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Chapter 2
hand in hand
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蒼は立っていた。大雨の後の川に膝下まで浸かり、急流に足をとられないようにしっかりと川底に踏ん張って。足を取られそうになると、隣に立つ唯一の友の手を取り、お互いが助け合いながら、流されないようにじっと耐えていたのだ。
聞こえる蔑すむ声や嘲弄は川音に掻き消され、徐々に耳に届かなくなっていった。
日本中、いや世界中の人々の関心は小惑星が何なのか?政府は何かを隠しているのではないか?地球に何らかの影響を及ばすのではないか?人類はどうなるのか?その事にしか興味がなくっていた。
『ぜってー宇宙人だって!』
『そんな訳あるかよ!宇宙人が小惑星に乗ってやって来たのか?』
『だって、1200㎞もあるらしいじゃん、直径が。そんなのが来ているのに、NASAが気付かない訳ない!ぜってー何か隠しているよ!』
『お前は陰謀論とか好きだよな!隠蔽しているんだったら、何で公表したんだよ?フェルミのパラドックスって知ってるか?』
『へぇ、お前にしてはよく知ってるじゃん。だからそのパラドックスが崩れたんだよ!地球外文明があってそいつらが地球人に会いに来たんだよ!歴史的瞬間だぜ!』
『アメリカとか大変みたいじゃん。暴動とか略奪とかさ!日本は平和だね~。学校も普通にあるし、親も仕事に行っている。暴動起こす暇なんてないっつーの!』
『ギャハハハハハ!!それな!暴動とか面倒くせえ!』
『でも、本当に大丈夫なのかな?あんなに大きな小惑星が火星よりも近いところにあるなんてさ。地球にぶつかったりしないのかな?』
『さぁ、私にも分からないけど、国が大丈夫って言っているから信じるしかないよね。だってもしぶつかったら地球は終わりだよ。それは無いよ‥‥‥多分ね』
『地球上の核を全部発射すれば良いんじゃね?』
『馬鹿だな、映画とかであるじゃん、表面だけで意味がないって。それに宇宙人だったら、反撃されるかもしれないぞ』
『もし宇宙船なら核の爆発で電子機器をぶっ壊せるかもしれないじゃん!?』
『仮に宇宙船なら、地球と同じテクノロジーとは全く違っていて、電気とかではない何かを利用しているかもしれないし、他の恒星系から来た可能性が有るから、ガンマ線や中性子線とかの防御はしてるでしょ!?それにぶっ壊れて地球に向かって来たらマジヤバイよ!?』
『た、確かに‥‥‥』
花宗と蒼は教室に入ると静かに自分の席に座った。
クラスメイトの全員が小惑星の話をしているが、誰も真剣に脅威とは考えていない。それは至極当然の事だ。政府の発表では地球に衝突するか、何らかの影響があるのかは不明としている。という事は、100%何かが起こるとは言えない。人は楽観的な方が良く、悲観的な考えは間違いと考える人が多い。
それに、もしあの巨大小惑星が地球に衝突すれば地球は消滅、または何らかの影響を与えるとしたら、人類絶滅を逃れたとしても、甚大な被害が出る可能性がある。この国で、そんな事を今の段階で真剣に騒ぎ出したら距離を置かれるだろう。
長い期間平和を満喫して来た日本人は、小惑星に限らず、脅威に対して鈍感になっていないだろうか?そう言った事は起こらないか、何か起こっても誰かが何とかしてくれる‥‥‥。そう考えている人達が多い気がする。その時が来た時に準備を初めても遅いのだ――。
――――
蒼や花宗には良い兆候だった。人の噂も七十五日と言うが、今は情報過多のせいで、噂のネタには困らない。みな情報に振り回されていて、数日もすれば新しいネタに飛びつく。しかし、それにも飽きて、矛先が蒼や花宗に向けられる事も有るかもしれない。だが、今は小惑星のお陰で、蒼と花宗を腫れ物に触るような眼で見る者は極端に減ったのは確かだった。このまま、目立たないように生活すれば、前の様な状態に戻るかもしれないと蒼は楽観的に考えていた。
花宗は1列挟んで隣の蒼に目で語りかけた。
《ね、大丈夫そうだね?》
《うん、何とかなった》
2人は言葉に出さなくても会話が成立していた。
先日の一件以来、花宗もあまり目立たないようにすると決めていた。急激な環境の変化が蒼に与える影響を考えず、自分本位の考えで事を進めてしまった事を後悔していた。
「よし、お前ら席に着け。今日は‥‥‥お!横溝復活か。お前か?小惑星を連れて来たのは」
大きな笑いは起こらなかったが、10人くらいは蒼を見ながらクスクスと笑っていた。
(まったく、僕は横溝正史か!?この教師は人を嘗めている!このタイミングで余計な事を‥‥‥!!)
蒼は俯きながら、次の話題に移るのを待っていた。
「ま、皆も知っていると思うが、小惑星が太陽系内に飛来して来た。政府の発表では今の所、何かが起こる可能性は不明としている。皆も不安だとは思うが、必要以上に怖がることは無いからな。その代わり、出来るだけ政府の発表や専門家の意見などの正しい知識を得て欲しい。SNSなどの根拠不明の戯言や、コメンテーター気取りのタレントの意見に振り回されない様に!分かったか!?加藤!」
「はっ!?なんで俺なんだよ!」
そこで大きな笑いが起きた。
「先生はお前が一番心配なんだよ!な、加藤!!」
「うっせいわ!!」
(ナイス!鈴木)
平和な学校の一日が始まった――。
――――
1時間目が終わり、蒼は休み時間にスマホでニュースを見ていた。彼はよく海外メディアの記事を見ている事がある。たまに、海外で新しい遺跡の発見などが載っている時があるからだ。
それで、CNNの記事に目が留まった。大学などの天文学者や天体物理学者は、政府やNASAに対して、電波望遠鏡や観測衛星の使用制限を解除するように申し立てをしているというのだ。NASAは太陽フレアやスペースデブリによる影響で、衛星や地上の観測施設に不具合が同時発生したとして、現在は修理作業中であり衛星に関しては時間を要する可能性が有るとしている。
NASAの担当者は『このような事態になり研究者の方々に多大な影響を与えてしまった事は誠に遺憾であり、修理作業を急がせているところなのでご理解を頂きたいと』言っていた。また、ヨーロッパでも同じような状況で、各国の宇宙機関も探査衛星や望遠鏡の使用を制限していると付け加えられていた。
(電波望遠鏡や衛星の使用制限を出していたのか?そんなのニュースになっていなかったよな。タイミングが良過ぎる?やっぱり、政府やNASAは何かを掴んでいて、それが露見しないように使用制限しているのだろうか‥‥‥。ま、でも偶然だろう。陰謀論者が好きなネタだ)
花宗をチラリと見ると、同じようにスマホを弄っていた。何かメッセージを送っているようだ。前の学校の友達と連絡しているのだろう。彼女みたいに綺麗な人なら友達も沢山いるだろうし。しかし、自分と関わった事でこの学校では最初にしくじった。今思えば何だか悪い事をしてしまった‥‥‥。そんな事を漠然と考えていた。
『1862158、現在教室異状なし』
クラスの彼方此方で突然騒がしくなり、それが全体に伝播していった。
『な!?マジで?』
『ほらな!?やっぱり政府は何か隠していたんだよ!!NASAの専門家からの情報だぞ!これで陰謀論ではなくなったな!はーはっはっは!!』
(ん!何だ?)
蒼は花宗を見た。花宗も何が起きたのか分かっていないのか、訝しむ顔をして、直ぐにスマホに目を移す。
蒼もネットニュースに目を落とした。
ニュースによると、NASAの研究者が実名で公開したと言いう。
『我々人類には知る権利がある、各国政府やNASAが隠蔽している本当の情報をここに公開する。
小惑星は突然現れたのではなく、200憶㎞の距離から僅か数日で現在の場所に突然現れた。しかも、消えた時に莫大なエネルギーを放出し、まるで小型ブラックホールが出来たようだと‥‥‥。これはアマチュア天文家、物理学を齧った学生でも、公開したX線電波望遠鏡や様々な観測衛星の画像、データを見えれば納得いく筈だ。そして、最後に、ボイジャー1号の交信不能の前に、地球外知的生命体に向けたメッセージがそのまま地球に送られた。その周波数が『WOW!シグナル』と同じ1420.456MHzだったのだ』
『どうせガセだって!データに関しても尤もらしい事を言えば素人は騙せるから、アクセス稼ぎかなんかだろ!』
『そうか!?NASAの現役職員が人生賭けてアクセス稼ぎでここまでやらねぇよ!』
『これが本当だったら、マジヤバくね!暗に異星人が来ているって言っているようなもんだぞ!』
『だよな!ボイジャー1号?だかを破壊して、メッセージを地球に送って、数日で200憶㎞を航行したなんて、あれは宇宙船で地球に興味ありますって言っているんだからな』
『仕方ねぇな‥‥‥ちょっと忙しくなりそうだ‥‥‥。ガタっ』
『‥‥‥』
『えー、どうすんのこれ?週末は都内に行くつもりだったのに!宇宙人が攻めてきたら行けないじゃん!!』
『おいおい、それどころじゃないだろ‥‥‥』
(本当か!?あの夢で見た闇が地球外文明の宇宙船だって!?)
蒼はゴクリと喉を鳴らした。そして、花宗をチラリと見た。彼女は眉間に皺を寄せて、親指の爪を噛んでいる。そして初めて見る怖い顔をしていた。
(予想よりリークされるのが早いな。世界は更にパニックになってしまう。混乱に乗じて敵の行動が活発化するかも)
花宗が考えたように、この情報漏洩は世界に大きな衝撃を与えた。特に宗教界には大打撃だった。その中でも一神教では、神が地球と人類を作ったとあるが、他の星の記述はない。特にキリスト教の聖書には全知全能の神と記述されている。その神が知らない知的生命体が現れたのだ。
何年か前に、もし宇宙人が居たらと言う問いに、ヴァチカンが公式に『神は地球の人類と宇宙人を創造した』と言う内容の声明を発表した。しかし、それは後付けの設定で、もしも、本当に居たら(実は存在を確信していた?)聖書の辻褄が合わなくなると先手を打ったのかもしれない。20世紀になってやっと天動説を否定したヴァチカンである。随分と都合がいい話だ‥‥‥。
ホワイトハウスの首席報道官は声明を発表し、現在そのリークしたNASA職員に話を聞いているが、彼が言ったような事は確認されていないときっぱり否定した。そして、彼には通院歴があり、最近の言動に不審な点があったようだ。同僚も心配していたという事が分かっていると付け加えた。
(アメリカはこの職員を潰す気だな。しかし、それも大した時間稼ぎにはならない。北米では奴らの動きも活発化しているし、中東や日本でも動き出していると聞いている。こちらもあまり時間がないな‥‥‥)
花宗は少し焦り始めていた――。
聞こえる蔑すむ声や嘲弄は川音に掻き消され、徐々に耳に届かなくなっていった。
日本中、いや世界中の人々の関心は小惑星が何なのか?政府は何かを隠しているのではないか?地球に何らかの影響を及ばすのではないか?人類はどうなるのか?その事にしか興味がなくっていた。
『ぜってー宇宙人だって!』
『そんな訳あるかよ!宇宙人が小惑星に乗ってやって来たのか?』
『だって、1200㎞もあるらしいじゃん、直径が。そんなのが来ているのに、NASAが気付かない訳ない!ぜってー何か隠しているよ!』
『お前は陰謀論とか好きだよな!隠蔽しているんだったら、何で公表したんだよ?フェルミのパラドックスって知ってるか?』
『へぇ、お前にしてはよく知ってるじゃん。だからそのパラドックスが崩れたんだよ!地球外文明があってそいつらが地球人に会いに来たんだよ!歴史的瞬間だぜ!』
『アメリカとか大変みたいじゃん。暴動とか略奪とかさ!日本は平和だね~。学校も普通にあるし、親も仕事に行っている。暴動起こす暇なんてないっつーの!』
『ギャハハハハハ!!それな!暴動とか面倒くせえ!』
『でも、本当に大丈夫なのかな?あんなに大きな小惑星が火星よりも近いところにあるなんてさ。地球にぶつかったりしないのかな?』
『さぁ、私にも分からないけど、国が大丈夫って言っているから信じるしかないよね。だってもしぶつかったら地球は終わりだよ。それは無いよ‥‥‥多分ね』
『地球上の核を全部発射すれば良いんじゃね?』
『馬鹿だな、映画とかであるじゃん、表面だけで意味がないって。それに宇宙人だったら、反撃されるかもしれないぞ』
『もし宇宙船なら核の爆発で電子機器をぶっ壊せるかもしれないじゃん!?』
『仮に宇宙船なら、地球と同じテクノロジーとは全く違っていて、電気とかではない何かを利用しているかもしれないし、他の恒星系から来た可能性が有るから、ガンマ線や中性子線とかの防御はしてるでしょ!?それにぶっ壊れて地球に向かって来たらマジヤバイよ!?』
『た、確かに‥‥‥』
花宗と蒼は教室に入ると静かに自分の席に座った。
クラスメイトの全員が小惑星の話をしているが、誰も真剣に脅威とは考えていない。それは至極当然の事だ。政府の発表では地球に衝突するか、何らかの影響があるのかは不明としている。という事は、100%何かが起こるとは言えない。人は楽観的な方が良く、悲観的な考えは間違いと考える人が多い。
それに、もしあの巨大小惑星が地球に衝突すれば地球は消滅、または何らかの影響を与えるとしたら、人類絶滅を逃れたとしても、甚大な被害が出る可能性がある。この国で、そんな事を今の段階で真剣に騒ぎ出したら距離を置かれるだろう。
長い期間平和を満喫して来た日本人は、小惑星に限らず、脅威に対して鈍感になっていないだろうか?そう言った事は起こらないか、何か起こっても誰かが何とかしてくれる‥‥‥。そう考えている人達が多い気がする。その時が来た時に準備を初めても遅いのだ――。
――――
蒼や花宗には良い兆候だった。人の噂も七十五日と言うが、今は情報過多のせいで、噂のネタには困らない。みな情報に振り回されていて、数日もすれば新しいネタに飛びつく。しかし、それにも飽きて、矛先が蒼や花宗に向けられる事も有るかもしれない。だが、今は小惑星のお陰で、蒼と花宗を腫れ物に触るような眼で見る者は極端に減ったのは確かだった。このまま、目立たないように生活すれば、前の様な状態に戻るかもしれないと蒼は楽観的に考えていた。
花宗は1列挟んで隣の蒼に目で語りかけた。
《ね、大丈夫そうだね?》
《うん、何とかなった》
2人は言葉に出さなくても会話が成立していた。
先日の一件以来、花宗もあまり目立たないようにすると決めていた。急激な環境の変化が蒼に与える影響を考えず、自分本位の考えで事を進めてしまった事を後悔していた。
「よし、お前ら席に着け。今日は‥‥‥お!横溝復活か。お前か?小惑星を連れて来たのは」
大きな笑いは起こらなかったが、10人くらいは蒼を見ながらクスクスと笑っていた。
(まったく、僕は横溝正史か!?この教師は人を嘗めている!このタイミングで余計な事を‥‥‥!!)
蒼は俯きながら、次の話題に移るのを待っていた。
「ま、皆も知っていると思うが、小惑星が太陽系内に飛来して来た。政府の発表では今の所、何かが起こる可能性は不明としている。皆も不安だとは思うが、必要以上に怖がることは無いからな。その代わり、出来るだけ政府の発表や専門家の意見などの正しい知識を得て欲しい。SNSなどの根拠不明の戯言や、コメンテーター気取りのタレントの意見に振り回されない様に!分かったか!?加藤!」
「はっ!?なんで俺なんだよ!」
そこで大きな笑いが起きた。
「先生はお前が一番心配なんだよ!な、加藤!!」
「うっせいわ!!」
(ナイス!鈴木)
平和な学校の一日が始まった――。
――――
1時間目が終わり、蒼は休み時間にスマホでニュースを見ていた。彼はよく海外メディアの記事を見ている事がある。たまに、海外で新しい遺跡の発見などが載っている時があるからだ。
それで、CNNの記事に目が留まった。大学などの天文学者や天体物理学者は、政府やNASAに対して、電波望遠鏡や観測衛星の使用制限を解除するように申し立てをしているというのだ。NASAは太陽フレアやスペースデブリによる影響で、衛星や地上の観測施設に不具合が同時発生したとして、現在は修理作業中であり衛星に関しては時間を要する可能性が有るとしている。
NASAの担当者は『このような事態になり研究者の方々に多大な影響を与えてしまった事は誠に遺憾であり、修理作業を急がせているところなのでご理解を頂きたいと』言っていた。また、ヨーロッパでも同じような状況で、各国の宇宙機関も探査衛星や望遠鏡の使用を制限していると付け加えられていた。
(電波望遠鏡や衛星の使用制限を出していたのか?そんなのニュースになっていなかったよな。タイミングが良過ぎる?やっぱり、政府やNASAは何かを掴んでいて、それが露見しないように使用制限しているのだろうか‥‥‥。ま、でも偶然だろう。陰謀論者が好きなネタだ)
花宗をチラリと見ると、同じようにスマホを弄っていた。何かメッセージを送っているようだ。前の学校の友達と連絡しているのだろう。彼女みたいに綺麗な人なら友達も沢山いるだろうし。しかし、自分と関わった事でこの学校では最初にしくじった。今思えば何だか悪い事をしてしまった‥‥‥。そんな事を漠然と考えていた。
『1862158、現在教室異状なし』
クラスの彼方此方で突然騒がしくなり、それが全体に伝播していった。
『な!?マジで?』
『ほらな!?やっぱり政府は何か隠していたんだよ!!NASAの専門家からの情報だぞ!これで陰謀論ではなくなったな!はーはっはっは!!』
(ん!何だ?)
蒼は花宗を見た。花宗も何が起きたのか分かっていないのか、訝しむ顔をして、直ぐにスマホに目を移す。
蒼もネットニュースに目を落とした。
ニュースによると、NASAの研究者が実名で公開したと言いう。
『我々人類には知る権利がある、各国政府やNASAが隠蔽している本当の情報をここに公開する。
小惑星は突然現れたのではなく、200憶㎞の距離から僅か数日で現在の場所に突然現れた。しかも、消えた時に莫大なエネルギーを放出し、まるで小型ブラックホールが出来たようだと‥‥‥。これはアマチュア天文家、物理学を齧った学生でも、公開したX線電波望遠鏡や様々な観測衛星の画像、データを見えれば納得いく筈だ。そして、最後に、ボイジャー1号の交信不能の前に、地球外知的生命体に向けたメッセージがそのまま地球に送られた。その周波数が『WOW!シグナル』と同じ1420.456MHzだったのだ』
『どうせガセだって!データに関しても尤もらしい事を言えば素人は騙せるから、アクセス稼ぎかなんかだろ!』
『そうか!?NASAの現役職員が人生賭けてアクセス稼ぎでここまでやらねぇよ!』
『これが本当だったら、マジヤバくね!暗に異星人が来ているって言っているようなもんだぞ!』
『だよな!ボイジャー1号?だかを破壊して、メッセージを地球に送って、数日で200憶㎞を航行したなんて、あれは宇宙船で地球に興味ありますって言っているんだからな』
『仕方ねぇな‥‥‥ちょっと忙しくなりそうだ‥‥‥。ガタっ』
『‥‥‥』
『えー、どうすんのこれ?週末は都内に行くつもりだったのに!宇宙人が攻めてきたら行けないじゃん!!』
『おいおい、それどころじゃないだろ‥‥‥』
(本当か!?あの夢で見た闇が地球外文明の宇宙船だって!?)
蒼はゴクリと喉を鳴らした。そして、花宗をチラリと見た。彼女は眉間に皺を寄せて、親指の爪を噛んでいる。そして初めて見る怖い顔をしていた。
(予想よりリークされるのが早いな。世界は更にパニックになってしまう。混乱に乗じて敵の行動が活発化するかも)
花宗が考えたように、この情報漏洩は世界に大きな衝撃を与えた。特に宗教界には大打撃だった。その中でも一神教では、神が地球と人類を作ったとあるが、他の星の記述はない。特にキリスト教の聖書には全知全能の神と記述されている。その神が知らない知的生命体が現れたのだ。
何年か前に、もし宇宙人が居たらと言う問いに、ヴァチカンが公式に『神は地球の人類と宇宙人を創造した』と言う内容の声明を発表した。しかし、それは後付けの設定で、もしも、本当に居たら(実は存在を確信していた?)聖書の辻褄が合わなくなると先手を打ったのかもしれない。20世紀になってやっと天動説を否定したヴァチカンである。随分と都合がいい話だ‥‥‥。
ホワイトハウスの首席報道官は声明を発表し、現在そのリークしたNASA職員に話を聞いているが、彼が言ったような事は確認されていないときっぱり否定した。そして、彼には通院歴があり、最近の言動に不審な点があったようだ。同僚も心配していたという事が分かっていると付け加えた。
(アメリカはこの職員を潰す気だな。しかし、それも大した時間稼ぎにはならない。北米では奴らの動きも活発化しているし、中東や日本でも動き出していると聞いている。こちらもあまり時間がないな‥‥‥)
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