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第七章 魔法王国の動乱
戦場到着
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一夜明け、俺たちはチェリーちゃんで駆けていた。
5度目の現実世界への帰還を果たすと正面に見覚えのある道が見えて来た。
気づけば自然と街道沿いを走るルートに合流していた。
周囲の風景がどこか寂しげな雰囲気をまとったものにかわっていく。
大地に生気がないというか、弱っていると言うべきか。
俺はこの景色を知らないが、知っている。
「バンザイデス近郊ですか」
「いまは疫病とアンデットの町だけどね。可哀想にね」
すぐに要塞都市の堅牢な外壁が見えて来る。
懐かしい記憶がよみがえってきた。
あの時、俺たちはあの固く閉ざされた壁の内側で戦った。
だが、力及ばす、流れ弾のように街を切り裂いた赫糸に街は破壊された。
聞いた話では数千人が死んだという。
広範囲におよび吸血鬼の血で腐り死んだ死体らが疫病を呼び、アンデットすら瓦礫の下から無数に這い出て来る始末であった。
そして、バンザイデスは放棄された。
壁に覆われ、入り口は土属性式魔術で詰められ、二度と開かなくなった。
高い塀の向こうは腐った者どもの牢獄となったのだ。
荒廃したバンザイデスの横を通り過ぎる。
ようやく過去に追いついたような気がした。
あの時の場所へ戻って来たからだろうか。
チェリーちゃんは街道沿いにしばらく走り、ある地点から東へと進路を切った。
地面は固く踏み鳴らされている。
ごく最近、大軍がここを通った痕跡だ。
王族軍が行軍した証であることは直観に頼らずともわかった。
「それじゃあもう一回飛ぶよ」
「はい、お願いします」
6回目の異空間走行。
事前の情報ではバンザイデスから1日の距離との話だった。
ここまでわずか1日とすこしで来たことを思えば、おそらく次に現実世界へ切り替わった時、戦場の近くまでいけるだろうことは想像に難くない。
「出る」
再び、蜃気楼のような光景が目の前に広がった。
そのなかに見えるのは荒涼とした大地。
「あれが泣き声の荒野……」
衝撃と共に空間をやぶって現実へ帰還した。
たどり着いた先、岩肌の大地、少し小高い丘でチェリーちゃんは立ち止まる。
丘上からの光景は、合戦場に敷かれたふたつの陣営の様相をとらえていた。
恐るべきことが起こっていた。
王族軍の紋様掲げられる陣営が火の海の沈んでいたのだ。
燃え盛る獣がかっぽし、逃げ惑う民兵たちが喰われ焼かれていく。
「酷いもんだね。貴族派の連中、人間法破りの召喚獣を使ったみたいだね。あれは死ぬよぉ、たくさねん……本当にどうしようもないね、人間って」
エレナは冷めた声で、ともすれば少し面白がっているくらいの声でそんなことをつぶやくのだった。
5度目の現実世界への帰還を果たすと正面に見覚えのある道が見えて来た。
気づけば自然と街道沿いを走るルートに合流していた。
周囲の風景がどこか寂しげな雰囲気をまとったものにかわっていく。
大地に生気がないというか、弱っていると言うべきか。
俺はこの景色を知らないが、知っている。
「バンザイデス近郊ですか」
「いまは疫病とアンデットの町だけどね。可哀想にね」
すぐに要塞都市の堅牢な外壁が見えて来る。
懐かしい記憶がよみがえってきた。
あの時、俺たちはあの固く閉ざされた壁の内側で戦った。
だが、力及ばす、流れ弾のように街を切り裂いた赫糸に街は破壊された。
聞いた話では数千人が死んだという。
広範囲におよび吸血鬼の血で腐り死んだ死体らが疫病を呼び、アンデットすら瓦礫の下から無数に這い出て来る始末であった。
そして、バンザイデスは放棄された。
壁に覆われ、入り口は土属性式魔術で詰められ、二度と開かなくなった。
高い塀の向こうは腐った者どもの牢獄となったのだ。
荒廃したバンザイデスの横を通り過ぎる。
ようやく過去に追いついたような気がした。
あの時の場所へ戻って来たからだろうか。
チェリーちゃんは街道沿いにしばらく走り、ある地点から東へと進路を切った。
地面は固く踏み鳴らされている。
ごく最近、大軍がここを通った痕跡だ。
王族軍が行軍した証であることは直観に頼らずともわかった。
「それじゃあもう一回飛ぶよ」
「はい、お願いします」
6回目の異空間走行。
事前の情報ではバンザイデスから1日の距離との話だった。
ここまでわずか1日とすこしで来たことを思えば、おそらく次に現実世界へ切り替わった時、戦場の近くまでいけるだろうことは想像に難くない。
「出る」
再び、蜃気楼のような光景が目の前に広がった。
そのなかに見えるのは荒涼とした大地。
「あれが泣き声の荒野……」
衝撃と共に空間をやぶって現実へ帰還した。
たどり着いた先、岩肌の大地、少し小高い丘でチェリーちゃんは立ち止まる。
丘上からの光景は、合戦場に敷かれたふたつの陣営の様相をとらえていた。
恐るべきことが起こっていた。
王族軍の紋様掲げられる陣営が火の海の沈んでいたのだ。
燃え盛る獣がかっぽし、逃げ惑う民兵たちが喰われ焼かれていく。
「酷いもんだね。貴族派の連中、人間法破りの召喚獣を使ったみたいだね。あれは死ぬよぉ、たくさねん……本当にどうしようもないね、人間って」
エレナは冷めた声で、ともすれば少し面白がっているくらいの声でそんなことをつぶやくのだった。
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