96 / 366
4/6『デザイナーになっチャオ☆』
しおりを挟む
『みんなでデザイナーになっチャオ☆』
子役タレントがウインクして、CMが終わった。
すごい時代になったなぁ。
ふむむと感心しながら公式サイトへアクセスするけど、発売から一週間経ったいまも繋がりにくいままだ。
自分で描いた絵を専用の機械に入れ被写体に合わせてシャッターを切ると、絵が本物の洋服になる機械が発売された。
今もなお愛される、【青い猫型のロボットが便利な道具として使ってたアレ】が現実に開発されてしまったのだ。
被写体の大きさは関係なくて、人形でも人間でも、動物なんかも着せ替えられるけど、人間はちゃんと被写体本人の許可を得ないとシャッターが押せないらしい。
どういう原理なのかはわからないけど、わからないからこそ世界的に注目を集めて予約が殺到。奇跡的に購入できた人たちのレビューと、そのレビューの閲覧数がものすごいことになった。
使用体験記をアップしている購入者のアカウントにアクセスが集中しすぎてサーバーダウンし、サイト全体が開けなくなったなんてニュースも見た。
これから量産化に向けて準備されているらしいけど、いまはまだ希少品。抽選受付の度にメーカーのホームページは繋がりにくい状態になっていて、訪問できただけでも奇跡的な出来事だって。
転売対策として購入時に厳しい契約があって、カメラ本体にはすべてシリアルナンバーが刻印。購入時に登録した個人情報に紐づいているらしく、転売しようとするとすぐに個人特定されるそう。おかげでそういう類のサイトには一切出品されていない。
かなり高額なのに、みんなお金持ちだなーって眺める私みたいな人もたくさんいるみたい。私を含めたそういう人たちは、サイトにあがってる体験動画を見て「おぉー」ってなってる。
中には大人顔負けのデザイン画を描く子供がいて、その子は今度プロのデザイナーとしてデビューするらしい。小学生でプロデビュー。かっこいい。
端末が一台あれば、世界中に自分の活動が発信できる。年齢や性別、国境なんて関係ない。
はぁー。いい時代になったもんだ。
なんだか触発されて、子供の頃に憧れていたけど現実に打ちのめされて諦めた夢をまた追いかけようかな、という気持ちになる。
やる気があるうちにやるか……。
重い腰をあげて、捨てられずに置いてあった画材を引っ張り出す。
とりあえず1ページ漫画から描き始めて、SNSで公開してみよう。ラッキーなことにバズりでもしたら御の字だ。
“いま”が人生で一番若いとき。夢を追うのに年齢なんて関係ない。大事なのは、“諦めない”こと。
こすり倒されて手垢だらけの言葉を繰り返しつつ、若い者にはまだまだ負けないぞ、と思いながら専用ノートにネームを切り始めた。
子役タレントがウインクして、CMが終わった。
すごい時代になったなぁ。
ふむむと感心しながら公式サイトへアクセスするけど、発売から一週間経ったいまも繋がりにくいままだ。
自分で描いた絵を専用の機械に入れ被写体に合わせてシャッターを切ると、絵が本物の洋服になる機械が発売された。
今もなお愛される、【青い猫型のロボットが便利な道具として使ってたアレ】が現実に開発されてしまったのだ。
被写体の大きさは関係なくて、人形でも人間でも、動物なんかも着せ替えられるけど、人間はちゃんと被写体本人の許可を得ないとシャッターが押せないらしい。
どういう原理なのかはわからないけど、わからないからこそ世界的に注目を集めて予約が殺到。奇跡的に購入できた人たちのレビューと、そのレビューの閲覧数がものすごいことになった。
使用体験記をアップしている購入者のアカウントにアクセスが集中しすぎてサーバーダウンし、サイト全体が開けなくなったなんてニュースも見た。
これから量産化に向けて準備されているらしいけど、いまはまだ希少品。抽選受付の度にメーカーのホームページは繋がりにくい状態になっていて、訪問できただけでも奇跡的な出来事だって。
転売対策として購入時に厳しい契約があって、カメラ本体にはすべてシリアルナンバーが刻印。購入時に登録した個人情報に紐づいているらしく、転売しようとするとすぐに個人特定されるそう。おかげでそういう類のサイトには一切出品されていない。
かなり高額なのに、みんなお金持ちだなーって眺める私みたいな人もたくさんいるみたい。私を含めたそういう人たちは、サイトにあがってる体験動画を見て「おぉー」ってなってる。
中には大人顔負けのデザイン画を描く子供がいて、その子は今度プロのデザイナーとしてデビューするらしい。小学生でプロデビュー。かっこいい。
端末が一台あれば、世界中に自分の活動が発信できる。年齢や性別、国境なんて関係ない。
はぁー。いい時代になったもんだ。
なんだか触発されて、子供の頃に憧れていたけど現実に打ちのめされて諦めた夢をまた追いかけようかな、という気持ちになる。
やる気があるうちにやるか……。
重い腰をあげて、捨てられずに置いてあった画材を引っ張り出す。
とりあえず1ページ漫画から描き始めて、SNSで公開してみよう。ラッキーなことにバズりでもしたら御の字だ。
“いま”が人生で一番若いとき。夢を追うのに年齢なんて関係ない。大事なのは、“諦めない”こと。
こすり倒されて手垢だらけの言葉を繰り返しつつ、若い者にはまだまだ負けないぞ、と思いながら専用ノートにネームを切り始めた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
がんばれ、わたしたちのラストダンス
早稲 アカ
ライト文芸
ストリートダンスをがんばっている私。せっかく仲間ができたのに、ママが転勤になってしまい・・・ちょっと切ないけど、それでも明るく前を向く物語です。
奇快雑集
衣谷 孝三
現代文学
これは、筆者が執筆練習のために思い付いた物語をポンポンと書き連ねた、節操のないショートショート作品集である。
恐らく黒歴史となることは間違い無いだろうが、書きたいのだから致し方ない。
無駄にしていい時間のある者は、是非ともこのアイデアの雑木林に足を踏み入れていただきたい。
リライトトライ
アンチリア・充
ライト文芸
もしあなたが、一生涯を賭けてでも叶えたい夢に、破れてしまったらどうするでしょうか?
新しい夢を探す? 素晴らしいことだと思います。もし見つかればそれはとてつもない僥幸と呼べることでしょう。
何故なら、一生に一度、一番と決めていた夢への思いを断ち切り、並々ならぬ情熱を燃やせる夢と再び出逢えたからです。
そして、情熱を持って向き合うにまで至った新たな夢に、またも破れてしまった時、その人はどうなるのでしょう。
二度と、とまではいかないものの、すぐには立ち上がれない程のダメージを負うことでしょう。
さらに、生き甲斐をなくし、それでも死んでいないからなんとか生きている、と言えてしまうような状況で、そこで畳み掛けるように「あなたはもうすぐ死にます。自殺します」などという予言を受けた場合、その人はどうなるのでしょう。
これは夢破れ、新たな夢もまた破れ、生き甲斐をなくした所への自殺宣告。よりによってクリスマスイブなんかにその全てを受けた主人公「戸山秋色」の物語です。
自分の人生とはなんだったのか。あの時、選択を誤らなければ、もう少しマシな人生を歩めたのか。そして、どうして自分は自殺などに至ってしまうのか。
大人しく死を受け入れることを条件に、予言をもたらした少女は秋色を現在の記憶を持ったまま過去へと送る。
まだ自分が輝いていた時代で自分に気のあった女子を相手に狙うは脱童貞!!
そこで彼は友情、恋愛、トラウマ。様々なものと向き合い、挑戦していく。自分の人生に決着をつける為に。
人生やり直し系、目指せ脱童貞タイムリープファンタジー!
ライト文芸大賞参加中です。気に入って貰えたなら投票願います。
浮気したけど『ざまぁ』されなかった女の慟哭
Raccoon
恋愛
ある日夫——正樹が死んでしまった。
失意の中私——亜衣が見つけたのは一冊の黒い日記帳。
そこに書かれてあったのは私の罪。もう許されることのない罪。消えることのない罪。
この日記を最後まで読んだ時、私はどうなっているのだろうか。
浮気した妻が死んだ夫の10年分の日記読むお話。
二階建て空中楼閣のF
鳥丸唯史(とりまるただし)
ライト文芸
扇ヶ谷家のモットー『日々精進』から逃げるようにして始まった大学生活。
住む部屋を探しに行きついたのは謎の不動産屋トウキョウスカイホーム。
おすすめ物件は空を飛んでいる家。
宇宙喫茶で働く宇宙人と、ギタリストの自称天使とシェアハウスだ。
大学では魔術愛好会の会長に恋をされ、空からは鳥人間が落ちてくる。
諦めたはずのベーシストの夢と共に翻弄されながら、俺は非日常生活を強いられ続けるしかないのか?
※約22万文字です。
※小説家になろうに改稿前のがあります。
※たまにコピペがミスったりやらかしてます。気がつき次第修正してます(感想受け付けていないせいで気づくのが遅い)
藤堂正道と伊藤ほのかのおしゃべり
Keitetsu003
ライト文芸
このお話は「風紀委員 藤堂正道 -最愛の選択-」の番外編です。
藤堂正道と伊藤ほのか、その他風紀委員のちょっと役に立つかもしれないトレビア、雑談が展開されます。(ときには恋愛もあり)
*小説内に書かれている内容は作者の個人的意見です。諸説あるもの、勘違いしているものがあっても、ご容赦ください。
可不可 §ボーダーライン・シンドローム§ サイコサスペンス
竹比古
ライト文芸
先生、ぼくたちは幸福だったのに、異常だったのですか?
周りの身勝手な人たちは、不幸そうなのに正常だったのですか?
世の人々から、可ではなく、不可というレッテルを貼られ、まるで鴉(カフカ)を見るように厭な顔をされる精神病患者たち。
USA帰りの青年精神科医と、その秘書が、総合病院の一角たる精神科病棟で、或いは行く先々で、ボーダーラインの向こう側にいる人々と出会う。
可ではなく、不可をつけられた人たちとどう向き合い、接するのか。
何か事情がありそうな少年秘書と、青年精神科医の一話読みきりシリーズ。
大雑把な春名と、小舅のような仁の前に現れる、今日の患者は……。
※以前、他サイトで掲載していたものです。
※一部、性描写(必要描写です)があります。苦手な方はお気を付けください。
※表紙画:フリーイラストの加工です。
REMAKE~わたしはマンガの神様~
櫃間 武士
ライト文芸
昭和29年(1954年)4月24日土曜の昼下がり。
神戸の異人館通りに住む高校生、手塚雅人の前に金髪の美少女が現れた。
と、その美少女はいきなり泣きながら雅人に抱きついてきた。
「おじいちゃん、会いたかったよ!助けてぇ!!」
彼女は平成29年(2017年)から突然タイムスリップしてきた未来の孫娘、ハルミだったのだ。
こうして雅人はハルミを救うため、60年に渡ってマンガとアニメの業界で生きてゆくことになる。
すべてはハルミを”漫画の神様”にするために!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる