313 / 337
第10章・聖黒の魔王
292・魔王様、西の城に行く
しおりを挟む
フェーシャから結婚式への招待状を受け取り、より一層気合を入れて執務に励んでいたある日。
私はワイバーンに乗ってきたオーク族の兵士から一つの報告を受けた。
それは遠征部隊を小分けした探索隊が西地域を色々と調べていると、荒野の続いた場所に城があったそうだ。
崖のように切り立った場所が奥に存在して、それが目印になるのだとか。
その城は少々ボロいというか……建てられて随分時間が経っているような印象があり、ところどころ修繕した跡があったそうだ。
最初、この城を見つけた時に入ろうかどうしようかと悩んだそうだが、結局私に報告することを優先して、城の内部まではさっぱりわからない、ということらしい。
「報告ありがとう。貴方は二~三日休んでからワイバーンで遠征部隊に戻ってちょうだい。
特別に手当出しておくから、ゆっくりと身体を休めて来るといいわ」
「あ、ありがとうございます!」
相当感動したようで、若干涙目で喜びを表現していたオーク族の兵士は、軽やかな足取りで執務室から出ていった。
一応、後で一緒に城を発見した彼以外の兵士たちにも同じように手当をつけてあげないといけないだろう。
さて……どうやら報告にあった城へは私自らが出向いたほうがよさそうだ。
周囲には魔物がそれなりに徘徊しているようだから、しっかり準備していったほうが良さそうだ。
というか……最近、本当に仕事してばかりでゆっくりと休む時間すらない。
おかげで微妙にアシュルとすれ違いな生活を送ってる。
若干ため息が出そうになるけど、このヒューリ王との戦いの爪痕がそれだけ深いというわけだろう。
戦後処理さえ終われば私の方も少しは余裕が出来るはずだから、それまでは辛抱するしかない。
そうと決まれば、さっさと行動あるのみだ。
早く仕事が終われば、その分アシュルやベリルちゃんやフレイアールと一緒にいることが出来るのだから。
――
兵士から報告を受けた私は、久しぶりにフレイアールに乗って、西地域にある例の城の前にやってきていた。
「流石、フレイアールは速くて本当に助かるわね」
『ふっ、我が母の頼みであるならば、我も全力で応えねばなるまい』
ちょうどレイクラド王のところから戻ってきたフレイアールに西地域の事を話したらこういう風に喜び勇んで付いてきたというわけだ。
それでも丁度いいタイミングで戻ってきてくれたと思った。
フレイアールならばワイバーンなんかよりずっと速い。
半分以上の日程短縮出来るのだからこれほどありがたいことはない。
それに……フレイアールとこうして話したり、一緒にどこかに行ったりするのは本当に久しぶりだったから少し嬉しかったりしたのだけれど……それを彼に言えるような場所だったらなおのこと良かったのだけれど、着いた場所はどこか薄暗くて、大地がひび割れていたり、草がほとんど生えていなかったり……おまけに城は兵士の報告のどこか古臭い感じがする。
曇り空も相まって、全体的に薄暗く、不気味な雰囲気すら与えてくるほどだ。
とてもじゃないが、こんなところに二人でこれて嬉しいというのは……ちょっと言いづらい。
もう少しまともな場所だったら、という気持ちもあるけど、遊びでここに来ているわけじゃないんだし、気を引き締めて行かなければならないだろう。
「フレイアール、貴方はどうする? 外で待ってる?」
『いや……』
そのままフレイアールは『化身封印』の魔法を唱え、私には馴染み深い小竜の姿に戻っていた。
やはり、この子はこの姿が可愛らしい。
ふわふわと私の周りを飛び回るフレイアールは愛嬌があって好きだ。
もちろん、大きな成竜の状態もすごく凛々しくて、頼れる存在だし、嫌いじゃないけどね。
(母様、早く行こうよー!)
「……ふふっ、そうね。早く行きましょう」
(うん! 母様はぼくが守ってみせるからね!)
両手をむん、と握りしめて、ちょっと凛々しい顔をしてアピールしてくるフレイアールを微笑ましげに感じながら、ギギギ……と金属が擦れるような音共に扉をゆっくりと開いた。
少々暗いそこは少しほこりくさいというか……あまり清掃が行き届いていないような印象を受ける。
どうやら魔法の灯の方は生きているようで、道具に魔力を込めると次々と明かりが灯っていって、内部がよく見渡せるようになった。
一階の方はどうやらロビーのようで、正面には大きな階段があり、二階に続いているようだ。
一応左右にもいくつか扉があって、城ということを含めても探索しなければいけない場所は少し多いようだ。
生きている者の気配が全くしないところから誰もいないような感じはするんだけど……魔法の灯の件といい、妙に生活感の残ってるここは、少なくとも最近まで誰かがいた……ということは間違いないと思う。
(なんだか変な場所だね……。少し気分が悪くなってくるよ)
フレイアールは何かを感じているようで、きょろきょろと周囲を観察するように警戒している。
……案外、兵士を連れてこないで私とフレイアールだけで来たのは正解かもしれない。
いざとなったら一人でもなんとか出来る者じゃないと、ここに来るには勇気が必要だろう。
ここを見つけた兵士たちが、功を焦って調査しようとしなくて本当に良かった。
「フレイアール、二手に分かれましょう。私は一階で、貴方は二階……良いわね?
しばらくしたらこのロビーでおちあいましょう。」
(はーい)
フレイアールは元気に片手を上げて、ふわふわと上の方に飛んでいった。
さて、私の方も一階を探索してみましょうか。
――
一階の大きな階段の左右から奥に進めるようになっている扉の方は、一つの場所に繋がっているようで、どうやら横長に広い場所に出てきた。
ダイニングテーブルがあるところから、恐らく食堂なのではないかと思う。
多少古臭いながらもかなり飾られているようで……これが建った当初であるなら、さぞかし綺麗だっただろう。
しかし、あまり見たことがない様式のような気がする。
少なくとも魔人・猫人・狐人・獣人……と色々な種族の城に行った事があるはずだけれど、そのどれにも該当しないような気がする。
わざわざこんな横に長いテーブルを使う必要なんて全く無いからだ。
どことなく見栄が感じるこれは……もしかしてここはエルフ族の城なのではないか? という疑問が湧き上がってきた。
彼らは自分たちを一番優秀な種族だと勘違いしていた種族だったし、他の種族と違う……という意識の現れなのかもしれない。
まだ確証は持てないけど……もしそうだとしたら聖黒族のいたと言われる地域になんでエルフ族の城が? という疑問が出てくる。
その後も一階の部屋を見て回ったのだけれど、どうにも古臭いだけの城にしか見えない。
いくつかの応接室、キッチン、後はこの城で働いている使用人の部屋が奥にあるくらいだ。
昔の生活が多少残ってるような気もするけど、それ以上に真新しいものは見つからなかった。
後は、一階の通路に地下へと続く階段があったぐらいか。
さて、どうしよう……大体見終わったしこれ以上この一階で見るべきところはないだろう。
かといってフレイアールはまだ二階の探索が終わっていないみたいようで、ロビーの方には降りてくるような気配を感じられない。
本当はフレイアールが来るまで待っていたほうが良いのだろうけど……このままでは事態はなにも進まないし、地下に降りてみてもいいかもしれない。
そう決断した私は、アイテム袋からランプを取り出して暗い闇の底に続いていそうな地下への階段を、ゆっくりと降りていった……。
私はワイバーンに乗ってきたオーク族の兵士から一つの報告を受けた。
それは遠征部隊を小分けした探索隊が西地域を色々と調べていると、荒野の続いた場所に城があったそうだ。
崖のように切り立った場所が奥に存在して、それが目印になるのだとか。
その城は少々ボロいというか……建てられて随分時間が経っているような印象があり、ところどころ修繕した跡があったそうだ。
最初、この城を見つけた時に入ろうかどうしようかと悩んだそうだが、結局私に報告することを優先して、城の内部まではさっぱりわからない、ということらしい。
「報告ありがとう。貴方は二~三日休んでからワイバーンで遠征部隊に戻ってちょうだい。
特別に手当出しておくから、ゆっくりと身体を休めて来るといいわ」
「あ、ありがとうございます!」
相当感動したようで、若干涙目で喜びを表現していたオーク族の兵士は、軽やかな足取りで執務室から出ていった。
一応、後で一緒に城を発見した彼以外の兵士たちにも同じように手当をつけてあげないといけないだろう。
さて……どうやら報告にあった城へは私自らが出向いたほうがよさそうだ。
周囲には魔物がそれなりに徘徊しているようだから、しっかり準備していったほうが良さそうだ。
というか……最近、本当に仕事してばかりでゆっくりと休む時間すらない。
おかげで微妙にアシュルとすれ違いな生活を送ってる。
若干ため息が出そうになるけど、このヒューリ王との戦いの爪痕がそれだけ深いというわけだろう。
戦後処理さえ終われば私の方も少しは余裕が出来るはずだから、それまでは辛抱するしかない。
そうと決まれば、さっさと行動あるのみだ。
早く仕事が終われば、その分アシュルやベリルちゃんやフレイアールと一緒にいることが出来るのだから。
――
兵士から報告を受けた私は、久しぶりにフレイアールに乗って、西地域にある例の城の前にやってきていた。
「流石、フレイアールは速くて本当に助かるわね」
『ふっ、我が母の頼みであるならば、我も全力で応えねばなるまい』
ちょうどレイクラド王のところから戻ってきたフレイアールに西地域の事を話したらこういう風に喜び勇んで付いてきたというわけだ。
それでも丁度いいタイミングで戻ってきてくれたと思った。
フレイアールならばワイバーンなんかよりずっと速い。
半分以上の日程短縮出来るのだからこれほどありがたいことはない。
それに……フレイアールとこうして話したり、一緒にどこかに行ったりするのは本当に久しぶりだったから少し嬉しかったりしたのだけれど……それを彼に言えるような場所だったらなおのこと良かったのだけれど、着いた場所はどこか薄暗くて、大地がひび割れていたり、草がほとんど生えていなかったり……おまけに城は兵士の報告のどこか古臭い感じがする。
曇り空も相まって、全体的に薄暗く、不気味な雰囲気すら与えてくるほどだ。
とてもじゃないが、こんなところに二人でこれて嬉しいというのは……ちょっと言いづらい。
もう少しまともな場所だったら、という気持ちもあるけど、遊びでここに来ているわけじゃないんだし、気を引き締めて行かなければならないだろう。
「フレイアール、貴方はどうする? 外で待ってる?」
『いや……』
そのままフレイアールは『化身封印』の魔法を唱え、私には馴染み深い小竜の姿に戻っていた。
やはり、この子はこの姿が可愛らしい。
ふわふわと私の周りを飛び回るフレイアールは愛嬌があって好きだ。
もちろん、大きな成竜の状態もすごく凛々しくて、頼れる存在だし、嫌いじゃないけどね。
(母様、早く行こうよー!)
「……ふふっ、そうね。早く行きましょう」
(うん! 母様はぼくが守ってみせるからね!)
両手をむん、と握りしめて、ちょっと凛々しい顔をしてアピールしてくるフレイアールを微笑ましげに感じながら、ギギギ……と金属が擦れるような音共に扉をゆっくりと開いた。
少々暗いそこは少しほこりくさいというか……あまり清掃が行き届いていないような印象を受ける。
どうやら魔法の灯の方は生きているようで、道具に魔力を込めると次々と明かりが灯っていって、内部がよく見渡せるようになった。
一階の方はどうやらロビーのようで、正面には大きな階段があり、二階に続いているようだ。
一応左右にもいくつか扉があって、城ということを含めても探索しなければいけない場所は少し多いようだ。
生きている者の気配が全くしないところから誰もいないような感じはするんだけど……魔法の灯の件といい、妙に生活感の残ってるここは、少なくとも最近まで誰かがいた……ということは間違いないと思う。
(なんだか変な場所だね……。少し気分が悪くなってくるよ)
フレイアールは何かを感じているようで、きょろきょろと周囲を観察するように警戒している。
……案外、兵士を連れてこないで私とフレイアールだけで来たのは正解かもしれない。
いざとなったら一人でもなんとか出来る者じゃないと、ここに来るには勇気が必要だろう。
ここを見つけた兵士たちが、功を焦って調査しようとしなくて本当に良かった。
「フレイアール、二手に分かれましょう。私は一階で、貴方は二階……良いわね?
しばらくしたらこのロビーでおちあいましょう。」
(はーい)
フレイアールは元気に片手を上げて、ふわふわと上の方に飛んでいった。
さて、私の方も一階を探索してみましょうか。
――
一階の大きな階段の左右から奥に進めるようになっている扉の方は、一つの場所に繋がっているようで、どうやら横長に広い場所に出てきた。
ダイニングテーブルがあるところから、恐らく食堂なのではないかと思う。
多少古臭いながらもかなり飾られているようで……これが建った当初であるなら、さぞかし綺麗だっただろう。
しかし、あまり見たことがない様式のような気がする。
少なくとも魔人・猫人・狐人・獣人……と色々な種族の城に行った事があるはずだけれど、そのどれにも該当しないような気がする。
わざわざこんな横に長いテーブルを使う必要なんて全く無いからだ。
どことなく見栄が感じるこれは……もしかしてここはエルフ族の城なのではないか? という疑問が湧き上がってきた。
彼らは自分たちを一番優秀な種族だと勘違いしていた種族だったし、他の種族と違う……という意識の現れなのかもしれない。
まだ確証は持てないけど……もしそうだとしたら聖黒族のいたと言われる地域になんでエルフ族の城が? という疑問が出てくる。
その後も一階の部屋を見て回ったのだけれど、どうにも古臭いだけの城にしか見えない。
いくつかの応接室、キッチン、後はこの城で働いている使用人の部屋が奥にあるくらいだ。
昔の生活が多少残ってるような気もするけど、それ以上に真新しいものは見つからなかった。
後は、一階の通路に地下へと続く階段があったぐらいか。
さて、どうしよう……大体見終わったしこれ以上この一階で見るべきところはないだろう。
かといってフレイアールはまだ二階の探索が終わっていないみたいようで、ロビーの方には降りてくるような気配を感じられない。
本当はフレイアールが来るまで待っていたほうが良いのだろうけど……このままでは事態はなにも進まないし、地下に降りてみてもいいかもしれない。
そう決断した私は、アイテム袋からランプを取り出して暗い闇の底に続いていそうな地下への階段を、ゆっくりと降りていった……。
0
お気に入りに追加
108
あなたにおすすめの小説
孤児のTS転生
シキ
ファンタジー
とある地球という星に住む男は仕事帰りに通り魔により殺されてしまった。
次に目を開けた時、男の頭の中には一人の少女の記憶が駆け巡り自分が今置かれている状況を知る。
此処は地球という星ではなく科学の代わりに魔法が発展した俗に言う異世界という所だった。
記憶によれば自分は孤児であり街の片隅にあるスラムにいるらしい。
何をするにもまず動かなくてはならない。
今日も探索、採取、狩猟、研究をする日々。
自分がまったりする日は少ししかない。
年齢5歳の身体から始まる鬼畜な世界で生き抜く為、今日も頑張ります!
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※
ブラック・スワン ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~
碧
ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)
駆け落ちした姉に代わって、悪辣公爵のもとへ嫁ぎましたところ 〜えっ?姉が帰ってきた?こっちは幸せに暮らしているので、お構いなく!〜
あーもんど
恋愛
『私は恋に生きるから、探さないでそっとしておいてほしい』
という置き手紙を残して、駆け落ちした姉のクラリス。
それにより、主人公のレイチェルは姉の婚約者────“悪辣公爵”と呼ばれるヘレスと結婚することに。
そうして、始まった新婚生活はやはり前途多難で……。
まず、夫が会いに来ない。
次に、使用人が仕事をしてくれない。
なので、レイチェル自ら家事などをしないといけず……とても大変。
でも────自由気ままに一人で過ごせる生活は、案外悪くなく……?
そんな時、夫が現れて使用人達の職務放棄を知る。
すると、まさかの大激怒!?
あっという間に使用人達を懲らしめ、それからはレイチェルとの時間も持つように。
────もっと残忍で冷酷な方かと思ったけど、結構優しいわね。
と夫を見直すようになった頃、姉が帰ってきて……?
善意の押し付けとでも言うべきか、「あんな男とは、離婚しなさい!」と迫ってきた。
────いやいや!こっちは幸せに暮らしているので、放っておいてください!
◆小説家になろう様でも、公開中◆
異世界転移は草原スタート?!~転移先が勇者はお城で。俺は草原~
ノエ丸
ファンタジー
「ステータスオープン!」シーン「——出ねぇ!」地面に両手を叩きつけ、四つん這いの体制で叫ぶ。「クソゲーやんけ!?」
――イキナリ異世界へと飛ばされた一般的な高校ソラ。
眩い光の中で、彼が最初に目にしたモノ。それは異世界を作り出した創造神――。
ではなくただの広い草原だった――。
生活魔法と云うチートスキル(異世界人は全員持っている)すら持っていない地球人の彼はクソゲーと嘆きながらも、現地人より即座に魔法を授かる事となった。そして始まる冒険者としての日々。
怖いもの知らずのタンクガールに、最高ランクの女冒険者。果てはバーサーカー聖職者と癖のある仲間達と共に異世界を駆け抜け、時にはヒーラーに群がられながらも日々を生きていく。
悪役令嬢クリスティーナの冒険
神泉灯
ファンタジー
HJネット小説大賞2018 一次選考通過。
第2回ファミ通文庫大賞 中間選考通過。
侯爵令嬢クリスティーナは十四歳の誕生日に、両親から王子との婚約が決まったと告げられたその時、頭にとんでもない激痛が走り、前世の日本での記憶を思い出した。
そして、その記憶と今世の状況に、愕然とする。
この世界は、前世で一度だけプレイしたことのあるファンタジー乙女ゲーム、ドキラブ学園の世界だった。
しかもクリスティーナはヒロインではなく、攻略対象との恋路を邪魔する悪役令嬢。
このままゲーム通りに進むと、破滅の未来が待っている。
修道院送り。国外追放。投獄。最悪、処刑。
彼女は破滅の未来を回避するために、頭をフル回転させ、対策を練った。
結果。ダメだった。
謂れの無い罪で糾弾され、婚約破棄され、断罪され、王国の処刑場、竜の谷に落とされたクリスティーナは、なんとか墜落死は免れたものの、今度は竜の群れに襲われて絶体絶命。
その時、颯爽と現れ助けてくれた青年ラーズは、ゲームクリア後に登場するオマケキャラ。
彼はとある剣を探していると言うのだけど、それは続編ドキラブ学園2に登場する武器。
しかしドキラブ学園2の物語が始まるのは、婚約破棄から一年後のはず。
続編ゲームがまだ始まっていない今の時期に、なぜラーズは一人で剣を探しているのか?
ラーズはクリスティーナが剣の所在地を知っていることに気付き、剣まで案内してくれれば、代わりに護衛をするという取引を持ちかける。
クリスティーナはそれを承諾し、彼女たちの剣を求める冒険の旅が始まった。
処刑から始まる悪役令嬢の冒険物語。
ヒロインの悪辣さにムナクソ悪くなると思います。苦手な方はご注意を。最後はちゃんとざまぁされます。
[鑑定]スキルしかない俺を追放したのはいいが、貴様らにはもう関わるのはイヤだから、さがさないでくれ!
どら焼き
ファンタジー
ついに!第5章突入!
舐めた奴らに、真実が牙を剥く!
何も説明無く、いきなり異世界転移!らしいのだが、この王冠つけたオッサン何を言っているのだ?
しかも、ステータスが文字化けしていて、スキルも「鑑定??」だけって酷くない?
訳のわからない言葉?を発声している王女?と、勇者らしい同級生達がオレを城から捨てやがったので、
なんとか、苦労して宿代とパン代を稼ぐ主人公カザト!
そして…わかってくる、この異世界の異常性。
出会いを重ねて、なんとか元の世界に戻る方法を切り開いて行く物語。
主人公の直接復讐する要素は、あまりありません。
相手方の、あまりにも酷い自堕落さから出てくる、ざまぁ要素は、少しづつ出てくる予定です。
ハーレム要素は、不明とします。
復讐での強制ハーレム要素は、無しの予定です。
追記
2023/07/21 表紙絵を戦闘モードになったあるヤツの参考絵にしました。
8月近くでなにが、変形するのかわかる予定です。
2024/02/23
アルファポリスオンリーを解除しました。
空間魔法って実は凄いんです
真理亜
ファンタジー
伯爵令嬢のカリナは10歳の誕生日に実の父親から勘当される。後継者には浮気相手の継母の娘ダリヤが指名された。そして家に置いて欲しければ使用人として働けと言われ、屋根裏部屋に押し込まれた。普通のご令嬢ならここで絶望に打ちひしがれるところだが、カリナは違った。「その言葉を待ってました!」実の母マリナから託された伯爵家の財産。その金庫の鍵はカリナの身に不幸が訪れた時。まさに今がその瞬間。虐待される前にスタコラサッサと逃げ出します。あとは野となれ山となれ。空間魔法を駆使して冒険者として生きていくので何も問題ありません。婚約者のイアンのことだけが気掛かりだけど、私の事は死んだ者と思って忘れて下さい。しばらくは恋愛してる暇なんかないと思ってたら、成り行きで隣国の王子様を助けちゃったら、なぜか懐かれました。しかも元婚約者のイアンがまだ私の事を探してるって? いやこれどーなっちゃうの!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる