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47・スライム族の転校初日
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ジュールとの【契約】を済ませた私は、しばらくの間スラファムで過ごした後、故郷のアルファスに帰ることになった。その後はルージュが学園に通う事が出来るように必要な道具や手続きをして……一週間っていう時間はあっという間に過ぎ去っていった。
――
久しぶりに教室に入ると、クラスメイトのみんなが私がスラファムに行った事を聞きたがっていた。リュネーや違うクラスのレイアも私を囲んでいて……旅で感じた事を色々と話しているうちに鐘がなって、ベルーザ先生が教室の中に入ってきた。
「そろそろホームルームの時間だ。違うクラスの生徒はさっさと元のクラスに戻れ」
「えー……」
ベルーザ先生の言葉に不満を漏らしたレイアだったけど、結局逆らわずに戻っていった。全員が席についた事を確認したベルーザ先生はやっとか、とため息を吐いていた。
「それではまず……君達も大体予想がつくとは思うが、転校生を紹介したいと思う」
クラスのみんながあまりざわつかなかったのは、私が何の目的でスラファムまで行ったかを知ってるからだろう。強いていうなら、男か女か気になってて小声で話してるくらいかな。
「ジュール、入ってきなさい」
ベルーザ先生の言葉に、ジュールがゆっくりと教室の中に入ってきた。左右に髪を結わえて、私達と同じ制服を着てる彼女の姿は、新鮮に見える。
「やっぱり女か」
「可愛いなぁ……」
男の子は容姿の事――顔が可愛いとか胸が小さいとか、そういうことばっかり言ってて、女の子は「いやねぇ」みたいな声を上げてた。
「初めまして。エールティア様にお仕えしてるジュールと言います。まだまだ若輩者ですが、どうぞよろしくお願いします」
「彼女は知っている通り、エールティア……の契約スライムだ。学園では通常、編入を受け入れてはいないが、契約スライムに関しては別となっている。そこのところは理解しておくように」
ベルーザ先生が私の名前を呼び捨てにしたせいか、ジュールが嫌そうな視線を向けてきたけど、先生は
一瞬だけ沈黙しても最後まで喋りきった。ちらっと私に『しっかり教育しておけ』って視線を向けてくるのも忘れずにね。確かに、今のジュールだと、これからの生活でもこういう事で問題を起こしそうなのは事実だし、後で言い聞かせておく必要がありそうだ。
「ジュール。君はエールティアの隣の席に座りなさい」
何か言おうとしたジュールは、ぐっと拳を握り締めて、黙ったまま私の隣の席に座った。その際も一礼を忘れない辺り、礼儀の良さが伝わってくる。
「よし、それでは授業を始めるぞ。今回は――」
安心した様子で一息ついたベルーザ先生は、気を取り直すように授業へと入っていった。
――
「エールティア様。お昼はどうしますか?」
午前の授業が終わってお昼休み。最初はひやっとしたけれど、特に揉め事もなくここまでこれたのは良かった。この学園は貴族も平民も関係ない。だから敬称を付けず、普通に接してくれる生徒も多かったからね。
「……そうねぇ。いつも通り学食かしら」
この学園にある食堂は結構美味しい料理を作ってくれる。流石に私の家で雇ってる料理人と比べてはいけないけれど。
リュネーやレイアともよく行ってる場所だし、一週間も行ってなかったから久しぶりに食べたいなぁ……なんて思ってると、ジュールが少しもじもじした様子で私に何かを渡してきた。
「これは……?」
「あの、お口に合えば良いんですけれど……」
鞄の中に何が入ってるのかと思ったら、それなりに大きな箱状の物。中を開けると、お弁当が入っていて、私は思わず驚いた表情を浮かべていた。
「お弁当?」
「はい! 頑張って作りました!」
ジュールが嬉しそうにしてるそれは、サンドイッチや鳥の焼いたものやサラダとかが沢山詰まってた。嬉しい……のは嬉しいんだけど、どう見ても量が一人分じゃない。
「えっと、作ってくれるのは嬉しいけど――」
「ティアちゃーん、ご飯一緒に……」
リュネーが意気揚々と話しかけてきたけれど……ジュールが睨んでくるものだから思わず固まってしまった。
「ジュール!」
「で、ですが彼女はエールティア様の事を……」
私が叱責するような声を出すものだから、ジュールは慌てて言い訳をしようとしてしどろもどろになっていた。
「彼女はシルケットの王族で――というのはいいけど、彼女は私の友達で、この学園の生徒なの。貴女もここの決まりは知っているでしょう?」
「ですが……」
「ジュール。貴女の好意は素直に嬉しい。だけれど、それで周囲と揉め事を起こすのなら……貴女をここに連れてくることは出来ない」
私の言葉にジュールは愕然とした表情を向けてきた。可哀想だけれど、これも彼女の為でもある。それが伝わってるからか、納得できるような出来ないような微妙な表情をしていた。
「でも、本当にありがとう。気持ちは受け取っておくから」
多少だけど、ジュールの顔が和らいでいった。まだあまり慣れてないから仕方ないんだけど、多分時間が解決してくれる……はずだと信じたい。
――
久しぶりに教室に入ると、クラスメイトのみんなが私がスラファムに行った事を聞きたがっていた。リュネーや違うクラスのレイアも私を囲んでいて……旅で感じた事を色々と話しているうちに鐘がなって、ベルーザ先生が教室の中に入ってきた。
「そろそろホームルームの時間だ。違うクラスの生徒はさっさと元のクラスに戻れ」
「えー……」
ベルーザ先生の言葉に不満を漏らしたレイアだったけど、結局逆らわずに戻っていった。全員が席についた事を確認したベルーザ先生はやっとか、とため息を吐いていた。
「それではまず……君達も大体予想がつくとは思うが、転校生を紹介したいと思う」
クラスのみんながあまりざわつかなかったのは、私が何の目的でスラファムまで行ったかを知ってるからだろう。強いていうなら、男か女か気になってて小声で話してるくらいかな。
「ジュール、入ってきなさい」
ベルーザ先生の言葉に、ジュールがゆっくりと教室の中に入ってきた。左右に髪を結わえて、私達と同じ制服を着てる彼女の姿は、新鮮に見える。
「やっぱり女か」
「可愛いなぁ……」
男の子は容姿の事――顔が可愛いとか胸が小さいとか、そういうことばっかり言ってて、女の子は「いやねぇ」みたいな声を上げてた。
「初めまして。エールティア様にお仕えしてるジュールと言います。まだまだ若輩者ですが、どうぞよろしくお願いします」
「彼女は知っている通り、エールティア……の契約スライムだ。学園では通常、編入を受け入れてはいないが、契約スライムに関しては別となっている。そこのところは理解しておくように」
ベルーザ先生が私の名前を呼び捨てにしたせいか、ジュールが嫌そうな視線を向けてきたけど、先生は
一瞬だけ沈黙しても最後まで喋りきった。ちらっと私に『しっかり教育しておけ』って視線を向けてくるのも忘れずにね。確かに、今のジュールだと、これからの生活でもこういう事で問題を起こしそうなのは事実だし、後で言い聞かせておく必要がありそうだ。
「ジュール。君はエールティアの隣の席に座りなさい」
何か言おうとしたジュールは、ぐっと拳を握り締めて、黙ったまま私の隣の席に座った。その際も一礼を忘れない辺り、礼儀の良さが伝わってくる。
「よし、それでは授業を始めるぞ。今回は――」
安心した様子で一息ついたベルーザ先生は、気を取り直すように授業へと入っていった。
――
「エールティア様。お昼はどうしますか?」
午前の授業が終わってお昼休み。最初はひやっとしたけれど、特に揉め事もなくここまでこれたのは良かった。この学園は貴族も平民も関係ない。だから敬称を付けず、普通に接してくれる生徒も多かったからね。
「……そうねぇ。いつも通り学食かしら」
この学園にある食堂は結構美味しい料理を作ってくれる。流石に私の家で雇ってる料理人と比べてはいけないけれど。
リュネーやレイアともよく行ってる場所だし、一週間も行ってなかったから久しぶりに食べたいなぁ……なんて思ってると、ジュールが少しもじもじした様子で私に何かを渡してきた。
「これは……?」
「あの、お口に合えば良いんですけれど……」
鞄の中に何が入ってるのかと思ったら、それなりに大きな箱状の物。中を開けると、お弁当が入っていて、私は思わず驚いた表情を浮かべていた。
「お弁当?」
「はい! 頑張って作りました!」
ジュールが嬉しそうにしてるそれは、サンドイッチや鳥の焼いたものやサラダとかが沢山詰まってた。嬉しい……のは嬉しいんだけど、どう見ても量が一人分じゃない。
「えっと、作ってくれるのは嬉しいけど――」
「ティアちゃーん、ご飯一緒に……」
リュネーが意気揚々と話しかけてきたけれど……ジュールが睨んでくるものだから思わず固まってしまった。
「ジュール!」
「で、ですが彼女はエールティア様の事を……」
私が叱責するような声を出すものだから、ジュールは慌てて言い訳をしようとしてしどろもどろになっていた。
「彼女はシルケットの王族で――というのはいいけど、彼女は私の友達で、この学園の生徒なの。貴女もここの決まりは知っているでしょう?」
「ですが……」
「ジュール。貴女の好意は素直に嬉しい。だけれど、それで周囲と揉め事を起こすのなら……貴女をここに連れてくることは出来ない」
私の言葉にジュールは愕然とした表情を向けてきた。可哀想だけれど、これも彼女の為でもある。それが伝わってるからか、納得できるような出来ないような微妙な表情をしていた。
「でも、本当にありがとう。気持ちは受け取っておくから」
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