ネットで出会った理想の男性。

一片澪

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04.『父』の来訪。

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「ああすごい、燈子のぐちゃぐちゃのおまんこが丸見えだよ。…そんなに白く泡立てて本当に気持ち良いんだね」
「あっ、そんな事言っちゃ、ヤです」
「好きなくせに」

あれからまた少しの時間が経ち、私は自己認識ではもう完全に彼のメスになっていた。
それでも彼は待つと言う言葉をしっかりと守っていて私から強請った境界線を越えて求めて来る事は無い。でも一度でも許すとその境界線を絶対に超えない範囲で私を甘く優しく責め立ててくれる。

今日の体勢は床に置いたスマホスタンドの少し手前に吸盤式の透明ディルドを設置して彼に背中を向ける体勢で正に犬のように腰を振り続けていた。
繰り返される甘い躾に私は本物の男性を知らないまま中でイく事を覚えたのだがそれは彼が見て、囁いてくれている時だけ。

一度彼の出張先での電話セックスで試した時いくら同じ体勢で腰を振りたくっても私は中でイく事が出来ず結局クリで達するだけだった。
――ごめんなさい。誠さんが見ててくれないとおまんこイき出来ません。
期待に応えられなかった申し訳なさから出た言葉だったのに彼は何故かとても喜んで私に甘い愛を囁いてとっても褒めてくれた。
その次にビデオ通話での時の彼はそれはそれはもう、私をとろけるように満たしてくれたのである。

「アっ……あ、ああっ……おっき、おっきぃ。ぐりぐり、あ……好きぃ」
「ふふふ。“ソレ”で大きいならまだ私は入らないかな」
「ヤぁ……がんばりますっ」

ちらりと振り返りヴェール越しに見えた彼のソレはもう、本当に立派で思わず喉が鳴る。
ディルドを贈ると言った彼は有言実行、即三本SMLの透明ディルドセットを送ってくれたのだけれど、私は前回からようやくMサイズでも怖くなくなったレベルだ。

「一番大きいのが私の勃起時のサイズに一番形も大きさも近いと思うよ」と囁かれた時はちょっと恐れ戦いたけれど確かに画面越しの立派さを思えば納得である。
ちなみにLサイズを私は心の中で誠さん2号と呼んでフェラチオの練習で愛用している。

一度顔は映さず音だけで練習風景を教えた時も誠さんはとっても興奮してくれた。……いつか、多分そう遠くない日に私は生身の彼を求めずにはいられない日が来る。
それはもう確信めいて自分の中にあったが踏み切れない最後の一線で戸惑う意気地なしである私を誠さんは責める事無く今日も許してくれているのだ。

「そのぎこちない腰遣いがまた可愛いんだ。……君は本当に、私の最高の宝物だよ」
「ああっ、も、もっと練習して……上手に、なりますッ から、見ててくださいね」
「っ……勿論だよ」

私の耳にはいつものヘッドセットが装着されていてそこからは誠さんが自分を慰めている粘性の高い音が聞こえる。
これが興奮しているのは自分だけでは無いと言う証拠になって私はもっと馬鹿になってしまうのだ。
羞恥心なんて忘れて腰を前後左右に振りたくり、時にこねくり回すような下品な仕草すら彼に見せ付ける為に喜んで行う。だって誠さんが興奮してくれる事で私は確かに幸せを感じるのだから。

「誠さんッ……お口寂しいからぁ、舐めていいですか」
「いい子だね。構わないよ」
「あぅん……む」

引っ張って来たチェストの側面に張り付けたLサイズを思い切り頬張る。
いつもなら歯を立てない様に練習するけれど今は興奮を発散したいだけなので心のままに下品に唾液を絡ませて好きな様に舐めて吸って、時に鼻に抜けた下品な声を上げて腰を振り立て続けた。
ああ、最高に気持ちいい。

「イきます、誠さんッ……燈子、イきますっ!」
「ああ、いいよ。ちゃんと見せてね」

AVみたいな声なんて絶対出ないと思っていたけれど私は今日も背をのけぞらせて馬鹿みたいに媚びた声でイった。
その後はお互い余韻を楽しんで簡単に身なりを整えて今日もピロートーク中。

誠さんは本当に優しくて一緒に楽しんだ時終わった瞬間にじゃあね! と言った冷たい態度を取る事は絶対に無い。
彼も出しているのは見せて貰っているので賢者タイムとかあると思うのだけれどそれを態度には絶対に出さない所も本当に大好きだ。

「お隣さんはまだ空き室なの?」
「はい。下の集合ポストにテープが貼られたままなのでそうだと思います」
「ふふ、防音はしっかりした物件の角部屋と聞いていたから安心していたけれどお隣さんがいないともっと安心して楽しめるね」
「……なんか恥ずかしいです」
「可愛いよ。でも引越ししてくる気配があったら直ぐに教えてね?君の可愛い声を他人に聞かせるのは許せないし、もし次に住む相手が男だったら危険もある」

きゅうん、とまた心臓が締め付けられた。

「はい。……誠さん、大好きです」
「愛してるよ、燈子。君の中を知っているディルドに嫉妬する位に」
「誠さん…」
「ごめんそう言う意味じゃ無い、気にしないで。私は君とこんな時間を持てるなら本当に構わないんだ」

大好きなのは本当なのに顔を出して実際に会う勇気は出せない私を彼はどう思っているのだろう。
会う勇気は持てないくせにいっちょ前に嫉妬と独占欲は持って居るのだ。
彼と知り合ってもうすぐ二年…そろそろ勇気を出すべきだと自分で思っていた矢先、事態は動いた。


「ぁ……あ………んぅ……イ、イくぅイきますう!あああっ」

この二週間彼は関西に出張で連絡がメッセージだけだった事もありいつもより早急に乱れ、一度達した。
自分でも訳が分からない位腰を振りたくって崩れ落ちると彼は「っ」と驚いた?慌てたように一瞬息を吸ったのを蕩けた頭でどうにか感知する。

「まことさ……? なにか、ありましたか?」
「……ごめんね、会社から電話だ。全く。…風邪をひかない様にして待って居てくれるかな?」
「はい、お仕事がんばってください」

久し振りだったのに会社め…でも、お仕事は大事だから仕方が無い。
そう思って裸のままベッドに戻り疼いた身体のまま待つ。だって一人でシてて良いって言って貰って無いから勝手な事はしたくないのだ。

「誠さん、好き」

馬鹿になった頭で彼が送ってくれた射精のドアップ動画をリピート再生しているとメッセージが来た。

――30分位掛かりそうだから一度洋服を着て、一番最初のプレゼントだけ身に着けて良い子にしていてくれるかな?

「はぁい…」

彼の言葉にノーは無い。
お仕事で待たされる時間すら私の脳内では焦らしプレイの一環のように感じられて言われた通りに遠隔操作バイブを挿入し、部屋着のブラトップワンピースを身に着けてショーツを履いた。

「『ちゃんと着替えてバイブも入れました。お仕事がんばってください』、と」

ふわふわした心地のままいつ震えるか分からないバイブを待ってのんびりしつつも刺激に備えてドキドキしていると不意にインターフォンが鳴ってびくっと身体が跳ねる。

時刻は明日からの三連休を控えた金曜日の22時。
こんな時間に宅配便なんてこないし、基本的に家に呼ぶような友人も社会人になってからはいない。
カメラを確認するでもなく自衛の為無視しようと寝室の中から動かずにいるとスマホが鳴った。電話だ。
それは滅多に電話どころかメッセージすら送って来ない相手だったので慌てて通話ボタンを押す。

「お、お父さんどうしたの? 珍しいね、まさかお母さんに何かあったの?!」

父と最後にまともに会話をしたのはいつだろう?
お正月に家に帰った時も私は泊まらなかったし、軽い挨拶だけしたから……いつだ?そうなるときっと何か大変な事が起きたに違いないと慌てて電話を取る。
するとスマホの向こうに居る父はいつもの様に硬質で短い声で言った。

「母さんは元気だ。今下に居るが、出掛けているのか?」
「え?! 今鳴らしたのまさかお父さん? 怖かったから無視しようって居留守してたの!今開けるね」

バタバタと通話のまま走りカメラを見ると確かに父だった。
学生時代の友人に「透子のパパってイケメンだよね」と言われる現在五十代に突入してもお腹も出ないしハゲても来ない客観的に見るととってもカッコいい父だ。

……誠さんの方が多分素敵だけどね!なんて思いつつロックを外し、父は寝室に入る事は無いだろうけれど一応寝室に戻って見られたら困る物はベッドの中に放り込んで布団で隠す。
そうしている間に父は部屋の前まで来たようで再度インターフォンが鳴った。私は一応確認してからドアを開ける。

「お待たせ、ごめんね。入って入って!」
「いや。若い女性の一人暮らしに自衛は必要だ。……邪魔するぞ」

実の父親に警戒も何も無いので部屋に通す。
お家時間が大好きな私は職場から出る有難い住宅補助手当のおかげもあり1LDKのそこそこ良い部屋に住めているのだ。

実家では自立を大事に教育されたのでいつ誰かが来ても一応部屋に即通せるレベルの掃除は欠かしていないので父をなんの憂いも無く部屋に上げた。
取り敢えずソファを進め、お茶を淹れると宣言しキッチンで小さなケトルに水を入れているとすっかり馴染んだ甘い感覚が私の急所を吸い立てた。――やばい驚きすぎて忘れてた!

「ッ」

――危ない! 父にバレたらまずい一心でなんとか踏み止まれたがそうだ。
調度誠さんが戻ると言っていた時間に差し掛かっている。どうしよう、今のタイミングで電話が来るならまだしもコレで可愛がられたら私……絶対に我慢なんて出来ない!

吐息が漏れないように、ソファに座る父にバレない様に必死に耐えているとふと背後に気配を感じた。

「どうした?体調でも悪いのか?」
「あ、全然! 大丈夫だから座ってて、もうちょっとでお湯沸くから」

さっと戸棚にあるティーバッグを取るフリをして背中を向けるとトン、と身体の両脇に腕がつかれた。
何?と思う間もなく私の身体を知り尽くした誠さんの操作するバイブが一気に滅多に無い最大限の刺激を与えて来たのである。
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