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恋と愛と友情と
しおりを挟む「ああ、くそっ!なんで私まで一緒に同行しなくちゃならないんだ……」
ライルが毒づいてみてもすでに遅し。賽はとっくの昔に投げられていたのだ。
悔しがるライルをよそに、ジェイドはなんとなく涼し気な顔をしている。理由は不明だが、彼はライルと行動を共にしたくてしかたがないらしい。
リルが子供にさえなってなければ、今頃、ライルは魔導士塔の最上階でお気に入りの魔道具を満足げにいじっていたはずなのだ。
フロルは申し訳なさそうに、おずおずとライルを見上げた。
ライルの機嫌はいまだに悪いままで、ぶつぶつと呪いの言葉を吐き続けている。
「ライル様、すみません、リルのせいで……」
彼はようやく口をつぐみ、フロルを見返した。そして、仕方がないなあという顔でため息交じりに言葉を発した。
「フロルのせいじゃないから、気にしないでおくれ。あの忌々しい大神官が殿下に余計なことさえ言わなければ済んだ話だ」
ゆらりとライルの艶々な黒髪が揺れる。
その横では、ジェイドが嬉しそうな顔で、「どこに立ち寄ろうか」と、神官らしからぬ表情で目をキラキラさせていた。
◇
そして、その翌朝、旅立ちの準備を終えた一行は簡単にフロルの家族に分かれを告げ、目的地に向かって出発した。
ジェイドには少し心あたりがあるという。
目指すは、最初にリルが子供になる前に立ち寄った町だ。
ライル、ジェイド、フロルとギル、そして、子供のリルがパカパカと馬に揺られて目的地へと向かっている。子供のリルはライルの馬に乗せてもらい、ちょっと不満げだった。
本当はフロルと一緒の馬に乗りたかったのだが、仕方がない。フロルには馬には定員ってものがあるのよ、と諭された。ジェイドがリルを馬に乗せると主張したものの、リルに却下され、悲しそうに自分の馬に戻っていった。
麦畑のど真ん中を走る一本道のど真ん中、ライルは相変わらずむっつりとしていたが、少しはふっきれたのだろうか。
ギルが慰めるように口を開く。
「ライル、あと一刻で目的地に到着するから、それまでもう少し我慢してくれ」
ギルも申し訳なさそうに言うが、ライルはフロルとギルの二人も今回は被害者であることを知っている。
「ああ、君たちもせっかくの休暇だったのに災難だったね」
そう、殿下からリルが子供になった理由を探れという指示書はギルの元にも届いていたのだ。
「休暇に仕事を入れると公私混同になりそうだから、潔く休暇を返上して任務に変えてもらったよ」
そう、休暇はまた後で取ればいい。
ギルはあまりこだわらない性格のようで、切り替えもすごく早い。
フロルはそういう所も素敵だなと思いつつ、馬に揺られていると、遠くに見慣れた顔が見えたような気がした。
「ギル様、あれはもしかして……」
「ああ、騎馬隊の面々だ。王宮の外の任務であれば、奴ら以上の適任者はいないからな」
「ギル様、騎馬隊を呼び寄せたんですか?」
「そうだ」
そういうギルの顔には嬉しそうな表情が浮かんでいる。聖剣の騎士となってからというもの、騎馬隊と共にミッションを行う機会があまりなかったからだ。
フロルも嬉しそうに頬を緩ませる。懐かしい面々がいつものように、嬉しそうな顔をして、こちらに向かってきた。
「リード隊長、フロル!」
「みんな! 元気だった?!」
「フロル、久しぶりだなあ」
おじさん騎士が、馬でエスペランサの横につける。
「ダレクさん、久しぶりです!」
遠巻きにその再開を見つめている人物を思い出して、ギルはそっとジェイドに手招きをした。
「パーセル大神官だ」
ギルが騎馬隊に彼らを紹介すると、ジェイドは礼儀正しく会釈をした。
「しばらく、皆と一緒になりますが、よろしくお願いします」
「騎馬隊が来てくれて心強い限りだよ。みんなよろしく」
一瞬、大神官と聞いて、騎馬隊の面々もぎょっとして動きを止めたが、ジェイドが実に礼儀正しい好青年だったので、ギルの元部下たちもほっとした顔でうなずいた。
「馬の上から失礼いたしますが、ご無礼をお許しください。我々も至らない所もあるかもしれませんが、こちらこそよろしくお願いいたします。大神官様」
おじさん騎士が騎馬隊を代表して挨拶をする。
「いいんだ。馬の上でも下でも、敬意を払うのに場所は関係ないからね。遠い所、よく来てくれた」
そして、森の近くで合流し、騎馬隊を含めた全員は目的地であるマドレーの町へと到着した。ダーマ亭に泊まる前に立ち寄り、リルが井戸の水を飲んだあの場所だった。
「宿は俺たちで押さえてあります。ご安心ください」
おじさん騎士たちですべて手配したのだという。こういう時、旅慣れているせいか、騎馬隊は頼りになるなとフロルはしみじみ思う。
思い返せば、リルを見つけた最初の頃から、彼らとは苦楽を共にしてきた仲なのだ。
「騎馬隊の面々もそろったことだし、これから先の計画について、ご説明いただけませんか? パーセル卿」
「神殿には今まで起きた奇跡の記録があるのだけどね。この町では、今までにもいくつかの奇跡が起こっているんだ。詳細な記録は、この地の領主の館にあるからそれを見せてもらう必要があると思う」
それを聞いた途端、ギルがちょっと難しそうな顔をする。
「ここの地の領主はかなり気難しいと聞いている。王命でもない限り、我々が行っても簡単には見せてもらえないと思うが」
「ああ、それは私も知っているよ。けれども、一つだけ、可能性がない訳じゃない」
ジェイドは細かな説明を思いっきり省略し、どんどんと馬を進めていく。
フロルたちも仕方なく彼に続き、そして、ついに目的地へと到着してしまった。
マドレーのエリアを管轄する領主の館だ。いや、小規模な城と言ってもいいかもしれない。
その門の前に立ち止まり、ジェイドが大きく声を上げる。
「私はパーセル大神官だ。領主にお目通り願いたい」
よく通るその声は、彼がただ者ではないことを十分に示していた。
ジェイド・パーセル大神官。
地方にまで名を轟かすその名前を聞いて、頭を横に振るものは誰一人としていない。
特にパーセル家は、高貴な血筋で名門の一族だ。
ジェイドが予想した通り、それ以上は何も聞かれず、大きな門がゆっくりと音を立てて開き始めた。門のど真ん中をパーセルは堂々とした様子で通り過ぎる。
「なんか、嫌な予感がする……」
ライルは美しい眉を顰めながらも、一行と共に城の内部へと進む。
そう、これからライルに思いがけない災難が降りかかるとは誰も予想がつかなかったのである。
ライルが毒づいてみてもすでに遅し。賽はとっくの昔に投げられていたのだ。
悔しがるライルをよそに、ジェイドはなんとなく涼し気な顔をしている。理由は不明だが、彼はライルと行動を共にしたくてしかたがないらしい。
リルが子供にさえなってなければ、今頃、ライルは魔導士塔の最上階でお気に入りの魔道具を満足げにいじっていたはずなのだ。
フロルは申し訳なさそうに、おずおずとライルを見上げた。
ライルの機嫌はいまだに悪いままで、ぶつぶつと呪いの言葉を吐き続けている。
「ライル様、すみません、リルのせいで……」
彼はようやく口をつぐみ、フロルを見返した。そして、仕方がないなあという顔でため息交じりに言葉を発した。
「フロルのせいじゃないから、気にしないでおくれ。あの忌々しい大神官が殿下に余計なことさえ言わなければ済んだ話だ」
ゆらりとライルの艶々な黒髪が揺れる。
その横では、ジェイドが嬉しそうな顔で、「どこに立ち寄ろうか」と、神官らしからぬ表情で目をキラキラさせていた。
◇
そして、その翌朝、旅立ちの準備を終えた一行は簡単にフロルの家族に分かれを告げ、目的地に向かって出発した。
ジェイドには少し心あたりがあるという。
目指すは、最初にリルが子供になる前に立ち寄った町だ。
ライル、ジェイド、フロルとギル、そして、子供のリルがパカパカと馬に揺られて目的地へと向かっている。子供のリルはライルの馬に乗せてもらい、ちょっと不満げだった。
本当はフロルと一緒の馬に乗りたかったのだが、仕方がない。フロルには馬には定員ってものがあるのよ、と諭された。ジェイドがリルを馬に乗せると主張したものの、リルに却下され、悲しそうに自分の馬に戻っていった。
麦畑のど真ん中を走る一本道のど真ん中、ライルは相変わらずむっつりとしていたが、少しはふっきれたのだろうか。
ギルが慰めるように口を開く。
「ライル、あと一刻で目的地に到着するから、それまでもう少し我慢してくれ」
ギルも申し訳なさそうに言うが、ライルはフロルとギルの二人も今回は被害者であることを知っている。
「ああ、君たちもせっかくの休暇だったのに災難だったね」
そう、殿下からリルが子供になった理由を探れという指示書はギルの元にも届いていたのだ。
「休暇に仕事を入れると公私混同になりそうだから、潔く休暇を返上して任務に変えてもらったよ」
そう、休暇はまた後で取ればいい。
ギルはあまりこだわらない性格のようで、切り替えもすごく早い。
フロルはそういう所も素敵だなと思いつつ、馬に揺られていると、遠くに見慣れた顔が見えたような気がした。
「ギル様、あれはもしかして……」
「ああ、騎馬隊の面々だ。王宮の外の任務であれば、奴ら以上の適任者はいないからな」
「ギル様、騎馬隊を呼び寄せたんですか?」
「そうだ」
そういうギルの顔には嬉しそうな表情が浮かんでいる。聖剣の騎士となってからというもの、騎馬隊と共にミッションを行う機会があまりなかったからだ。
フロルも嬉しそうに頬を緩ませる。懐かしい面々がいつものように、嬉しそうな顔をして、こちらに向かってきた。
「リード隊長、フロル!」
「みんな! 元気だった?!」
「フロル、久しぶりだなあ」
おじさん騎士が、馬でエスペランサの横につける。
「ダレクさん、久しぶりです!」
遠巻きにその再開を見つめている人物を思い出して、ギルはそっとジェイドに手招きをした。
「パーセル大神官だ」
ギルが騎馬隊に彼らを紹介すると、ジェイドは礼儀正しく会釈をした。
「しばらく、皆と一緒になりますが、よろしくお願いします」
「騎馬隊が来てくれて心強い限りだよ。みんなよろしく」
一瞬、大神官と聞いて、騎馬隊の面々もぎょっとして動きを止めたが、ジェイドが実に礼儀正しい好青年だったので、ギルの元部下たちもほっとした顔でうなずいた。
「馬の上から失礼いたしますが、ご無礼をお許しください。我々も至らない所もあるかもしれませんが、こちらこそよろしくお願いいたします。大神官様」
おじさん騎士が騎馬隊を代表して挨拶をする。
「いいんだ。馬の上でも下でも、敬意を払うのに場所は関係ないからね。遠い所、よく来てくれた」
そして、森の近くで合流し、騎馬隊を含めた全員は目的地であるマドレーの町へと到着した。ダーマ亭に泊まる前に立ち寄り、リルが井戸の水を飲んだあの場所だった。
「宿は俺たちで押さえてあります。ご安心ください」
おじさん騎士たちですべて手配したのだという。こういう時、旅慣れているせいか、騎馬隊は頼りになるなとフロルはしみじみ思う。
思い返せば、リルを見つけた最初の頃から、彼らとは苦楽を共にしてきた仲なのだ。
「騎馬隊の面々もそろったことだし、これから先の計画について、ご説明いただけませんか? パーセル卿」
「神殿には今まで起きた奇跡の記録があるのだけどね。この町では、今までにもいくつかの奇跡が起こっているんだ。詳細な記録は、この地の領主の館にあるからそれを見せてもらう必要があると思う」
それを聞いた途端、ギルがちょっと難しそうな顔をする。
「ここの地の領主はかなり気難しいと聞いている。王命でもない限り、我々が行っても簡単には見せてもらえないと思うが」
「ああ、それは私も知っているよ。けれども、一つだけ、可能性がない訳じゃない」
ジェイドは細かな説明を思いっきり省略し、どんどんと馬を進めていく。
フロルたちも仕方なく彼に続き、そして、ついに目的地へと到着してしまった。
マドレーのエリアを管轄する領主の館だ。いや、小規模な城と言ってもいいかもしれない。
その門の前に立ち止まり、ジェイドが大きく声を上げる。
「私はパーセル大神官だ。領主にお目通り願いたい」
よく通るその声は、彼がただ者ではないことを十分に示していた。
ジェイド・パーセル大神官。
地方にまで名を轟かすその名前を聞いて、頭を横に振るものは誰一人としていない。
特にパーセル家は、高貴な血筋で名門の一族だ。
ジェイドが予想した通り、それ以上は何も聞かれず、大きな門がゆっくりと音を立てて開き始めた。門のど真ん中をパーセルは堂々とした様子で通り過ぎる。
「なんか、嫌な予感がする……」
ライルは美しい眉を顰めながらも、一行と共に城の内部へと進む。
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