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読み切り
俺と吸血鬼と殺人事件!
しおりを挟む東京の深夜、街灯がぼんやりと道を照らす中、私は思わぬ相手と出会った。吸血鬼だ。しかし、彼は牙を剥く代わりに、奇妙な提案をしてきた。
「鬼ごっこしよう。夜明けまでに捕まえたら、君の血をいただく。逃げ切れたら、命は助けてやる」
彼の提案に戸惑いつつも、私は彼の弱点を思い出す。日光だ。夜明けまで逃げ切れば勝ちだ。だが、それまでの保証はどこにもない。私は思案に暮れるが、ふと閃く。そうだ、飛行機だ。地球の反対側に飛べば、すぐにでも太陽が昇る。私はすぐさま最寄りの空港を目指した。目指すは、常夏の島。日の出が早い、あの場所へ。
私は飛行機に乗り込む。しかし、安堵も束の間、飛行機内で謎の殺人事件が発生する。乗客たちは恐怖に震え、乗務員も手をこまねいていた。
「私が解決しよう」
「!?」
隣の席に座っていた吸血鬼が静かに立ち上がり、事件の解決に乗り出す。彼は、乗客たちが恐怖に震え、乗務員が途方に暮れている中、颯爽と立ち上がり、被害者の元へと歩み寄った。周囲の目が一斉に彼に注がれる。
被害者は一見、後ろからナイフで刺されたかのように見えた。しかし、吸血鬼は彼の血をひとなめし、その表情が一変する。
「これは青酸カリの味だ」
彼の言葉に、乗客たちはさらに驚愕する。吸血鬼は続けて、乗客たちの前で推理を展開した。
「犯行現場には、血液だけでなく、青酸カリの痕跡もありました。しかし、これはナイフではなく、何か飲み物に混入されたものです。被害者は自らそれを飲んだ後、苦しみながらここへと倒れ込んだのです」
彼は冷静に分析すると、キャビンアテンダントの一人が怪しい行動をとっていたことを指摘した。そのキャビンアテンダントは、尋問の結果、犯行を認める。
彼女は被害者の男性と不倫関係にあり、その結果、子供を身ごもっていた。しかし、男性が責任を取ることを拒否したため、彼女は絶望のうちにこの犯行に及んだという。
吸血鬼の鋭い推理によって事件は解決し、乗客たちは安堵の息をついた。この出来事を通じて、私は吸血鬼に対する見方が変わり、恐怖から尊敬へと変わっていった。
私たちは目的地に到着する。日の出と共に吸血鬼は私に向かって微笑み、
「また、どこかで会おう。面白い夜だった。また遊ぼう、人間」
と言い残し、消滅した。その瞬間、私は不思議な絆を感じていた。
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