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Chapter.104
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玄関ドアや窓の施錠を確認して回る。室内ドアも出来るだけ開け放して、有事に備えて常夜灯を点けた。
(セキュリティ、もう少し強化しないとな……)
オートロックの玄関さえかいくぐれば、部屋の前まで侵入可能なことが証明されてしまった。鍵を忘れてインロックされた住人を装えば、管理者でもない限りその人物が本当に住人かどうかなんてわからない。
ごみ庫や地下駐車場から入れば、たとえ監視カメラで見られていようと、管理室の前を通らずエレベーターに乗れてしまう。
(もうちょっと考えて買うべきだったか……)
しかし今更遅いので、今度外間と桐谷に相談して対策を練ろうと決めた。
冷蔵庫から何本か飲み物を取り出し、リビングに置かれた飲みかけの紙パックも一緒に持つ。
「ひなー?」
「はい」
「もういい?」
「うん」
少し張りを取り戻したの声に、小さく息を吐く。ベッドサイドに飲み物を置いて、ドアを閉めた。
「横になってて? 俺も着替える」
「…うん」
クロゼットの中身を漁って、攷斗も着替え始める。
こんな状況で不謹慎なのは重々承知しているが、心臓がバクバクと跳ね、落ち着かない。
サッと着替えて振り向くと、ひぃながベッドに横たわって瞼を閉じていた。小さく丸まって、胎児のような形になっている。
「ひな」
「ん……」
呼ばれて、ゆっくり瞼を開ける。
「奥、行くね」
「うん……」
足元から回って、ドアとひぃなが視界に入る位置、ひぃなの背後に寝転がる。布団を被せてから
「ちょっと、ごめんね」
枕と身体の隙間に左腕を入れて、ひぃなを抱き寄せた。少し身を固くするが、抵抗はしない。右手を上からかぶせて、ひぃなの冷たい指先を絡めとる。
「この先なにがあっても、絶対に守るから」
「…うん」
ひぃなの指先にゆっくり力がこもる。
愛しくて、苦しくて、抱き締める腕に力が入った。
「くるしいよ……」
「うん、ごめん」
それでも力を緩めない。
スゥッとひぃなの身体から意識的に力が抜けた。それは、攷斗の力を受け入れたという意思表示。
攷斗の心にポツッと暖かい明かりが灯る。
「ひな」
「うん」
「もう、なにも心配しなくていいから。安心して、ゆっくり寝て?」
「うん…ありがと」
腕に冷たい唇が触れた。
身体の力や呼吸の速度から意識が抜ける。一定の速さで繰り返される呼吸音も、腕にかかる息や重みさえも愛しくてたまらない。少し強めに抱き寄せると「ん…」と鼻にかかった声が漏れる。
ひぃなは少し身をよじり、枕に顔をすり寄せた。
巻き付けるようにくっつけた足先に、攷斗の体温が移る頃、吐息に温もりが戻る。
ひぃなの身体から完全に力が抜け、眠ったのだとわかる。
攷斗もようやっと安心して、ひいなを腕の中に抱いたまま眠りに就いた。
(セキュリティ、もう少し強化しないとな……)
オートロックの玄関さえかいくぐれば、部屋の前まで侵入可能なことが証明されてしまった。鍵を忘れてインロックされた住人を装えば、管理者でもない限りその人物が本当に住人かどうかなんてわからない。
ごみ庫や地下駐車場から入れば、たとえ監視カメラで見られていようと、管理室の前を通らずエレベーターに乗れてしまう。
(もうちょっと考えて買うべきだったか……)
しかし今更遅いので、今度外間と桐谷に相談して対策を練ろうと決めた。
冷蔵庫から何本か飲み物を取り出し、リビングに置かれた飲みかけの紙パックも一緒に持つ。
「ひなー?」
「はい」
「もういい?」
「うん」
少し張りを取り戻したの声に、小さく息を吐く。ベッドサイドに飲み物を置いて、ドアを閉めた。
「横になってて? 俺も着替える」
「…うん」
クロゼットの中身を漁って、攷斗も着替え始める。
こんな状況で不謹慎なのは重々承知しているが、心臓がバクバクと跳ね、落ち着かない。
サッと着替えて振り向くと、ひぃながベッドに横たわって瞼を閉じていた。小さく丸まって、胎児のような形になっている。
「ひな」
「ん……」
呼ばれて、ゆっくり瞼を開ける。
「奥、行くね」
「うん……」
足元から回って、ドアとひぃなが視界に入る位置、ひぃなの背後に寝転がる。布団を被せてから
「ちょっと、ごめんね」
枕と身体の隙間に左腕を入れて、ひぃなを抱き寄せた。少し身を固くするが、抵抗はしない。右手を上からかぶせて、ひぃなの冷たい指先を絡めとる。
「この先なにがあっても、絶対に守るから」
「…うん」
ひぃなの指先にゆっくり力がこもる。
愛しくて、苦しくて、抱き締める腕に力が入った。
「くるしいよ……」
「うん、ごめん」
それでも力を緩めない。
スゥッとひぃなの身体から意識的に力が抜けた。それは、攷斗の力を受け入れたという意思表示。
攷斗の心にポツッと暖かい明かりが灯る。
「ひな」
「うん」
「もう、なにも心配しなくていいから。安心して、ゆっくり寝て?」
「うん…ありがと」
腕に冷たい唇が触れた。
身体の力や呼吸の速度から意識が抜ける。一定の速さで繰り返される呼吸音も、腕にかかる息や重みさえも愛しくてたまらない。少し強めに抱き寄せると「ん…」と鼻にかかった声が漏れる。
ひぃなは少し身をよじり、枕に顔をすり寄せた。
巻き付けるようにくっつけた足先に、攷斗の体温が移る頃、吐息に温もりが戻る。
ひぃなの身体から完全に力が抜け、眠ったのだとわかる。
攷斗もようやっと安心して、ひいなを腕の中に抱いたまま眠りに就いた。
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