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298・色属性の混ざり合い
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カイゼルが呼び出した人造命具は、やっぱり彼らしく銃だった。
見た感じは重厚な黒に近い色合いの鋼とそれに映える金色の装飾。それとフレームの部分に銀色の翼が装飾されている。更に銃口付近は鋼が赤く光沢しているような色をしていて……見た感じ結構派手で凝った武器だ。
普通、魔導銃で使われている魔弾は弾丸を必要としないはずなのだけれど、何故か三つほど装填できるシリンダーみたいなのがある。
片手銃の割には長く、短剣のように振ったり刺したりするのが前提なのかな? と思うほどだ。あれでは狙いをつけるのが難しそうだ。
「……それが貴方の人造命具ね。貴族が飾っていそうな銃ね」
「はははっ、あいつらじゃこれは使いこなせないさ。こいつの神髄――見せてやるよ!!」
宣言した途端に撃ってきたけれど……格好つけたわりにはさっきまでと攻撃方法が変わらない。片方は人造命具。もう片方は普通の魔導銃。これでは期待外れだ。
「【バウンドショット】に【チェイサーシェル】……。攻撃が単調になってるけれど、大丈夫?」
「ははっ、そう急くなよ。今から――見せてやる」
それからカイゼルが何かぶつぶつと言葉を紡ぐと、赤――と言うよりは昏い色の弾が一つ。カイゼルの人造命具に装填される。残り二つはそのままにしておくみたいだ。
「混ざれ――【フレアカクテル】」
私の頭上に弾を発射して、私がいる付近にきた辺りで破裂する。炎の雨が一気に降り注いで、私の身体を焼こうとする。ついでに大きな銃弾が迫ってきていた。
「【カラフル・リフレクション】」
確かに、敵の周辺にも攻撃を拡散させて、本命の一撃を与えるやり方は間違っていない。だけど、それが成功するのは相手が大した防御手段を持っていない場合のみだ。
私の周囲を薄い膜が包み込んで、炎が当たると、膜が透き通る赤色に変わって、カイゼルの方へと炎を反射する。
「……! なるほど。反射魔導か。ならば――」
人造命具で跳ね返ってきた炎を振り払って、更に一つ。燃えるような金色の弾丸が彼の人造命具に装填されて、いよいよ残り一つ。
それが装填された時、何が起こるか気になるけれど……まだしばらく時間が掛かりそうだ。
「【ショットミラージュ】」
再び属性系から銃弾系の魔導に切り替えたけれど、それじゃさっきと同じ――
「――っ!?」
一瞬、嫌な予感がした私は、今見えている銃弾をわざと大きく避ける。その弾は普通に通り過ぎただけだ。自分を客観的に見て、明らかに大げさに避けているように思うんだけれど……魔導で放った割に、普通の射撃と変わらなかった。その事に頭のどこかで警鐘がなったのだ。
カイゼルは更に【ショットミラージュ】を複数ばら撒いてくる。私は嫌な予感に従って、素直に避け続ける。大きく避けているせいか、徐々に追い詰められていく。
流石にあらゆる弾が色んな軌道を描いて襲い掛かると、避けるだけでは限界を感じる。
幸い弾は見えているのだし、魔力を纏わせて――
「【ポイントシールド】!」
移動する小型の盾をイメージして発動させる。
全体を包むような防御は一点集中で突き抜けやすい。それを防ぐ為に盾に使う魔力を集めて強固に作る。
生み出した盾で迫ってくる弾を弾き返していると……一つだけブレて消えたものがあった。
瞬間にざわつく心。直感的に【ポイントシールド】を心臓の部分に移動させると、そこから鈍い音が響いてきた。
「いつの間に……っ」
これには素直に驚いた。私の視界には完全に見えていない弾丸が迫ってきていたのだから。それと同時に、嫌な予感の正体がはっきりとした。
反射的にカイゼルに視線を向けると……彼の人造命銃に最後の一つ――黒い弾丸が装填される。
「昏き炎で世界を焼け――【フェニックス・テネブル】!!」
カイゼルは人造命銃の銃口を空に向け、三つの色――昏い赤。燃える金。深い黒が放った。互いに入り混じって現れたのは――巨大な鳥。全身が黒い炎で包まれ、黄金の瞳が私を見据える。
昏い赤色の火の粉が周囲に散っていて、まるで神話の怪物のように見えた。
「なるほど。これが貴方の切り札、ね」
にやりと笑みを浮かべるカイゼルに、余裕の笑みで返す。
色の違う弾丸を三つ装填して、それらを全て混ぜ合わせて生み出す。
なるほど。強さをひしひしと感じる。これだけの魔導を見せられたら――
「ふふふふっ」
「……随分と余裕じゃないか」
「ええ、ええ。楽しいわ。だって、こんなに本気でぶつかってくれるんですもの。だから――」
思わず笑みが零れる。やっぱり戦いはこうでなくちゃいけない。
相手の手の内を見て、全力を出すのを待つ。『運が良かった』とか『手を抜いていた』だとか、そんなごちゃごちゃした言い訳なんて一切言わせない。
「そろそろ、まともに戦ってあげる」
カイゼルの実力は大方見切った。【フェニックス・テネブル】以上の切り札がある可能性も考えて……今はあの魔導を使う程度に留めておこう。
まだ色々と見せるべきではない相手がいるようだしね。
見た感じは重厚な黒に近い色合いの鋼とそれに映える金色の装飾。それとフレームの部分に銀色の翼が装飾されている。更に銃口付近は鋼が赤く光沢しているような色をしていて……見た感じ結構派手で凝った武器だ。
普通、魔導銃で使われている魔弾は弾丸を必要としないはずなのだけれど、何故か三つほど装填できるシリンダーみたいなのがある。
片手銃の割には長く、短剣のように振ったり刺したりするのが前提なのかな? と思うほどだ。あれでは狙いをつけるのが難しそうだ。
「……それが貴方の人造命具ね。貴族が飾っていそうな銃ね」
「はははっ、あいつらじゃこれは使いこなせないさ。こいつの神髄――見せてやるよ!!」
宣言した途端に撃ってきたけれど……格好つけたわりにはさっきまでと攻撃方法が変わらない。片方は人造命具。もう片方は普通の魔導銃。これでは期待外れだ。
「【バウンドショット】に【チェイサーシェル】……。攻撃が単調になってるけれど、大丈夫?」
「ははっ、そう急くなよ。今から――見せてやる」
それからカイゼルが何かぶつぶつと言葉を紡ぐと、赤――と言うよりは昏い色の弾が一つ。カイゼルの人造命具に装填される。残り二つはそのままにしておくみたいだ。
「混ざれ――【フレアカクテル】」
私の頭上に弾を発射して、私がいる付近にきた辺りで破裂する。炎の雨が一気に降り注いで、私の身体を焼こうとする。ついでに大きな銃弾が迫ってきていた。
「【カラフル・リフレクション】」
確かに、敵の周辺にも攻撃を拡散させて、本命の一撃を与えるやり方は間違っていない。だけど、それが成功するのは相手が大した防御手段を持っていない場合のみだ。
私の周囲を薄い膜が包み込んで、炎が当たると、膜が透き通る赤色に変わって、カイゼルの方へと炎を反射する。
「……! なるほど。反射魔導か。ならば――」
人造命具で跳ね返ってきた炎を振り払って、更に一つ。燃えるような金色の弾丸が彼の人造命具に装填されて、いよいよ残り一つ。
それが装填された時、何が起こるか気になるけれど……まだしばらく時間が掛かりそうだ。
「【ショットミラージュ】」
再び属性系から銃弾系の魔導に切り替えたけれど、それじゃさっきと同じ――
「――っ!?」
一瞬、嫌な予感がした私は、今見えている銃弾をわざと大きく避ける。その弾は普通に通り過ぎただけだ。自分を客観的に見て、明らかに大げさに避けているように思うんだけれど……魔導で放った割に、普通の射撃と変わらなかった。その事に頭のどこかで警鐘がなったのだ。
カイゼルは更に【ショットミラージュ】を複数ばら撒いてくる。私は嫌な予感に従って、素直に避け続ける。大きく避けているせいか、徐々に追い詰められていく。
流石にあらゆる弾が色んな軌道を描いて襲い掛かると、避けるだけでは限界を感じる。
幸い弾は見えているのだし、魔力を纏わせて――
「【ポイントシールド】!」
移動する小型の盾をイメージして発動させる。
全体を包むような防御は一点集中で突き抜けやすい。それを防ぐ為に盾に使う魔力を集めて強固に作る。
生み出した盾で迫ってくる弾を弾き返していると……一つだけブレて消えたものがあった。
瞬間にざわつく心。直感的に【ポイントシールド】を心臓の部分に移動させると、そこから鈍い音が響いてきた。
「いつの間に……っ」
これには素直に驚いた。私の視界には完全に見えていない弾丸が迫ってきていたのだから。それと同時に、嫌な予感の正体がはっきりとした。
反射的にカイゼルに視線を向けると……彼の人造命銃に最後の一つ――黒い弾丸が装填される。
「昏き炎で世界を焼け――【フェニックス・テネブル】!!」
カイゼルは人造命銃の銃口を空に向け、三つの色――昏い赤。燃える金。深い黒が放った。互いに入り混じって現れたのは――巨大な鳥。全身が黒い炎で包まれ、黄金の瞳が私を見据える。
昏い赤色の火の粉が周囲に散っていて、まるで神話の怪物のように見えた。
「なるほど。これが貴方の切り札、ね」
にやりと笑みを浮かべるカイゼルに、余裕の笑みで返す。
色の違う弾丸を三つ装填して、それらを全て混ぜ合わせて生み出す。
なるほど。強さをひしひしと感じる。これだけの魔導を見せられたら――
「ふふふふっ」
「……随分と余裕じゃないか」
「ええ、ええ。楽しいわ。だって、こんなに本気でぶつかってくれるんですもの。だから――」
思わず笑みが零れる。やっぱり戦いはこうでなくちゃいけない。
相手の手の内を見て、全力を出すのを待つ。『運が良かった』とか『手を抜いていた』だとか、そんなごちゃごちゃした言い訳なんて一切言わせない。
「そろそろ、まともに戦ってあげる」
カイゼルの実力は大方見切った。【フェニックス・テネブル】以上の切り札がある可能性も考えて……今はあの魔導を使う程度に留めておこう。
まだ色々と見せるべきではない相手がいるようだしね。
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