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11・決闘前の授業
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決闘の紙を渡された当日の授業は、リュネーの言ってたように魔物に関する授業だった。
「まず、君達は魔物の事に関してどれだけ知っている?」
ベルーザ先生の言葉に、私は頭の中に詰まってる情報を引っ張り出した。
確か……魔物っていうのはこの大陸に住んでる動物の総称だったはず。でもそれは確か……昔の話だったはず。
「えっと、凶暴な動物の総称でしたっけ?」
「そうだ。1200年前、ダークエルフ族の一部が暴走して生み出されたのが現在の魔物だ。濃密な魔力を注ぎ込まれて作られたそれは、並の生物以上の能力を持っているそうだ」
昔はドラフィシルやクラウバード、ラントルオなんてものも魔物だったんだけど、今は動物として分類されてる。ワイバーンみたいに元々魔力保有量の高い生物は昔のまま、魔物って呼ばれてるけど。
「でも、そんなのがいたら普通の動物とかはすぐに殺されるんじゃ?」
「魔物は元々ダークエルフ族以外の『人』に属する種族を襲うように造られていて、今でもそれは根強く残っている。もっとも、今ではダークエルフ族も普通に襲われるようになっているけどな」
元々侵略戦争を行うために造られた物だって聞いたけど、それは初めて聞いた。家庭教師の人はダークエルフ族の話になると嫌そうな顔をして話を逸らせようとしてくるから、あまり詳しくは聞けなかった。
「あの、ダークエルフ族とエルフ族って二つの種族がいますけど……何か関係があるんですか?」
「その昔、ダークエルフ族は『エルフ族』と呼ばれていて、エルフ族は『アールヴ族』と呼ばれていた。そして……アールヴ族はエルフ族よりも優れた能力を持っていた。それが妬まれる要因になり、浅からぬ因縁を持っている種族として歴史に名を残している」
「へー……」
「ちなみに、アールヴ族は初代魔王様の時代では表舞台から姿を消しており、次に現れたのは初代魔王様が本格的に当時のエルフ族と事を構えた時だと伝えられているな。生き残ったアールヴ族がその後子供を作り……今のエルフ族に繋がるという訳だ」
私のご先祖様はこんなところでも活躍してるってわけね。まさかエルフ族の誕生にまで関わってるとは思わなかったけどね……。
「……大分話が逸れてしまったな。徐々に陰に追い込まれていったダークエルフ族がもう一度日を浴びたい――その一心で作り出されたのが昨今、魔物と呼ばれている存在だというわけだ。あー……何の話をしてたか」
生徒の子の質問で話が逸れたせいか、ベルーザ先生は何を話そうとしたのか思い出そうとしてるようで……思い出した先生は少しため息を吐いてた。
「はぁ……で、魔物の生態について戻すぞ。魔物は人工的に作られたからか、あまり繁殖能力が高くない。絶対的な個体数が少ない以上、繁殖力の高い動物が絶滅することはない。それに、ハンターの存在もあるからな」
ハンターっていうのは、魔物を狩って生計を立ててる人達の総称だっけ。魔物は魔力を多く含む肉。皮に牙……様々な物が素材になって、日々の生活だったり、武器だったりに役立ってくれてる。
ただ、飼育されてる動物と違って魔物の肉は野性味に溢れてて、苦手な人は苦手らしい。特に猫人族と狼人族は、鼻が利くから臭いで駄目って人も多いんだとか。
「もちろん、ハンター以外にも訓練の為に兵士が魔物を討伐しているが……様々な事情から魔物は爆発的に増えることもなく、生態系は保たれているというわけだ」
最初は魔物に関する授業なんてあまり期待はしてなかったけど、予想以上に面白かったな。話は結構脱線気味だったけど、魔物の起源もよくわかったし、エルフ族についても知ることが出来たしね。それからもベルーザ先生の話は、魔物の種類や特徴に進んでいって……やがて、チャイムがなって授業は終わりを告げた。
――
学園での一日が終わって、決闘の手紙に名前を記入した次の日。私のところに一通の手紙が届いてて、メイドの人が部屋まで持って来てくれた。丁寧に封蝋されていて、送り主のところに『決闘委員会』って書かれてる。
昨日の今日で早いなぁ……なんて思いながら中身を確認してみると――
『拝啓、エールティア・リシュファス様。ルドゥリア・エセカッツ様との決闘内容、確かに受理されました。今から三日後。クォドラの14日に行いたいと思います。決闘官が派遣されますので、それまでしばしお待ちください』
――って書かれてた。
「いよいよね……」
どんなものが来るかと思ったけど、結構簡易的な内容でわかりやすかった。
家族にも話が行くって聞いてたから、決闘官自身が来るものだと思ったけど……これなら、まだ――
「エールティア」
いつもよりも少し元気のない……っていうか冷たい声のお父様が私の部屋にやってきた。
「お父様、どうされました?」
「……これだ」
お父様が突き付けてきた手紙は私に届いたのよりも詳細な内容が書かれた手紙で……軽く眩暈がしそうだった。ご丁寧に『同意されない場合は、決闘官にその旨を伝えるよう』という一文も付け加えられてる。
本当に仕事が速すぎて……愚痴を言う暇も与えてくれない決闘委員会の誰かを恨みながら、なんとか堪えてお父様に決闘について詳しい話をすることになった――。
「まず、君達は魔物の事に関してどれだけ知っている?」
ベルーザ先生の言葉に、私は頭の中に詰まってる情報を引っ張り出した。
確か……魔物っていうのはこの大陸に住んでる動物の総称だったはず。でもそれは確か……昔の話だったはず。
「えっと、凶暴な動物の総称でしたっけ?」
「そうだ。1200年前、ダークエルフ族の一部が暴走して生み出されたのが現在の魔物だ。濃密な魔力を注ぎ込まれて作られたそれは、並の生物以上の能力を持っているそうだ」
昔はドラフィシルやクラウバード、ラントルオなんてものも魔物だったんだけど、今は動物として分類されてる。ワイバーンみたいに元々魔力保有量の高い生物は昔のまま、魔物って呼ばれてるけど。
「でも、そんなのがいたら普通の動物とかはすぐに殺されるんじゃ?」
「魔物は元々ダークエルフ族以外の『人』に属する種族を襲うように造られていて、今でもそれは根強く残っている。もっとも、今ではダークエルフ族も普通に襲われるようになっているけどな」
元々侵略戦争を行うために造られた物だって聞いたけど、それは初めて聞いた。家庭教師の人はダークエルフ族の話になると嫌そうな顔をして話を逸らせようとしてくるから、あまり詳しくは聞けなかった。
「あの、ダークエルフ族とエルフ族って二つの種族がいますけど……何か関係があるんですか?」
「その昔、ダークエルフ族は『エルフ族』と呼ばれていて、エルフ族は『アールヴ族』と呼ばれていた。そして……アールヴ族はエルフ族よりも優れた能力を持っていた。それが妬まれる要因になり、浅からぬ因縁を持っている種族として歴史に名を残している」
「へー……」
「ちなみに、アールヴ族は初代魔王様の時代では表舞台から姿を消しており、次に現れたのは初代魔王様が本格的に当時のエルフ族と事を構えた時だと伝えられているな。生き残ったアールヴ族がその後子供を作り……今のエルフ族に繋がるという訳だ」
私のご先祖様はこんなところでも活躍してるってわけね。まさかエルフ族の誕生にまで関わってるとは思わなかったけどね……。
「……大分話が逸れてしまったな。徐々に陰に追い込まれていったダークエルフ族がもう一度日を浴びたい――その一心で作り出されたのが昨今、魔物と呼ばれている存在だというわけだ。あー……何の話をしてたか」
生徒の子の質問で話が逸れたせいか、ベルーザ先生は何を話そうとしたのか思い出そうとしてるようで……思い出した先生は少しため息を吐いてた。
「はぁ……で、魔物の生態について戻すぞ。魔物は人工的に作られたからか、あまり繁殖能力が高くない。絶対的な個体数が少ない以上、繁殖力の高い動物が絶滅することはない。それに、ハンターの存在もあるからな」
ハンターっていうのは、魔物を狩って生計を立ててる人達の総称だっけ。魔物は魔力を多く含む肉。皮に牙……様々な物が素材になって、日々の生活だったり、武器だったりに役立ってくれてる。
ただ、飼育されてる動物と違って魔物の肉は野性味に溢れてて、苦手な人は苦手らしい。特に猫人族と狼人族は、鼻が利くから臭いで駄目って人も多いんだとか。
「もちろん、ハンター以外にも訓練の為に兵士が魔物を討伐しているが……様々な事情から魔物は爆発的に増えることもなく、生態系は保たれているというわけだ」
最初は魔物に関する授業なんてあまり期待はしてなかったけど、予想以上に面白かったな。話は結構脱線気味だったけど、魔物の起源もよくわかったし、エルフ族についても知ることが出来たしね。それからもベルーザ先生の話は、魔物の種類や特徴に進んでいって……やがて、チャイムがなって授業は終わりを告げた。
――
学園での一日が終わって、決闘の手紙に名前を記入した次の日。私のところに一通の手紙が届いてて、メイドの人が部屋まで持って来てくれた。丁寧に封蝋されていて、送り主のところに『決闘委員会』って書かれてる。
昨日の今日で早いなぁ……なんて思いながら中身を確認してみると――
『拝啓、エールティア・リシュファス様。ルドゥリア・エセカッツ様との決闘内容、確かに受理されました。今から三日後。クォドラの14日に行いたいと思います。決闘官が派遣されますので、それまでしばしお待ちください』
――って書かれてた。
「いよいよね……」
どんなものが来るかと思ったけど、結構簡易的な内容でわかりやすかった。
家族にも話が行くって聞いてたから、決闘官自身が来るものだと思ったけど……これなら、まだ――
「エールティア」
いつもよりも少し元気のない……っていうか冷たい声のお父様が私の部屋にやってきた。
「お父様、どうされました?」
「……これだ」
お父様が突き付けてきた手紙は私に届いたのよりも詳細な内容が書かれた手紙で……軽く眩暈がしそうだった。ご丁寧に『同意されない場合は、決闘官にその旨を伝えるよう』という一文も付け加えられてる。
本当に仕事が速すぎて……愚痴を言う暇も与えてくれない決闘委員会の誰かを恨みながら、なんとか堪えてお父様に決闘について詳しい話をすることになった――。
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