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11/1『子、丑、寅、卯、辰。』
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「あー、もー、無理だって」
椅子にもたれかかり天を仰いだ。
机上に置かれたディスプレイには、デザインソフトの編集画面。
もう考えたくもない、来年の干支のことなんて。誰だよこの仕事引き受けたの。私だよ。
ただいま絶賛仕事中。来年の干支をモチーフにした年賀状用デザイン、20案を納品せよとのこと。同じ生き物の違うデザインパターン20種て。無理だって。
子供の頃ワクワクしながら眺めてた折り込み広告の年賀状デザインにこんな苦労が隠れてたなんて。
一枚一枚全部違う人が描いてるかと思ってたけど、いまになってわかる。外注するのにそんな面倒な発注方法は採用しない。
一人に一括で何パターンも描かせたほうがコスト安いよ。そんで受ける側もまとまった収入が得られるよ。そうだよな。そこまで考えてなかった。
学校の課題で同じモチーフの違うデザインパターンをいくつも出せというものがあって、学生全員でブーブーぎゃーぎゃー言いながらなんとか描いてたけど、あれはこういうときのための修行だったんだな。きっと先生方も同じような経験があったんだろう。
目の前の壁に貼られたカレンダーで納期を確認する。きっと直しが入ってギリギリになるだろうから、やっぱりいまはサボっていられない。
「はあぁ~」
とか思いつつ気分転換にコーヒーを淹れることにした。せっかくだしラテアートしちゃおうかな。
鼻歌を歌いながらカップとマシーンの準備をする。
ピッチャーにミルクを入れてノズルを突っ込み水蒸気で泡立てる。ジョワワワいう音が気持ちいい。
ピッチャーの中で水蒸気と混ざったミルクの嵩が程よく増えたら泡立て完了。
エスプレッソを淹れて、そこにクリームを注いでいく。
最初はミルクとエスプレッソを混ぜるように。ある程度まで入れたらクレマの層を破らないようにミルクの泡を乗せて……よしよし、キレイ。
ラテアート専用のピックで泡をすくって乗せたり、茶色の部分に尖ったほうを突っ込んで泡に乗せて線を描いたりしていたら……はっ! 無意識のうちに来年の干支描いてた! はっ! これで1パターンいけるんじゃね⁈
できたてのラテアートを机の片隅に置いて、タブペンを持った。指定サイズに仕切られた枠の中にイラストを描いていく。
おぉ、なんだかオシャレだし可愛い。しかし正月っぽさのカケラもないな。ボツくらってもいいからとりあえずこれも入れて納品してみよう。直しが出たタイミングでいいアイデアが浮かぶかもだし。
一息ついてから飲んだカフェラテは少し冷めてて、でもちょうどいいぬるさになっていて美味しかった。
そんなこんなで四苦八苦して描き上げた20パターンのデザイン案を、締切間際になんとか納品。
結局ラテアートのデザインも採用されて、色校などして、任務完了した。
来年同じ案件が来ても絶対受けないぞ、と思いつつも、終わってみたら案外楽しかったし自分のデザイン案がずらりと並んだチラシは壮観だし、もしまた来たら受けちゃうんだろうなー。
いい機会だから、暇なときに再来年の干支をモチーフにしたデザイン案のラフスケッチ描いたりしよっと。
そんなことを考えながらアイデアノートに手脳が描いたのは、鬼が大笑いしてるイラストだった。
椅子にもたれかかり天を仰いだ。
机上に置かれたディスプレイには、デザインソフトの編集画面。
もう考えたくもない、来年の干支のことなんて。誰だよこの仕事引き受けたの。私だよ。
ただいま絶賛仕事中。来年の干支をモチーフにした年賀状用デザイン、20案を納品せよとのこと。同じ生き物の違うデザインパターン20種て。無理だって。
子供の頃ワクワクしながら眺めてた折り込み広告の年賀状デザインにこんな苦労が隠れてたなんて。
一枚一枚全部違う人が描いてるかと思ってたけど、いまになってわかる。外注するのにそんな面倒な発注方法は採用しない。
一人に一括で何パターンも描かせたほうがコスト安いよ。そんで受ける側もまとまった収入が得られるよ。そうだよな。そこまで考えてなかった。
学校の課題で同じモチーフの違うデザインパターンをいくつも出せというものがあって、学生全員でブーブーぎゃーぎゃー言いながらなんとか描いてたけど、あれはこういうときのための修行だったんだな。きっと先生方も同じような経験があったんだろう。
目の前の壁に貼られたカレンダーで納期を確認する。きっと直しが入ってギリギリになるだろうから、やっぱりいまはサボっていられない。
「はあぁ~」
とか思いつつ気分転換にコーヒーを淹れることにした。せっかくだしラテアートしちゃおうかな。
鼻歌を歌いながらカップとマシーンの準備をする。
ピッチャーにミルクを入れてノズルを突っ込み水蒸気で泡立てる。ジョワワワいう音が気持ちいい。
ピッチャーの中で水蒸気と混ざったミルクの嵩が程よく増えたら泡立て完了。
エスプレッソを淹れて、そこにクリームを注いでいく。
最初はミルクとエスプレッソを混ぜるように。ある程度まで入れたらクレマの層を破らないようにミルクの泡を乗せて……よしよし、キレイ。
ラテアート専用のピックで泡をすくって乗せたり、茶色の部分に尖ったほうを突っ込んで泡に乗せて線を描いたりしていたら……はっ! 無意識のうちに来年の干支描いてた! はっ! これで1パターンいけるんじゃね⁈
できたてのラテアートを机の片隅に置いて、タブペンを持った。指定サイズに仕切られた枠の中にイラストを描いていく。
おぉ、なんだかオシャレだし可愛い。しかし正月っぽさのカケラもないな。ボツくらってもいいからとりあえずこれも入れて納品してみよう。直しが出たタイミングでいいアイデアが浮かぶかもだし。
一息ついてから飲んだカフェラテは少し冷めてて、でもちょうどいいぬるさになっていて美味しかった。
そんなこんなで四苦八苦して描き上げた20パターンのデザイン案を、締切間際になんとか納品。
結局ラテアートのデザインも採用されて、色校などして、任務完了した。
来年同じ案件が来ても絶対受けないぞ、と思いつつも、終わってみたら案外楽しかったし自分のデザイン案がずらりと並んだチラシは壮観だし、もしまた来たら受けちゃうんだろうなー。
いい機会だから、暇なときに再来年の干支をモチーフにしたデザイン案のラフスケッチ描いたりしよっと。
そんなことを考えながらアイデアノートに手脳が描いたのは、鬼が大笑いしてるイラストだった。
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