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アフターストーリー 黒いトカゲ

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 アルバートは懐から聖火杖を手に取りだし、杖身を展開しながら、慎重に甲板から格納庫へと降りた。

 ニャオの索敵では、なにもいないことになっている。
 
「《ファイナ》」

 火を空中に浮かして、聖火杖の杖身体に明かりを反射させる。
 光を反射する光沢のなかにに、黒い影が蠢いた。
 
 アルバートはふりかえらない。
 その必要はない。

 ダ・マンはバッと動き、ピチピチトレンチコートをなびかせて、その影を一瞬で捕まえてしまった。

「肉眼に移らない。聖なる光によってのみ映し出せる姿か。これはトカゲの一種か? この世界の生物体系に存在しない生命だな。興味深い」

 アルバートは黒いトカゲを観察&記録し、怪書をまた一ページ充実させると、トカゲをダ・マンに握りつぶさせた。

「召喚」

 黒いトカゲを怪書でつくり直す。

「悪夢トカゲ、というのか。ふむ」

 アルバートは悪夢トカゲに試作キメラ”炸裂蟲”を飲ませると、仲間のもとへ戻るように指示をだした。
 姿を半透明にし、この世のものではなくなり、現実の悪夢のはざまをトカゲはすいすい移動していく。

「興味深い特性だ」

 20秒後。
 格納庫の奥の闇で爆発が起こった。

「あそこだ。いくぞ」

 アルバートは迷いなく闇のなかへ足を踏みいれた。
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