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18話 幸せお付き合いライフ?

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 ◇
 
 それから一週間ほど過ぎて、潤くんとの幸せお付き合いライフを私は満喫してた……けど。
 
 放課後、待ち合わせをしてる下駄箱のところで潤くんは待ってくれていた。
 
「ごめんね。先生に呼び止められて話してたら、遅くなっちゃった」
 
 小走りで駆けつけて。頭を下げつつ、両手を合わせる。
 
「誰と話してたの?」
「え? だから、担任の先生」
「男と話してたんだ?」
 
 潤くんの黒い瞳から、また光が無くなる。
 男って、……。先生なんだけどな。そもそも先生結婚してるし。
 
「……先生だよ?」
「先生でも、男は男でしょ。浮気じゃないの?」
 
 うわ、き?
 どうしよう、意味が分からない。
 
 付き合いだしてから、潤くんのこういう発言が多くなった時がする。
 
 悠真と一緒に登下校しないでほしいとか、他の男の子と仲良くしないでほしいとか。
 
 悠真との登下校は情報交換を兼ねてたから、禁止されると本当は困る。でも、いくら幼なじみ(という設定)とはいえ、私も逆の立場だったら彼氏が毎日女の子と登下校してるのはちょっと嫌だなあって思うし、素直に受け入れることにした。
 
 それはともかく、さすがに先生と話すのまで禁止されたら、授業さえ受けれないんだけどな。
 
 ……あ、もしかして、冗談、かな?
 
「先生結婚してるし、浮気というよりも不倫かな?」
 
 冗談には冗談で返さないと。ニコッと笑顔を作って、潤くんの顔を見上げる。
 
 しばらく私の目をじっと見つめた後、潤くんは無言で視線を逸らした。しかも、ため息までつかれてしまった。相変わらず潤くんの目に光はない。
 
 あ、あれ? すべった?
 それとも、最初から冗談じゃなかった、とか?
 
「今日のことは許すけど、なるべく他の男と話さないで」
 
 視線を逸らしたまま、潤くんはそう言った。
 
「う、うん……?」
 
 許すもなにも、潤くんの許可が必要なことなの? 他の男の子と二人きりで出かけたりしたら、それは私が悪いなって思うけど……。
 
 でも、先生だよ? これって、私が悪いの……?
 
 普段はすごく優しいのに、たまに潤くんの言動が怖く感じる時がある。気のせいなのかな……。
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