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02.電波の向こうからの快楽。
しおりを挟む『触っちゃ駄目だよ?充電が終わったら一緒に楽しもうね』
かあっと顔が一瞬で赤くなったのが分かった。
それでも平静を装って返事をしたけれど、絶対彼にはバレているようで焦らす様なメッセージが来る。
『最後にオナニーしたのはいつだっけ?』
『月曜日です。オナニーしたくなったら誠さんに言う約束ちゃんと守ってます』
『今日は金曜日だから四日ぶりだね。ちゃんと我慢出来て偉いよ』
ドキドキする。
ああ、声が聞きたい。駄目かな?……駄目だよね?だって奥さんいるからお家に居たら電話なんて無理だよねきっと。
褒めて貰えて嬉しいと返すと彼からのメッセージは続く。
『今の服装は?』
『ワンピースタイプの部屋着です』
『下着を脱いで欲しいな』
もうこうなったら私は彼の操り人形の様になる。
言われるままブラとショーツを脱ぐと完全に濡れ切ったあそこから糸が引いた。
『脱ぎました。もう濡れていて糸引いてます』
知らない相手だから言える恥ずかしい事を言うと誠さんはいつも必ず褒めてくれる。
それが嬉しくて私は恥ずかしい実況中継をしてしまうのだ。
『興奮してくれていて嬉しいな。バイブは細い物を選んだけれど燈子ちゃんは初めてって言ってたから少し慣らしたいんだ。指一本なら入りそうかな?』
「はいりますぅ」
言い忘れていたが私のハンドルネームは燈子だ。本名から漢字の変換を変えただけの至ってシンプルな物である。
余計な事を考えて返事を声で出していた事に気付いた。けれど口頭で答えても伝わらないと知りつつももう言いなりになる事しか出来ない為指を一本ぬるぬるを纏わせて沈める。
ああ、社会人になって流石に少し減ったけれど大学時代は毎日しないと我慢できなかった位オナニーが大好きな私からしたら久し振りの行為に身体は期待しているし、心だって踊る。
念の為言っておくと地味な私は周りの華やかな女性達みたいに長いネイルなんて昔からしていないので爪の心配は皆無な事を誠さんはとっくに知っている。
『また夢中になっているんでしょう?君は本当に可愛いね』
「あっ」
恥ずかしい格好で夢中で一本の指を動かしているとまた通知音がしてふと我に返り慌てて返事をする。
利き手が濡れているので変換や入力を結構な頻度でミスってしまうのだが誠さんはそれすら可愛いと褒めてくれるのだ。
『ごめんなさい、気持ちよくてむちゅうになってました』
『うん大丈夫だよ。そろそろ充電はどう?』
忘れていたおもちゃの存在を思い出すと意外と早く終わっていた。もしかしたら工場出荷時の電池の状態が良かったのかも知れない。
それを誠さんに伝えるとコンドームを被せる様に言われたので生まれて初めて触るそれにどきどきしながら装着して、彼の命令を待つ。
『姿見はある?出来ればベッドか何かに寄りかかって鏡で自分の状態を見ながら挿入して欲しいんだ』
『わかりました、あります』
ああ、どきどきする。
言われた通り部屋の隅から木製の軽い姿見を引っ張って来てベッドに寄りかかった。
そのままラグに座ると汚しそうなのでタオルを敷いたクッションの上に座ってスマホを持つ。
『準備出来ました』
『偉いね。今どんな格好?』
『鏡を目の前に持って来て、ベッドに寄りかかってクッションの上にタオルを敷いて座って足を開いています』
『素敵だね。バイブを割れ目に何度かこすり付けて、愛液が足りない様ならローションを足してみて。痛かったら絶対に無理して挿入してはいけないよ』
「……もう、本当にぐちゃぐちゃなんです…」
恥ずかしいけどもうお尻迄垂れて来ている位だ。
誠さんは心配してくれたけれど私のぐちゃぐちゃのそこは簡単にころんとしたバイブを吸い込んでしまった。
あ、すごい私今初めて指以外の物……入れた。
鏡に映る情けない顔をした自分の顔とあそこを交互に凝視して思わず小さな声が出る。
『するっと入りました、全然痛くないです』
『君は優秀だね。膣に入れた反対の側の部分をクリトリスに合わせてくれるかな?それも大事な機能なんだ』
「??」
良く分からないけれど言われた通りにセットして、彼にそれを報告すると直ぐにメッセージが来た。
『じゃあ始めるよ。楽しもうね』
「…ヒッ?! あ、 うンむっ」
ブブブッと静かに動き出したバイブに思わず声が出て口を塞いだ。
多分最弱設定なのにクリトリスが吸われるという人生初の快感に背中がのけぞって腰が跳ねる。
それと同時に身体の奥の部分にずーん、ずーん、と静かだけど確かな振動が伝わって行くのが分かる。なに、これ……指と全然違う。
「あ、……ああっ! う、んむう」
ベッドに寄りかかっている事が出来ずに床に崩れると自然と足が閉じてそれが元でクリトリスへの吸いつきが強固になる様な感覚がしてまた喘いだ。
目の前に置いた開いたままのスマホには誠さんからのメッセージが来ているけれど返事をする余裕なんて無い。
『どう?初めてのクリ吸引。怖くない様に一番弱いので試してるよ』
「あっ、あー、あ……あン、うぅ」
返事が打ちたくてスマホを持とうとしても時折強くなったり震えが不規則に襲ってくる私はスマホを顔の真横で取り落としてハンドルネームしか知らない父と同年代の男性が何処かで操るおもちゃに翻弄されまくった。
「あ、誠さん、まことしゃ……あ、まこ……ああっ、あ…んー……ああ、まことさ」
スマホに返事なんて出来る筈も無く指示された体勢すら守れず床に無様に倒れてまったく予想できずに動くバイブに喘いでいると顔の真横にあったスマホから落ち着いた低い男性の声がした。
「うん、可愛いね燈子ちゃん。もしかしていつもそうやって私を呼んでくれていたの?」
「へっ?! あ、……いやあっ」
一瞬で我に返ってスマホを見るとなんと音声通話になっているではないか。
どうやら文字を打とうと悪戦苦闘している間に間違って触れてこちらから掛けてしまった様で一瞬で頭の中が真っ白になる。
「あ、嘘だめぇ、ごめんなさい!メッセージだけって約束したのに。奥さん…奥さんにバレちゃう……誠さんとメッセージ出来なくなるのいやあ!ぶるぶるとめて、止めてぇ」
必死の声で言ったのに吸引は弱いままではあるが止まない。
それどころか誠さんはふう、と興奮を抑える様な男性的なうめき声を吐いた後普通の、潜めているとは到底思えない口調で話しを続けて来た。
「大丈夫だよ。私の私室は在宅で仕事をする為に最初から防音設計になっているし、しっかり鍵も掛かる。それに妻も多分恋人の所に遊びに行っているんじゃないかな?昨日から留守だよ」
「あっ……まことさん、ぶるぶるとめて……すうのも、いっかいとめてぇ」
「どうして?こんなに可愛いのに止めちゃうの?」
「イ、 いきそうだから! このままだと、イっちゃうからあ……恥ずかしいから!とめてえ」
そこまで言うと彼はふふふ、と優しく微笑んで、それでもおもちゃは決して止めてくれずにただ甘い声で「可愛いね」とか「良い声だ」とか満足そうに時折呟いている。
「どう?燈子ちゃんはこれからクリ吸いバイブでアクメ決めちゃうのを私に聞かれるんだよ?それだけじゃない。じっくり時間をかけて私はこれから君の身体を開発するんだ」
「あ……あ、駄目そんなっ、……ア、アううう」
「これからイく時はイくってちゃんと教えるって約束しようか?可愛い私の燈子ちゃんなら出来るよね?」
穏やかな落ち着きのある男性の声で甘くそう言われるととてもじゃないけれど逆らえない。
だって私はこんな風に優しく甘く、それでも有無を言わせない様に躾けられるのがずっと夢だったんだから。
「出来ますぅ、イく時は誠さんにきちんとイくって言います!」
「うん、偉いね。可愛い私の燈子ちゃんは私がプレゼントしたバイブに処女を捧げて、クリアクメ実況してくれるんだね」
ああ、なんてことだろう。なんていやらしいんだろう。
穏やかで落ち着いた大人の男性がこんなにいやらしい事を言うなんて……最高に興奮する。
「はい、燈子は誠さんから貰ったバイブで処女喪失してぇ……今からクリアクメ管理して貰います……ああああ、イくっ…イ、いき、あああああっ!!!!!」
絶頂を告げた瞬間クリを吸う力が強くなり、指とは全然違う脳天を貫く様な激しい快感に身体をのけぞらせて喘いだ。
これ以上されたら辛い、になる直前にクリの刺激が消えて余韻を教え込むように身体の奥で震える振動だけが残る。
ああ、コレすごい。こんなの今まで知らなかったなんて私、――馬鹿みたいだ。
イったら今日の通話は終わりかと思ったけれど誠さんは優しく私に後処理を促して、その間も優しいまま色々な話をしてくれた。これもピロートークって言って良いのかな?
余韻と興奮が入り混じって普段よりも遥かに理性が溶けてふにゃふにゃに甘えた口調と態度で彼に色々な話を強請る。だって聞きたい事も話したい事もたくさんあるのだ。
「奥さんには恋人がいるのですか?」
「最近とても楽しそうだからいると思うよ。私と妻は昔で言う政略結婚に近くてね、どちらも親の勧めた相手と結婚せざるを得ない状況だったんだ。自分が投げだせばお互い兄弟に話が回るのは目に見えていたしね」
「え……酷い。お互い好きな人とか居なかったんですか?」
政略結婚なんて単語は漫画や小説でしか聞いた事が無かったので驚きつつも返すと誠さんは困った様に小さく息を吐いてから続ける。
「高校生の時にはもう話が出て、大学を卒業すると直ぐに結婚が決定されていたから感情を振り回される恋の経験は無いかな?妻もそうだと思う。…もうお互いの両親は他界しているけれど面倒な柵自体はあって離婚はとても難しい。自分達の人生は親に敷かれたレールを歩かされるしか無かったからそれもあって子供達には一切干渉しないって夫婦で決めたんだ。結婚してもしなくても恋をする相手が同性でも異性でも、自分の足で生きていくなら許そうってね」
「…そうなんですか。良いお父さんですね」
「だと良いけれど。燈子ちゃんのご両親はどんな人?」
出会い系に近いアプリで出会った相手と普通はこんな話はしないだろうけど私と誠さんの間には一年間のメル友期間があるので信頼度が違う。まあ私だけが勝手に思っているのかも知れないけれど。
「私のお父さんは寡黙な仕事人間…って言えば良いんですかね?出張も多くて、家に居ても書斎で仕事をしている事が多いです。実はあんまり話した記憶も無い位の距離感で嫌いでも苦手でも無いけれど本気で甘えたり喧嘩したりとかそう言うのは無かったかな…。お母さんは元気が良くてとっても社交的で家族仲は良い方だと思いますよ」
「そうか…だから燈子ちゃんは私みたいな年上の男でも相手にしてくれているのかな?」
納得したような誠さんの言葉に私も「そうかも」と素直に頷いた。
その心すら見透かしたように誠さんの甘くて低い穏やかな声が聞こえて来る。
「たくさん甘えて良いよ。我儘だってたくさん聞きたいし、そうしてくれるととても嬉しい」
「もう十分甘えてますよ?」
「全然足りないな。欲しい物があったらなんでもリストに入れて良いからね」
優しさだけを感じさせる言葉にソレは駄目だ、と私はむくれた。
「駄目です!それじゃあパパ活になっちゃいます。私は誠さんとこうやってやり取りできれば良いんです」
「……君は本当に可愛いね」
普段からよく可愛いと言ってくれるけれど一段と甘い、愛しいと言う感情を存分に含んだそれはまさに睦言だった。
ドキドキして思わず口籠ったけれど我満を言っても良いと言う言葉に背中を押されて私は思わず言葉を漏らした。
「誠さん…あ、の」
「何かな?何でも言ってご覧」
多分私が何か物を強請ると思っているのだろう反応な事は分かっていたけれど、どうしても聞いておきたい事だった。
手汗を感じてクッションに敷いていたタオルにそれを拭いつつ意を決して言う。
「い、今って誠さん、何人くらい…相手いますか?」
「……」
結構勇気を出して言ったのに予想外の沈黙が来てこっちも身構えてしまう。
出しゃばった?私、間違えた?ルール違反?めんどくさい女になっちゃった?捨てられる?色んな事が頭をぐるぐる駆け巡って訂正も出来ずにいると、帰って来た言葉は三割増し位で優しかった。
「君だけに決まっているだろう?あんまりおじさんの理性を試すもんじゃないよ」
「だって!おもちゃの…設定とか、すごく慣れてた!」
「調べたんだ。自分の子供と同年代の女性とこんな事するのにリード出来ないと恥ずかしいだろう」
少し拗ねた様に話す彼にきゅんとして私はベッドの中で膝を抱えたまま先程迄の快感を思い出す。
今まで自分を満たすのは自分の指だけだった…でも今日『彼の意志で』動くおもちゃに翻弄される強烈な快楽を知ってしまった。いつかこれでは物足りなくなって彼自身を求めてしまいそうな未来が脳裏を過ったがそれには取り敢えず気付かないふりをして何気なく話を戻す。
「本当に……私だけ?」
「ああ、そうだよ。私は昔から宝物を見付けたら他には目が行かない質なんだ。趣味も好みも一貫して変わっていない言い換えるととても面倒な性格でもあるんだよ」
「……へへ」
だから気を付けてね?なんて冗談めかして重なった言葉も嬉しくて普通に笑い声が出てしまった。
それを聞いた彼も笑って、穏やかな声が戻って来る。
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