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石崎、お前にはがっかりだよ。
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「74キロか・・・1か月でこれなら上出来か」
私が城之内姫華に転生してから約1か月。
5月になった今は・・・全身筋肉痛でロボットになりそうです。
何せ、ゴールデンウイーク中も犬っころこと相澤快彦から公園に呼び出され、ジョギングコースを走らされていたから。
そして、周りの人から「何アレーママ活?」「出張パーソナルトレーナーとか?」とヒソヒソされることもあった。
誰も私たちが会社の先輩後輩だとは思うまい。
「そもそもなんでゴールデンウィークにあんたがここにいるのよぉおおお!!」
「実家に帰るとクソデブになっちゃうんですよぉ~!速く走って!まだいけますよね!?」
そうだった、実家から逃げてきたから帰省なんてこいつには縁がなかった。
「天気のいい日は毎日走りましょうねぇ~!!」
「暇人がぁーっ!!」
いや、私も彼氏も友達もいないし暇人なんだけどね。
また別の日は、「バドミントンしましょう!!」とバドミントンセットを持ってくることも。
カコーン
「ほら打ち返してくださいね~!!」
「あっコラ遠くに飛ばすなよっ!」
ベシャ
「クソッ!」
などという過酷な運動もあった。
こんな感じでゴールデンウィーク中はしごきにしごかれ、デブからガッチリ体型になった。
体重の減りもそこそこだが、筋肉が付いたように思う。
ちなみに、ジャージを新調した。
痩せてドラえもんカラーのジャージがブカブカになったから・・・ではない。
バドミントンで転びまくって汚れたり穴が開いたからである。
ブランド物のジャージを買おうとしたら、相澤が
「まだまだこれから痩せるだろうし、今はまだ安物でもいいと思いますよ~!格安の殿堂とか!」
と言われた、確かに一理ある。
格安の殿堂でメンズのジャージを購入したところ、股間にファスナーが付いているのを買ってから気付いてしまった。
私にはファスナーを開けて出すナニはないけれども、まぁ良いか。
ゴールデンウィークが終わり、会社に出勤したところ、なんだか妙な視線を感じる。
「姫華嬢!いやぁ~痩せたねぇ~」
そう声を掛けてきたのは、他部署の窓際族のジジイこと浅井 太郎。
このジジイは失言が多くて、皆から嫌われている。
しかし、ある有力者のコネ入社だとの噂で表立って対立する者は少ない。
ちなみにこれは公式情報である。
豆知識だが、ルートによっては卑眼蚊と組んで主人公の恋路を妨害し、主人公を我が物としようとする勘違い野郎である。
「浅井さん、おはようございます。お久しぶりですね」
コイツとつるむとロクでもないことになりそうだ。
「姫華嬢、もしかして好きな男でもできたのか?」
ニチャァっとした笑顔をこちらに向けてくる。グロ注意。
うわっ・・・やっぱり気持ち悪いなコイツ。
「やだぁ浅井さん。女が皆、男のために痩せたり着飾ったりするわけじゃないんだけどね?浅井さんは洗練された大人の男性だから、そんなことよぉーくご存じでしょ?」
ねちっこく言葉を紡いだ後にフッ、と厭味ったらしく鼻で笑ってやる。
「そうですよ!!城之内さんは、メタボリックシンドロームから脱却するために痩せたんですよ!?浅井さん・・・でしたっけ?も痩せてはいらっしゃるけど、城之内さんみたいに健康のために努力した方が良いですよ!歳なので!!」
おい相澤。そうだけどそうじゃねぇんだよ!!
何勝手に色々喋っちゃってんの!?
まぁ、最後に浅井のジジイに一発かましたから許してやるけど。
「今時の子は、礼儀がないんだな・・・」
とたじろくジジイに、
「老害も礼儀ないですけどね!!」
と返す相澤に、ジジイは怒りを露にしながらもそそくさと逃げていく。
老害、という言葉に私は思わず吹き出した。
部署がちょっと和やかな雰囲気になった刹那。
「相澤」
咎めるような声に空気が凍る。
石崎顕が、顔をしかめて犬っころを見つめる。
「浅井さんに対して無礼だぞ」
えっ何こいつ!?確かに相澤は浅井のジジイに失礼かましたけどさ・・・先に吹っ掛けてきたのはジジイでしょ?
私は黙って相澤が怒られるのを見ているわけにはいかなかった。
「石崎さん。それをあなたが言うのはどうかと思いますけど」
うわーっ空気が余計ピリついてきた。でも退くわけにはいかない。
「彼が浅井さんに無礼を働いたのは、浅井さんが私にセクハラをしたからです。
【痩せた】【好きな男ができたか?】は紛れもないセクハラです。
私がセクハラを受けても、浅井さんを諫めなかったあなたに、相澤くんが咎められる筋合いはありませんよ。
むしろ、上の者を恐れてヘーコラして若輩者をいじめるもっとも嫌われるタイプの中間管理職、ね。
相澤くんを無礼だと咎めるよりも、角を立てずにハラスメントを諫める言葉の返し方を教える方がよっぽど有意義では?
セクハラから女性社員を守ろうとする彼の行動は称賛に値します。
彼のような男性が増えることこそ、女性社員が働きやすい会社となり生産性も上がるというもの。
言葉のチョイスはあまり褒められたものではありませんでしたが、ね」
石崎、お前にはがっかりだよ。
時代錯誤の男尊女卑野郎かよ!
しかも老害のセクハラには目を瞑ってるくせに、若者には高圧的になりやがって!
「行くよ」
「はい!城之内さん!」
でも言い返されたら怖いからとりあえず今は犬っころ連れて逃げる~♪
いや、クビになったり別の部署に追いやられるのもそれなりに怖いけど。
「私が主人公だったら、あんな野郎絶対に選ばない・・・」
「え?なんか言いましたか城之内さん?」
転生前から、「お前は気が強いのか弱いのかよくわからない」って言われてたのよね・・・。
私が城之内姫華に転生してから約1か月。
5月になった今は・・・全身筋肉痛でロボットになりそうです。
何せ、ゴールデンウイーク中も犬っころこと相澤快彦から公園に呼び出され、ジョギングコースを走らされていたから。
そして、周りの人から「何アレーママ活?」「出張パーソナルトレーナーとか?」とヒソヒソされることもあった。
誰も私たちが会社の先輩後輩だとは思うまい。
「そもそもなんでゴールデンウィークにあんたがここにいるのよぉおおお!!」
「実家に帰るとクソデブになっちゃうんですよぉ~!速く走って!まだいけますよね!?」
そうだった、実家から逃げてきたから帰省なんてこいつには縁がなかった。
「天気のいい日は毎日走りましょうねぇ~!!」
「暇人がぁーっ!!」
いや、私も彼氏も友達もいないし暇人なんだけどね。
また別の日は、「バドミントンしましょう!!」とバドミントンセットを持ってくることも。
カコーン
「ほら打ち返してくださいね~!!」
「あっコラ遠くに飛ばすなよっ!」
ベシャ
「クソッ!」
などという過酷な運動もあった。
こんな感じでゴールデンウィーク中はしごきにしごかれ、デブからガッチリ体型になった。
体重の減りもそこそこだが、筋肉が付いたように思う。
ちなみに、ジャージを新調した。
痩せてドラえもんカラーのジャージがブカブカになったから・・・ではない。
バドミントンで転びまくって汚れたり穴が開いたからである。
ブランド物のジャージを買おうとしたら、相澤が
「まだまだこれから痩せるだろうし、今はまだ安物でもいいと思いますよ~!格安の殿堂とか!」
と言われた、確かに一理ある。
格安の殿堂でメンズのジャージを購入したところ、股間にファスナーが付いているのを買ってから気付いてしまった。
私にはファスナーを開けて出すナニはないけれども、まぁ良いか。
ゴールデンウィークが終わり、会社に出勤したところ、なんだか妙な視線を感じる。
「姫華嬢!いやぁ~痩せたねぇ~」
そう声を掛けてきたのは、他部署の窓際族のジジイこと浅井 太郎。
このジジイは失言が多くて、皆から嫌われている。
しかし、ある有力者のコネ入社だとの噂で表立って対立する者は少ない。
ちなみにこれは公式情報である。
豆知識だが、ルートによっては卑眼蚊と組んで主人公の恋路を妨害し、主人公を我が物としようとする勘違い野郎である。
「浅井さん、おはようございます。お久しぶりですね」
コイツとつるむとロクでもないことになりそうだ。
「姫華嬢、もしかして好きな男でもできたのか?」
ニチャァっとした笑顔をこちらに向けてくる。グロ注意。
うわっ・・・やっぱり気持ち悪いなコイツ。
「やだぁ浅井さん。女が皆、男のために痩せたり着飾ったりするわけじゃないんだけどね?浅井さんは洗練された大人の男性だから、そんなことよぉーくご存じでしょ?」
ねちっこく言葉を紡いだ後にフッ、と厭味ったらしく鼻で笑ってやる。
「そうですよ!!城之内さんは、メタボリックシンドロームから脱却するために痩せたんですよ!?浅井さん・・・でしたっけ?も痩せてはいらっしゃるけど、城之内さんみたいに健康のために努力した方が良いですよ!歳なので!!」
おい相澤。そうだけどそうじゃねぇんだよ!!
何勝手に色々喋っちゃってんの!?
まぁ、最後に浅井のジジイに一発かましたから許してやるけど。
「今時の子は、礼儀がないんだな・・・」
とたじろくジジイに、
「老害も礼儀ないですけどね!!」
と返す相澤に、ジジイは怒りを露にしながらもそそくさと逃げていく。
老害、という言葉に私は思わず吹き出した。
部署がちょっと和やかな雰囲気になった刹那。
「相澤」
咎めるような声に空気が凍る。
石崎顕が、顔をしかめて犬っころを見つめる。
「浅井さんに対して無礼だぞ」
えっ何こいつ!?確かに相澤は浅井のジジイに失礼かましたけどさ・・・先に吹っ掛けてきたのはジジイでしょ?
私は黙って相澤が怒られるのを見ているわけにはいかなかった。
「石崎さん。それをあなたが言うのはどうかと思いますけど」
うわーっ空気が余計ピリついてきた。でも退くわけにはいかない。
「彼が浅井さんに無礼を働いたのは、浅井さんが私にセクハラをしたからです。
【痩せた】【好きな男ができたか?】は紛れもないセクハラです。
私がセクハラを受けても、浅井さんを諫めなかったあなたに、相澤くんが咎められる筋合いはありませんよ。
むしろ、上の者を恐れてヘーコラして若輩者をいじめるもっとも嫌われるタイプの中間管理職、ね。
相澤くんを無礼だと咎めるよりも、角を立てずにハラスメントを諫める言葉の返し方を教える方がよっぽど有意義では?
セクハラから女性社員を守ろうとする彼の行動は称賛に値します。
彼のような男性が増えることこそ、女性社員が働きやすい会社となり生産性も上がるというもの。
言葉のチョイスはあまり褒められたものではありませんでしたが、ね」
石崎、お前にはがっかりだよ。
時代錯誤の男尊女卑野郎かよ!
しかも老害のセクハラには目を瞑ってるくせに、若者には高圧的になりやがって!
「行くよ」
「はい!城之内さん!」
でも言い返されたら怖いからとりあえず今は犬っころ連れて逃げる~♪
いや、クビになったり別の部署に追いやられるのもそれなりに怖いけど。
「私が主人公だったら、あんな野郎絶対に選ばない・・・」
「え?なんか言いましたか城之内さん?」
転生前から、「お前は気が強いのか弱いのかよくわからない」って言われてたのよね・・・。
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