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リフレイン・リメンバー
しおりを挟む最初からあなたに釘付けだった
あなたが好きだった
あなたとの全ての記憶が繰り返す
なんで私は今、目を開けられないんだろう
あなたの想いに答えたいのに、
夜空に浮かぶ満月だって、
花瓶の中のナナカマドだって、
全部見えるのに、
あなたがうつしてくれるのに、
出会いの瞬間って覚えてる?
私が会社に向かって急いでるときに、
ヒールが折れて、足を挫いて歩けなくなった時、
通りかかったあなたが、私を担いで病院に向かってくれたときのこと
このとき、私はあなたが優しいことを知った
初めてのデートはお互いが好きなバンドのライブだったね
そのときも、あなたは爆音に揺れる人波をかき分けて
私を守ってくれたよね
そのときに、あなたとは趣味が合うこと
あなたのことが好きな自分に気付いた
私なんでも覚えてるの、
大切なものだからね
私の身体に異変が起こり始めた時のこと
あなたが暗い顔で病院に行こうと言った時のこと
私が患っている病の名前を告げられた時のこと
それが、脳を蝕み記憶を奪う病気だと教えられた時のこと
私がショックで精神を病んでしまった夜のこと
あなたの名前が出てこなくなった朝のこと
ボロボロになっていく私にあなたが優しく寄り添ってくれていたこと
そんなあなたを見て、変わらなきゃ、と前を向いた日のこと
その次の日、あなたのために久しぶりの料理を振舞うため
食材を買いにスーパーに向かった時のこと
その帰りに、交差点で車にはねられて宙を舞った時のこと
トマトが、ひき肉が、パプリカが、ブロッコリーが、牛乳が、
私と一緒に宙を舞った時のこと
そして今、
あなたが私の隣で泣いていること
私の笑顔が好きなあなたのこと
最後くらいはあなたに私の笑顔を見てほしい
今、あなたの目に映っているのは
月明かりに照らされた、私の笑顔だ
(終)
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