせかさないでよ」
ここ最近、悠真は顔を合わせる度に同じことを聞いてくる。心配してくれてるんだとは思うけど、私にもタイミングがあるんだから。
「ってことは、まだなんだね。モタモタしてたら、またバッドエンドになるよ」
歩き始めた悠真から呆れ顔を向けられる。
「ん~……」
「このままだと、吉川潤がどう出てくるかも分からないよ」
まだ七月だし、そんなに急がなくてもって思ってたけど、そっか。たしかに潤くんのことは心配だな。
昨日の一件で諦めてくれたならいいけど。
「他に彼氏ができたら、潤くんも諦めてくれるかな?」
「それは知らないけど、」
「あれ?」
悠真が何か言いかけている途中で、別の男の人の声が聞こえてきた。この声って……。
声のした方に視線を向けると、そこには一成先輩が立っていた。ちょっと驚いたように、こっちを見ている。
「松永さん。どうしたんですか?」
一番早く反応したのは、悠真だった。
一成先輩は悠真の方をチラリと見てから、気まずそうな顔で私に視線を向ける。
「昨日の一件もあって心配だったから迎えにきたんだけど……」
悠真に視線を戻し、一成先輩はニコリと笑った。
「悠真と一緒なら、大丈夫だね」
「は、」
呆気に取られたような表情になる悠真。
同時に、一成先輩の胸についているハートのピンク色がガクッと減ってしまう。
え、ええっ。
「じゃあ、また困ったことがあったら相談してね」
「え、と」
「悠真と仲良くね」
それだけ言い残し、行く方向は同じだというのに、一成先輩は足早に去ってしまった。
「もしかして、なにか勘違いされた?」
「みたいだね」
「早く告白しないから」と悠真はため息をつく。
そ、そんなー……!
せっかくここまでがんばってきたのに、また失敗なんて。やだやだ、諦めたくないよー。
うう……。よし、決めた。
「私、今週中に一成先輩に告白する」
誤解を解いて、それから一成先輩に告白する。
好感度がかなり減っちゃったから勝算は薄いかもしれないけど、このまま何もしないでバッドエンド直行なんて嫌だもん。
どうせバッドエンドになったら、私と悠真以外からは全部記憶が消えるわけだし。やるだけやっちゃおう。
「がんばって」
悠真はこめかみをおさえ、またため息をついていた。
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