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第263話 勤務先を二股かけるようなもの
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ユキは椅子にどっかりと腰を下ろし、内ポケットからスマホを取り出す。
どこへ連絡するつもりだ。佐野はハラハラしながら同じく席につく。
「ケイ。とにかく明日から俺の現場に来い。もちろん橋本建設の社員としてだ」
スマホを操作しながらユキが言う。
「え」
佐野の段取りでは、これからユキを現場事務所へ送ったあと、自分の部屋に戻り、総務と経理の両部長と連絡を取り合い、明日にでも三人揃って労働基準監督署へ行くつもりであった。
しかも、自分はまだ中途半端に古山建設と繋がっている。
失業保険を受給する考えはないものの、退職関係の書類が社長のところで止まっているからだ。そのうえ、未払いの給料もある。
なので完全に古山建設と縁を切ってから、気持ちも新たに橋本建設へ再就職する予定でいたので、ユキの提案に佐野は大いに戸惑う。
「田上課長。大変申し訳ないのですが、僕、まだ完全に古山建設を退社したわけではないので、それはちょっと……」
いわば勤務先を二股かけているようなものである。これはさすがにまずい。
どこへ連絡するつもりだ。佐野はハラハラしながら同じく席につく。
「ケイ。とにかく明日から俺の現場に来い。もちろん橋本建設の社員としてだ」
スマホを操作しながらユキが言う。
「え」
佐野の段取りでは、これからユキを現場事務所へ送ったあと、自分の部屋に戻り、総務と経理の両部長と連絡を取り合い、明日にでも三人揃って労働基準監督署へ行くつもりであった。
しかも、自分はまだ中途半端に古山建設と繋がっている。
失業保険を受給する考えはないものの、退職関係の書類が社長のところで止まっているからだ。そのうえ、未払いの給料もある。
なので完全に古山建設と縁を切ってから、気持ちも新たに橋本建設へ再就職する予定でいたので、ユキの提案に佐野は大いに戸惑う。
「田上課長。大変申し訳ないのですが、僕、まだ完全に古山建設を退社したわけではないので、それはちょっと……」
いわば勤務先を二股かけているようなものである。これはさすがにまずい。
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