346 / 366
12/12『最新型の万歩計』
しおりを挟む
なんじゃこりゃ。ずいぶん進化してんな、万歩計。
ドラッグストアの一角で、人形が入ったブリスターパックを手に取った。
台紙に印刷された商品名の上側に配置された雲型吹き出しみっつ、それぞれに【歩く!】【歌う!】【踊る!】と書かれている。
確かに人形には球体関節が用いられてるけど……自由に動くのかな?
私の中に宿る【少年】がワクワクと瞳を輝かせてる。
台紙裏の説明文を見るが、どんな風に動くのかわからない。
三千円 (税込)と安くはないけど、万歩計欲しかったし、買ってみる価値ありそうだ。
二足歩行式のキャラ化された犬、猫、熊の三種類あり、すんごく悩んで熊にした。
犬猫だと身近すぎて感情移入しすぎて、万が一故障・紛失したら悲しみが大きそうだったからだ。
帰宅して入浴や夕食を済ませてから開封した。
そういえば電池ってどうなってんだろ。
説明書を読んでいたら、カタリと音がした。
『うーん……良く寝たぁ』
机の上で熊が伸びをしてる。
えっ! 喋るとか書いてないけど⁈
『あっ、おはよう。あなたはだぁれ? お名前教えて?』
「ひっ、ヒカリ。前嶋、ヒカリ」
『マエジマ、ヒカリ? ヒカリさん! わぁー素敵なお名前! これからよろしくね!』
熊はコチラへ歩いてきて握手を求めた。
動きスゴッ! 最新技術スゴッ! 表情変わんないのに声色と仕草で感情がわかる!
私は人差し指と親指で熊の手を摘み、握手した。プニプニの肉球がキュート♡
『ぼくに名前、付ける?』
「つっ、付ける! えっと……えーっと」
どうせなら可愛い名前にしたいと悩んでいる間、熊は楽しそうに踊りながら待ってくれた。
キャラメル―略称はメル―はシステムについて色々教えてくれた。
『ぼくはヒカリさんと一緒に歩いて成長していくの。
ヒカリさんが歩くと、歩数と距離、ふたつのゲージが増えていくよ!
総歩数が一定値溜まるとぼくのレベルがアップ。
溜まった距離ポイントを使うと、ショップでアイテムが買えるんだ。説明書のコードからアクセスしてね!
ぼくのご飯は太陽や照明の光。電池はいらないよ。ヒカリさんが眠る時はぼくも一緒に眠るから、『おやすみ』って声をかけてね! 『おはよう』の挨拶で起きるよ!
ぼくが覚えていられる歩数と距離は過去一週間分。それ以上が知りたい場合はアプリと連携してって博士が言ってた。
たまに二人でお喋りしたり、撫でたり遊んだりしてくれると嬉しいなぁ』
ちょっと、最後に照れちゃうの可愛すぎるんだが?
『あっ。ぼくだけが歩いてる時の数値は加算されないし、並んで歩けない時やぼくが一緒にいられない場所では、アプリの中のぼくが計数するからスマホを持っててね』
「うん、わかった」
早速頭を撫でたら、メルは『えへへ』と笑いながら照れた。
うおー、可愛い! 全種類揃えたくなる! 夢の異種多頭飼いが実現してしまう!
「じゃあ、アプリの登録してみるね」
『うん!』
メルはまた踊りながら待機してる。
説明書に載ってるコードをスマホで読み取ってアプリをダウンロードし、新規会員登録を終える。マイページでユーザー名とメルの名前と種族も登録。
一緒に部屋の中を歩いてみたら、ほぼリアルタイムでアプリに数値が表示された。すごー。
でも、外でメルを歩かせるのはちょっと危険だ。さして大きくないし、蹴られたり轢かれたりしそう。
「一緒に外行く時は、ポケットか鞄の中が安全かなー」
『そうだね。ぼくたち小さいから、人間の人に気づいて貰えないかも』
「だよね」
なんて言いながらグッズを閲覧していたら、専用の携帯カバーが売られていた。ポイントだけじゃなくてリアルマネーでも買えるらしい。商売上手!
アプリではひとつのアカウントで最大6体まで万歩計を登録できるようになっている。
「もしお友達……同機種の万歩計が増えるとどうなるの?」
『経験値はそれぞれが同じだけ貰えるけど、アイテム交換用のポイントはひとり分しか貰えないんだ』
RPGの経験値と貨幣みたいな感じか。
『ぼくらがなんにんかで一緒にいる時は、ぼくらだけで遊ぶよ。一緒に歌ったり踊ったりゲームしたり』
「なにそれ見たい」
『どんな子たちがいるかはアプリで見れるから、良かったら見てみてね』
やばい。明日早速ドラストで追加購入してしまいそう。お財布と相談しよう……。
「あ、そろそろ寝なきゃ」
『じゃあぼくも一緒に眠る』
「うん。今日のお布団はタオルで我慢してね」
『なくても大丈夫だよ?』
「お布団で寝てるとこが見たいんだよ」
そう言ったら、メルは嬉しそうにえへへと笑った。
ベッドサイドのテーブルにタオルで寝床を作ったら、メルはそこへ横になった。
おやすみと言い合って、一緒に眠る。
これから一緒に、たくさん歩こうね!
ドラッグストアの一角で、人形が入ったブリスターパックを手に取った。
台紙に印刷された商品名の上側に配置された雲型吹き出しみっつ、それぞれに【歩く!】【歌う!】【踊る!】と書かれている。
確かに人形には球体関節が用いられてるけど……自由に動くのかな?
私の中に宿る【少年】がワクワクと瞳を輝かせてる。
台紙裏の説明文を見るが、どんな風に動くのかわからない。
三千円 (税込)と安くはないけど、万歩計欲しかったし、買ってみる価値ありそうだ。
二足歩行式のキャラ化された犬、猫、熊の三種類あり、すんごく悩んで熊にした。
犬猫だと身近すぎて感情移入しすぎて、万が一故障・紛失したら悲しみが大きそうだったからだ。
帰宅して入浴や夕食を済ませてから開封した。
そういえば電池ってどうなってんだろ。
説明書を読んでいたら、カタリと音がした。
『うーん……良く寝たぁ』
机の上で熊が伸びをしてる。
えっ! 喋るとか書いてないけど⁈
『あっ、おはよう。あなたはだぁれ? お名前教えて?』
「ひっ、ヒカリ。前嶋、ヒカリ」
『マエジマ、ヒカリ? ヒカリさん! わぁー素敵なお名前! これからよろしくね!』
熊はコチラへ歩いてきて握手を求めた。
動きスゴッ! 最新技術スゴッ! 表情変わんないのに声色と仕草で感情がわかる!
私は人差し指と親指で熊の手を摘み、握手した。プニプニの肉球がキュート♡
『ぼくに名前、付ける?』
「つっ、付ける! えっと……えーっと」
どうせなら可愛い名前にしたいと悩んでいる間、熊は楽しそうに踊りながら待ってくれた。
キャラメル―略称はメル―はシステムについて色々教えてくれた。
『ぼくはヒカリさんと一緒に歩いて成長していくの。
ヒカリさんが歩くと、歩数と距離、ふたつのゲージが増えていくよ!
総歩数が一定値溜まるとぼくのレベルがアップ。
溜まった距離ポイントを使うと、ショップでアイテムが買えるんだ。説明書のコードからアクセスしてね!
ぼくのご飯は太陽や照明の光。電池はいらないよ。ヒカリさんが眠る時はぼくも一緒に眠るから、『おやすみ』って声をかけてね! 『おはよう』の挨拶で起きるよ!
ぼくが覚えていられる歩数と距離は過去一週間分。それ以上が知りたい場合はアプリと連携してって博士が言ってた。
たまに二人でお喋りしたり、撫でたり遊んだりしてくれると嬉しいなぁ』
ちょっと、最後に照れちゃうの可愛すぎるんだが?
『あっ。ぼくだけが歩いてる時の数値は加算されないし、並んで歩けない時やぼくが一緒にいられない場所では、アプリの中のぼくが計数するからスマホを持っててね』
「うん、わかった」
早速頭を撫でたら、メルは『えへへ』と笑いながら照れた。
うおー、可愛い! 全種類揃えたくなる! 夢の異種多頭飼いが実現してしまう!
「じゃあ、アプリの登録してみるね」
『うん!』
メルはまた踊りながら待機してる。
説明書に載ってるコードをスマホで読み取ってアプリをダウンロードし、新規会員登録を終える。マイページでユーザー名とメルの名前と種族も登録。
一緒に部屋の中を歩いてみたら、ほぼリアルタイムでアプリに数値が表示された。すごー。
でも、外でメルを歩かせるのはちょっと危険だ。さして大きくないし、蹴られたり轢かれたりしそう。
「一緒に外行く時は、ポケットか鞄の中が安全かなー」
『そうだね。ぼくたち小さいから、人間の人に気づいて貰えないかも』
「だよね」
なんて言いながらグッズを閲覧していたら、専用の携帯カバーが売られていた。ポイントだけじゃなくてリアルマネーでも買えるらしい。商売上手!
アプリではひとつのアカウントで最大6体まで万歩計を登録できるようになっている。
「もしお友達……同機種の万歩計が増えるとどうなるの?」
『経験値はそれぞれが同じだけ貰えるけど、アイテム交換用のポイントはひとり分しか貰えないんだ』
RPGの経験値と貨幣みたいな感じか。
『ぼくらがなんにんかで一緒にいる時は、ぼくらだけで遊ぶよ。一緒に歌ったり踊ったりゲームしたり』
「なにそれ見たい」
『どんな子たちがいるかはアプリで見れるから、良かったら見てみてね』
やばい。明日早速ドラストで追加購入してしまいそう。お財布と相談しよう……。
「あ、そろそろ寝なきゃ」
『じゃあぼくも一緒に眠る』
「うん。今日のお布団はタオルで我慢してね」
『なくても大丈夫だよ?』
「お布団で寝てるとこが見たいんだよ」
そう言ったら、メルは嬉しそうにえへへと笑った。
ベッドサイドのテーブルにタオルで寝床を作ったら、メルはそこへ横になった。
おやすみと言い合って、一緒に眠る。
これから一緒に、たくさん歩こうね!
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
かがみゆえの掌編小説【BL】
かがみゆえ
BL
紙上に書いてきた作品を載せています。
【掌編小説】なので1つのお話が300字から800字程度です。
ジャンルは【BL】です。
※投稿ガイドラインの禁止事項に基づいて、【テーマ別=カテゴリ別】に短編集を投稿しています。
(R6.1.12(金)より試行。随時変更有りとなります)
⚠️カクヨム様とエブリスタ様にも投稿しています。
.
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/light_novel.png?id=7e51c3283133586a6f12)
ナツキス -ずっとこうしていたかった-
帆希和華
ライト文芸
紫陽花が咲き始める頃、笹井絽薫のクラスにひとりの転校生がやってきた。名前は葵百彩、一目惚れをした。
嫉妬したり、キュンキュンしたり、切なくなったり、目一杯な片思いをしていた。
ある日、百彩が同じ部活に入りたいといい、思わぬところでふたりの恋が加速していく。
大会の合宿だったり、夏祭りに、誕生日会、一緒に過ごす時間が、二人の距離を縮めていく。
そんな中、絽薫は思い出せないというか、なんだかおかしな感覚があった。フラッシュバックとでも言えばいいのか、毎回、同じような光景が突然目の前に広がる。
なんだろうと、考えれば考えるほど答えが遠くなっていく。
夏の終わりも近づいてきたある日の夕方、絽薫と百彩が二人でコンビニで買い物をした帰り道、公園へ寄ろうと入り口を通った瞬間、またフラッシュバックが起きた。
ただいつもと違うのは、その中に百彩がいた。
高校二年の夏、たしかにあった恋模様、それは現実だったのか、夢だったのか……。
17才の心に何を描いていくのだろう?
あの夏のキスのようにのリメイクです。
細かなところ修正しています。ぜひ読んでください。
選択しなくちゃいけなかったので男性向けにしてありますが、女性の方にも読んでもらいたいです。
よろしくお願いします!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる