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番外編2(side転移会仲間)

side 堂島 春斗(ハル君)

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 アルバムを見ながら、数年前のことを思い出していた。

 僕、堂島 春斗。就活が始まったばかりの大学生だった。就活の面接対策本としおん君の写真集を買った帰りにコンビニに寄った時に召喚された。はじめは、混乱したが流行りの異世界だったから少しテンションが上がった。

 異世界に召喚と言えば、勇者とかが思い浮かんだか、どうやら、腐女子が好きな世界に召喚されたみたいだった。僕は、ゲイだから男ばかりの世界に召喚されたのは良かった。けれど、男が子どもが生める世界だと聞いた時は驚いたし、少し引いてしまった。

 そして、一番驚いたことは僕の推しのしおん君がいたことだ。僕はしおん君がモデルになってからずっとファンだ。しおん君と一緒に召喚して貰えたことだけはこの世界に感謝する。
 
 実物のしおん君は、写真集よりもっとキレイだったし、性格もほんとに可愛いかった。それに天然さんだった。僕が思っていたより数倍素直で可愛い性格だったから、守ってあげなければという思いが日々強くなった。

 この世界に馴染むまでは、複数婚や出産なんか考えられなかった。孕み子は、相性が分かるとか意味が分からないと思っていたが、実際、相性というかこの人何か良いかも一緒にいたいって思うことが手紙や初対面で起きた時には驚いた。

 魔法を使えるようになったり、あっちの世界では当たり前の物をこっちの世界で作り出したり案外ここも楽しいと思った。やっぱり日本では、まだ、LGBTQは、認知されてきているが、受け入れられてはいない。普通ではないと思われている中で暮らしていくのは、肩身が狭いし、神経がすり減る。召喚されて、僕が僕で居られることがほんとに嬉しかった。差別されない人生なんて初めてだった。
 
 しかし、日本の家族や友達がとても恋しくなることもあった。別れも言えず元気なことも伝えられない状態は、つらかった。仲間がいたから乗り越えられたし、恋人が出来たから前を向けたと思う。


 今、僕は、3人と結婚し子どもも出産した。アルバムには、家族写真の他に転移会メンバーや二人の親友の写真がたくさんある。僕のお気に入りは、やっぱり、しおん君とミー君と僕の3人で撮った写真だ。特に、下着のモデルをした時の写真は、今見てもあの時のことが直ぐに思い浮かんで、楽しい気持ちになる。たくさん増えたアルバムは、この世界で生きている証だ。そして、召喚される前に買ったしおん君の写真集は僕の宝物だ。僕はこの世界でもしおん君のずっとファンだ。


「ハルー。そろそろ行こう」
「ハル、また見てたの?」
「たまには、俺らの写真見て欲しいなあ」

「えーっ、無理。しおん君は、僕の永遠の憧れだから。みんなは・・・(運命の相手?)」

「みんなは何?」

「内緒。みんな大好きだよ。僕と一緒にずっといてね」

「何があってもずっと一緒にいる」
「永遠の恋人だ、ずっと愛してる」
「ハル大好きだぞ」

「ありがとう。僕、幸せ」

 召喚なんて最悪な出来事だったけれど、僕が僕で居られるこの世界は好きだ。僕は、この世界でもっともっと幸せになれそうだ。なんたって、3人の愛する旦那と子どもがいるのだから。

 
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