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1 必要とされない人生
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「くそ、痛てぇ。約束が違うだろが、それに金足りたないぞ。」
「はぁあー、男のお前を買ってやったんだから、これで十分だろ」
男は1万を置いて、さっさと着替えホテルを出て行った。
「くっ、乱暴にしやがって、動けねぇ ここ何時間OKだっけ?」
少し休んで、痛い腰と尻を庇いながら着替えを済ませノロノロとホテルを出る。外に出ると朝日がまぶしい。どんな奴でも必ず朝が来る。こんな俺にも朝がやって来る。俺になんか朝が来る必要がないのに。
身寄りもなく18歳で児童養護施設を出てから今日まで体を売って生きてきた。体を売り始めてから約2年が過ぎた。誰にも必要とされないのに、生きなければならない。死ねば楽になるのだろうか?でも、俺にもそんな勇気もなく、ただ時間だけが過ぎる。
施設を出たばかりは、寮付きの仕事もしたりしたが、不景気ですぐに辞めさせられた。アパートを借りるお金もなく履歴書を書く時に困り、嘘の住所を書いて働いた。でも、悪いことをすれば直ぐにバレる。信用第一って言われて辞めさせられた。その繰り返しで、結局、稼ぐために体を売ることになった。俺はゲイだから、クローゼットゲイのためのマッチングアプリに登録して売り専になった。
20歳男性、名前は、星野 零。親は、いない。児童養護施設の前に捨てられていた。星野は、児童養護施設の職員の名字で、名前も職員がつけた。名前のれいは、何もないゼロだ。なんか難しい言葉でお前の可能性は、無限大だからとか言われたが、俺は、何もない何者でもないゼロだと思っている。でも、顔は、まぁ悪くない。学校では、猫目のジャニーズ系と言われていた。身長は、170cmでまあ普通だ。今は、金に困っているから、痩せ過ぎの野良猫だ。
昼は、公園や駅、マンガ喫茶で時間を潰し、夜また体を売るためにアプリで相手を探す。昨日の奴は、最悪だった。いきなり突っ込んで来ようとするし、下手だし、早漏だし、あぁ早漏は有り難かったけど、男しか勃たねぇくせに、男なのに買ってやったとか、2万の約束が1万しか払わねえし。くそっ。まだ痛いが稼がないと仕方ない。
今日の相手は、前も買ってくれた人だから安心だ。必要とされない自分を買ってくれるだけで、俺は嬉しい。
足早に待ち合わせのホテルに向かう。人通りの少ないラブホテルがゲイ御用達のホテルだ。あと、数メートルのところで俺は、誰かに刺された。何か変なことをぶつぶつ言っているやつが俺の腹を何回も刺す。信じられないが、こんなことになっているのに冷静な自分がいた。腹が痛い、痛いところを触ると温かい血が手に触れる。
あぁ、刺されたのか、俺は死ぬのか。死ねるのか。今度は、必要とされたいな。俺は、必要とされたい。愛されたい。神様がいるなら今度はよろしくお願いします。
「はぁあー、男のお前を買ってやったんだから、これで十分だろ」
男は1万を置いて、さっさと着替えホテルを出て行った。
「くっ、乱暴にしやがって、動けねぇ ここ何時間OKだっけ?」
少し休んで、痛い腰と尻を庇いながら着替えを済ませノロノロとホテルを出る。外に出ると朝日がまぶしい。どんな奴でも必ず朝が来る。こんな俺にも朝がやって来る。俺になんか朝が来る必要がないのに。
身寄りもなく18歳で児童養護施設を出てから今日まで体を売って生きてきた。体を売り始めてから約2年が過ぎた。誰にも必要とされないのに、生きなければならない。死ねば楽になるのだろうか?でも、俺にもそんな勇気もなく、ただ時間だけが過ぎる。
施設を出たばかりは、寮付きの仕事もしたりしたが、不景気ですぐに辞めさせられた。アパートを借りるお金もなく履歴書を書く時に困り、嘘の住所を書いて働いた。でも、悪いことをすれば直ぐにバレる。信用第一って言われて辞めさせられた。その繰り返しで、結局、稼ぐために体を売ることになった。俺はゲイだから、クローゼットゲイのためのマッチングアプリに登録して売り専になった。
20歳男性、名前は、星野 零。親は、いない。児童養護施設の前に捨てられていた。星野は、児童養護施設の職員の名字で、名前も職員がつけた。名前のれいは、何もないゼロだ。なんか難しい言葉でお前の可能性は、無限大だからとか言われたが、俺は、何もない何者でもないゼロだと思っている。でも、顔は、まぁ悪くない。学校では、猫目のジャニーズ系と言われていた。身長は、170cmでまあ普通だ。今は、金に困っているから、痩せ過ぎの野良猫だ。
昼は、公園や駅、マンガ喫茶で時間を潰し、夜また体を売るためにアプリで相手を探す。昨日の奴は、最悪だった。いきなり突っ込んで来ようとするし、下手だし、早漏だし、あぁ早漏は有り難かったけど、男しか勃たねぇくせに、男なのに買ってやったとか、2万の約束が1万しか払わねえし。くそっ。まだ痛いが稼がないと仕方ない。
今日の相手は、前も買ってくれた人だから安心だ。必要とされない自分を買ってくれるだけで、俺は嬉しい。
足早に待ち合わせのホテルに向かう。人通りの少ないラブホテルがゲイ御用達のホテルだ。あと、数メートルのところで俺は、誰かに刺された。何か変なことをぶつぶつ言っているやつが俺の腹を何回も刺す。信じられないが、こんなことになっているのに冷静な自分がいた。腹が痛い、痛いところを触ると温かい血が手に触れる。
あぁ、刺されたのか、俺は死ぬのか。死ねるのか。今度は、必要とされたいな。俺は、必要とされたい。愛されたい。神様がいるなら今度はよろしくお願いします。
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