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30 すれ違い

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 あのペロリ事件から、ディランさんが俺を避ける。目も合わせてくれない。もう避けられて3週間がたった。
 最初は、照れているのだと思っていたが、避けられ過ぎて俺のことがいやになって避けているのではと思うようになってきた。

 やっぱり、ああいうことを直ぐにする人は、嫌なのかもしれない。付き合い始めてすぐにセックスの話をしちゃったし。実際に触れて無理だと思ったのかもしれない。生理的受け付けないのかもしれないよな。俺に経験あるのがやっぱり嫌になったんだろうな。あれでわかったのかもな。気にしないって言ってたけれど現実は無理だったんだろうな。照れじゃなくて怒りだったのかも。あんな場所でしたから余計ダメだったのかも。かもかもだけど、たぶん嫌われたと思う。もう俺から話かけることも出来なくなってしまった。

「ゼロ?どうしたの?」

「ミランちゃん、もうダメかも。ディランさんに嫌われた」

「そんなことないでしょ」 

「でも、この前話したあのデートから二人きりで話すことをしてくれないし、避けられてる。目も合わせてくれない。食事の時間だってこの頃は、ずらされてる」

「あぁ、確かにね。ギクシャクしてるよね。でも、意識してるからあんな感じだと思うよ」

「そうか?そうだといいけど」

「ちゃんと話したら?」

「話かけようとすると逃げられる、無理だよ」

「私が何とかするよ。ゼロは、自分の部屋待っていて」

「うん。わかった。いつもごめんね」



「ミランダ、痛いって押すなよ。ここゼロの部屋だぞ、話ならミランダの部屋で聞くから。ゼロに会いたくない。無理だから。会っても話せない。一緒にいるのが無理なんだ」

 会いたくないって言ってる。一緒にいるのが無理だって。やっぱり嫌われたんだ。俺、ディランさんに嫌われちゃったんだ。あんなことしなければ良かった。ちょっと舐めただけだけど、気持ち悪かったんだ。うん、もう仕方ないよ。ありがとうミランちゃん。

ガチャ

「ミランちゃんありがとう。もういいよ。ディランさん、会いたくないって言っているから。もう大丈夫。ディランさんすみません。この前はごめんなさい。もうしません。前までの関係に戻りましょう。それがお互いのために良いと思います」

 扉を開けて早口で二人に謝った。ディランさんの顔を見ることは怖くて出来なかった。言いたいことだけ言って、扉を閉めた。

 こんな俺でも恋愛出来るって思ったのに、ダメだった。会いたくないほど、一緒にいるのが無理なほど嫌われた。悲しくてベッドに入って泣いた。とめどなく涙がこぼれる。いっぱい泣いたら、また、頑張ろう。そう思いながら泣き続けた。



「ゼロ?えっもしかして聞こえてた」

 なんてことだ。あぁ、どうしたらいいんだ。ゼロに会いたくないって言ってるを聞かれた。半泣きの顔で早口でミランダと俺に謝っていた。

「ディランお兄様、もう知りません。ほんとにへたれ過ぎて。こっちが泣けてきます。私は、ゼロの味方だからね」
 
「ど、どうしたら」

「土下座でもすがりついてでも何でもして、許してもらったらどうですか?まぁ、無理だと思いますがね。完全にディランお兄様に嫌われたと思ってますから、謝ったとしても、無理でしょうね。嫌いになんてなってないと説明するしかないですね。誤解解けるといいですね」

「うっ。嫌いになんてなってない。好き過ぎて、どうしていいかわからないんだ」

「ここで言っても意味ないよ。はあー。まぁ頑張って下さい」
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