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第五章 都市国家の聖獣
お前に俺は殺せない
しおりを挟む凍てつく氷が神宮寺の胸部を覆っていく。
「っ、なんだこれは……なぜ、凍る……」
「なんでだろうな」
「小賢しい呪文だな? はっ、超能力におまじないで対抗するとは」
神宮寺はゴーストを解除し、サイコキネシスを使って氷を粉砕する。
キラキラと輝くちいさな氷の粒が宙を舞う。
(ゴーストで透過できなかった……なるほど、超粒子運動の低下が原因か……推定マイナス110°といったところ。超能力の種類によっては詰む……だが、サイコキネシスの層ならば防ぐことができるはずだ)
活路を見出し、神宮寺はサイコアーマーで武装し、距離を取ることにした。
遠距離からマナニウム合金の触媒を撃ち込む戦法に切り替えたのだ。
(アンテナさえ刺せば、催眠術《ヒプノシス》は発動する。一撃、ただ一撃当てればいいんだ)
アーカムは間髪入れず2発目の《ポーラー》を放った。
サイコアーマーが凍りつき、わずかに神宮寺の鼻先がいてつく。だが、本体までは届いていない。
(よし! やはり防げる!)
「あんた、それじゃあ遅い」
凍った念力装甲のうえから、《イルト・ウィンダ》が撃ち込まれた。
ほころび、脆くなった神の盾では、この天才魔術師の三式魔術を防ぐことなど到底敵わない。
かろうじてかわすが、顔を半分吹っ飛ばされてしまう。薄れゆく意識のなか、神宮寺は歯噛みする。
こんなところで死んでたまるか。
その気概だけで立ち続けた。
残された片瞳で、力強くアーカムを睨み、正面にサイコキネシスの最大の層を展開する。
脳みそ半分失っては、流石に超能力者といえど精密な動きはできない。
だが、サイコキネシスで100%の防御力を確保し、ヒーリングで持ち直す時間さえ稼げれば、何度でも立ち上がることができる。
だが、そんなガードは魔力の戻ったアーカムを前にさしたる意味を持ちはしなかった。
風の槍が神宮寺の盾をぬいて、たやすく上半身を砕き、肉片を水路に散らした。
神宮寺は動かない体をピクピクと痙攣させ、自身の終わりを悟る。
(私のサイコキネシスと……やつの、風は……打ち消し合うはずなのに……)
アーカムは杖を握りなおして見つめる。
「魔力に余裕があると、より多くの魔力を一撃に込められる。単純な算数だ」
「ふざけ、ろ……クソ……」
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