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お年頃男子の暴走
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困惑しながらアンソニーにエスコートされ、図書室にやってきたクラリスだったが、図書室に着くとすぐにアンソニーの手を放し、目を輝かせて本棚へと駆け寄った。
「前に来た時よりも本が増えてる!」
繋いでいた手をあっさりと振り払われ、一瞬ショックを受けたアンソニーだったが、騒がしくしないように気をつけながらも興奮を隠せないクラリスの様子に、フッと笑みをこぼし、優しく声をかけた。
「外国語の本を追加で購入しました。クラリス嬢がお好きかと思いまして」
「まあ!そんなことまで……ありがとうございます!」
クラリスは大きな瞳を更に大きく見開くと、ぺこりと頭を下げた。
「それで、クラリス嬢、今日は……」
「あ!この本は!」
アンソニーが何かを言いかけるが、早速席に座り本を読み始めたクラリスの耳には届かない。
「……今日は図書室を貸切にしたとお伝えしようと思ったのですが」
本に夢中になっているクラリスを愛しそうに見つめると、自身も一冊手に取り、クラリスの横に座った。
しばらくして、一冊読み終わったクラリスは上の方にある別の本を取ろうと、一生懸命に背伸びして手を伸ばした。
「んっ、もうちょっと……」
「これですか?」
クラリスの背後からアンソニーが手を伸ばし、サッと本を取り出すと、クラリスに差し出した。
「はい、これです、ありがとうございます!」
本を受け取り、振り向いて嬉しそうにお礼を言ったクラリスは、アンソニーの顔がすぐ近くにあることに気づき、ハッと固まった。
「あ、し、失礼しました!」
真っ赤な顔で、すぐにくるっと回れ右して横に移動しようとするクラリスだったが、アンソニーが本棚に両手をついてクラリスを閉じ込めたため、逃げられなくなってしまった。
「あ、あの、アンソニー様……?」
「……駄目ですよ、クラリス嬢。また私の名前を間違えましたね?」
背中を向け、本を抱えて下を向いているクラリスの耳元でそっと囁くように言う。
「っっっ!」
「私の名前を忘れてしまいましたか?なら、お仕置きが必要ですね」
言って、背中を向けたままのクラリスをぎゅっと抱きしめた。
「ア、アンソ、トニー様!離してください!」
クラリスは逃れようと身じろぎするが、アンソニーの腕はびくともしないどころか、抱きしめる力が更に強くなる。
「……嫌ですか?私にこうされるのは」
アンソニーがクラリスの耳元で言う。
「え、あの、それは……」
「今なら誰もいません。教えてください。私の腕の中にいるのは嫌ですか?」
「えと、その……嫌というわ……」
バンッ
図書室のドアが大きく開いたかと思うと、白衣を着たまま息を切らしたアリスが入ってきた。アンソニーからバックハグされて真っ赤になっているクラリスを見つけると、アリスのまとう空気が一気に氷点下になる。
「……アンソニー様?いったい何を……」
「アリス嬢……?」
「アリス様?!」
さすがに驚いたアンソニーが腕の力を緩めた隙に、クラリスはアンソニーから逃れ、アリスの元に駆け寄った。
「クラリスさん!大丈夫でしたか?!」
「は、はい、大丈夫です……」
(う……な、何、目の前のこの可愛いすぎる生き物は……!)
顔を真っ赤にして俯くクラリスが可愛すぎて、アリスは額に手を当て、天を仰ぐ。
「アリス!いきなり飛び出して行くから驚いたよ」
そこに、少し息を切らしたウィルがやってきた。
「~~~~ウィル様といい、アンソニー様といい!私とクラリスさんの勉強を邪魔するのなら、私にも考えがありますからね!」
クラリスを庇うように抱き寄せると、アリスはウィルとアンソニーをキッと睨んだ。
ウィルに研究室までエスコートされたのはいいが、研究室は貸切にしたとかで、他には誰もいなかった。
アリスが、実験し放題!と喜んだのは最初だけで、二人きりなのをいいことに、ウィルからのボディタッチがどんどんエスカレートしていき、実験どころではなかった。
挙げ句の果てに、我慢できなくなったウィルに机に押し倒され、キスされてしまう。
このままではまずい!と何とか逃げ出し、図書室に駆け込んだところ、アンソニーに捕らえられたクラリスを見つけたのだった。
「私とクラリスさんは、陛下から王宮の施設の自由利用を許可されたんですのよ!学園がお休みの間好きな勉強ができると、喜んで王宮に参りましたのに、お二人は何なんですの!こんなことが続くようなら、公爵家として正式に抗議いたしますわ!」
(怒っているアリス様もお美しいわ……!)
アリスに肩を抱かれたクラリスは、その横顔をポーっと見つめる。
「あー、アリス、すまなかった。アリスがあまりにも魅力的で抑えが効かなくなってしまった。もうしないと約束するから、怒らないでくれ」
ウィルが殊勝に頭を下げた。
「クラリス嬢、私も謝ります。あなたのあまりの美しさに自分を見失ってしまいました。申し訳ありません」
アンソニーも頭を下げる。
「……何ですって?二人とも!女性が綺麗だったら襲っていいとでも?!そんなの男性の勝手な言い分ですわ!」
二人の謝罪は、アリスの怒りに油を注いだだけだった。
「クラリスさん、もう行きましょう!明日からはこんなことがないようにしますからね!」
「ア、アリス!」
「クラリス嬢!」
「ついてこないでください!」
焦るウィルとアンソニーを尻目にアリスはクラリスを連れて王宮を出て行った。
「前に来た時よりも本が増えてる!」
繋いでいた手をあっさりと振り払われ、一瞬ショックを受けたアンソニーだったが、騒がしくしないように気をつけながらも興奮を隠せないクラリスの様子に、フッと笑みをこぼし、優しく声をかけた。
「外国語の本を追加で購入しました。クラリス嬢がお好きかと思いまして」
「まあ!そんなことまで……ありがとうございます!」
クラリスは大きな瞳を更に大きく見開くと、ぺこりと頭を下げた。
「それで、クラリス嬢、今日は……」
「あ!この本は!」
アンソニーが何かを言いかけるが、早速席に座り本を読み始めたクラリスの耳には届かない。
「……今日は図書室を貸切にしたとお伝えしようと思ったのですが」
本に夢中になっているクラリスを愛しそうに見つめると、自身も一冊手に取り、クラリスの横に座った。
しばらくして、一冊読み終わったクラリスは上の方にある別の本を取ろうと、一生懸命に背伸びして手を伸ばした。
「んっ、もうちょっと……」
「これですか?」
クラリスの背後からアンソニーが手を伸ばし、サッと本を取り出すと、クラリスに差し出した。
「はい、これです、ありがとうございます!」
本を受け取り、振り向いて嬉しそうにお礼を言ったクラリスは、アンソニーの顔がすぐ近くにあることに気づき、ハッと固まった。
「あ、し、失礼しました!」
真っ赤な顔で、すぐにくるっと回れ右して横に移動しようとするクラリスだったが、アンソニーが本棚に両手をついてクラリスを閉じ込めたため、逃げられなくなってしまった。
「あ、あの、アンソニー様……?」
「……駄目ですよ、クラリス嬢。また私の名前を間違えましたね?」
背中を向け、本を抱えて下を向いているクラリスの耳元でそっと囁くように言う。
「っっっ!」
「私の名前を忘れてしまいましたか?なら、お仕置きが必要ですね」
言って、背中を向けたままのクラリスをぎゅっと抱きしめた。
「ア、アンソ、トニー様!離してください!」
クラリスは逃れようと身じろぎするが、アンソニーの腕はびくともしないどころか、抱きしめる力が更に強くなる。
「……嫌ですか?私にこうされるのは」
アンソニーがクラリスの耳元で言う。
「え、あの、それは……」
「今なら誰もいません。教えてください。私の腕の中にいるのは嫌ですか?」
「えと、その……嫌というわ……」
バンッ
図書室のドアが大きく開いたかと思うと、白衣を着たまま息を切らしたアリスが入ってきた。アンソニーからバックハグされて真っ赤になっているクラリスを見つけると、アリスのまとう空気が一気に氷点下になる。
「……アンソニー様?いったい何を……」
「アリス嬢……?」
「アリス様?!」
さすがに驚いたアンソニーが腕の力を緩めた隙に、クラリスはアンソニーから逃れ、アリスの元に駆け寄った。
「クラリスさん!大丈夫でしたか?!」
「は、はい、大丈夫です……」
(う……な、何、目の前のこの可愛いすぎる生き物は……!)
顔を真っ赤にして俯くクラリスが可愛すぎて、アリスは額に手を当て、天を仰ぐ。
「アリス!いきなり飛び出して行くから驚いたよ」
そこに、少し息を切らしたウィルがやってきた。
「~~~~ウィル様といい、アンソニー様といい!私とクラリスさんの勉強を邪魔するのなら、私にも考えがありますからね!」
クラリスを庇うように抱き寄せると、アリスはウィルとアンソニーをキッと睨んだ。
ウィルに研究室までエスコートされたのはいいが、研究室は貸切にしたとかで、他には誰もいなかった。
アリスが、実験し放題!と喜んだのは最初だけで、二人きりなのをいいことに、ウィルからのボディタッチがどんどんエスカレートしていき、実験どころではなかった。
挙げ句の果てに、我慢できなくなったウィルに机に押し倒され、キスされてしまう。
このままではまずい!と何とか逃げ出し、図書室に駆け込んだところ、アンソニーに捕らえられたクラリスを見つけたのだった。
「私とクラリスさんは、陛下から王宮の施設の自由利用を許可されたんですのよ!学園がお休みの間好きな勉強ができると、喜んで王宮に参りましたのに、お二人は何なんですの!こんなことが続くようなら、公爵家として正式に抗議いたしますわ!」
(怒っているアリス様もお美しいわ……!)
アリスに肩を抱かれたクラリスは、その横顔をポーっと見つめる。
「あー、アリス、すまなかった。アリスがあまりにも魅力的で抑えが効かなくなってしまった。もうしないと約束するから、怒らないでくれ」
ウィルが殊勝に頭を下げた。
「クラリス嬢、私も謝ります。あなたのあまりの美しさに自分を見失ってしまいました。申し訳ありません」
アンソニーも頭を下げる。
「……何ですって?二人とも!女性が綺麗だったら襲っていいとでも?!そんなの男性の勝手な言い分ですわ!」
二人の謝罪は、アリスの怒りに油を注いだだけだった。
「クラリスさん、もう行きましょう!明日からはこんなことがないようにしますからね!」
「ア、アリス!」
「クラリス嬢!」
「ついてこないでください!」
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