18 / 24
美鈴編
六月
しおりを挟む
今日は大輔さんと裕美さんの結婚式です。
準備をして家で待っていると、翔太が迎えに来てくれました。
一人で駅に行く時は別にどうってことないんだけど、翔太と二人で駅前に来ると、やっぱり去年の夏の事を思い出すのよね。
こういう時、つまり翔太と二人きりになる状況があるときは、お父さんは決まって茶々を入れてくるんだけど、あれでも牽制しているつもりかしら。どう聞いても、あたしたちがもっと進展するような事にしか聞こえないのよね。ちゃんと婚約もしたんだし、両家の関係も良好なんだから、これ以上って言ったら結婚式になるとか、籍を入れるような状況に…なるわけなんだけどねえ?
お母さんが言うには、あれで邪魔しているつもりだということなんだとか。だけど、あからさまにそういう考えが見えたら、あたしに嫌われるかもしれないから、本人は上手いこと立ち回ってるつもりなんだって。
大輔さんと裕美さんの披露宴会場は、前もって聞いてはいたけど、ガーデン形式なんだって。うちを出る時はなんかちょっと天気がどんよりしかけていて、大丈夫なのかなと思っていたんだけど、向こうに近づくに連れて段々雲が切れてきて、会場に入る頃には、この季節にまあよくも晴れましたねって天気に。
「あたしは晴れ女なの」って裕美さんは言ってたけど、すごいわ。晴れ女ってのがそうなんだとしても、結婚式の披露宴なんて人生の節目でこれだけチャレンジできるとは。
でも雨になったらなったで、自分らも楽しんで、出席者にも楽しんでもらえるような事は考えてあったと聞いた時は、さすがだなと思いました。
そんな風に、天気にも恵まれてというか、祝辞でどなたかが言っておられたように天にも祝福されてという感じが実感できるような、本当に素晴らしい披露宴でした。
披露宴が終わったあと、四人で食事会をする約束をしていたんだけど、いくらなんでもすぐには無理で、予定の時間には三時間くらい空いちゃう。
それで駅前のシアターで映画を観ようとしたら、都合のいい時間のが「ファンキーキャップ」って、うわー懐かしい。まだこのシリーズやってたんだ。
あたしが小学生の時に始まったアニメなんだけど、当時友達とごっこ遊びやったなあ。
これは俄然見たくなっちゃって、翔太を強引に連れ込んだんだけど、意外と面白かったみたい。
食事会と言っても、場所は居酒屋。気取らないでいい場所でということで、それには大いに賛成。
「大輔さん、裕美さん、結婚おめでとう」
大輔さんと裕美さんは、まだこの後もあるので、アルコールなしの乾杯。
「それで?」
と、いきなり裕美さん。視線はあたしたちの手元に送っている。
大輔さんは、それにちょっと頓珍漢なことを言ったのですが、裕美さんが言うのは。
「あなたはホントそういうの疎いんだから」
呼称がもう「あなた」になってる。
ここでの時間もすごく楽しいもので、二時間なんてあっという間に過ぎちゃった。でもラストオーダーになったとき、悪ノリでつい「米を喰え?」なんて言っちゃったもんだから、また裕美さんが笑っちゃって、そこで終わりという事に。
二人とはそこで別れて、翔太といっしょに今日泊まるホテルに入る。さすがに部屋は別々だけどね。
今日の事を思うといろんなことを考えるけど、いい気持ちになる。ウキウキすることもある。
あたしたちの結婚式も、来てくれた人に同じように感じてもらえるようにできるかしら。
準備をして家で待っていると、翔太が迎えに来てくれました。
一人で駅に行く時は別にどうってことないんだけど、翔太と二人で駅前に来ると、やっぱり去年の夏の事を思い出すのよね。
こういう時、つまり翔太と二人きりになる状況があるときは、お父さんは決まって茶々を入れてくるんだけど、あれでも牽制しているつもりかしら。どう聞いても、あたしたちがもっと進展するような事にしか聞こえないのよね。ちゃんと婚約もしたんだし、両家の関係も良好なんだから、これ以上って言ったら結婚式になるとか、籍を入れるような状況に…なるわけなんだけどねえ?
お母さんが言うには、あれで邪魔しているつもりだということなんだとか。だけど、あからさまにそういう考えが見えたら、あたしに嫌われるかもしれないから、本人は上手いこと立ち回ってるつもりなんだって。
大輔さんと裕美さんの披露宴会場は、前もって聞いてはいたけど、ガーデン形式なんだって。うちを出る時はなんかちょっと天気がどんよりしかけていて、大丈夫なのかなと思っていたんだけど、向こうに近づくに連れて段々雲が切れてきて、会場に入る頃には、この季節にまあよくも晴れましたねって天気に。
「あたしは晴れ女なの」って裕美さんは言ってたけど、すごいわ。晴れ女ってのがそうなんだとしても、結婚式の披露宴なんて人生の節目でこれだけチャレンジできるとは。
でも雨になったらなったで、自分らも楽しんで、出席者にも楽しんでもらえるような事は考えてあったと聞いた時は、さすがだなと思いました。
そんな風に、天気にも恵まれてというか、祝辞でどなたかが言っておられたように天にも祝福されてという感じが実感できるような、本当に素晴らしい披露宴でした。
披露宴が終わったあと、四人で食事会をする約束をしていたんだけど、いくらなんでもすぐには無理で、予定の時間には三時間くらい空いちゃう。
それで駅前のシアターで映画を観ようとしたら、都合のいい時間のが「ファンキーキャップ」って、うわー懐かしい。まだこのシリーズやってたんだ。
あたしが小学生の時に始まったアニメなんだけど、当時友達とごっこ遊びやったなあ。
これは俄然見たくなっちゃって、翔太を強引に連れ込んだんだけど、意外と面白かったみたい。
食事会と言っても、場所は居酒屋。気取らないでいい場所でということで、それには大いに賛成。
「大輔さん、裕美さん、結婚おめでとう」
大輔さんと裕美さんは、まだこの後もあるので、アルコールなしの乾杯。
「それで?」
と、いきなり裕美さん。視線はあたしたちの手元に送っている。
大輔さんは、それにちょっと頓珍漢なことを言ったのですが、裕美さんが言うのは。
「あなたはホントそういうの疎いんだから」
呼称がもう「あなた」になってる。
ここでの時間もすごく楽しいもので、二時間なんてあっという間に過ぎちゃった。でもラストオーダーになったとき、悪ノリでつい「米を喰え?」なんて言っちゃったもんだから、また裕美さんが笑っちゃって、そこで終わりという事に。
二人とはそこで別れて、翔太といっしょに今日泊まるホテルに入る。さすがに部屋は別々だけどね。
今日の事を思うといろんなことを考えるけど、いい気持ちになる。ウキウキすることもある。
あたしたちの結婚式も、来てくれた人に同じように感じてもらえるようにできるかしら。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
【完結】公爵令嬢は王太子殿下との婚約解消を望む
むとうみつき
恋愛
「お父様、どうかアラン王太子殿下との婚約を解消してください」
ローゼリアは、公爵である父にそう告げる。
「わたくしは王太子殿下に全く信頼されなくなってしまったのです」
その頃王太子のアランは、婚約者である公爵令嬢ローゼリアの悪事の証拠を見つけるため調査を始めた…。
初めての作品です。
どうぞよろしくお願いします。
本編12話、番外編3話、全15話で完結します。
カクヨムにも投稿しています。
幼馴染がそんなに良いなら、婚約解消いたしましょうか?
ルイス
恋愛
「アーチェ、君は明るいのは良いんだけれど、お淑やかさが足りないと思うんだ。貴族令嬢であれば、もっと気品を持ってだね。例えば、ニーナのような……」
「はあ……なるほどね」
伯爵令嬢のアーチェと伯爵令息のウォーレスは幼馴染であり婚約関係でもあった。
彼らにはもう一人、ニーナという幼馴染が居た。
アーチェはウォーレスが性格面でニーナと比べ過ぎることに辟易し、婚約解消を申し出る。
ウォーレスも納得し、婚約解消は無事に成立したはずだったが……。
ウォーレスはニーナのことを大切にしながらも、アーチェのことも忘れられないと言って来る始末だった……。
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる