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第二章 リータ魔王国復興編
第17話 「リータ魔王国復興計画」
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その後私は少し休憩を提案し、ふたりでくつろぐ時間を過ごした。気持ちが落ち着いたところで、レイアがまた話を始める。
「さて、まずすべき事なのじゃが、傷つき崩壊が進んでしまった魔王城を立て直さねばならぬ」
「そうだな。私達人間にも原因があるし、率先してやるよ」
「うむ。その後、失った魔物達を復活させるつもりじゃ」
「それはレイアができるのか?」
「うむ。魔王じゃからな。ただし、失った数が多いから、膨大な魔力を必要とするのじゃ。それに、四天王や階層ボス達のような強い魔物は、わらわでも復活させることはできぬ」
「それは痛手じゃないか。何とか復活させられないのか?」
「肉体をある程度復元することまではできるのじゃが、魂を呼び戻すことができぬのじゃ」
「あ!」
私はふと考えがひらめく。
「何じゃ?」
「肉体を復元できるなら、復活させてあげれるかもしれない」
「え?? タクトがか?」
「やってみないとわからないが、聖魔法の蘇生でいけるなら、できるかもしれない。まだ複数は無理だけど、一体ずつなら何とかなるかも」
「おお、それは考えもつかなかった。じゃが、復活させた後、今までの力が戻るかが問題じゃな」
「それは復活させてから考えればいいんじゃないかな」
「確かにそうじゃの。まずはできるかどうか、やってみるかの?」
「そうしよう」
もしできれば、こちらの戦力もかなり充実するはずだ。やらない手はない。
「その後は生活基盤を元の状態に戻しつつ、備蓄と軍勢の再編成じゃな」
「なるほど。食糧や軍資金は必要だもんな」
「うむ。軍資金は何とかなると思うが、食糧問題じゃな」
「わかった。それで全部か?」
「いや、まだある」
レイアはそう言うと、もう1枚の地図をテーブルに乗せる。
「実はの、わらわの国の地下に、《アビス》という深層世界に通ずる場所があるのじゃ」
「アビス?」
「ああ。そこには強力なデーモンロードという種族がおってな。彼らの助けを借りれるよう要請するのじゃ」
「その種族は強いのか?」
「ああ。放置しておくと、魔族とて殺戮を繰り返す凶暴な奴らじゃ。それゆえ、できれば味方に引き入れておきたいのじゃ」
「殺戮か。厄介な奴らだな」
私はレイアの話を聞いて無性に怒りがこみあげてくるのを感じる。
「ああ。奴らは複数おるゆえ、一人ずつ引き入れなければならぬ。わらわとて、複数を相手にするのはきついからのう。じゃが、味方にできればリオリス国との戦争に有利に働く」
ふと、私はレイアの話を聞いていて引っかかっていた事を話す。
「そうなのか。レイア、実は……」
「どうした?」
「アビスってところ、ひょっとしたら行ったことがある場所かもしれなくて」
私がそう言うと、レイアはひどく驚いた表情で返す。
「そんなことは無いと思うぞ。あの場所は人間にとって過酷な場所のはずじゃ」
「確かにそうだったと思う。私がこの世界に召喚されて、まだどこのパーティーにも属していない時だ。エレノーラ様からのミッションで、二人で《深層》というところに行った事があるんだ」
「深層じゃと!?」
「ああ。確かその時に、アビスという言葉を聞いたことがある気がする」
「そこで何をしたのじゃ?」
レイアが興味ありげに尋ねてくる。
「確か、何体、いや何人か、と戦って、友になれたんだ」
「えええええ!!!!」
私の発言にレイアがひどく驚いた。確かに大変ではあったのだが。
「いったい誰なのじゃ?」
「それが…… 他言無用と言われていて、話せないんだ」
「そいつは気になるな。じゃが、友になったという事は、そいつらは味方になってくれるという事だな」
「おそらく、協力してくれると思う」
「タクト、それはすごいことをしたな」
レイアがひどく感心してくれる。
「いったい誰なんじゃ、あやつか、いや、あやつか……」
何か思い出しているのだろうか、考えこみながらブツブツつぶやいている。私は脱線した話を戻そうと思った。
「話の腰を折ってしまって済まない。まずは失った魔族と、この国自体をを元に戻すところからやっていこう」
レイアの表情が明るくなる。
「タクト、感謝する。共に再建していこうぞ」
「ああ。時間はそうないが、一つずつ確実にやっていこう」
私の言葉にレイアも微笑んで頷いてくれる。その後、レイアからもう少し詳しく内容を聞くため、色々と質問し、魔界と魔族についての知識を深めていった。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【まめちしき】
【アビス】…………混沌と悪が実体化した無限の階層を成す奈落界。デーモン・ロードとアーク・デヴィルが支配する次元界である。本作では地底世界である魔界のさらに地底奥深くに存在する深淵世界となっている。
ここまで読んでいただきありがとうございます。ここから主人公タクトが次々と活躍しますので、一緒に読んでいただければ幸いです!
「さて、まずすべき事なのじゃが、傷つき崩壊が進んでしまった魔王城を立て直さねばならぬ」
「そうだな。私達人間にも原因があるし、率先してやるよ」
「うむ。その後、失った魔物達を復活させるつもりじゃ」
「それはレイアができるのか?」
「うむ。魔王じゃからな。ただし、失った数が多いから、膨大な魔力を必要とするのじゃ。それに、四天王や階層ボス達のような強い魔物は、わらわでも復活させることはできぬ」
「それは痛手じゃないか。何とか復活させられないのか?」
「肉体をある程度復元することまではできるのじゃが、魂を呼び戻すことができぬのじゃ」
「あ!」
私はふと考えがひらめく。
「何じゃ?」
「肉体を復元できるなら、復活させてあげれるかもしれない」
「え?? タクトがか?」
「やってみないとわからないが、聖魔法の蘇生でいけるなら、できるかもしれない。まだ複数は無理だけど、一体ずつなら何とかなるかも」
「おお、それは考えもつかなかった。じゃが、復活させた後、今までの力が戻るかが問題じゃな」
「それは復活させてから考えればいいんじゃないかな」
「確かにそうじゃの。まずはできるかどうか、やってみるかの?」
「そうしよう」
もしできれば、こちらの戦力もかなり充実するはずだ。やらない手はない。
「その後は生活基盤を元の状態に戻しつつ、備蓄と軍勢の再編成じゃな」
「なるほど。食糧や軍資金は必要だもんな」
「うむ。軍資金は何とかなると思うが、食糧問題じゃな」
「わかった。それで全部か?」
「いや、まだある」
レイアはそう言うと、もう1枚の地図をテーブルに乗せる。
「実はの、わらわの国の地下に、《アビス》という深層世界に通ずる場所があるのじゃ」
「アビス?」
「ああ。そこには強力なデーモンロードという種族がおってな。彼らの助けを借りれるよう要請するのじゃ」
「その種族は強いのか?」
「ああ。放置しておくと、魔族とて殺戮を繰り返す凶暴な奴らじゃ。それゆえ、できれば味方に引き入れておきたいのじゃ」
「殺戮か。厄介な奴らだな」
私はレイアの話を聞いて無性に怒りがこみあげてくるのを感じる。
「ああ。奴らは複数おるゆえ、一人ずつ引き入れなければならぬ。わらわとて、複数を相手にするのはきついからのう。じゃが、味方にできればリオリス国との戦争に有利に働く」
ふと、私はレイアの話を聞いていて引っかかっていた事を話す。
「そうなのか。レイア、実は……」
「どうした?」
「アビスってところ、ひょっとしたら行ったことがある場所かもしれなくて」
私がそう言うと、レイアはひどく驚いた表情で返す。
「そんなことは無いと思うぞ。あの場所は人間にとって過酷な場所のはずじゃ」
「確かにそうだったと思う。私がこの世界に召喚されて、まだどこのパーティーにも属していない時だ。エレノーラ様からのミッションで、二人で《深層》というところに行った事があるんだ」
「深層じゃと!?」
「ああ。確かその時に、アビスという言葉を聞いたことがある気がする」
「そこで何をしたのじゃ?」
レイアが興味ありげに尋ねてくる。
「確か、何体、いや何人か、と戦って、友になれたんだ」
「えええええ!!!!」
私の発言にレイアがひどく驚いた。確かに大変ではあったのだが。
「いったい誰なのじゃ?」
「それが…… 他言無用と言われていて、話せないんだ」
「そいつは気になるな。じゃが、友になったという事は、そいつらは味方になってくれるという事だな」
「おそらく、協力してくれると思う」
「タクト、それはすごいことをしたな」
レイアがひどく感心してくれる。
「いったい誰なんじゃ、あやつか、いや、あやつか……」
何か思い出しているのだろうか、考えこみながらブツブツつぶやいている。私は脱線した話を戻そうと思った。
「話の腰を折ってしまって済まない。まずは失った魔族と、この国自体をを元に戻すところからやっていこう」
レイアの表情が明るくなる。
「タクト、感謝する。共に再建していこうぞ」
「ああ。時間はそうないが、一つずつ確実にやっていこう」
私の言葉にレイアも微笑んで頷いてくれる。その後、レイアからもう少し詳しく内容を聞くため、色々と質問し、魔界と魔族についての知識を深めていった。
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【アビス】…………混沌と悪が実体化した無限の階層を成す奈落界。デーモン・ロードとアーク・デヴィルが支配する次元界である。本作では地底世界である魔界のさらに地底奥深くに存在する深淵世界となっている。
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