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じっとりとした視線に、私は顔を逸らしてそのまま何気なく窓の外に目を向けた。
よく晴れた空とぷっくらと膨らんだ実がたわわになった枝が見える。
――はて、あんなところに木なんてあったっけ?
つい一昨日まではなかったはずの景色に、上司の視線もしばし忘れ窓に寄る。
「……なにあれ」
ポットを抱えたままポカンと口を開けた。
「趣味悪……」
いったいどこの誰だ。あんな悪趣味なものを作りだしたのは。
3階の窓まで届く一本の巨木。ピンクの幹に茶色い垂れ下がった枝、葉は一枚もなくて枝の先にはやたら毒々しい赤と紫の斑な風船みたいな実がたわわにぶら下がっている。
実際その実は風船のように軽いのではないかと思われた。だって枝の細さからしてその実はあきらかに大きすぎな上に数もあるのだから。
大きさに見合う重量があれば枝が保たないはず。
自然の摂理ではあり得ない。
であればどこかの誰かの魔法の産物であるはずなのだけれど。
「――つい今の今まで結構シリアスな気分だったんだけど」
そうだった。と私は窓の外で異様を放つ巨木を見上げて思いだした。
ここは色恋で思い悩み落ち込んでいられるような場所ではなかったのだと。
魔法は自身の魔力と引き換えに世界を支える真理の聖樹と繋がり摂理をほんのわずか、歪め、求める事象を実現させる。
人の持つ想像を魔力と等価交換で具現化させる。
想像力――なかには妄想力だと言う人間もいるが――が魔法の行使には重要なのだという。
それと好奇心、飽くなき探究心、思いつき。
だからか、王宮魔法師とまでなる人間には変わり者が多い。ある意味変質者の宝庫といっても良い。
「いったいどこのどいつよ。あんな気持ち悪いの作るバカはっ」
なんだか妙に腹立たしくて、悪態をついて。
「ああ、アレ。おまえがぼーっとしてた原因の片方ー?というか、素が出てるぞ」
という上司の声に、
「そういえば」
と私は眉間を寄せて振り返った。
「カシーム様に店のことを教えましたね?」
私が《コルム煙突通りの古書店》の店主をしていることは、数少ない人間しかいない。
職場の人間には一人だけ。
屋敷でも祖父母とサミュエルの他は一部の使用人しか知らない。
それが祖母の出した条件の一つだったからだ。
伯爵家の令嬢ミリーゼ・シュトラトフと、古書店の店主は別人。
《コルム煙突通りの古書店》の店主は平民の娘であり、シュトラトフ伯爵家とは無関係の人間でなくてはならない。
だから私は普段から息苦しくなるほどに白粉を頬に叩きまくって目蓋に色を塗りたぐり、暑い日は熱に蒸せそうになりながら鏝で髪を巻き結い上げる。夜会でもそうは見ない厚化粧に高いヒールの靴を履き、声音も口調も変えて生活している。
素の私とは似ても似つかない伯爵家の令嬢で王宮魔法師のミリーゼ・シュトラトフを演じている。
それはもう結構な苦痛と苦労の上で。
「ん?」
「とぼけても無駄ですよ?彼に貴方の紹介だと言われたんですから」
「あー……まー、なぁ」
とぼけた顔で頭を掻く上司を睨みつける。
「私の事情はご存知ですよね?」
上司――ミハイル・ノイン魔法師団長は、私の父の代から《コルム煙突通りの古書店》の常連であり、友人でもあった。
ノイン団長自身辺境伯家の子息で、母とのことで家を出る前の貴族の子息であった頃の父も知っているし、伯爵家に戻ったあとも知っている。
私が魔法師の試験を受ける時も相談に乗ってもらったし、古書店を継ぐ時も相談に乗ってもらった人だから、祖母の出した条件も知っている。
「なんのために私が周りに厚塗り女と陰口を叩かれながら塗りたぐっていると思ってるんです?足だって、ヒールに慣れるまでは豆だらけでしたし、毎朝鏝で巻くおかげで髪は痛むわ鏝の熱で暑いわ。散々なのに。よりによってカシーム様に店を勧めるだなんて!」
「いやぁ……だが、なぁ?奴なら気づいたとしても大丈夫だろ?」
「一応婚約者ですから。祖母との接点はありますのよ?お願いすれば黙ってはくれるでしょうが、それでも何かの折に口が滑らないとも限りません。それに――」
きゅっと唇を噛む。
「家を出たあとも、店は続けるつもりですから」
私は窓から離れ、ポットが冷める前に空のカップに紅茶を注いだ。
角砂糖は一つ。
コツンと小さな音を立てて沈んでいった塊を見送り、クルクルとスプーンでかき混ぜる。
「…………まだ、そのつもりなのか?」
自身の前に置かれたカップを手に取って、一口飲んでから、ノイン団長が言うのに苦笑する。
「もちろん。最初からそのつもりですもの」
小さく声を立てて笑って、テーブルに置いたままの、砂糖に塗れた紅茶のカップを皿ごとそっと持ち上げた。
冷めてぬるくなったドロドロの紅茶を喉の奥に流し込んでいく。
もはや紅茶ではなくわずかに茶葉の香りがする紅茶モドキ、だった。
溶けきらない大量の砂糖が口の中をざらりとした感触で満たす。
自業自得とはいえ正直――飲めたものではない、が。
私は無理矢理カップの底が見えるまで(いまだ底には溶けかけの砂糖が沈殿はしているけれど)飲み干し、息をついた。
――あと一月と少し。
指折り待ち望んでいたはずのその時を、あともう少し、あと少しだけ先に……そう思うようになったのはいつからだっただろうか。
あと一月と少しで、サミュエルが17歳になる。
この国では女性は16、男性は17歳で成人と認められ、爵位を継ぐことができる。
父が亡くなってから祖父が代理を担っていた伯爵位を継ぎ、シュトラトフ家の当主になるのだ。
そうなれば当主であるサミュエルの決断は、祖父母にも覆せないものになる。
「約束してくれていますから。サミュエルは案外優しいんですよ?だから、ちゃんと私を解放してくれます」
13歳の時、サミュエルの両親が揃って事故で亡くなって。まだ12歳だったサミュエルと老いた祖父の代わりにサミュエルが成人するまでの中継ぎの当主として父が私と母を連れて家に戻って。
しばらくして母が病に倒れ、そのまま私が14の年には亡くなってしまった。
ニ年前。
父もまた母と同じ病でいなくなり、私はあの家で一人になった。
祖父母もサミュエルも私にとって家族だけれど、やはり私だけは家族になりきれなくて。
嘆いて、泣いて、泣いて。
家を出たいと訴えた私の望みには応えてもらえなくて、私に許されたのは父の残した店を結婚するまで続けること。
私にとっては貴族でいることも、父のいないあの家にいることも苦痛だったけれど、祖父母にとって――特に祖母にとっては私を貴族の令嬢としてきちんとした家に嫁がせることは、祖母なりの私への愛情ではあって。
苦しくて辛くて堪らなかったその時に、こっそりサミュエルが約束してくれた。
自分が当主になったら私を家から出してくれると。
「私は貴族なんて柄じゃないんですよ。こんな赤毛だし」
ほら、と結い上げた髪の一房を指先で掬い上げる。
この国の貴族は基本的に黒髪に濃い色の目をしている。比べ、平民は私のような赤みのある明るい色味の髪に薄い目を持つ。
これはこの国の貴族が外の土地から訪れた移民の末で、平民の多くが元からこの土地にいた民の末だから。私は瞳の色は父の濃い紫を受け継いだけれど、髪の色は平民であった母と同じ赤茶色。
母譲りの明るい髪は私自身、けして嫌いではないが、貴族の中では蔑みの対象となる色だ。
「だから家を出ますし、そしたら平民です。平民がお貴族様の婚約者なんてしていられないし、王宮魔法師でもいられませんよね?しがない古書店の店主をしながらたまに市井の魔法師として小遣い稼ぎして生きていくのがお似合いです。だからカシーム様には婚約破棄してもらいますし、そのあとは関わらない予定なので」
私はにっこりと笑った。
淑女教育で培った作り笑顔で。
「古書店の店主がミリーゼ・シュトラトフだとカシーム様に知られるのは困ります。ですから団長も!カシーム様にいらぬことは絶対に言わないで下さい。もし、もし万が一カシーム様が私に似ている気がするなんて言い出した時にはちゃんと上手く誤魔化して下さいよ?」
私が一息で言い切ったその時。
コンコン、と軽いノックの音と、
「失礼します」
と、いう柔らかい声がドアごしに耳に届いた。
よく晴れた空とぷっくらと膨らんだ実がたわわになった枝が見える。
――はて、あんなところに木なんてあったっけ?
つい一昨日まではなかったはずの景色に、上司の視線もしばし忘れ窓に寄る。
「……なにあれ」
ポットを抱えたままポカンと口を開けた。
「趣味悪……」
いったいどこの誰だ。あんな悪趣味なものを作りだしたのは。
3階の窓まで届く一本の巨木。ピンクの幹に茶色い垂れ下がった枝、葉は一枚もなくて枝の先にはやたら毒々しい赤と紫の斑な風船みたいな実がたわわにぶら下がっている。
実際その実は風船のように軽いのではないかと思われた。だって枝の細さからしてその実はあきらかに大きすぎな上に数もあるのだから。
大きさに見合う重量があれば枝が保たないはず。
自然の摂理ではあり得ない。
であればどこかの誰かの魔法の産物であるはずなのだけれど。
「――つい今の今まで結構シリアスな気分だったんだけど」
そうだった。と私は窓の外で異様を放つ巨木を見上げて思いだした。
ここは色恋で思い悩み落ち込んでいられるような場所ではなかったのだと。
魔法は自身の魔力と引き換えに世界を支える真理の聖樹と繋がり摂理をほんのわずか、歪め、求める事象を実現させる。
人の持つ想像を魔力と等価交換で具現化させる。
想像力――なかには妄想力だと言う人間もいるが――が魔法の行使には重要なのだという。
それと好奇心、飽くなき探究心、思いつき。
だからか、王宮魔法師とまでなる人間には変わり者が多い。ある意味変質者の宝庫といっても良い。
「いったいどこのどいつよ。あんな気持ち悪いの作るバカはっ」
なんだか妙に腹立たしくて、悪態をついて。
「ああ、アレ。おまえがぼーっとしてた原因の片方ー?というか、素が出てるぞ」
という上司の声に、
「そういえば」
と私は眉間を寄せて振り返った。
「カシーム様に店のことを教えましたね?」
私が《コルム煙突通りの古書店》の店主をしていることは、数少ない人間しかいない。
職場の人間には一人だけ。
屋敷でも祖父母とサミュエルの他は一部の使用人しか知らない。
それが祖母の出した条件の一つだったからだ。
伯爵家の令嬢ミリーゼ・シュトラトフと、古書店の店主は別人。
《コルム煙突通りの古書店》の店主は平民の娘であり、シュトラトフ伯爵家とは無関係の人間でなくてはならない。
だから私は普段から息苦しくなるほどに白粉を頬に叩きまくって目蓋に色を塗りたぐり、暑い日は熱に蒸せそうになりながら鏝で髪を巻き結い上げる。夜会でもそうは見ない厚化粧に高いヒールの靴を履き、声音も口調も変えて生活している。
素の私とは似ても似つかない伯爵家の令嬢で王宮魔法師のミリーゼ・シュトラトフを演じている。
それはもう結構な苦痛と苦労の上で。
「ん?」
「とぼけても無駄ですよ?彼に貴方の紹介だと言われたんですから」
「あー……まー、なぁ」
とぼけた顔で頭を掻く上司を睨みつける。
「私の事情はご存知ですよね?」
上司――ミハイル・ノイン魔法師団長は、私の父の代から《コルム煙突通りの古書店》の常連であり、友人でもあった。
ノイン団長自身辺境伯家の子息で、母とのことで家を出る前の貴族の子息であった頃の父も知っているし、伯爵家に戻ったあとも知っている。
私が魔法師の試験を受ける時も相談に乗ってもらったし、古書店を継ぐ時も相談に乗ってもらった人だから、祖母の出した条件も知っている。
「なんのために私が周りに厚塗り女と陰口を叩かれながら塗りたぐっていると思ってるんです?足だって、ヒールに慣れるまでは豆だらけでしたし、毎朝鏝で巻くおかげで髪は痛むわ鏝の熱で暑いわ。散々なのに。よりによってカシーム様に店を勧めるだなんて!」
「いやぁ……だが、なぁ?奴なら気づいたとしても大丈夫だろ?」
「一応婚約者ですから。祖母との接点はありますのよ?お願いすれば黙ってはくれるでしょうが、それでも何かの折に口が滑らないとも限りません。それに――」
きゅっと唇を噛む。
「家を出たあとも、店は続けるつもりですから」
私は窓から離れ、ポットが冷める前に空のカップに紅茶を注いだ。
角砂糖は一つ。
コツンと小さな音を立てて沈んでいった塊を見送り、クルクルとスプーンでかき混ぜる。
「…………まだ、そのつもりなのか?」
自身の前に置かれたカップを手に取って、一口飲んでから、ノイン団長が言うのに苦笑する。
「もちろん。最初からそのつもりですもの」
小さく声を立てて笑って、テーブルに置いたままの、砂糖に塗れた紅茶のカップを皿ごとそっと持ち上げた。
冷めてぬるくなったドロドロの紅茶を喉の奥に流し込んでいく。
もはや紅茶ではなくわずかに茶葉の香りがする紅茶モドキ、だった。
溶けきらない大量の砂糖が口の中をざらりとした感触で満たす。
自業自得とはいえ正直――飲めたものではない、が。
私は無理矢理カップの底が見えるまで(いまだ底には溶けかけの砂糖が沈殿はしているけれど)飲み干し、息をついた。
――あと一月と少し。
指折り待ち望んでいたはずのその時を、あともう少し、あと少しだけ先に……そう思うようになったのはいつからだっただろうか。
あと一月と少しで、サミュエルが17歳になる。
この国では女性は16、男性は17歳で成人と認められ、爵位を継ぐことができる。
父が亡くなってから祖父が代理を担っていた伯爵位を継ぎ、シュトラトフ家の当主になるのだ。
そうなれば当主であるサミュエルの決断は、祖父母にも覆せないものになる。
「約束してくれていますから。サミュエルは案外優しいんですよ?だから、ちゃんと私を解放してくれます」
13歳の時、サミュエルの両親が揃って事故で亡くなって。まだ12歳だったサミュエルと老いた祖父の代わりにサミュエルが成人するまでの中継ぎの当主として父が私と母を連れて家に戻って。
しばらくして母が病に倒れ、そのまま私が14の年には亡くなってしまった。
ニ年前。
父もまた母と同じ病でいなくなり、私はあの家で一人になった。
祖父母もサミュエルも私にとって家族だけれど、やはり私だけは家族になりきれなくて。
嘆いて、泣いて、泣いて。
家を出たいと訴えた私の望みには応えてもらえなくて、私に許されたのは父の残した店を結婚するまで続けること。
私にとっては貴族でいることも、父のいないあの家にいることも苦痛だったけれど、祖父母にとって――特に祖母にとっては私を貴族の令嬢としてきちんとした家に嫁がせることは、祖母なりの私への愛情ではあって。
苦しくて辛くて堪らなかったその時に、こっそりサミュエルが約束してくれた。
自分が当主になったら私を家から出してくれると。
「私は貴族なんて柄じゃないんですよ。こんな赤毛だし」
ほら、と結い上げた髪の一房を指先で掬い上げる。
この国の貴族は基本的に黒髪に濃い色の目をしている。比べ、平民は私のような赤みのある明るい色味の髪に薄い目を持つ。
これはこの国の貴族が外の土地から訪れた移民の末で、平民の多くが元からこの土地にいた民の末だから。私は瞳の色は父の濃い紫を受け継いだけれど、髪の色は平民であった母と同じ赤茶色。
母譲りの明るい髪は私自身、けして嫌いではないが、貴族の中では蔑みの対象となる色だ。
「だから家を出ますし、そしたら平民です。平民がお貴族様の婚約者なんてしていられないし、王宮魔法師でもいられませんよね?しがない古書店の店主をしながらたまに市井の魔法師として小遣い稼ぎして生きていくのがお似合いです。だからカシーム様には婚約破棄してもらいますし、そのあとは関わらない予定なので」
私はにっこりと笑った。
淑女教育で培った作り笑顔で。
「古書店の店主がミリーゼ・シュトラトフだとカシーム様に知られるのは困ります。ですから団長も!カシーム様にいらぬことは絶対に言わないで下さい。もし、もし万が一カシーム様が私に似ている気がするなんて言い出した時にはちゃんと上手く誤魔化して下さいよ?」
私が一息で言い切ったその時。
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