69 / 306
第三.五章 開拓! アマゾーナの里!
タコ野郎の罠
しおりを挟む川を観察し、いくつかの検証と実験を繰り返し、7日間に渡る河川工事を終えた俺は、ひと仕事を終えて、それらをジュブウバリ族に披露していた。
「アーカム、これはなんなのだ?」
カティヤは目を丸くする。
ほかの女戦士たちも同様だ。
彼女たちが今見ているものは川から50mほど離れた地点に作られた縦穴である。
穴は煉瓦で補強されており、口付近はねずみ返しになっている。
古い時代の井戸のようにも見える。
井戸と川の間には、ゆるやかな煉瓦製のスロープが渡されている。
ただし、現在、川と隣接するスロープは、川の水位よりも上にある。
これら煉瓦は、俺が川底の粘土を焼いて作った物だ。
製法は以下の通りだ。
①俺が川をもちあげる
②肉体派のアンナさんに川底の粘土類をどっさり回収してもらう。
③肉体派のアンナさんに岩を砕いてもらい石材を手に入れる。
④肉体派のアンナさんに砂と土を集めてもらう。
⑤肉体派のアンナさんに集めた材料を混ぜてもらう。
⑥肉体派のアンナさんとジュブウバリから人件費0円で雇った子供たちと一緒に煉瓦の元をつくる。
⑦地面の風で穴を掘って、木炭で煉瓦の元をいぶし焼きます。
⑧完成です。
ね? 簡単でしょう。
「川の水位があがると、3゜の緩やかなスロープを通って、この煉瓦の水槽に川の水が流れ込みます。その時にオクットパスが一緒に流れてきたら捕獲完了です。水槽の底には穴が空いてますので、水は抜けていきます」
水は土壌に吸収される。
「水が抜けていくと、煉瓦の水槽のなかにオクットパスがいるので、槍でつくなり、弓で射るなり好きに倒してください」
「待て、わからないぞ、なにが起こってる。なぜ、どうやって、オクットパスがここに溜まるのだ」
あまりうまく伝わらなかったようだ。
数日後、俺はジュブウバリの戦士たちにもう一度、罠を披露した。
「「「おおお!」」」
煉瓦の水槽の底には、オクットパスたちが20匹ほど溜まっていた。
設計通り、水は煉瓦の底の隙間を抜けて下へ流れ落ちたようだ。
「アーカム、これは一体どういう……」
「ほら、月ですよ」
「? ああ、月だな」
「月にはモノを引っ張る力があるんです」
「なに!? そうなのか!?」
すごい驚かれた。
万有引力というやつだ。
万乳引力の亜種みたいなものと考えてくれて構わない。
うん違うね。こっちが本物だね。
この世界には月が3つもある。
だからその分、天から物を引っ張る力は強まる。
結果、満潮と干潮の差が激しくなるのだろう推測した訳だが、その推測はあっていたらしい。
川が満ちる時、オクットパスたちは月に引っ張られて水位の高い方へ移動してしまい、水位スレスレのところで、川辺に俺が仕掛けた煉瓦のスロープに乗ってしまい、そのまま50mもの距離をゆるやかに移動させられ、仲間達から引き剥がされて、罠のなかにウェルカムする。
こいつらはタコの形状をしてるが、吸盤らしき部位には牙をもっているため、吸引力があるタコ足という訳ではない。
そのため、ネズミ返しまでついた煉瓦の穴を登るのは難しかろう。
一連の仕組みを、何度かジュブウバリ族とアンナに説明すると、ハッとして全員がその原理を悟り……同時に、俺は眩しい眼差しを向けられるようになった。
「アーカム、そなたやはり天才だったのか」
「天才なのは知ってたけど、そんな天才だったなんて聞いてないんだけど」
まあ、天才なのは古典物理学の先生なのだけどね。
褒められると気分が良いのでこのまま俺の手柄ってことでとりあえずヨシ!
「あ、定期的に水槽は掃除するように。オクットパス以外の物も流れてきて、水槽の底が詰まりますから」
という訳、ジュブウバリ族の里の特産に水産資源という概念が追加された。
めでたしめでたし。
10日後。
ついに里に交易商人がやってきた。
0
お気に入りに追加
588
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無限に進化を続けて最強に至る
お寿司食べたい
ファンタジー
突然、居眠り運転をしているトラックに轢かれて異世界に転生した春風 宝。そこで女神からもらった特典は「倒したモンスターの力を奪って無限に強くなる」だった。
※よくある転生ものです。良ければ読んでください。 不定期更新 初作 小説家になろうでも投稿してます。 文章力がないので悪しからず。優しくアドバイスしてください。
改稿したので、しばらくしたら消します
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
黒いモヤの見える【癒し手】
ロシキ
ファンタジー
平民のアリアは、いつからか黒いモヤモヤが見えるようになっていた。
その黒いモヤモヤは疲れていたり、怪我をしていたら出ているものだと理解していた。
しかし、黒いモヤモヤが初めて人以外から出ているのを見て、無意識に動いてしまったせいで、アリアは辺境伯家の長男であるエクスに魔法使いとして才能を見出された。
※
別視点(〜)=主人公以外の視点で進行
20話までは1日2話(13時50分と19時30分)投稿、21話以降は1日1話(19時30分)投稿
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ~隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです~
はなとすず
ファンタジー
俺は佐藤 響(さとう ひびき)だ。今年、高校一年になって高校生活を楽しんでいる。
俺が通う高校はクラスが4クラスある。俺はその中で2組だ。高校には仲のいい友達もいないしもしかしたらこのままボッチかもしれない……コミュニケーション能力ゼロだからな。
ある日の昼休み……高校で事は起こった。
俺はたまたま、隣のクラス…1組に行くと突然教室の床に白く光る模様が現れ、その場にいた1組の生徒とたまたま教室にいた俺は異世界に召喚されてしまった。
しかも、召喚した人のは1組だけで違うクラスの俺はお呼びじゃないらしい。だから俺は、一人で異世界を旅することにした。
……この物語は一人旅を楽しむ俺の物語……のはずなんだけどなぁ……色々、トラブルに巻き込まれながら俺は異世界生活を謳歌します!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
変人奇人喜んで!!貴族転生〜面倒な貴族にはなりたくない!〜
赤井水
ファンタジー
クロス伯爵家に生まれたケビン・クロス。
神に会った記憶も無く、前世で何故死んだのかもよく分からないが転生した事はわかっていた。
洗礼式で初めて神と話よく分からないが転生させて貰ったのは理解することに。
彼は喜んだ。
この世界で魔法を扱える事に。
同い歳の腹違いの兄を持ち、必死に嫡男から逃れ貴族にならない為なら努力を惜しまない。
理由は簡単だ、魔法が研究出来ないから。
その為には彼は変人と言われようが奇人と言われようが構わない。
ケビンは優秀というレッテルや女性という地雷を踏まぬ様に必死に生活して行くのであった。
ダンス?腹芸?んなもん勉強する位なら魔法を勉強するわ!!と。
「絶対に貴族にはならない!うぉぉぉぉ」
今日も魔法を使います。
※作者嬉し泣きの情報
3/21 11:00
ファンタジー・SFでランキング5位(24hptランキング)
有名作品のすぐ下に自分の作品の名前があるのは不思議な感覚です。
3/21
HOT男性向けランキングで2位に入れました。
TOP10入り!!
4/7
お気に入り登録者様の人数が3000人行きました。
応援ありがとうございます。
皆様のおかげです。
これからも上がる様に頑張ります。
※お気に入り登録者数減り続けてる……がむばるOrz
〜第15回ファンタジー大賞〜
67位でした!!
皆様のおかげですこう言った結果になりました。
5万Ptも貰えたことに感謝します!
改稿中……( ⁎ᵕᴗᵕ⁎ )☁︎︎⋆。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる