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第1章・底辺領土の少女魔王
間話・賢き猫たちの長として 前
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――カッフェー視点――
ボクがディトリアでの会談を終えてケルトシルに戻った頃には半月ぐらい過ぎてたにゃー。
「やばいにゃー、やばいにゃー。もう半月も過ぎてるなんて聞いてないにゃー」
後一ヶ月半。他の賢猫の面々との話し合って、そこから書類作成にディトリアに来訪……やること多いにゃー。
せめて半年とかにしとけば良かったかにゃー。
「仕方ないにゃー。あの(今の)フェーシャさまよりも面倒くさいのを相手にしなきゃいけないのが悪いのにゃー」
憂鬱気味になってしまったにゃー……とはいえとうとうここに帰ってきてしまいましたにゃー。半月ぐらいしか離れてないけど、懐かしい香りがするにゃー。
白い家の数々が当たり前のように建ってて、ボクら猫人族の姿を見るとどことなく安心感を覚えるにゃー。
「カッフェー様! おかえりなさいませにゃ!」
「うん、今帰ったにゃー」
一際大きいボクのお家に帰ってくると、メイドの一人が帰りに気づいてとことここっちにやってきたにゃー。
うん、やっぱりメイドは猫人族に限りますにゃー。
ティファリス女王の隣にいつもいる青い髪のメイドも可愛いですけど、ボクたちの感性的にはやっぱりこっちですにゃー。特にボクと同じ長毛種がなお良いですにゃー。
「カッフェー様、賢猫のレディクア様が会議の開催をお伝えするようにと、仰せつかっておりますにゃー」
「にゃは……やっぱりそうなるのにゃー」
全く……めざといのにゃー。大方街に帰ってすぐに知らせが入ったんだろうにゃー。
ボクもこれでも疲れてるから休ませてほしいのにゃー。んー……行きたくないですにゃー……。
「どうしても行かないとダメなのかにゃー?」
「あ、あたしに聞かれましても困りますにゃ……」
もうちょっとゆっくりしたかったけど、しょうがないにゃー。
遅れたらもっと酷いことになりそうだからにゃー。
「ありがとうにゃー。ボクはこのまま賢猫会議に出席するから、お家のお掃除、よろしくにゃー」
「はいにゃ! いってらっしゃいませにゃ!」
両手をぶんぶん振って見送ってくれてるメイドに片手を上げて挨拶をして、お城の近くにある会議場に向かってのらりくらりと時間を稼ぐように歩いていこうかにゃー。
――
「いつまでかかってんにゃ。来るのが遅いんにゃ」
会議場にやってきた途端のこの罵声だにゃー。
茶色の毛に黒色の点々が入って複雑な模様が素敵なレディクアが早速文句を言ってきたにゃー。
せっかくすぐここに来たのに、なんて扱いだにゃー。
「ボク、帰ったきたばかりなのにゃー……もうちょっと労ってくれてもいいのににゃー……」
「なにいってんにゃ。帰ってきたらさっさと報告。当然にゃ」
「いやただ単に君が知りたいだけだろうがにゃー」
「そんなもんどっちでもいいんにゃ!」
「まあいいにゃー」
ボクの定位置である一番高い椅子に座って、そのふわふわな座り心地を確かめていると残りの賢猫が続々と入ってきたにゃー。
黄色の目でまっすぐボクを見てる茶トラのネア。
綺麗な緑色の目をした褐色に黒色キジトラのエシカ。
灰色に近い白に、黒い縞に近い模様の青と金のオッドアイ猫のファガトの三人と、ボクとレディクアの五賢猫が勢揃いだにゃー。
「おお、カッフェー様、帰ってきたのかみゃ」
「ネア、半月ぶりだにゃー」
「ちょっと、帰ってくるのが遅いんじゃないかしにゃ」
「ボク、これでも結構早く帰って来たんだにゃー。エシカは冷たいにゃー」
「……お疲れさまだにゃあ」
「そう思うなら休ませてほしいにゃー」
「……だめにゃあ」
それぞれがボクに挨拶をすると、自分の指定席に次々と座っていくにゃー。
ネアとレディクアはボクの隣と言ってもいい席で、エシカとファガトはボクから見て前、って感じだにゃー。
「それじゃ、賢猫会議をはじめていこうと思うんにゃ。まずは今回のリーティアス・アールガルムとの会談結果を聞きたいんにゃ」
「わかったにゃー。ボクたちケルトシルとアールガルムがしばらくの間、リーティアスを人員や物資の援助をすることになったにゃー」
「しばらくっていつまでなんにゃ?」
「しばらくはしばらくにゃー」
早速レディクアがボクの報告に突っかかってくるにゃー。もうちょっと最後まで聞いてほしいにゃー。
「貿易の方は基本的にアールガルムの村や町をいくつか経由していくことになりそうにゃー。リーティアスはボクたちからすればちょっと遠いから、これはしょうがないにゃー」
「よくジークロンド王が許してくれたかしにゃ。フェーシャが――」
「エシカ」
ジークロンド王やティファリス女王などがフェーシャさまのことを呼び捨てにするのはしょうがないことだにゃー。
でも、家臣が礼を取るべき相手をそのように呼ぶことは絶対に許さないにゃー。
「わ、わかったかしにゃ。悪かったかしにゃ」
「謝る相手が違うにゃー。ボクに謝ってどうするにゃー」
ボクの威圧に耐えきれなくなったのかエシカはたじたじでボクに謝ってるけど……この調子じゃまた起こりそうだにゃー。
「初めに言っておくけど、フェーシャさまはこの国の魔王さまにゃー。どんな事情があったとは言え、何をやらかしていたとは言え、言葉の選び方は気をつけると良いにゃー」
牽制を掛けるように四人の顔を順々に眺めていったにゃー。
こうして圧をかけておかないと、また同じことをしでかしそうなのがいるからにゃー。
「エシカの気持ちもわかるんにゃ。わたしたちは随分フェーシャさまに苦心させられたんにゃ。
カッフェーさまもそれぐらいで息巻いてちゃだめなんにゃ」
「それを一度許したらあとはなあなあになるにゃー。最初が肝心にゃー」
「……早く話の続き、しようにゃあ」
「そうみゃ。フェーシャ様はまだこの国に帰ってこないし、このことは後回しでいいみゃ」
エシカとレディクアとは対象的に、ファガトとネアは心底どうでも良さそうに話してるのがなんとも嘆かわしいにゃー。
「……わかったにゃー。援助は穀物を中心とした小麦にバターやチーズ、ケルトシルで採れる鉱石を中心に行う予定にゃー。後は状況に応じてかにゃー。アールガルムはともかく、リーティアスは復興が終わるまで商人は通行制限をかけることになりそうだにゃー。今はあっちに行かれて妙な商売されても困るからにゃー」
「小麦? リーティアスは小麦を作ってないのんにゃ?」
「ティファリス女王が品質の違いで味が違うっていってたにゃー。それに食料が足りなくなる可能性を考えて、とのことにゃー」
「うん、味は大事みゃ。量も味もバランスが大切みゃ。片方に寄ってちゃだめなのみゃ」
ボクの説明ではイマイチ理解できなかったのか、レディクアは相変わらず頭をかしげていたにゃー。
だけど食べ物の話になったことで、今度はネアの食いつきがよくなってきたにゃー。本当に、ぶれないにゃー。
「……最初はそれでいいかもにゃあ。後からそれをダシにして有利にたてばいいのにゃあ」
「そんなことする気、全くないにゃー。リーティアスが復興したら、そのまま普通に友好国として付き合っていく予定にゃー」
ボクのその言葉に信じられないというような目でファガトとエシカがこっちを見てたにゃー。
この二人は最近賢猫になったばかりだからか、実績が欲しくてしょうがないんだろうにゃー。
「こっちはフェーシャ様の件で負い目があるんにゃ。そんな恩を仇で返すような真似してたらわたしたちの印象は悪くなる一方になんにゃ」
「そんなの気にしてたらケルトシルは発展できないかしにゃ! ……フェーシャ様も本当に厄介なことをしでかしてくれたかしにゃ。それがなければわたしたちも強気に出られたかしにゃ」
たとえフェーシャ様がティファリス女王に粗相してなくてもそんなバカなことしないけどにゃー。
なんでボクたちから自殺するようなことしなきゃいけないのにゃー。
「カッフェー様は甘すぎるのにゃあ」
「じゃあファガトはどうすればいいと思うにゃー?」
「……表面上は友好的に付き合っていけばいいにゃあ。利用するとこだけ利用して、使えなくなったら切り捨てればいいにゃあ」
それが出来るだけの国力があったらそもそもフェーシャ様が操られることはなかったにゃー。
「それはいい考えかしにゃ! ついでに技術とか人とかも盗めればいいかしにゃ!」
「そうしてエルガルムの二の舞になれっていうのかにゃー? ボクはごめんだにゃー」
ボクの言葉にムッとした表情でこっちを見るファガトとエシカ。
だってそうだにゃー。ボクだって命は惜しいにゃー。
「わたしもいやだみゃ。盗んだって使いこなせなきゃ意味ないみゃ。変に色々しちゃってシードーラのお肉が食べられないのは困るみゃ」
相変わらず食べ物への自己主張が強いにゃー。ネアはそういう食料が絡む方面では情熱的なのに、なんで他で活かせないかにゃー。
「やっぱりケットシーに行かせたのが間違いだったかしにゃ! もっと使える者を送っていれば、フェーシャ様の対応で後手に回ることはなかったかしにゃ!」
「……そのとおりだにゃあ。それに、ケットシーはティファリス女王に献上したという形で収まったけど、上司カッフェー様がまだ責任をとってませんにゃあ」
えぇー……今そういうこというかにゃー?
自分たちの思い通りに出来ないからってちょっとあんまりなんじゃないかにゃーってボクは思うにゃー。
ほら、レディクアも相当渋い顔してるにゃー。女の子がそんな顔したらダメにゃー。
「それ、今の話になにか関係あるのかにゃー? それだったらあの会議の時に自分たちが送ってほしい使者を推薦すればよかったにゃー」
「そんなの、今のわたしたちと同じかしにゃ。結局理由をつけてダメにされるかしにゃ」
「……僕らはなにも責任追及をしてる訳じゃないですにゃあ。ただ、カッフェー様はもっと後進の意見を積極的に取り入れるべきだと言ってますにゃあ。これじゃあ独裁だにゃあ」
頭が痛くなってきたにゃー。
ボクにはこの扱いでも、外に出るとまともなことを言ってる辺りフェーシャ様よりよっぽどタチが悪いにゃー。
何かを成したい、自分の考えで国を動かしたい、支持してくれてるみんなの役に立ちたい……その考えは立派だと思うにゃー。
でも問題なのはその気持ちだけが先走りすぎて完全に暴走してるにゃー。こんな幼い考えしか出来ないのが賢猫を名乗ってるだなんて本当に情けなくなってくるにゃー。
……仕方ないにゃー。これ以上優しく言っても聞きそうにないなら、ちょっと厳しく言ってわからせてやるしかないにゃー。
ボクもいい加減腹が立ってきたしにゃー。
ボクがディトリアでの会談を終えてケルトシルに戻った頃には半月ぐらい過ぎてたにゃー。
「やばいにゃー、やばいにゃー。もう半月も過ぎてるなんて聞いてないにゃー」
後一ヶ月半。他の賢猫の面々との話し合って、そこから書類作成にディトリアに来訪……やること多いにゃー。
せめて半年とかにしとけば良かったかにゃー。
「仕方ないにゃー。あの(今の)フェーシャさまよりも面倒くさいのを相手にしなきゃいけないのが悪いのにゃー」
憂鬱気味になってしまったにゃー……とはいえとうとうここに帰ってきてしまいましたにゃー。半月ぐらいしか離れてないけど、懐かしい香りがするにゃー。
白い家の数々が当たり前のように建ってて、ボクら猫人族の姿を見るとどことなく安心感を覚えるにゃー。
「カッフェー様! おかえりなさいませにゃ!」
「うん、今帰ったにゃー」
一際大きいボクのお家に帰ってくると、メイドの一人が帰りに気づいてとことここっちにやってきたにゃー。
うん、やっぱりメイドは猫人族に限りますにゃー。
ティファリス女王の隣にいつもいる青い髪のメイドも可愛いですけど、ボクたちの感性的にはやっぱりこっちですにゃー。特にボクと同じ長毛種がなお良いですにゃー。
「カッフェー様、賢猫のレディクア様が会議の開催をお伝えするようにと、仰せつかっておりますにゃー」
「にゃは……やっぱりそうなるのにゃー」
全く……めざといのにゃー。大方街に帰ってすぐに知らせが入ったんだろうにゃー。
ボクもこれでも疲れてるから休ませてほしいのにゃー。んー……行きたくないですにゃー……。
「どうしても行かないとダメなのかにゃー?」
「あ、あたしに聞かれましても困りますにゃ……」
もうちょっとゆっくりしたかったけど、しょうがないにゃー。
遅れたらもっと酷いことになりそうだからにゃー。
「ありがとうにゃー。ボクはこのまま賢猫会議に出席するから、お家のお掃除、よろしくにゃー」
「はいにゃ! いってらっしゃいませにゃ!」
両手をぶんぶん振って見送ってくれてるメイドに片手を上げて挨拶をして、お城の近くにある会議場に向かってのらりくらりと時間を稼ぐように歩いていこうかにゃー。
――
「いつまでかかってんにゃ。来るのが遅いんにゃ」
会議場にやってきた途端のこの罵声だにゃー。
茶色の毛に黒色の点々が入って複雑な模様が素敵なレディクアが早速文句を言ってきたにゃー。
せっかくすぐここに来たのに、なんて扱いだにゃー。
「ボク、帰ったきたばかりなのにゃー……もうちょっと労ってくれてもいいのににゃー……」
「なにいってんにゃ。帰ってきたらさっさと報告。当然にゃ」
「いやただ単に君が知りたいだけだろうがにゃー」
「そんなもんどっちでもいいんにゃ!」
「まあいいにゃー」
ボクの定位置である一番高い椅子に座って、そのふわふわな座り心地を確かめていると残りの賢猫が続々と入ってきたにゃー。
黄色の目でまっすぐボクを見てる茶トラのネア。
綺麗な緑色の目をした褐色に黒色キジトラのエシカ。
灰色に近い白に、黒い縞に近い模様の青と金のオッドアイ猫のファガトの三人と、ボクとレディクアの五賢猫が勢揃いだにゃー。
「おお、カッフェー様、帰ってきたのかみゃ」
「ネア、半月ぶりだにゃー」
「ちょっと、帰ってくるのが遅いんじゃないかしにゃ」
「ボク、これでも結構早く帰って来たんだにゃー。エシカは冷たいにゃー」
「……お疲れさまだにゃあ」
「そう思うなら休ませてほしいにゃー」
「……だめにゃあ」
それぞれがボクに挨拶をすると、自分の指定席に次々と座っていくにゃー。
ネアとレディクアはボクの隣と言ってもいい席で、エシカとファガトはボクから見て前、って感じだにゃー。
「それじゃ、賢猫会議をはじめていこうと思うんにゃ。まずは今回のリーティアス・アールガルムとの会談結果を聞きたいんにゃ」
「わかったにゃー。ボクたちケルトシルとアールガルムがしばらくの間、リーティアスを人員や物資の援助をすることになったにゃー」
「しばらくっていつまでなんにゃ?」
「しばらくはしばらくにゃー」
早速レディクアがボクの報告に突っかかってくるにゃー。もうちょっと最後まで聞いてほしいにゃー。
「貿易の方は基本的にアールガルムの村や町をいくつか経由していくことになりそうにゃー。リーティアスはボクたちからすればちょっと遠いから、これはしょうがないにゃー」
「よくジークロンド王が許してくれたかしにゃ。フェーシャが――」
「エシカ」
ジークロンド王やティファリス女王などがフェーシャさまのことを呼び捨てにするのはしょうがないことだにゃー。
でも、家臣が礼を取るべき相手をそのように呼ぶことは絶対に許さないにゃー。
「わ、わかったかしにゃ。悪かったかしにゃ」
「謝る相手が違うにゃー。ボクに謝ってどうするにゃー」
ボクの威圧に耐えきれなくなったのかエシカはたじたじでボクに謝ってるけど……この調子じゃまた起こりそうだにゃー。
「初めに言っておくけど、フェーシャさまはこの国の魔王さまにゃー。どんな事情があったとは言え、何をやらかしていたとは言え、言葉の選び方は気をつけると良いにゃー」
牽制を掛けるように四人の顔を順々に眺めていったにゃー。
こうして圧をかけておかないと、また同じことをしでかしそうなのがいるからにゃー。
「エシカの気持ちもわかるんにゃ。わたしたちは随分フェーシャさまに苦心させられたんにゃ。
カッフェーさまもそれぐらいで息巻いてちゃだめなんにゃ」
「それを一度許したらあとはなあなあになるにゃー。最初が肝心にゃー」
「……早く話の続き、しようにゃあ」
「そうみゃ。フェーシャ様はまだこの国に帰ってこないし、このことは後回しでいいみゃ」
エシカとレディクアとは対象的に、ファガトとネアは心底どうでも良さそうに話してるのがなんとも嘆かわしいにゃー。
「……わかったにゃー。援助は穀物を中心とした小麦にバターやチーズ、ケルトシルで採れる鉱石を中心に行う予定にゃー。後は状況に応じてかにゃー。アールガルムはともかく、リーティアスは復興が終わるまで商人は通行制限をかけることになりそうだにゃー。今はあっちに行かれて妙な商売されても困るからにゃー」
「小麦? リーティアスは小麦を作ってないのんにゃ?」
「ティファリス女王が品質の違いで味が違うっていってたにゃー。それに食料が足りなくなる可能性を考えて、とのことにゃー」
「うん、味は大事みゃ。量も味もバランスが大切みゃ。片方に寄ってちゃだめなのみゃ」
ボクの説明ではイマイチ理解できなかったのか、レディクアは相変わらず頭をかしげていたにゃー。
だけど食べ物の話になったことで、今度はネアの食いつきがよくなってきたにゃー。本当に、ぶれないにゃー。
「……最初はそれでいいかもにゃあ。後からそれをダシにして有利にたてばいいのにゃあ」
「そんなことする気、全くないにゃー。リーティアスが復興したら、そのまま普通に友好国として付き合っていく予定にゃー」
ボクのその言葉に信じられないというような目でファガトとエシカがこっちを見てたにゃー。
この二人は最近賢猫になったばかりだからか、実績が欲しくてしょうがないんだろうにゃー。
「こっちはフェーシャ様の件で負い目があるんにゃ。そんな恩を仇で返すような真似してたらわたしたちの印象は悪くなる一方になんにゃ」
「そんなの気にしてたらケルトシルは発展できないかしにゃ! ……フェーシャ様も本当に厄介なことをしでかしてくれたかしにゃ。それがなければわたしたちも強気に出られたかしにゃ」
たとえフェーシャ様がティファリス女王に粗相してなくてもそんなバカなことしないけどにゃー。
なんでボクたちから自殺するようなことしなきゃいけないのにゃー。
「カッフェー様は甘すぎるのにゃあ」
「じゃあファガトはどうすればいいと思うにゃー?」
「……表面上は友好的に付き合っていけばいいにゃあ。利用するとこだけ利用して、使えなくなったら切り捨てればいいにゃあ」
それが出来るだけの国力があったらそもそもフェーシャ様が操られることはなかったにゃー。
「それはいい考えかしにゃ! ついでに技術とか人とかも盗めればいいかしにゃ!」
「そうしてエルガルムの二の舞になれっていうのかにゃー? ボクはごめんだにゃー」
ボクの言葉にムッとした表情でこっちを見るファガトとエシカ。
だってそうだにゃー。ボクだって命は惜しいにゃー。
「わたしもいやだみゃ。盗んだって使いこなせなきゃ意味ないみゃ。変に色々しちゃってシードーラのお肉が食べられないのは困るみゃ」
相変わらず食べ物への自己主張が強いにゃー。ネアはそういう食料が絡む方面では情熱的なのに、なんで他で活かせないかにゃー。
「やっぱりケットシーに行かせたのが間違いだったかしにゃ! もっと使える者を送っていれば、フェーシャ様の対応で後手に回ることはなかったかしにゃ!」
「……そのとおりだにゃあ。それに、ケットシーはティファリス女王に献上したという形で収まったけど、上司カッフェー様がまだ責任をとってませんにゃあ」
えぇー……今そういうこというかにゃー?
自分たちの思い通りに出来ないからってちょっとあんまりなんじゃないかにゃーってボクは思うにゃー。
ほら、レディクアも相当渋い顔してるにゃー。女の子がそんな顔したらダメにゃー。
「それ、今の話になにか関係あるのかにゃー? それだったらあの会議の時に自分たちが送ってほしい使者を推薦すればよかったにゃー」
「そんなの、今のわたしたちと同じかしにゃ。結局理由をつけてダメにされるかしにゃ」
「……僕らはなにも責任追及をしてる訳じゃないですにゃあ。ただ、カッフェー様はもっと後進の意見を積極的に取り入れるべきだと言ってますにゃあ。これじゃあ独裁だにゃあ」
頭が痛くなってきたにゃー。
ボクにはこの扱いでも、外に出るとまともなことを言ってる辺りフェーシャ様よりよっぽどタチが悪いにゃー。
何かを成したい、自分の考えで国を動かしたい、支持してくれてるみんなの役に立ちたい……その考えは立派だと思うにゃー。
でも問題なのはその気持ちだけが先走りすぎて完全に暴走してるにゃー。こんな幼い考えしか出来ないのが賢猫を名乗ってるだなんて本当に情けなくなってくるにゃー。
……仕方ないにゃー。これ以上優しく言っても聞きそうにないなら、ちょっと厳しく言ってわからせてやるしかないにゃー。
ボクもいい加減腹が立ってきたしにゃー。
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