もしもいつも通りの明日が来なかったとしても

春音優月

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Stage1 目覚め

story8 見知らぬ場所

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　———頭が、割れるように痛い……。

　割れるような頭の痛みに目を覚ますと、真っ白な天井と壁が一番に目に入り、自分がベッドの上で寝ていることに気がつく。

　ここ、どこ？　私、どうしてこんなとこにいるんだっけ……。今日の夕方にケニアに着いて、それで謎のイケメンに会って、それから危険な集団にあって、それで、……。

　いきなり見覚えのない部屋にいたから、何がなんだか分からなかったけど、徐々に頭がはっきりしてくる。でも、やっぱりこの部屋は見覚えがないよね。

　部屋には、私一人しかいない。ベッドの他には、小さなテーブルの上に私のバッグがあるだけ。

　荷物、無事だったんだ。バッグの中身を確認したら、パスポートもスマホも財布もちゃんと入ってる。ひとまず大事なものが無事だったことにはホッとしたけど……、うぅ、さっきから全然頭痛がおさまらないな。

　頭はズキズキ痛むし、異常なくらいにお腹も空いているし、喉もカラカラに渇いてる。数時間前に特大ボリューム（半分くらい食べてもらったけど）のミートスパゲティを食べたのに、何でこんなにお腹が空いてるんだろう。

　バッグの中にスーパーで買ったお水とお菓子があったはずだよね。中からペットボトルを取り出し、ぬるくなった水を一気に飲み干す。

　ぬるいけど、すごくおいしく感じる……。でも、まだまだ足りない、もっと飲みたい。熱中症になりそうな暑い夏でも感じたことのないくらいに喉が渇いて、水がほしくてほしくて仕方ない。

　本当に、どうしちゃったんだろう。
　今日はおかしいことばかりだよ。

　何かないかなとバッグの中を漁っていると、部屋のドアが静かに開く。反射的にドアの方を見ると、看護師っぽい白い制服を着た黒人の美人なお姉さんが立っていた。

「You woke up.How are you feeling? （目が覚めたのね。気分はどう？）」
「Feeling……,I have……a headache.and……,I'm hungry.（気分は......、頭が痛いです。それから、……お腹が空きました）」

　この人は誰なんだろう。のんきにこんなことを話している場合じゃないと思いながらも、お姉さんからの質問に答える。

　通じてるかな……。英語はそれなりに勉強してきたはずだけど、頭が痛くて単語が出てこないし、文法も全く思い出せない。

「Uh.After all you are the same.Can you put up with it a little more? We're preparing now, so wait a minute.（ああ、やっぱり。あなたもそうなのね。もう少し我慢できる？　今準備してるから、少しだけ待っててね）」

　あなたも同じなのねって、どういう意味？
　何の準備をしてるの？

　言われている意味がよく分からないんだけど、それよりももっと大事なことを聞かなくちゃ。

「By the way, where is this? Why i am here? （ところで、ここはどこですか？　どうして私はここにいるんでしょうか？）」
「This is a hospital in the laboratory. Our staff carried a faint you.（ここは研究所の中にある病院よ。うちの職員が気を失ったあなたを連れてきたの）」

　思いきって聞きたかったことを聞くと、お姉さんはあっさりと私の質問に答えてくれた。

　ラボラトリーって、研究所？　普通の病院じゃないの？

「Laboratory……? And……Was it a boy of the same age as me who brought me? （研究所って......？　それとあの、私を連れてきてくれたのは、私と同じ年くらいの男の子ですか？）」
「Yes, that's right.Here is……yeah……I need to explain to you.Before that, can I ask for your name first?（ええ、そうよ。ここは、そうね……。説明しないといけないわね。その前に、まずはあなたの名前を聞いてもいい？）」
「Of course. My name is Mina Nakagawa.（はい。私の名前は、仲川美菜です）」

　一向におさまってくれない頭の痛みに耐えながら、母国語ではない英語で会話をするのはかなりしんどい。一応通じてるみたいで良かったけど。意外となんとかなるもんなんだな。

「Are you Japanese?（あなたは日本人よね？）」
「Yes」

　私が日本人だと聞いたお姉さんは、少し待っててと英語で告げてから部屋を出ていった。

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