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第十七節・落日の国編
第297幕 戦城の嵐
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「けほっ、けほっ! グ、グレリア……!?」
「ああ。敵が近くにいるみたいだぞ」
爆風を間一髪、防御の魔方陣で防ぐ事に成功した俺たちは、視界を遮る黒煙を抜ける。その瞬間、銃弾の嵐が俺たちを襲い、魔方陣を少しずつ削り取っていく。
「ちっ……魔力を練り込んだ弾丸か……!」
再度強固な魔方陣を再構築する。その間に後ろの方をちらっと見ると、シエラとヘンリーは冷静に魔方陣による攻撃で応戦していた。
「二人とも、大丈夫か!?」
「う、うん。だけどなんでここに……」
「あの広場で待ち伏せされる事がわかっていたからこそ、こちらの方に変更したのでしょう。こんな狭い屋内で戦うのは窮屈ですが……!」
飛び交うのは魔方陣で生み出された氷、雷、炎と銃弾の雨。俺の方は二人に被害が及ばないように、常に防御の方に気を回していく。一発とも、絶対に通したりはしない。
しばらくの間、激しい戦闘が続いて……やがて、兵士たちは倒れ伏し、俺たちが生き残った。
「は、はぁ、はぁ……な、なんなのよあれは!」
いきなりの戦闘に荒い息で呼吸を整えているシエラは驚きながら倒れた兵士たちを見ていた。
「まさかここで襲撃してくるとはな……いや、十分考えられた事か」
「こうなると、部屋を出たところも兵士……しかも人の国を守る体裁を取った方々ではなく、こちらがよく知る兵士たちとの戦闘になりそうですね」
今ここにいる者たちだけで全部というわけがない。ヘンリーの言った通り、二つに銃を携帯している兵士たちと戦闘になるだろう。どれだけいるかわからないが……あまりここで悩んでいても仕方ない。
「押し切るぞ。城の外に出れば、ここから離脱する事も不可能じゃない」
「……そうするしかないみたいですね。先が思いやられますが」
「いつまでもここにいる訳にはいけない……ってことですね」
二人と顔を見合わせ、ゆっくりと扉を開ける。すると――次々と扉に穴が開いていき、なくなってしまった。
「ちっ、すぐそこに迫っていたか」
すかさず壁に張り付いて、銃が飛んできた方向目掛けて『炎』『弾』の二文字で起動式を発動して、敵を攻撃する。
二人も敵に気づいた様子で出来るだけ扉から離れて、魔方陣を構築していた。
やがて俺の攻撃を突破してきた兵士たちが扉の前に立ったその瞬間、二人の攻撃が炸裂し、次々と奴らを撃退していった。
「ヘンリー、索敵の方、頼めるか?」
「任せてください。お二人は攻撃を頼みます」
なんとか第一波を退ける事が出来た俺たちは、部屋から出て、外へと向けて走り出した。
「こちらに魔力の反応が近づいてきますよ!」
「シエラ!」
「うん!」
敵がやってくる前に魔方陣を構築し、遭遇した瞬間に発動。流れるように仕留めていく。屋内――しかもこんな狭い通路では、俺の原初の起動式は気軽に使えない。下手をしたら味方を巻き込む可能性もあるし、城ごと吹き飛ばしかねない。最後の手段として取っておくべきだろう。
「どうだ?」
「はい。周囲を移動している反応はありますが、少なくとも今こちらに向かっている者はいませんよ」
「よし、駆け抜けるぞ!」
外へと続く通路を走り、途中で出会う者には片っ端から魔方陣で攻撃を放つ。やはり一日休息を入れて良かった。二人とも疲れをあまり感じておらず、適度な緊張を保ってくれている。
「グレリアさん。このままだと、外庭に差し掛かります。そこにはかなりの兵士たちが待ち受けていますよ」
「……規模はどれくらいだ?」
「『索敵』の魔方陣はいきなり数十人の反応を確認しました。恐らくですが、今まで『隠蔽』されていたのでしょう」
思わずギリっと歯軋りをしてしまう。俺たちは既に引き返せない位置まで来ている。ここで道を変えても、外庭にいる兵士たちがそのまま追撃に回ることは目に見えていた。
「……もしかして、誘導された?」
「可能性はかなり高いですね。こちらが敵の位置を確認しながら行動しているのが伝わってると見て間違い無いでしょう。……どうしますか?」
前を行く俺は、立ち止まって二人の顔を見らずとも、不安を抱えて走っている。……今回は後手に回っている。俺たちは向こうの作戦に完全に乗せられた形になっているのだからな。
だが……ここで簡単に終わりにはさせない。敵に有利なこの条件でも、必ず突破口を作り出してみせる。最悪、俺がこの場に残る事になったとしてもな。
「行くぞ。他の道に行ったところで、囲まれては意味がない。まだ敵が隠れているかも知れないしな」
外庭からそのまま城外へと行くルートのまま、俺たちは突き進み……出た瞬間、部屋の中で放たれたものとは比べ物にならない銃弾の嵐が降り注いできた。
「ヘビーマシンガン……あんなのまで持ってきてるとは、随分と本気じゃないですか!」
「なんでもいい! 防御に魔力を込めろ!」
ヘンリーが何やら愚痴ってはいたが、今はそんなことを聞いている暇はない。物凄い勢いで放たれている弾丸を魔方陣でなんとか防ぎながら、もう片方で攻撃用の魔方陣を練り上げ、放つ。
着弾と同時に爆風が広がる……のだけれど、なにか壁のようなものでそれは防がれてしまった。
「なに……?」
「グレリアさん、あれは……!」
こちらが攻撃した瞬間に向こうの射撃も止んだおかげで、今の事態を引き起こした人物の姿が確認できた。
ここにいるには相応しくない装いをした男――アリッカルを統べるアスクード王だった。
「ああ。敵が近くにいるみたいだぞ」
爆風を間一髪、防御の魔方陣で防ぐ事に成功した俺たちは、視界を遮る黒煙を抜ける。その瞬間、銃弾の嵐が俺たちを襲い、魔方陣を少しずつ削り取っていく。
「ちっ……魔力を練り込んだ弾丸か……!」
再度強固な魔方陣を再構築する。その間に後ろの方をちらっと見ると、シエラとヘンリーは冷静に魔方陣による攻撃で応戦していた。
「二人とも、大丈夫か!?」
「う、うん。だけどなんでここに……」
「あの広場で待ち伏せされる事がわかっていたからこそ、こちらの方に変更したのでしょう。こんな狭い屋内で戦うのは窮屈ですが……!」
飛び交うのは魔方陣で生み出された氷、雷、炎と銃弾の雨。俺の方は二人に被害が及ばないように、常に防御の方に気を回していく。一発とも、絶対に通したりはしない。
しばらくの間、激しい戦闘が続いて……やがて、兵士たちは倒れ伏し、俺たちが生き残った。
「は、はぁ、はぁ……な、なんなのよあれは!」
いきなりの戦闘に荒い息で呼吸を整えているシエラは驚きながら倒れた兵士たちを見ていた。
「まさかここで襲撃してくるとはな……いや、十分考えられた事か」
「こうなると、部屋を出たところも兵士……しかも人の国を守る体裁を取った方々ではなく、こちらがよく知る兵士たちとの戦闘になりそうですね」
今ここにいる者たちだけで全部というわけがない。ヘンリーの言った通り、二つに銃を携帯している兵士たちと戦闘になるだろう。どれだけいるかわからないが……あまりここで悩んでいても仕方ない。
「押し切るぞ。城の外に出れば、ここから離脱する事も不可能じゃない」
「……そうするしかないみたいですね。先が思いやられますが」
「いつまでもここにいる訳にはいけない……ってことですね」
二人と顔を見合わせ、ゆっくりと扉を開ける。すると――次々と扉に穴が開いていき、なくなってしまった。
「ちっ、すぐそこに迫っていたか」
すかさず壁に張り付いて、銃が飛んできた方向目掛けて『炎』『弾』の二文字で起動式を発動して、敵を攻撃する。
二人も敵に気づいた様子で出来るだけ扉から離れて、魔方陣を構築していた。
やがて俺の攻撃を突破してきた兵士たちが扉の前に立ったその瞬間、二人の攻撃が炸裂し、次々と奴らを撃退していった。
「ヘンリー、索敵の方、頼めるか?」
「任せてください。お二人は攻撃を頼みます」
なんとか第一波を退ける事が出来た俺たちは、部屋から出て、外へと向けて走り出した。
「こちらに魔力の反応が近づいてきますよ!」
「シエラ!」
「うん!」
敵がやってくる前に魔方陣を構築し、遭遇した瞬間に発動。流れるように仕留めていく。屋内――しかもこんな狭い通路では、俺の原初の起動式は気軽に使えない。下手をしたら味方を巻き込む可能性もあるし、城ごと吹き飛ばしかねない。最後の手段として取っておくべきだろう。
「どうだ?」
「はい。周囲を移動している反応はありますが、少なくとも今こちらに向かっている者はいませんよ」
「よし、駆け抜けるぞ!」
外へと続く通路を走り、途中で出会う者には片っ端から魔方陣で攻撃を放つ。やはり一日休息を入れて良かった。二人とも疲れをあまり感じておらず、適度な緊張を保ってくれている。
「グレリアさん。このままだと、外庭に差し掛かります。そこにはかなりの兵士たちが待ち受けていますよ」
「……規模はどれくらいだ?」
「『索敵』の魔方陣はいきなり数十人の反応を確認しました。恐らくですが、今まで『隠蔽』されていたのでしょう」
思わずギリっと歯軋りをしてしまう。俺たちは既に引き返せない位置まで来ている。ここで道を変えても、外庭にいる兵士たちがそのまま追撃に回ることは目に見えていた。
「……もしかして、誘導された?」
「可能性はかなり高いですね。こちらが敵の位置を確認しながら行動しているのが伝わってると見て間違い無いでしょう。……どうしますか?」
前を行く俺は、立ち止まって二人の顔を見らずとも、不安を抱えて走っている。……今回は後手に回っている。俺たちは向こうの作戦に完全に乗せられた形になっているのだからな。
だが……ここで簡単に終わりにはさせない。敵に有利なこの条件でも、必ず突破口を作り出してみせる。最悪、俺がこの場に残る事になったとしてもな。
「行くぞ。他の道に行ったところで、囲まれては意味がない。まだ敵が隠れているかも知れないしな」
外庭からそのまま城外へと行くルートのまま、俺たちは突き進み……出た瞬間、部屋の中で放たれたものとは比べ物にならない銃弾の嵐が降り注いできた。
「ヘビーマシンガン……あんなのまで持ってきてるとは、随分と本気じゃないですか!」
「なんでもいい! 防御に魔力を込めろ!」
ヘンリーが何やら愚痴ってはいたが、今はそんなことを聞いている暇はない。物凄い勢いで放たれている弾丸を魔方陣でなんとか防ぎながら、もう片方で攻撃用の魔方陣を練り上げ、放つ。
着弾と同時に爆風が広がる……のだけれど、なにか壁のようなものでそれは防がれてしまった。
「なに……?」
「グレリアさん、あれは……!」
こちらが攻撃した瞬間に向こうの射撃も止んだおかげで、今の事態を引き起こした人物の姿が確認できた。
ここにいるには相応しくない装いをした男――アリッカルを統べるアスクード王だった。
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