異世界に追放されました。二度目の人生は辺境貴族の長男です。

ファンタスティック小説家

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第五章 都市国家の聖獣

招かれる

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 アーカムとアンナはクリスト・カトレアでのひと悶着を終えて、再び旅立ちの準備を整えていた。
 その一環として立ち寄らなければならない場所がある。

「こちらがお預かりしていたアマゾディアでございます」

 アーカムは銀行にて伝説級の剣アマゾディアを返却されていた。
 ひったくるように銀行員から剣を受け取る。

「それと担保にされた50万マニーもお返しします」
「当然ですよ」

 アーカムは分厚い革袋を受け取り、アンナへ渡す。
 アンナは一回袋を放り、キャッチし、ずっしりとした重みを確かめ「ちゃんと50万あるよ」と言った。

「安全だって信頼してたんですけどね」
「本当に申し訳ございざません……まさか、地下に穴を掘られてしまうとは思わず」

 荒垣シェパードは黒い巨人たちに地下空間を探らせた際に、結果として銀行に保管されている超能力者たちを見つけてしまった。
 アーカムはどういう原理で彼らが脱出したのかわかっていなかったが、少なくとも銀行程度のセキュリティでは超能力者が仲間を探した場合、捜査をかわし切れないということは理解していた。

(最悪、対処できないタイミングで復活されてたと考えれば、今回、復活直後でぶっとばして棺桶に叩き込めたのは幸運だったな)

 アーカムとアンナは銀行をあとにし、そののち、旅に必要な諸々の道具を買い足して補給を終えた。

(明日にはクリスト・カトレアを出られるな)

 その晩、アーカムとアンナはカイロに王城へ招かれていた。
 都市を救ったことへの正式な礼を述べられ場所だと聞かされているので、特に断る理由もなく、ふたりは都市へ来た記念に召喚に応じることにした。
 もっとも貴族と言う立場上、他国の王家の誘いを無下にするのはいささか勇気のいることだったというのもあるが。

「王城に赴いて、明日には出立です」
「良いと思うよ」
「はあ、ようやくクリスト・カトレアを出れます。とんだ争いに巻き込まれてしまいましたね」
「うん、でもまあ、あたしは満足かな」

 アンナは腰にさげられたカトレアの祝福にちょんっと手を置く。
 表情は地面げだ。

(カッコいい剣が手に入ってよかったね、アンナさん)

 アーカムはくたびれた笑顔をうかべる。
 
「僕も収支で見たらプラスです。魔力量も一回満タンにしてもらえましたし。現状でも最大魔力保有量の90%は残ってますから」
「杖も貰えたしね」
「貰えた? ああ、このメレオレの杖のことですか? これは返しますよ」

 アーカムはメレオレの杖を抜く。
 アンナは「もったいない」と言った。

「3等級の杖ですよ? ひとつの財産です。カイロさんは貸してくれてただけですから、返すのが礼儀でしょう」
「もらっちゃえばいいのに」

(なんでもかんでも貰おうとするんじゃありません。本当にこのアンナさんは……)

 会話しながら、夜のクリスト・カトレアの賑わいを抜けて、王城の門前までやってきた。町は平時の空気を取り戻しつつある。
 
「ご用件とお名前を伺います!」

 守衛はアーカムたちを見るなり、背筋を正して言った。
 アーカムが引き受けて「アーカム・アルドレアとアンナ・エースカロリです。晩餐会に呼ばれました」と告げる。ついでにカトレアの祝福をアンナがちらっとコートの影からのぞかせた。カイロに言われていたのだ、それも見せておけ、っと。

「はっ! お話は伺っております! ようこそいらっしゃいました!」

 守衛ははきはきと喋り、敬意ある態度で2人を王城へと通した。

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