日々の欠片

小海音かなた

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8/11『元頁弓長ってる日々』

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 応援歌、みたいな唄の歌詞が疎ましくなるときがある。
 ガンバレガンバレうるさいなぁ、もう充分頑張ってるよ! って。
 そう思うときはたいてい疲れているとき。心がやさぐれて素直に受け止められないとき。
 ポジティブ系のなにを見ても、なにを聞いても、なにを言われてもダメ。優しくしてもらっても、ささくれた心にチクチク引っかかってしまう。
 一年の大半がそういう感じで、表に出さないようにはしているけど、やっぱりイライラしてしまう。
 そもそもストレス解消できてない。自分に合った解消法がわからない。
 負のスパイラルってこういうことか。

 自分以外にもきっと、同じように感じてる人がいるだろうって思うのに、つい言っちゃうんだよね、「頑張れ」って。大変そうな人に「大丈夫?」って聞くのと同じだ。
 私に対してその言葉を投げかける人も、同じように悩んでるかもしれないって思ったら、少しはイライラしなくなるかなぁ。と考えるけど、そんな自分の考えにさえ反発してしまうから結局は自分の問題なのだ。

 励まされたり褒められたりしたとき、素直に受け入れられるようになるにはどうしたらいいんだろう。
 心の余裕? 身体の余裕?
 どちらかが確保されていれば【素直さ】を持つことができて、ポジティブな言葉を受け入れられるスペースが作れるかな。
 じゃあその【余裕】ってどうしたらできるんだ?
 思春期の頃は『大人になれば自然と余裕ができるもの』って漠然と考えていたけど、実際大人になったいま、自然に許容が大きくなったりはしてない。
 だったらいま抱えてるストレスとかしがらみとか面倒なこととか、そういうの一掃させて心身ともにデトックスさせたらいいんじゃないだろうか。
 ……お金だな。
 お金があれば、週の大半の日数の、一日の三分の一以上もの時間を使ってあくせくと仕事して賃金を得つつ生きていかなくて済む。
 働かなくてもよくなれば、心と身体の余裕も生まれるのでは?
 やりたいことに対して情熱を注いでいたり努力したりして忙しい分にはいい。そうじゃない、生活のために働いていて、そこに時間と体力を割かれるからつらくてキツイんじゃないか、私の場合は。
 仕事しなくても良くなれば、大変なことも努力してるのも受け入れて、楽しくできるんじゃないか。そういう環境に身を置ければ頑張れって言われても励まされる気がする。
 仕事に行かなくなったら……受け入れるとか以前に、頑張れ、って言われなくなるな。人との関りがほとんどなくなりそうだし。
 でも正直、それが自分にとっての【理想】な気がする。

 あんまりカネカネ言いたくないけど、結局そこに尽きるよねー。お金大事。
 ただ、高給を得るために忙しく働くのはちょっと違うな。お金があっても時間がなかったら本末転倒だ。
 あぁー、空からお金が降ってこないかな。もしくは全国民が一円ずつ寄付してくれないかな。
 なんて子供みたいなことを考えながら、布団の上でジタバタ泳ぐ。
 身体は前に進まないけど、気持ちが少し、前進した気がした。
 これが私のストレス解消法かもしれない。
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