261 / 334
第261話 なかなかしぶとい
しおりを挟む
「田上課長」
佐野は慎重な口調で切り出す。
「何だ」
「実は、僕が会社を辞めたあと、総務と経理の部長二人も辞めてしまいまして。ですから、まずは僕と部長達の三人で労働基準監督署に働きかけようと思っているんです」
これは本当だ。ハッタリではない。
そして、ここまで言ってしまえば、ユキもひとまずは計画の進行をストップせざるを得なくなる。
「ですので――」
佐野は、そこで一気に勝負に出る。
「僕達三人で、どうにもならなかった場合、元請会社である田上課長のお力を借りたいのです」
このぐらい持ち上げておけば、ユキも気分良く手を引いてくれるはず。佐野は、そう期待してユキの表情を探る。
「えー? そしたら、『クリスマスパーティー』ができないではないか」
ユキが唇を尖らせる。なかなかしぶとい。
「大丈夫です。労使関係のプロが準備から開催、そして後片付けまで全部やってくれますから。なので、僕達は遠くから、その『クリスマスパーティー』を見ていましょう。まるで映画鑑賞をしているかのように」
頼むから計画を断念してくれ。佐野は心の中で必死に祈る。
佐野は慎重な口調で切り出す。
「何だ」
「実は、僕が会社を辞めたあと、総務と経理の部長二人も辞めてしまいまして。ですから、まずは僕と部長達の三人で労働基準監督署に働きかけようと思っているんです」
これは本当だ。ハッタリではない。
そして、ここまで言ってしまえば、ユキもひとまずは計画の進行をストップせざるを得なくなる。
「ですので――」
佐野は、そこで一気に勝負に出る。
「僕達三人で、どうにもならなかった場合、元請会社である田上課長のお力を借りたいのです」
このぐらい持ち上げておけば、ユキも気分良く手を引いてくれるはず。佐野は、そう期待してユキの表情を探る。
「えー? そしたら、『クリスマスパーティー』ができないではないか」
ユキが唇を尖らせる。なかなかしぶとい。
「大丈夫です。労使関係のプロが準備から開催、そして後片付けまで全部やってくれますから。なので、僕達は遠くから、その『クリスマスパーティー』を見ていましょう。まるで映画鑑賞をしているかのように」
頼むから計画を断念してくれ。佐野は心の中で必死に祈る。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
81
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる