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後日談06:いっきゅうけんちくし はじめて すを つくる ! 後編 【完結】
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快適な寝床作りに没頭していた灯莉は久し振りの熟睡からすっきりと目覚めた。
しかし快適だったのは本当に少しの間だけで透麻が目覚めても隣に居ないことを思い出して気持ちが塞ぐ。
「……」
自分で作り上げた寝床の中で小さく伸びをすると廊下の方から何かが動いた気配がした。
なんだ? と思うより先にずっと聞きたかった声がする。
「灯莉さん! もしかして起きました? 入っても良いですか?」
「透麻?」
まだ帰って来る予定には早いと思ったが……と考えたが、取り敢えず灯莉は聞かれた質問に返事をする。
「いや、お前の部屋だろ? 普通に入って来いよ」
意味が分からなくて返すと透麻はさっと顔を出した。
ああ、会いたかった顔だ。元気そうだし機嫌も良さそうだから何かトラブルがあって早めに戻ってこなければならなくなったとかでは無いようだと灯莉は安心する。
しかしいつもなら眠っている自分の隣に猫のようにするりと忍び込んでいつの間にか寝ている透麻が意味不明な位置に居たことが不思議だった灯莉にさらに不思議なことが起こる。
透麻が何故か少し離れた不自然な位置で止まったのだ。
「……なんでお前そこで止まってるんだ?」
心底不思議そうな表情で尋ねた灯莉に透麻は少しだけ照れた様子で返して来た。
「だって……あの、コレって『巣作り』してくれたんですよね? だから『お招き』してもらうまで俺ちゃんと我慢してました」
「す、巣作りッ?!!?」
「――え?」
自分の言葉に本気で驚いた灯莉を見て透麻も驚く。
暫し無言で見詰めあった二人だったが、灯莉は部屋の中を見渡して自分がここ数日夢中で取り組んだことを客観的に見ると確かに否定のしようがないレベルのあからさまな『巣作り』だった。
――ああ、そうか。
本当に難しく考える必要なんてなかったんだな。
あの何度も何度も読み込んだ論文の一説を思い出す。
海外の灯莉と似たような経験をしたΩの『再会後のフェロモンの濃度の上昇は段階的』だったと確かにあった。
それでもどうしても透麻と一緒に過ごして、普通のセックスも日常に溶け込んでいく中で灯莉はいつからか「早くちゃんとしたヒートセックス」をしなければならない、と心の中で考えるようになっていた。
そう。灯莉はあれだけ嫌だったΩに今はもう「ここまで来たらさっさとなってしまいたい」とすら強く思っていたのだ。
自分が急に口籠ったから不安そうに顔を見て来る透麻を見て、灯莉は小さく頷いた。
「お前のフェロモンを探して快適な『寝床』を作るつもりだったけど……そうだな。コレは完全な『巣作り』だな」
「――はい!」
灯莉の肯定的な言葉で透麻の不安そうな顔は一気に晴れた。
それでも透麻はαとΩの間にあるらしい謎の作法に則って灯莉が許可を出すのを律儀に待っている。
……でも、それは正解だ。
だって灯莉は『巣作り』をしている自覚は全くなかったけれど、勝手に心の中で「入って来るのはここから」とか「寝るときはここにこの向きで」とか今思えば何故そこまでしていて気づかない? というくらいの強いこだわりを詰め込んでいたのだから。
「そ、そこのマグカップとロックグラスの間から入って……」
「はい!!!」
一応入り口として用意していた所を伝えると透麻は素直に従って灯莉の指示通りにベッドサイドまで来てくれた。
すぐベッドに乗り上げて来ても良いのに、ここでもお伺いを立てるような視線で灯莉を優しく見つめて、透麻は穏やかに微笑みながら次の指示を待っている。
「ここから上がって、ここに寝て」
「はい! 向きは……こう、ですか?」
「うん。そう」
ポンポンと自分の横を叩いた灯莉の言葉に透麻は嬉しそうに頷いて身体の向きまで灯莉の言う通りにしてくれた。
灯莉はそれがとんでもなく嬉しくて、そして『自分のα』がちゃんと自分の隣に戻って来たことに強い安心感を覚える。だから自分も横になって透麻の首筋に腕を伸ばして抱き着いた。
「――おかえり」
「ただいま戻りました」
「多分予定より早いんじゃないか?」
首筋に鼻先を寄せて思いっ切り嗅ぐと身も心も満たされる馴染んだフェロモンが香る。
すると透麻も全く同じ動作をして、それから灯莉の質問に答えてくれた。
「送ったメッセージに既読も付かない上に電話も出てくれないし、終いには電源まで切れちゃったから朝一で飛んで帰って来たんですよ」
長い腕が伸びて来て灯莉を思い切り抱き締めながらそう言った。
その言葉に灯莉は本当に今更だけどハッと自分の行動を思い出して素直に謝罪する。
「わ、悪い……寝床作りに夢中でなんか切った気がする」
灯莉の素直な謝罪に透麻はくすくすと笑って何も気にしなくて良いと言いながら灯莉の髪を優しく撫でた。
「こんなに立派な巣を一生懸命作ってくれたんですものね。――でも連絡付かないのは本気で心臓に悪いのでアングル限定しますからカメラとか設置したら駄目ですか?」
「――ん、嫌だけどその内な」
ぎゅうっと珍しく灯莉の方から強めに抱き締めて来たのを受け止めた透麻はすぐにその『変化』に気付いた。
「灯莉さん……ヒート来てません?」
「分かんないけど――すごく熱い。透麻? とーま?」
初めて聞く舌足らずな甘えた声と濃厚な甘い香りに透麻は灯莉をもう一度先ほどよりももっと強く抱き締め返してから少しだけ身体を離す。
「透麻? どこ行くんだよ」
「水! 冷蔵庫です。避妊薬だけ飲みましょう」
「嫌だ! なんだよ? お前は子供いらねえのかよ」
理性総動員でなんとか動こうとしたのに強く怒られた透麻は一瞬面食らった。
三十歳を超えた男性Ωである云々の前に灯莉は子供を望んでいないのだろうと今までの彼の態度や雰囲気から透麻はなんとなく察していたからだ。
「いや! 俺は出来るなら勿論欲しいですけど、こう言う大事な話はお互い素面の時にちゃんと決めてからじゃないと……」
――身体が熱い。頭も熱い。
そして目の前でなんかごちゃごちゃ言っている透麻が心底鬱陶しくて灯莉はベッドから降りようとする透麻の身体を思いっきり押し倒した。
「なんだよ! もうおっ勃ててるくせに真面目ぶりやがって」
圧し掛かった状態で灯莉が触って確認すると透麻の下半身は既に臨戦態勢だった。
それなのにまだ理屈を捏ねてなんか小難しい話をして来ることに腹が立った灯莉は緩い自身のルームウェアの下だけ一気に脱ぎ捨てて透麻のベルトを外し下着もずらす。
抵抗? そんなもの灯莉が「動くな」と一度言えば透麻は止まること位とっくの昔に把握している。
押し倒したとても綺麗なαは自分のモノだ。
大人しく従ったままの透麻を見下ろしてその事実に満足した灯莉は馬乗りになってすっかりセックスで使い慣れたそこに先端を宛がう。
しかしその余りにも性急な動作に透麻が微かに腕に力を入れて制止の言葉を告げた。
「待ってください! いきなりは駄目です、少しだけでも慣らさせてください。すぐ! すぐするんで!」
焦ったように言うそれでもやっぱり整った顔を見て灯莉は笑った。
だって灯莉には「絶対大丈夫だ」という確信がある。脳と身体が勝手に火照って緩んで、濡れて奥からとろとろと流れ、もう垂れて来ているのを既に自覚出来ているのだ。
今の灯莉には小難しいことは一切いらないからさっさと透麻と繋がっていつもみたいに奥を抉って貰うことしか考えられない。
馬乗りになった体勢で上半身を屈めて透麻に顔を近付けて、視線を合わせたまま少し浮いた腰に後ろ手で灯莉は透麻のペニスの先端付近を掴んで自身の何もしていないのにもう蕩けている穴の入り口にわざと腰を揺らして擦らせてみた。
にちゃにちゃと粘度の高い音と中に雄を招き入れようと勝手に媚びる入り口の動きに当然透麻は即気付く。
「――っ」
いくらΩといえども通常時の段階ではいきなり性交に問題ないほどここまで濡れる訳ではない。
だから透麻は専用のローションを用意して念入りに時間を掛けていつも丁寧に解してからちゃんとゴムを付けて挿入していた。
だから二人が生で繋がるのは――『やり直した』あの日以来、初めてのことだ。
「なあ透麻ぁ」
「はいッ」
焦らすように透麻と視線を合わせたまま理性を自ら手放そうとする灯莉が蠱惑的に笑って腰を浮かし、乗っかったままの状態であとは垂直に身体を落とすだけの体勢で言い放つ。
「――これから先は孕むまでずーっと生セックスするって約束出来るよな?」
「灯莉さん! だから、負担が掛かるのはあなた「ああもう、うるさい!」」
珍しく荒い口調で透麻の言葉を遮って灯莉は腰を思いっ切り落とした。
ごりゅっと一番弱い所を的確に抉ってそれ相応の深さまで繋がった瞬間灯莉は達してしまい、意識が甘くてふわふわした良く分からない空間に飲まれていく。
ただただ気持ち良くて、もっともっと奥まで欲しい。
そして奥に熱い精液を出して欲しい。
馬鹿みたいにそれしか考えられないのに、今は突然来た絶頂が想像以上に深くてまともな言葉が出せない。
騎乗位の状態で射精した灯莉の精液が掛かった自分の腹を透麻は愛しそうに指先で拭ってとても自然な動作で舐め取りつつ、人生で初めて本格的なヒートに飲まれた愛しい番の痴態を目に焼き付ける。
あの『やり直し』の日と大きく違うのは、透麻が灯莉とのセックスでそれなりにレベルアップした所だ。
あの日の透麻なら今の信じられない位の状況でまず間違いなく搾り取られていたが、今はギリギリながらも持ち堪えることが出来た。
「灯莉さん、灯莉さん?」
「ぁー……は、ぅ――ン」
透麻が少しだけ様子見に腰を揺すると灯莉の瞳はもう完全に蕩けていて甘い快感を追うことしか考えていない。
身体から発せられるフェロモンも今までで一番の濃さで透麻の理性の糸も本当にちょっと途切れそうな位の――初めて経験する明らかな「ヒートセックス」の始まりだ。
透麻はフッとαが本来持っている強い狩猟者の笑みを無意識に浮かべて体勢を正常位に入れ替えた。
上に乗って灯莉に主導権を預けて好きにして貰うのも大歓迎だが、ヒートに飲まれた番を抱くなら思い切り組み敷いて貪りつくしてやりたいと願う本能はどうしても消えない。
決して灯莉は小柄な部類ではないがαである透麻の腕力の前では普通のβの男性が小柄な女性を抱く時と大差ないかもっと楽程度の負荷でしかないのだ。
「灯莉さん――灯莉、可愛い。……良いんだよね? 良いって言ってくれたもんね」
「んっ!! お、ンっ、んんーッ! 待ッ、ゴリゴリつよ、強っ」
お互いの皮膚が一ミリでも多く触れ合うように身体を密着させて奥を捏ねてやると灯莉は強すぎる快感から逃げるような素振りを見せたが透麻がガッチリと拘束して許さない。
いつものセックスでは恥ずかしがって上げないような喘ぎ声を聞きながら透麻はうっとりと灯莉が悦ぶ場所だけを甘く刺激し続けた。
「あー、クソ可愛い。……灯莉あのね、俺何の根拠もないけど考えていたことがあってね」
「――イ、 イくまたイく待って?! 待っ――イ゛っ、んんーっ!!!!!」
「ん。上手にイけたね、偉い偉い。ちょっと休もうね」
透麻がせっかく腰を振りたくりたいという本能を抑え付けて荒い息を吐いてびくびくと痙攣する灯莉を抱き締めて動きを止めて休ませてあげているのに、ヒートに飲まれた最愛の番はすぐに物足りないらしく自分から腰を揺らし始める。
灯莉が自分から積極的に透麻を性的に強く求めてくれる――ずーっと夢見ていたその光景は透麻の心をとても満たした。
Ωの本格的な発情は『限界までイく』か『αの精液を直接体内で受け入れる』かでしか本来収まらないと言われているが、これは抑制剤を飲んでいても全て消し去ることは出来ないΩの本能である。
早くも自力ではうまく動かせなくなった身体でも必死に腰を動かす灯莉があまりにも愛おしくて透麻は先ほど伝えようと思っていた自分の中だけにある仮説を伝えるのは後にすることにした。
「灯莉、今日はいっぱいシようね。俺、いっぱい抱きたい」
「はやく、動――はやっ、はやく!」
「うん。待たせてごめんね、すぐ動くね」
あやすようなキスをしながら告げると灯莉はぶんぶんと何度も頷く。
番って初めて三泊四日も離れて、帰って来たら最愛の番が自覚はなかったけど初めての巣作りをして自分を待っていてくれた。
そして番の意志で巣に招き入れてくれて、初めての本格的なヒート。
しかも避妊禁止で妊娠させるまで生セックスの約束をしろ! だなんて最高なことを言ってくれただけではなく、自分から透麻の身体の上に乗って来て絶景まで見せてくれた。
――コレは……もう、思いっ切り抱いて良いっていうこの上ない許可だよな。
益々立ち上る濃厚で甘い灯莉のフェロモンを深く嗅いで、透麻も本能に身を委ねることを自分に許した。
***
「……えーっと……」
「はい、お水です! コレ、軽食です! お風呂は眠っている間に入れておきました。中も綺麗にしてありますっ!」
「ありがとう……」
目を覚ました灯莉は自分が残念ながら「ヒート中の記憶を失わない」タイプのΩであるという事実に打ちのめされていた。
自分が何を言って、何をして、何をどんな風に強請ったのかを――本気で全て覚えている。
多少抜け落ちていても良いんじゃないか? と思うくらい恐らく気絶するように眠った前後のこと以外はほぼほぼ覚えていると思う。
――平たく言うと……死ぬほど恥ずかしい。
しかし透麻はとっても上機嫌だ。
鼻歌でも歌い出しそうなほどの明るい雰囲気で何かと灯莉の世話を先ほどから焼き続けている。だからまあ……これで良いんだろうきっと。
そう自分自身の中にある羞恥心と戦っていると透麻が不意に真面目な顔をして灯莉を見詰めた。
「灯莉さん、子供のことで割と真剣な話があります」
「あ、……なに?」
一瞬身構えた灯莉の変化を当然のように察知した透麻はニコリと笑って機嫌よさげに口を開く。
「俺は灯莉さんと二人きりの人生も大ッ歓迎ですけど、もし出来るなら子供も欲しいです。灯莉さんもそう思ってくれているってことで良いんですよね?」
「あ……うん。そうだけど、でも俺――」
初めての本格的な強いヒートは灯莉の中の戸惑いをアッサリと遥か彼方に蹴り飛ばした。
単なる本能だと言われればそれまでだが、とんでもなく強く「透麻の子供が欲しい」と願ったのだ。でもそれに気付けば気付くほど自分の年齢と現実が悲しかった。
灯莉が何を思って何を言おうとしたのかを当然見抜いている透麻は「推測ですけど」と一言言い置いて優秀なαの頭脳が齎した一つの考えを先に灯莉に伝える。
「俺は、このまま生でシてたら子供は結構すぐに出来ると本気で思っていますよ」
「――馬鹿言うなよ。お前、三十超えた男のΩの妊娠率の低さを知らない筈ないだろ?」
気休めはやめろ、と軽い調子で言った灯莉が思わず逸らした視線を捕まえて真剣な表情で透麻は続ける。
「それは『一般的な』男性Ωの話ですよね?」
「え?」
意味が分からず首を傾げた灯莉に透麻は言葉を重ねた。
「一般的な男性Ωは十五歳前後で初めてのヒートを経験して以後平均して三か月に一回、年で四回ヒートを経験しますね。三十歳を区切りと仮定するとざっくり言って約六十回妊娠可能なチャンスがある、と考えられる」
「……まあそう、だな?」
「灯莉さん今まで何回ヒート来ました? なんなら本格的なヒートは今回が初めてだったと言っても良いんじゃないですか? 『今まで眠っていた本能がやっと目覚めた』ばかりなのに既に『生殖機能』だけが他の男性Ωと同じ早さで失われていると――本当に断言出来るんでしょうか?」
「…………」
医学的な根拠なんて何もない。
でも透麻にここまで真顔で言い切られると「もしかしたら可能性があるのでは?」と灯莉は思ってしまう。
「び、病院早めに行って調べて貰うか?」
微かに生まれた期待からドキドキしつつ言った灯莉に透麻は難しそうな顔をして――少しの間沈黙のまま真剣に考えてからこう返して来た。
「子供は出来たら勿論嬉しいですよ。でも、子供が出来たら俺と子供が灯莉さんを奪い合う未来しか見えないんですよね。……だからちょっと複雑です。それにやっぱり物事には順序があるので先にちゃんとプロポーズをして結婚式を挙げたいです」
「あ……そう」
――透麻はやっぱり透麻だった。
それから透麻は真面目な顔で灯莉に「プロポーズ→ご両親にご挨拶→結婚式→新婚旅行→新婚生活満喫→妊娠、が良いのでやっぱりゴムしましょう?」と言って来たから灯莉は呆れつつも嬉しくて泣き笑いしてしまう。
「人生ってそんなに上手く行かないからな?」
そう言った灯莉に透麻は声を上げて笑った。
「灯莉さんが笑顔で隣に居てさえくれれば、俺の人生はもうその時点で百二十点満点なんで」
一ミリの迷いもなく、アッサリと言い切って屈託なく笑った透麻を見て灯莉は「透麻と二人なら一生番同士だけの人生も良いな」と思った。
灯莉は本気でそう思ったのに――透麻はその後たった二年ほどで自分が口にした人生設計の全てを見事達成して見せたのだ。
その話はきっと長くなるから、いつかまた機会があったらしようと思う。
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完結です。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。
全ての方に心より御礼申し上げます。
しかし快適だったのは本当に少しの間だけで透麻が目覚めても隣に居ないことを思い出して気持ちが塞ぐ。
「……」
自分で作り上げた寝床の中で小さく伸びをすると廊下の方から何かが動いた気配がした。
なんだ? と思うより先にずっと聞きたかった声がする。
「灯莉さん! もしかして起きました? 入っても良いですか?」
「透麻?」
まだ帰って来る予定には早いと思ったが……と考えたが、取り敢えず灯莉は聞かれた質問に返事をする。
「いや、お前の部屋だろ? 普通に入って来いよ」
意味が分からなくて返すと透麻はさっと顔を出した。
ああ、会いたかった顔だ。元気そうだし機嫌も良さそうだから何かトラブルがあって早めに戻ってこなければならなくなったとかでは無いようだと灯莉は安心する。
しかしいつもなら眠っている自分の隣に猫のようにするりと忍び込んでいつの間にか寝ている透麻が意味不明な位置に居たことが不思議だった灯莉にさらに不思議なことが起こる。
透麻が何故か少し離れた不自然な位置で止まったのだ。
「……なんでお前そこで止まってるんだ?」
心底不思議そうな表情で尋ねた灯莉に透麻は少しだけ照れた様子で返して来た。
「だって……あの、コレって『巣作り』してくれたんですよね? だから『お招き』してもらうまで俺ちゃんと我慢してました」
「す、巣作りッ?!!?」
「――え?」
自分の言葉に本気で驚いた灯莉を見て透麻も驚く。
暫し無言で見詰めあった二人だったが、灯莉は部屋の中を見渡して自分がここ数日夢中で取り組んだことを客観的に見ると確かに否定のしようがないレベルのあからさまな『巣作り』だった。
――ああ、そうか。
本当に難しく考える必要なんてなかったんだな。
あの何度も何度も読み込んだ論文の一説を思い出す。
海外の灯莉と似たような経験をしたΩの『再会後のフェロモンの濃度の上昇は段階的』だったと確かにあった。
それでもどうしても透麻と一緒に過ごして、普通のセックスも日常に溶け込んでいく中で灯莉はいつからか「早くちゃんとしたヒートセックス」をしなければならない、と心の中で考えるようになっていた。
そう。灯莉はあれだけ嫌だったΩに今はもう「ここまで来たらさっさとなってしまいたい」とすら強く思っていたのだ。
自分が急に口籠ったから不安そうに顔を見て来る透麻を見て、灯莉は小さく頷いた。
「お前のフェロモンを探して快適な『寝床』を作るつもりだったけど……そうだな。コレは完全な『巣作り』だな」
「――はい!」
灯莉の肯定的な言葉で透麻の不安そうな顔は一気に晴れた。
それでも透麻はαとΩの間にあるらしい謎の作法に則って灯莉が許可を出すのを律儀に待っている。
……でも、それは正解だ。
だって灯莉は『巣作り』をしている自覚は全くなかったけれど、勝手に心の中で「入って来るのはここから」とか「寝るときはここにこの向きで」とか今思えば何故そこまでしていて気づかない? というくらいの強いこだわりを詰め込んでいたのだから。
「そ、そこのマグカップとロックグラスの間から入って……」
「はい!!!」
一応入り口として用意していた所を伝えると透麻は素直に従って灯莉の指示通りにベッドサイドまで来てくれた。
すぐベッドに乗り上げて来ても良いのに、ここでもお伺いを立てるような視線で灯莉を優しく見つめて、透麻は穏やかに微笑みながら次の指示を待っている。
「ここから上がって、ここに寝て」
「はい! 向きは……こう、ですか?」
「うん。そう」
ポンポンと自分の横を叩いた灯莉の言葉に透麻は嬉しそうに頷いて身体の向きまで灯莉の言う通りにしてくれた。
灯莉はそれがとんでもなく嬉しくて、そして『自分のα』がちゃんと自分の隣に戻って来たことに強い安心感を覚える。だから自分も横になって透麻の首筋に腕を伸ばして抱き着いた。
「――おかえり」
「ただいま戻りました」
「多分予定より早いんじゃないか?」
首筋に鼻先を寄せて思いっ切り嗅ぐと身も心も満たされる馴染んだフェロモンが香る。
すると透麻も全く同じ動作をして、それから灯莉の質問に答えてくれた。
「送ったメッセージに既読も付かない上に電話も出てくれないし、終いには電源まで切れちゃったから朝一で飛んで帰って来たんですよ」
長い腕が伸びて来て灯莉を思い切り抱き締めながらそう言った。
その言葉に灯莉は本当に今更だけどハッと自分の行動を思い出して素直に謝罪する。
「わ、悪い……寝床作りに夢中でなんか切った気がする」
灯莉の素直な謝罪に透麻はくすくすと笑って何も気にしなくて良いと言いながら灯莉の髪を優しく撫でた。
「こんなに立派な巣を一生懸命作ってくれたんですものね。――でも連絡付かないのは本気で心臓に悪いのでアングル限定しますからカメラとか設置したら駄目ですか?」
「――ん、嫌だけどその内な」
ぎゅうっと珍しく灯莉の方から強めに抱き締めて来たのを受け止めた透麻はすぐにその『変化』に気付いた。
「灯莉さん……ヒート来てません?」
「分かんないけど――すごく熱い。透麻? とーま?」
初めて聞く舌足らずな甘えた声と濃厚な甘い香りに透麻は灯莉をもう一度先ほどよりももっと強く抱き締め返してから少しだけ身体を離す。
「透麻? どこ行くんだよ」
「水! 冷蔵庫です。避妊薬だけ飲みましょう」
「嫌だ! なんだよ? お前は子供いらねえのかよ」
理性総動員でなんとか動こうとしたのに強く怒られた透麻は一瞬面食らった。
三十歳を超えた男性Ωである云々の前に灯莉は子供を望んでいないのだろうと今までの彼の態度や雰囲気から透麻はなんとなく察していたからだ。
「いや! 俺は出来るなら勿論欲しいですけど、こう言う大事な話はお互い素面の時にちゃんと決めてからじゃないと……」
――身体が熱い。頭も熱い。
そして目の前でなんかごちゃごちゃ言っている透麻が心底鬱陶しくて灯莉はベッドから降りようとする透麻の身体を思いっきり押し倒した。
「なんだよ! もうおっ勃ててるくせに真面目ぶりやがって」
圧し掛かった状態で灯莉が触って確認すると透麻の下半身は既に臨戦態勢だった。
それなのにまだ理屈を捏ねてなんか小難しい話をして来ることに腹が立った灯莉は緩い自身のルームウェアの下だけ一気に脱ぎ捨てて透麻のベルトを外し下着もずらす。
抵抗? そんなもの灯莉が「動くな」と一度言えば透麻は止まること位とっくの昔に把握している。
押し倒したとても綺麗なαは自分のモノだ。
大人しく従ったままの透麻を見下ろしてその事実に満足した灯莉は馬乗りになってすっかりセックスで使い慣れたそこに先端を宛がう。
しかしその余りにも性急な動作に透麻が微かに腕に力を入れて制止の言葉を告げた。
「待ってください! いきなりは駄目です、少しだけでも慣らさせてください。すぐ! すぐするんで!」
焦ったように言うそれでもやっぱり整った顔を見て灯莉は笑った。
だって灯莉には「絶対大丈夫だ」という確信がある。脳と身体が勝手に火照って緩んで、濡れて奥からとろとろと流れ、もう垂れて来ているのを既に自覚出来ているのだ。
今の灯莉には小難しいことは一切いらないからさっさと透麻と繋がっていつもみたいに奥を抉って貰うことしか考えられない。
馬乗りになった体勢で上半身を屈めて透麻に顔を近付けて、視線を合わせたまま少し浮いた腰に後ろ手で灯莉は透麻のペニスの先端付近を掴んで自身の何もしていないのにもう蕩けている穴の入り口にわざと腰を揺らして擦らせてみた。
にちゃにちゃと粘度の高い音と中に雄を招き入れようと勝手に媚びる入り口の動きに当然透麻は即気付く。
「――っ」
いくらΩといえども通常時の段階ではいきなり性交に問題ないほどここまで濡れる訳ではない。
だから透麻は専用のローションを用意して念入りに時間を掛けていつも丁寧に解してからちゃんとゴムを付けて挿入していた。
だから二人が生で繋がるのは――『やり直した』あの日以来、初めてのことだ。
「なあ透麻ぁ」
「はいッ」
焦らすように透麻と視線を合わせたまま理性を自ら手放そうとする灯莉が蠱惑的に笑って腰を浮かし、乗っかったままの状態であとは垂直に身体を落とすだけの体勢で言い放つ。
「――これから先は孕むまでずーっと生セックスするって約束出来るよな?」
「灯莉さん! だから、負担が掛かるのはあなた「ああもう、うるさい!」」
珍しく荒い口調で透麻の言葉を遮って灯莉は腰を思いっ切り落とした。
ごりゅっと一番弱い所を的確に抉ってそれ相応の深さまで繋がった瞬間灯莉は達してしまい、意識が甘くてふわふわした良く分からない空間に飲まれていく。
ただただ気持ち良くて、もっともっと奥まで欲しい。
そして奥に熱い精液を出して欲しい。
馬鹿みたいにそれしか考えられないのに、今は突然来た絶頂が想像以上に深くてまともな言葉が出せない。
騎乗位の状態で射精した灯莉の精液が掛かった自分の腹を透麻は愛しそうに指先で拭ってとても自然な動作で舐め取りつつ、人生で初めて本格的なヒートに飲まれた愛しい番の痴態を目に焼き付ける。
あの『やり直し』の日と大きく違うのは、透麻が灯莉とのセックスでそれなりにレベルアップした所だ。
あの日の透麻なら今の信じられない位の状況でまず間違いなく搾り取られていたが、今はギリギリながらも持ち堪えることが出来た。
「灯莉さん、灯莉さん?」
「ぁー……は、ぅ――ン」
透麻が少しだけ様子見に腰を揺すると灯莉の瞳はもう完全に蕩けていて甘い快感を追うことしか考えていない。
身体から発せられるフェロモンも今までで一番の濃さで透麻の理性の糸も本当にちょっと途切れそうな位の――初めて経験する明らかな「ヒートセックス」の始まりだ。
透麻はフッとαが本来持っている強い狩猟者の笑みを無意識に浮かべて体勢を正常位に入れ替えた。
上に乗って灯莉に主導権を預けて好きにして貰うのも大歓迎だが、ヒートに飲まれた番を抱くなら思い切り組み敷いて貪りつくしてやりたいと願う本能はどうしても消えない。
決して灯莉は小柄な部類ではないがαである透麻の腕力の前では普通のβの男性が小柄な女性を抱く時と大差ないかもっと楽程度の負荷でしかないのだ。
「灯莉さん――灯莉、可愛い。……良いんだよね? 良いって言ってくれたもんね」
「んっ!! お、ンっ、んんーッ! 待ッ、ゴリゴリつよ、強っ」
お互いの皮膚が一ミリでも多く触れ合うように身体を密着させて奥を捏ねてやると灯莉は強すぎる快感から逃げるような素振りを見せたが透麻がガッチリと拘束して許さない。
いつものセックスでは恥ずかしがって上げないような喘ぎ声を聞きながら透麻はうっとりと灯莉が悦ぶ場所だけを甘く刺激し続けた。
「あー、クソ可愛い。……灯莉あのね、俺何の根拠もないけど考えていたことがあってね」
「――イ、 イくまたイく待って?! 待っ――イ゛っ、んんーっ!!!!!」
「ん。上手にイけたね、偉い偉い。ちょっと休もうね」
透麻がせっかく腰を振りたくりたいという本能を抑え付けて荒い息を吐いてびくびくと痙攣する灯莉を抱き締めて動きを止めて休ませてあげているのに、ヒートに飲まれた最愛の番はすぐに物足りないらしく自分から腰を揺らし始める。
灯莉が自分から積極的に透麻を性的に強く求めてくれる――ずーっと夢見ていたその光景は透麻の心をとても満たした。
Ωの本格的な発情は『限界までイく』か『αの精液を直接体内で受け入れる』かでしか本来収まらないと言われているが、これは抑制剤を飲んでいても全て消し去ることは出来ないΩの本能である。
早くも自力ではうまく動かせなくなった身体でも必死に腰を動かす灯莉があまりにも愛おしくて透麻は先ほど伝えようと思っていた自分の中だけにある仮説を伝えるのは後にすることにした。
「灯莉、今日はいっぱいシようね。俺、いっぱい抱きたい」
「はやく、動――はやっ、はやく!」
「うん。待たせてごめんね、すぐ動くね」
あやすようなキスをしながら告げると灯莉はぶんぶんと何度も頷く。
番って初めて三泊四日も離れて、帰って来たら最愛の番が自覚はなかったけど初めての巣作りをして自分を待っていてくれた。
そして番の意志で巣に招き入れてくれて、初めての本格的なヒート。
しかも避妊禁止で妊娠させるまで生セックスの約束をしろ! だなんて最高なことを言ってくれただけではなく、自分から透麻の身体の上に乗って来て絶景まで見せてくれた。
――コレは……もう、思いっ切り抱いて良いっていうこの上ない許可だよな。
益々立ち上る濃厚で甘い灯莉のフェロモンを深く嗅いで、透麻も本能に身を委ねることを自分に許した。
***
「……えーっと……」
「はい、お水です! コレ、軽食です! お風呂は眠っている間に入れておきました。中も綺麗にしてありますっ!」
「ありがとう……」
目を覚ました灯莉は自分が残念ながら「ヒート中の記憶を失わない」タイプのΩであるという事実に打ちのめされていた。
自分が何を言って、何をして、何をどんな風に強請ったのかを――本気で全て覚えている。
多少抜け落ちていても良いんじゃないか? と思うくらい恐らく気絶するように眠った前後のこと以外はほぼほぼ覚えていると思う。
――平たく言うと……死ぬほど恥ずかしい。
しかし透麻はとっても上機嫌だ。
鼻歌でも歌い出しそうなほどの明るい雰囲気で何かと灯莉の世話を先ほどから焼き続けている。だからまあ……これで良いんだろうきっと。
そう自分自身の中にある羞恥心と戦っていると透麻が不意に真面目な顔をして灯莉を見詰めた。
「灯莉さん、子供のことで割と真剣な話があります」
「あ、……なに?」
一瞬身構えた灯莉の変化を当然のように察知した透麻はニコリと笑って機嫌よさげに口を開く。
「俺は灯莉さんと二人きりの人生も大ッ歓迎ですけど、もし出来るなら子供も欲しいです。灯莉さんもそう思ってくれているってことで良いんですよね?」
「あ……うん。そうだけど、でも俺――」
初めての本格的な強いヒートは灯莉の中の戸惑いをアッサリと遥か彼方に蹴り飛ばした。
単なる本能だと言われればそれまでだが、とんでもなく強く「透麻の子供が欲しい」と願ったのだ。でもそれに気付けば気付くほど自分の年齢と現実が悲しかった。
灯莉が何を思って何を言おうとしたのかを当然見抜いている透麻は「推測ですけど」と一言言い置いて優秀なαの頭脳が齎した一つの考えを先に灯莉に伝える。
「俺は、このまま生でシてたら子供は結構すぐに出来ると本気で思っていますよ」
「――馬鹿言うなよ。お前、三十超えた男のΩの妊娠率の低さを知らない筈ないだろ?」
気休めはやめろ、と軽い調子で言った灯莉が思わず逸らした視線を捕まえて真剣な表情で透麻は続ける。
「それは『一般的な』男性Ωの話ですよね?」
「え?」
意味が分からず首を傾げた灯莉に透麻は言葉を重ねた。
「一般的な男性Ωは十五歳前後で初めてのヒートを経験して以後平均して三か月に一回、年で四回ヒートを経験しますね。三十歳を区切りと仮定するとざっくり言って約六十回妊娠可能なチャンスがある、と考えられる」
「……まあそう、だな?」
「灯莉さん今まで何回ヒート来ました? なんなら本格的なヒートは今回が初めてだったと言っても良いんじゃないですか? 『今まで眠っていた本能がやっと目覚めた』ばかりなのに既に『生殖機能』だけが他の男性Ωと同じ早さで失われていると――本当に断言出来るんでしょうか?」
「…………」
医学的な根拠なんて何もない。
でも透麻にここまで真顔で言い切られると「もしかしたら可能性があるのでは?」と灯莉は思ってしまう。
「び、病院早めに行って調べて貰うか?」
微かに生まれた期待からドキドキしつつ言った灯莉に透麻は難しそうな顔をして――少しの間沈黙のまま真剣に考えてからこう返して来た。
「子供は出来たら勿論嬉しいですよ。でも、子供が出来たら俺と子供が灯莉さんを奪い合う未来しか見えないんですよね。……だからちょっと複雑です。それにやっぱり物事には順序があるので先にちゃんとプロポーズをして結婚式を挙げたいです」
「あ……そう」
――透麻はやっぱり透麻だった。
それから透麻は真面目な顔で灯莉に「プロポーズ→ご両親にご挨拶→結婚式→新婚旅行→新婚生活満喫→妊娠、が良いのでやっぱりゴムしましょう?」と言って来たから灯莉は呆れつつも嬉しくて泣き笑いしてしまう。
「人生ってそんなに上手く行かないからな?」
そう言った灯莉に透麻は声を上げて笑った。
「灯莉さんが笑顔で隣に居てさえくれれば、俺の人生はもうその時点で百二十点満点なんで」
一ミリの迷いもなく、アッサリと言い切って屈託なく笑った透麻を見て灯莉は「透麻と二人なら一生番同士だけの人生も良いな」と思った。
灯莉は本気でそう思ったのに――透麻はその後たった二年ほどで自分が口にした人生設計の全てを見事達成して見せたのだ。
その話はきっと長くなるから、いつかまた機会があったらしようと思う。
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完結です。
最後まで読んでくださって本当にありがとうございました。
全ての方に心より御礼申し上げます。
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師匠、師匠こんにちは!
ようこそおいでくださいました(n*´ω`*n)
遊びに来て下さって嬉しいです。
そして透麻を必死にフォローしてくださってありがとうございます!
私も師匠から頂いた感想を拝見していい感じのホルモン? が出て来たような気がします(`・ω・´)ゞ
透麻なりに拒否されない範囲内で細い糸が途切れないように必死に頑張っていたのですねぇ。
人気商売にも関わらず過去の罪を告白してでも見失った番を探したいって……そうですね、言われてみれば本気度がすごいですねΣ(゚Д゚)←今気付いた!
そして鼻水は……えっと、秘密でお願いします♪
透麻……。
良かったね、透麻。
透麻のこと、カッコいい(※対面外)って言って下さる方がいらっしゃったよ(´;ω;`)
書いている本人が
「何故カッコよくならないのだ、このαは……?(((((´◉ᾥ◉`)))))」」
となっていたので、師匠からの優しい新たな視点とっても嬉しかったです。
感想ありがとうございました。
感謝です!!!
まめ 様
はじめまして! おはようございます、ようこそおいでくださいました(n*´ω`*n)
楽しんで頂けて光栄です。
あの巣作りをさせたくて灯莉を建築士設定にしたので、ほっこりして頂けてとても嬉しいです(*ノωノ)
私もオメガバースの世界は大好きですがどうしても
「全てにおいて恵まれている場合が多いα(持てる者の苦悩は除く)」と「ひどい場合には日々の生活にすら苦労しているΩ」
というあまりにも理不尽な格差がちょっぴりずるいな~と思っていたので、我が家の場合は特例で一部だけでも交代して貰いました(`・ω・´)ゞ
他の話も読んで頂けて嬉しい反面ちょっぴり恥ずかしいところもあります(*ノωノ)
私は至って真面目かつ真剣に書いておりますが、完全にノリとフィーリングが原動力なのでふざけていたり、ふざけていたりふざけている話が多いのですが本当に大丈夫だったでしょうか……(;´Д`A ```シンパイ
これからも書ける時は精いっぱい書きます。
感想ありがとうございました。
感謝です!!!
ホープ 様
こんにちは、ようこそおいでくださいました(n*´ω`*n)
アルファポリスさんは割とスカッとするざまぁが人気と伺いましたが、私の力ではわんこαがぺしょっと言うくらいが限界ですねぇ(/ω\)
「おかえり」の一言でいつまでも幸せを噛み締めていられるような平凡な日常系が好きなので、ぽけーっとした話を思いついた時に書いて行ければいいなぁと思っております(`・ω・´)ゞ
ネタが落ちて来た時にしか書けないタイプなので次にいつどんな系統の話を書けるか自分でも分かっていないのです♪
感想ありがとうございました。
感謝です!!!