0(ゼロ)同士の恋愛  ほんとは愛されたい。【完結】

mamaマリナ

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20 ギャップに弱いんだよ

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ブーブー コンコン

「ゼロ、いるよね。開けてよ。昨日会えて話出来て嬉しかった。また話したい。今日は、お肉買ったんだ、良かったら一緒に食べないか?まだ、温かいんだ。」

 はぁ、もうなんで諦めてくれないんだよ。お肉の美味しそうな匂いするし。あーくそ。

ガチャ ギー

「入れよ、肉食べたら帰ってよ。」

「ゼロ、いいの、入って?」

「嫌なら肉だけよこせ。」

「入ります。入ります。」

「どうぞ、何もないし狭いぞ。」

「そんなことない。あーゼロの匂いだ。」

「キモいこと言うと追い出すからな。」

「すまない。」

 肉の匂いつられ開けてしまった。断じて、ディランさんと話したい訳じゃない。違うぞ。

「そこに座れば。」

「ありがとう。」

「俺を見るんじゃなくて、肉出せよ。」

「はい。」

「旨そうだな。」 

「そうだろ、これ限定15食で並んで買った。」

「えっ並んだのか?」

「うん。ゼロと食べたくて」

 デカイ体でハスキー犬みたいな顔が不安そうにする。そんな表情をされるとつい抱きしめたくなる。俺、こういうのに弱いんだよな。いかんいかん。

「そう。」

「どう?美味しい?」

 頼むからそんな顔で言うなよ。ギャップに弱いんだから。強そうなやつが弱っている感じとか不安な感じが。前の押せ押せの方がまだ楽だわ、この感じは母性本能をくすぐる。女じゃないけど、施設で年下の子とか見てたから母性?父性?強いと思うわ。

「美味しいよ。」

「良かった。また、買ってくる。」

 あーまた。その不安そうな顔からの笑顔。かわいい。デカイ男が満面の笑顔、好みなんだよな。やっぱり好きだな。でも無理なんだ。

「もういいから。」

「そんなこと言わないでくれ。」

「さぁ、食べ終わったから帰って。」

「えっもう少しだけ?ダメか?」

 犬耳が見える。犬耳しょげるのが見える。ナイナイ。犬耳ないぞ。危ない。ほんとに困る。キュンキュンする。好きだなあ。言ってしまいそう。

「ダメ。」

「わかった。今日は、帰る。またな、ゼロ。」

「はいはい。じゃあ、さようなら。」

「またね。」

「わかったから。閉めるから。」

バタン  ガチャ

「ゼロ今日も好きだよ」



 あーもー。ほんとに勘弁して欲しい。あーあーあー、何でドア開けたんだろ。開けたらだめだろ。 
 ウッ ウッ グズ グズ ズビ ズビ ウッウッ。泣くな。上を見ろ。胸痛い。つらいよ。こんな気持ちなんか知らない。こんなに胸が痛いなんて。
 俺なんかを好きなんて、バカじゃないのか。どうしたらいいんだよ。好きなんて言えない。言えるはずないのに。俺なんかが言っていいはずない。生まれも体も汚い。ディランさんが眩しくて、つらいよ。
 俺が普通の人だったらな。言えたのに。好きって言えたのにな。
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