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6・初授業
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リュネーと楽しく(?)お喋りをして帰った次の日。いよいよ本格的な授業が始まった。
「よし、みんないるな。それでは最初の授業だが――」
出席の確認を終えたベルーザ先生は腕を組んで、真剣な顔をしてる。
「――まずはこの国の歴史について軽く触れて行こう。最初の授業君たちも簡単な方が良いだろう?」
ぐるりと生徒を見回して、『異論はないな?』と確認を取るような感じで見てきた。特に私の事をじっと見てきた。少しの間、なんでそんなにみつめてくるかわからなかったけど、自分がこの国の王族の一人だった事を思い出して納得した。
とりあえずうんうん頷いておくと、ベルーザ先生は納得したように「うん」と頷いて話を始めた。
「よし、この国――ティリアースは遥か昔、魔人の国だった。昔は今の時代よりもずっと力こそが全てだったのだが、当時の王は力も弱く、それこそ周辺国に徒党を組まれれば瞬く間に制圧されるであろう程度の力しか持っていなかった」
それを聞いた他の生徒から驚きの声が上がった。私もその辺りはお父様が雇った家庭教師に教えてもらってるから知ってるけれど、あまりこの国の事を知らずにここに来た子には初めて聞くことなのかもね。
今のティリアースはこのサウエス地方を統べてて、セント中央大陸にも領地のあってとこの魔大陸随一の強国なんだもの。そんな時代があったなんて、嘘みたいな話に思えてくる。
昔はティリアース以外の周辺国も似たり寄ったりだったみたいだけど、はっきりと差がついたのは当時あった国の一つが攻めてきた時の事だったっけ。
「父と母を失った当時の女王は、眩い光に包まれ力に目覚めて以降、急速に力を付けていくことになる。狼人族と猫人族の国を取り込み、戦争中だったオーク族の国を滅ぼした。その後、獣人族や妖精族の国と対話し、狐人族の策略を跳ね除け、この地域を掌握した」
そうして中央の地域への道を手にした女王は鬼人族の国と同盟を結んで、自分の地位をより確かな物にした。私が以前聞いた通りの事をベルーザ先生はなるべく丁寧に話してくれた。時には私の知らない詳しいところまで話してくれて、おおまかな事を知ってる子でも退屈させないような話の運びをしてくれたおかげで、楽しく聞けてる。
中央大陸の王たちとの会合を経て、スライム族の国に行ったり、悪魔族の王を倒したり……と、激動の時代に相応しい時には悲しく、時には胸躍る物語の数々が繰り広げられた。そして――
「最後の戦い。女王は死んだ同胞を蘇らせ、操る禁術を用いた王を討伐し、この世界を統一した。その後も大陸を治めた女王は数々の戦いや騒動を経て、現在のような強国まで成長した、という訳だ」
結構長い話が終わった後、生徒の中には疲れたような雰囲気が蔓延してた。結局女王様の話に熱が入ったベルーザ先生も少し疲れたような顔でため息をついてる。
「先生、その女王様の名前って何なんですか?」
真剣に聞き入っていた生徒の一人からそんな質問があった。確かに、ベルーザ先生は女王様の話はしてくれたけれど、名前は一切言ってなかったっけ。
ベルーザ先生はわざわざ言う必要があるか? って気持ちのこもった視線を向けてたけど、遠くの地方や辺境の子なんかは知らなくても仕方ないと思う。田舎の村だったらそういうのって関係ないしね。
「みんなも一度は聞いた事があるだろう。世界を……この魔大陸を統一した最初で最後の王。『魔王』と呼ばれた最強の女性の名を」
「最初の魔王……それって……」
ようやくその女王が誰なのかわかった生徒の一人が驚きの声で呟いてた。ベルーザ先生はそれに対して深くゆっくりと頷いた。
「ああ。『ティファリス・リーティアス』こそ、このティリアースの前身国であるリーティアスを繁栄に導いた最強最高の初代魔王様だ」
誇るように胸を張るベルーザ先生の気持ちはわかる。この国にも多種多様な考え方を持ってる人がいるけど、どんな人でも『ティファリス』様を敬愛する気持ちは変わらないって聞いた。お父様達も自分たちの血筋に誇りを持ってる。それだけ、今の世の中にも影響力を残す神話の英雄と言っても差し支えない御方だと言える。
その数々の偉業や語りつくせない武勇伝の多さに、尊敬しすぎて名前を口に出すのすら畏れ多いと思ってる人も大勢いるって聞いてる。多分、ベルーザ先生もその一人なんだろうな。
「ちなみに、この学園を作り、年号や時間の概念をよりはっきりさせたのも初代魔王様だ。だからこそ、この学園の生徒にはそんな魔王様の後続となって欲しい」
「初代って言ってますが、二代目がいるとは聞いた事ないのですが?」
「それは彼女が『魔王』と呼ばれる称号を自分の代で終わりせず、受け継がせていきたい……。そういう思いを残したかった結果だと言われている。実際は二代目と呼ぶに相応しい偉業を成し遂げた者がいないという事もあり、最初で最後の『魔王』になっているな」
その話が終わったと同時に、授業終了の鐘が鳴り響いた。中々に長かったけど……少しは有意義な時間が過ごせたんじゃないかな。
「よし、みんないるな。それでは最初の授業だが――」
出席の確認を終えたベルーザ先生は腕を組んで、真剣な顔をしてる。
「――まずはこの国の歴史について軽く触れて行こう。最初の授業君たちも簡単な方が良いだろう?」
ぐるりと生徒を見回して、『異論はないな?』と確認を取るような感じで見てきた。特に私の事をじっと見てきた。少しの間、なんでそんなにみつめてくるかわからなかったけど、自分がこの国の王族の一人だった事を思い出して納得した。
とりあえずうんうん頷いておくと、ベルーザ先生は納得したように「うん」と頷いて話を始めた。
「よし、この国――ティリアースは遥か昔、魔人の国だった。昔は今の時代よりもずっと力こそが全てだったのだが、当時の王は力も弱く、それこそ周辺国に徒党を組まれれば瞬く間に制圧されるであろう程度の力しか持っていなかった」
それを聞いた他の生徒から驚きの声が上がった。私もその辺りはお父様が雇った家庭教師に教えてもらってるから知ってるけれど、あまりこの国の事を知らずにここに来た子には初めて聞くことなのかもね。
今のティリアースはこのサウエス地方を統べてて、セント中央大陸にも領地のあってとこの魔大陸随一の強国なんだもの。そんな時代があったなんて、嘘みたいな話に思えてくる。
昔はティリアース以外の周辺国も似たり寄ったりだったみたいだけど、はっきりと差がついたのは当時あった国の一つが攻めてきた時の事だったっけ。
「父と母を失った当時の女王は、眩い光に包まれ力に目覚めて以降、急速に力を付けていくことになる。狼人族と猫人族の国を取り込み、戦争中だったオーク族の国を滅ぼした。その後、獣人族や妖精族の国と対話し、狐人族の策略を跳ね除け、この地域を掌握した」
そうして中央の地域への道を手にした女王は鬼人族の国と同盟を結んで、自分の地位をより確かな物にした。私が以前聞いた通りの事をベルーザ先生はなるべく丁寧に話してくれた。時には私の知らない詳しいところまで話してくれて、おおまかな事を知ってる子でも退屈させないような話の運びをしてくれたおかげで、楽しく聞けてる。
中央大陸の王たちとの会合を経て、スライム族の国に行ったり、悪魔族の王を倒したり……と、激動の時代に相応しい時には悲しく、時には胸躍る物語の数々が繰り広げられた。そして――
「最後の戦い。女王は死んだ同胞を蘇らせ、操る禁術を用いた王を討伐し、この世界を統一した。その後も大陸を治めた女王は数々の戦いや騒動を経て、現在のような強国まで成長した、という訳だ」
結構長い話が終わった後、生徒の中には疲れたような雰囲気が蔓延してた。結局女王様の話に熱が入ったベルーザ先生も少し疲れたような顔でため息をついてる。
「先生、その女王様の名前って何なんですか?」
真剣に聞き入っていた生徒の一人からそんな質問があった。確かに、ベルーザ先生は女王様の話はしてくれたけれど、名前は一切言ってなかったっけ。
ベルーザ先生はわざわざ言う必要があるか? って気持ちのこもった視線を向けてたけど、遠くの地方や辺境の子なんかは知らなくても仕方ないと思う。田舎の村だったらそういうのって関係ないしね。
「みんなも一度は聞いた事があるだろう。世界を……この魔大陸を統一した最初で最後の王。『魔王』と呼ばれた最強の女性の名を」
「最初の魔王……それって……」
ようやくその女王が誰なのかわかった生徒の一人が驚きの声で呟いてた。ベルーザ先生はそれに対して深くゆっくりと頷いた。
「ああ。『ティファリス・リーティアス』こそ、このティリアースの前身国であるリーティアスを繁栄に導いた最強最高の初代魔王様だ」
誇るように胸を張るベルーザ先生の気持ちはわかる。この国にも多種多様な考え方を持ってる人がいるけど、どんな人でも『ティファリス』様を敬愛する気持ちは変わらないって聞いた。お父様達も自分たちの血筋に誇りを持ってる。それだけ、今の世の中にも影響力を残す神話の英雄と言っても差し支えない御方だと言える。
その数々の偉業や語りつくせない武勇伝の多さに、尊敬しすぎて名前を口に出すのすら畏れ多いと思ってる人も大勢いるって聞いてる。多分、ベルーザ先生もその一人なんだろうな。
「ちなみに、この学園を作り、年号や時間の概念をよりはっきりさせたのも初代魔王様だ。だからこそ、この学園の生徒にはそんな魔王様の後続となって欲しい」
「初代って言ってますが、二代目がいるとは聞いた事ないのですが?」
「それは彼女が『魔王』と呼ばれる称号を自分の代で終わりせず、受け継がせていきたい……。そういう思いを残したかった結果だと言われている。実際は二代目と呼ぶに相応しい偉業を成し遂げた者がいないという事もあり、最初で最後の『魔王』になっているな」
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