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「高橋さん、なーんか女を見る目がアレじゃあありません?」
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「ちょっと聞いてよ姫華さんっ!!」
ある出勤日の昼休み。
怒りに震える舞ちゃんが私にずいっと詰め寄った。
「どうしたの?相澤がなんかやらかした?」
女心に理解がなく、女性の地雷ばかりを踏む相澤はちょいちょい女性社員の地雷を踏み、こんな感じで教育係の私の元にクレームが来ることもあるのだ。
「違うの!高橋さんのこと!」
「ほぇ?高橋?」
舞ちゃんの口から高橋敢の名前が出てきて、私は思わず呆気にとられた。
というか、舞ちゃんとあいつに接点なんかあったっけ。
「高橋さん、なーんか女を見る目がアレじゃあありません?」
「確かに、馴れ馴れしい男であることに違いはないわ。
それに社交辞令のつもりなのかは知らないけど、こっちが引いてても飲みに誘ってきたりとかあるし・・・」
この間の再会を思い出す。
こちらは早く話を切り上げて去りたいと思っていたのに、肩を掴んで引き止めてきたしね。
「さっきすれ違ったんだけど・・・私を上から下までジロジロ見てきて。
うわっ・・・何コイツ・・・って思って早いとこ離れようとしたの。
そしたら、色々話しかけてきて。
どこの部署かとか、彼氏はいるのかとか。
それがちょっと気持ち悪くて。
お顔や出で立ちは素敵な男性だけに、なんだか残念な感じというか・・・」
私はふと、ある男性の姿が思い浮かぶ。
「イケメン版浅井太郎的な?」
とポロッと口から零れれば、
「それよっ!!」
と真剣に目を見開く舞ちゃん。
高橋の奴、何やってんのよ。
今の時代、それは立派なセクハラなんだから。
しかし、その程度のことをセクハラだから不愉快だなんて騒ぐと女が大袈裟に騒いでいるという印象を持たれかねない。
それが前世の世界でもこのゲームの世界でも根付いている問題である。
前世の経験も含めて、どれだけ女性側がセクハラに我慢しているか。
職場の人間関係にヒビを入れないように、多少不愉快な発言でも笑って流したり、パーソナルスペースに入られて鳥肌が立つほどぞわっとしても顔に出さないようにしたり。
極めつけは、自分に好意を持ったり性的対象として接してくる男性にハッキリと線引きしてしまうと、今後仕事がやりづらくなったり、自分の勘違いであった場合に【自意識過剰女】になってしまうのだ。
そんな気持ちから、男性のそういった気持ちに気が付かないフリをして優しく接していると、相手はそれが【OKサイン】だと受け取ってしまうことがある。
そして【OKサイン】だと思って一線を越えようとしてくる男性を拒絶してしまうと、『そんなつもりはない』だとか『自意識過剰』だとか『冗談も通じないのか』『お前みたいな容姿の劣った女を相手にするわけがない』などという非難の言葉が女性を突き刺す。
でも、せっかくこの世界に転生できたのだ。
モヤモヤした気持ちに蓋をしたくはない。
ある出勤日の昼休み。
怒りに震える舞ちゃんが私にずいっと詰め寄った。
「どうしたの?相澤がなんかやらかした?」
女心に理解がなく、女性の地雷ばかりを踏む相澤はちょいちょい女性社員の地雷を踏み、こんな感じで教育係の私の元にクレームが来ることもあるのだ。
「違うの!高橋さんのこと!」
「ほぇ?高橋?」
舞ちゃんの口から高橋敢の名前が出てきて、私は思わず呆気にとられた。
というか、舞ちゃんとあいつに接点なんかあったっけ。
「高橋さん、なーんか女を見る目がアレじゃあありません?」
「確かに、馴れ馴れしい男であることに違いはないわ。
それに社交辞令のつもりなのかは知らないけど、こっちが引いてても飲みに誘ってきたりとかあるし・・・」
この間の再会を思い出す。
こちらは早く話を切り上げて去りたいと思っていたのに、肩を掴んで引き止めてきたしね。
「さっきすれ違ったんだけど・・・私を上から下までジロジロ見てきて。
うわっ・・・何コイツ・・・って思って早いとこ離れようとしたの。
そしたら、色々話しかけてきて。
どこの部署かとか、彼氏はいるのかとか。
それがちょっと気持ち悪くて。
お顔や出で立ちは素敵な男性だけに、なんだか残念な感じというか・・・」
私はふと、ある男性の姿が思い浮かぶ。
「イケメン版浅井太郎的な?」
とポロッと口から零れれば、
「それよっ!!」
と真剣に目を見開く舞ちゃん。
高橋の奴、何やってんのよ。
今の時代、それは立派なセクハラなんだから。
しかし、その程度のことをセクハラだから不愉快だなんて騒ぐと女が大袈裟に騒いでいるという印象を持たれかねない。
それが前世の世界でもこのゲームの世界でも根付いている問題である。
前世の経験も含めて、どれだけ女性側がセクハラに我慢しているか。
職場の人間関係にヒビを入れないように、多少不愉快な発言でも笑って流したり、パーソナルスペースに入られて鳥肌が立つほどぞわっとしても顔に出さないようにしたり。
極めつけは、自分に好意を持ったり性的対象として接してくる男性にハッキリと線引きしてしまうと、今後仕事がやりづらくなったり、自分の勘違いであった場合に【自意識過剰女】になってしまうのだ。
そんな気持ちから、男性のそういった気持ちに気が付かないフリをして優しく接していると、相手はそれが【OKサイン】だと受け取ってしまうことがある。
そして【OKサイン】だと思って一線を越えようとしてくる男性を拒絶してしまうと、『そんなつもりはない』だとか『自意識過剰』だとか『冗談も通じないのか』『お前みたいな容姿の劣った女を相手にするわけがない』などという非難の言葉が女性を突き刺す。
でも、せっかくこの世界に転生できたのだ。
モヤモヤした気持ちに蓋をしたくはない。
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