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覗きは感心致しません。
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闇綺によると、
「やー、途中でベルノなんたらはんの影に移りましてなー。なもんで銀髪オネエチャンが自白したあたりもばっちり見聞きしてましたで!いやあ、あんさんなかなか格好良かったわ!びしーっ!と「聖女は私がやるから、貴女はお役御免よ。さ、捕らえなさい!」って~!シビレたわ!!」
だそうな。
……恥ずかしい。
メチャメチャ恥ずかしいわっ!
や、ちょっとだけデスネ。
ちょっとだけ役に入り込んでたというか。
途中からノリノリだったというか。
はい。
調子に乗ってました、ごめんなさい。
反省します。
だから、やめて~!
もう言わないで!
「わかりましたわ!もう結構です!ようするに闇綺さんを使って覗きをしていたということですわね!」
ううう。
私だけ恥ずかしいとか悔しいからわざとそんな言い方をしてみせる。
でも、覗きは覗きだからね。
感心致しませんよね?
「……本当に今回だけなのですよね?」
少しばかり心配になります。
だって、闇綺の能力があれば覗きしほうだいじゃない?
お風呂だろうが着替えだろうが、ね?
ある意味、全男子の憧れの的な能力みたいな。
あ、でも別に闇綺と視界を共有でもしてない限り見れるのは闇綺だけなのか。
う~ん、鴉だからOK?
でもやっぱりねえ。
覗かれる側としてはたとえ鴉でも、ね?
しっかりそれなりの知能はあるし。
しゃべるし。
報告は、できるんだよね。
私は思わずうろんな目付きをカイル様に向けて、自分の肩を抱いた。
「……変態?覗き魔?」
「……エリカ嬢?」
しまった。
声に出ていたらしい。
「エリカ嬢、何を想像したのかな?」
「い、いえぇ、なんにも」
ホホホ。
なんにも想像なんてしておりませんことよ?
そんな、変態覗き魔だなんて。
これっぽっちも考えてませんとも。
「そう?」
「ええ。ところでお話は以上でよろしいでしょうか?私、そろそろ部屋に戻ろうかと……」
もう、いいよね。
カイル様は私が聖女だって闇綺から教えられたわけで。
ついでにカノンがもう破滅しそうだってこともわかったかけで。
そこに私が一人で砦を出たりしたから。
追いかけてきたわけで。
私が聖女だから。
「失礼致しますわね?」
私はそう言って立ち上がった。
カイル様の顔は見ずに。
「まだ話には続きがあるんだけど?」
「もう、結構ですわ」
もういいです。
「エリカ嬢。確かに俺は国に聖女を連れ帰りたいと思ってはいる。そのことは事実だから否定しない」
いやだ。
私の腕をカイル様はつかんで、
「だけど、それだけでは……」
いい募ろうとする。
だけど。
私は。
「聞きたくないです」
そう遮って、腕を振り払った。
できれぱ。
両手で耳を塞いでしまいたかったけれど。
それはなんだか、私がカイル様のことを意識していたと認める行為のような気がして。
「失礼します。おやすみなさい」
それだけ言って歩き出した。
「エリカ嬢!」
カイル様の手が私の肩に伸ばされる。
ーー触れる。
と思って、反射的にビクッと身体が奮えた。
けど。
その手は私に届く前に遮られた。
あれ?と恐る恐る振り返りかけた私の耳に、何から何か大きなものが投げ出されたような、
そんな音が聞こえた。
(……え?)
なに?
振り返った私の目に、白い髪と大きな背。
「……白王?」
「エリカは俺の主で俺の番だ!触るなっ!」
って。
もしかして白王。
カイル様を投げ飛ばした?
見ると、カイル様の身体は地面に投げ出されて、片手が木にぶつかったのか、あらぬ方向に曲がっていた。
(……ひぃっ!)
白王!やり過ぎだよっ!!
「カイル、様?」
返事がない。
……死んだ?
「あー、コリャ完全に気絶しとるわー!白虎のニイチャンやり過ぎやでーっ!」
闇綺が倒れたカイル様を覗きこんで言う。
気絶、という言葉にほっとして、カイル様に近づいていく。
「……う、『エクストラ・ヒール』」
明らかに折れた左腕を視界に入れないように目を反らしながら、上級の治癒魔法をかけた。
骨折ってのは厄介なもので。
ヒールやハイヒールのような『元の状態に戻す』治癒魔法だと、骨がずれて変な状態にままつっついてしまう。
なので私が選んだのは『正常に戻す』より上位魔法の『エクストラ・ヒール』。
ちゃんと治ったかな?と目線を向けると、「……ぅ」と身じろぎしたカイル様が小さく声を上げたので、後ずさる。
……逃げよう。
私は瞬時にそう判断して、
「闇綺さん、お後よろしくね!白王、いくわよ!」
白王の腕を捕ると、
すたこらとその場を後にした。
「やー、途中でベルノなんたらはんの影に移りましてなー。なもんで銀髪オネエチャンが自白したあたりもばっちり見聞きしてましたで!いやあ、あんさんなかなか格好良かったわ!びしーっ!と「聖女は私がやるから、貴女はお役御免よ。さ、捕らえなさい!」って~!シビレたわ!!」
だそうな。
……恥ずかしい。
メチャメチャ恥ずかしいわっ!
や、ちょっとだけデスネ。
ちょっとだけ役に入り込んでたというか。
途中からノリノリだったというか。
はい。
調子に乗ってました、ごめんなさい。
反省します。
だから、やめて~!
もう言わないで!
「わかりましたわ!もう結構です!ようするに闇綺さんを使って覗きをしていたということですわね!」
ううう。
私だけ恥ずかしいとか悔しいからわざとそんな言い方をしてみせる。
でも、覗きは覗きだからね。
感心致しませんよね?
「……本当に今回だけなのですよね?」
少しばかり心配になります。
だって、闇綺の能力があれば覗きしほうだいじゃない?
お風呂だろうが着替えだろうが、ね?
ある意味、全男子の憧れの的な能力みたいな。
あ、でも別に闇綺と視界を共有でもしてない限り見れるのは闇綺だけなのか。
う~ん、鴉だからOK?
でもやっぱりねえ。
覗かれる側としてはたとえ鴉でも、ね?
しっかりそれなりの知能はあるし。
しゃべるし。
報告は、できるんだよね。
私は思わずうろんな目付きをカイル様に向けて、自分の肩を抱いた。
「……変態?覗き魔?」
「……エリカ嬢?」
しまった。
声に出ていたらしい。
「エリカ嬢、何を想像したのかな?」
「い、いえぇ、なんにも」
ホホホ。
なんにも想像なんてしておりませんことよ?
そんな、変態覗き魔だなんて。
これっぽっちも考えてませんとも。
「そう?」
「ええ。ところでお話は以上でよろしいでしょうか?私、そろそろ部屋に戻ろうかと……」
もう、いいよね。
カイル様は私が聖女だって闇綺から教えられたわけで。
ついでにカノンがもう破滅しそうだってこともわかったかけで。
そこに私が一人で砦を出たりしたから。
追いかけてきたわけで。
私が聖女だから。
「失礼致しますわね?」
私はそう言って立ち上がった。
カイル様の顔は見ずに。
「まだ話には続きがあるんだけど?」
「もう、結構ですわ」
もういいです。
「エリカ嬢。確かに俺は国に聖女を連れ帰りたいと思ってはいる。そのことは事実だから否定しない」
いやだ。
私の腕をカイル様はつかんで、
「だけど、それだけでは……」
いい募ろうとする。
だけど。
私は。
「聞きたくないです」
そう遮って、腕を振り払った。
できれぱ。
両手で耳を塞いでしまいたかったけれど。
それはなんだか、私がカイル様のことを意識していたと認める行為のような気がして。
「失礼します。おやすみなさい」
それだけ言って歩き出した。
「エリカ嬢!」
カイル様の手が私の肩に伸ばされる。
ーー触れる。
と思って、反射的にビクッと身体が奮えた。
けど。
その手は私に届く前に遮られた。
あれ?と恐る恐る振り返りかけた私の耳に、何から何か大きなものが投げ出されたような、
そんな音が聞こえた。
(……え?)
なに?
振り返った私の目に、白い髪と大きな背。
「……白王?」
「エリカは俺の主で俺の番だ!触るなっ!」
って。
もしかして白王。
カイル様を投げ飛ばした?
見ると、カイル様の身体は地面に投げ出されて、片手が木にぶつかったのか、あらぬ方向に曲がっていた。
(……ひぃっ!)
白王!やり過ぎだよっ!!
「カイル、様?」
返事がない。
……死んだ?
「あー、コリャ完全に気絶しとるわー!白虎のニイチャンやり過ぎやでーっ!」
闇綺が倒れたカイル様を覗きこんで言う。
気絶、という言葉にほっとして、カイル様に近づいていく。
「……う、『エクストラ・ヒール』」
明らかに折れた左腕を視界に入れないように目を反らしながら、上級の治癒魔法をかけた。
骨折ってのは厄介なもので。
ヒールやハイヒールのような『元の状態に戻す』治癒魔法だと、骨がずれて変な状態にままつっついてしまう。
なので私が選んだのは『正常に戻す』より上位魔法の『エクストラ・ヒール』。
ちゃんと治ったかな?と目線を向けると、「……ぅ」と身じろぎしたカイル様が小さく声を上げたので、後ずさる。
……逃げよう。
私は瞬時にそう判断して、
「闇綺さん、お後よろしくね!白王、いくわよ!」
白王の腕を捕ると、
すたこらとその場を後にした。
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