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05.

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頭が回らずにもう自分のペニスに貫かれる事しか考えて居ない譲を見て、微笑んだ秋吉は譲のずっと開きっぱなしだった両足を閉じさせて、太ももの隙間に自分の強直を突き立てる。
しかし譲が欲しいのはそこじゃない。

「熱ぅい! ね、ちが、秋吉さん……そこじゃないよ、なんで? なんでいじわるッ」
「ああ、泣かないで? 意地悪したいんじゃないんです」

そう言いながらもゆっくりとゆーっくりと秋吉は譲の太ももの間を行き来して、自分のモノの大きさ、太さ、熱さと形を間接的に教え込む。

「『コレ』だけ求められるのは寂しいんですよ」
「秋吉さ、入れて……ねえ、ちょうだいよぉ!」

秋吉の言葉なんて半分も届いていない譲が本格的に泣きだすと秋吉は心底愛しそうに譲の目尻に軽くキスをして、しっかり至近距離で視線を合わせた。

「譲、大切な事なのでここだけ聞いて下さいね」
「――?」
「好きです。譲が私の『恋人』になってくれるなら、私が持っている全ての物を譲に捧げます。その代わり、譲には私だけの可愛い恋人になってもらいます」

譲は正直もう理性が大分溶けていて秋吉が何を言っているのか良く分かっていなかったし、秋吉は彼がそうなる様に時間を掛けて愛でていたのだがふわふわする頭でも譲の頭は「恋人」と言う単語だけは拾った。

「こいびと?」
「はい」
「だれが?」
「私が、譲のたった一人の恋人になりたいと告白しています」

ベッドの隣に敷いた布団に腰を下ろす流れでへにゃへにゃの譲をなんとか座らせた秋吉が下から見上げる様に告げると譲はちょっと考えた後嬉しそうに頷いた。

「なる! なりたいです」
「取り消しは聞きませんよ?」
「はい!」

にこにことしている譲に一つキスをして、ひょいッと軽く抱き上げた秋吉は自分の膝の上に譲を乗せて自分でもどうかと思う位勃起しているペニスと位置を合わせる。

「では、末永くよろしくお願いしますね」
「はい! ひゃ?! あ、あ゛あ゛あ゛あああ―――ッ」

いきなり何の前触れもなく対面座位の体勢で貫かれた譲は悲鳴の様に喘いでもう出す物が何もなくなり震えるだけのペニスだったが確かに達した。傷みなんて何もなく、ただただ恐ろしい程その行為は気持ちが良かった。
本来なら譲が後ろ手で自分を少し支える必要がある体位だが秋吉の筋肉と後ろにベッドがある事でなんの苦も無く繋がり合えた。
目の前で涙と涎を流しなんとか激しい絶頂をやり過ごそうとする譲をじっと見つめ、秋吉は優しく微笑む。

「最初からメスイキするなんて流石譲ですね。……あの馬鹿が本物の馬鹿で良かった。これから私が全部教えてあげますから、一緒に立派な縦割れアナルを作りましょう」
「ぁ……ッ――??」
「はは、本当に可愛い。急に入れて驚いたでしょう? これからはゆっくり抱きますから、楽しんでくださいね」
「は、ぃ」

これから秋吉は実質何も知らないも同然だった譲の身体に朝までゆっくりと時間を掛けてメスになった元オスだけが味わえる快感をじっくりと丁寧に教え込むつもりだ。
流石に一晩で後ろでしかイけない身体に仕上げる事は不可能だが、これからずっと一緒なのだからいずれそうなる事は決定しているし、譲のペニスは今後排泄機能を兼ねたクリトリスとして育てていく。

「譲、気持ちいいですね」
「はい、はいッ! き、きもちいぃです。秋吉さん、きもちぃです」
「ふふふ、可愛い」

激しくしてしまうとまだ辛そうなので取り敢えず暫くは優しく甘い快楽だけを教え込もう。
今日は記念すべき初回と言う事もあって前戯を楽しみ過ぎて負担を掛けてしまったから、次からは少し注意しよう。
そして自分とのセックスは気持ちいい上に心地いい行為だと譲の骨の髄まで刻んでしまおう。

「好きですよ、譲」
「ぼ、ぼくもぉ……好きィ、ですっ」

トン、トンと言う経験豊富な秋吉からすると児戯に等しい温い抽出を繰り返しながら自分が与える甘く優しい快感に酔うやっと手に入れた可愛い恋人の艶姿を秋吉は純粋に楽しんだ。






***


譲と秋吉が初めてのセックスを満喫している頃、纐纈 玲一郎は父でもあり組長でもある男と事務所で電話をしていた。

「そう云やあ、あの店の金を抜いた馬鹿な若造は今どうなってんだ?」

事務所のこの部屋の中に今いるのは玲一郎一人。
恐らく父もそうなのだろう、いつもの『組長』然とした風ではない親子の自然な会話が続く。

「えーと、ごめん親父ソレ誰だっけ?……ああ!思い出した思い出した、どうでもよ過ぎて忘れてたわ」
「ったくしっかりしろや」

呆れた様な父の声に笑った玲一郎が記憶を浚った。

「レジの金をポケットに入れた瞬間当然とっ捕まえた所までは話したよね? で、その後なんか『オハナシ』してる間に本人が『自主的』に迷惑料込みで『身体で返したい』って言い出してさ」
「ほー? そりゃ立派な若造だなァ」

ふーっと電話の向こうの父が煙草の煙を吐いたのがわかった。
それにつられる様に玲一郎も煙草に火を点けて同じ動作をした後に口を開く。

「確か今は企画モノのAV撮影の為にどっかのマンションで缶詰になってると思うよ」
「なんだ、そんな見た目に値が付くタイプなのか?」
「いや? そうでも無いけどさ『嫌がるノンケを監禁して徐々にメスに調教していく』実録ドキュメンタリー『風』ってやっぱ刺さる層にはめっちゃ刺さんだよね」

ははは! と豪快な笑い声がする。
それを聞きながら手元のパソコンを操作した玲一郎は調度馬鹿に関するメールが届いていたのに目を通して、笑ってから自分の父親に伝えた。

「今撮影班からメール来たんだけどさ『本人たっての希望』でシリーズ化するみたい」
「はははは! そいつぁいーわ。あの手のモノは本人がその気になってくんなきゃ金にならねえからな」
「見るー? マンネリ防止の為にたまぁーーにちょびーーーっと気持ち程度血ぃ出るみたいだけど」
「いや、いらねえ」
「デスヨネー」

そこまでは本当に笑っていた父だったが、次の瞬間には真面目なトーンで口を開く。
玲一郎もとっくに気付いていたが、父が本当に聞きたいのはこれから始まる話題だ。

「……で、秋吉はどうしてる?」
「うん。秋吉『兄さん』はすっごく幸せそうだよ? 前までは普通に無視だった俺からの電話も毎日出てくれるし。多分くっつくのは時間の問題なんじゃないかな?」
「そうか……俺個人はアイツに筋を通す必要があるが、堅気の人間を巻き込むとなると話は違うと思ってた。……順調そうなら、良い」
「譲君は大学もバイトも普通に行ってるし、こっちでも注意して見てるから何かあったらまた報告する」
「おう」

それで通話は終わった。
玲一郎は小さく息を吐いて、暗くなったスマホを机の上に置いて尊敬する兄の事を思った。



纐纈 秋吉は玲一郎の異母兄だ。
何も知らない奴らは秋吉の事を「実の母親にすら捨てられた妾腹」と馬鹿にするが、それは全くの誤解である。
兄は長年不妊に苦しんだ自分の母…現組長の最愛の妻が自ら夫の血筋を絶やしてはならないと提案、懇願し正式な契約書を用い金銭取引で口の堅い女性に依頼して産んでもらった存在なのだ。

望んだわけでもなくこんな家業の家に産まれさせられ、幼い頃から将来の組長となるよう教育されて育った兄だが、十年ほど経って皮肉な物で自分が生まれた。
当然何も知らない周りは『正当な跡継ぎ』である玲一郎が将来組を背負うべきだと言い出す。
兄は恐ろしい程優秀で手の掛からない子供だったらしいが自分の存在がある事で最悪組が分裂する危惧をすぐさま察知し、誰に言われるでもなく自分ではなく『玲一郎が次期組長である』と言うスタンスをそれからずっと貫いている。
当然組長である父と兄が生まれるに至る決定的な行動を起こした母の自責の念は大きかった。
人目につかない場所ではあったが手をついて詫びる両親にまだ小学生だった兄はこう言ったそうだ。


――弟が大きくなるまでは傍に居てサポートする。だが、その後の人生は自分に選ばせて欲しい。いつでも自由にこの家業から足を洗える様正式に取り計らって欲しい。と。


当然両親はそれを了承し、兄はどんなに遅く見積もっても自分が組を継いだ際にはきっとどこか遠くに行ってもう二度と会えなくなる物だと思っていた。
いくら妾腹だと思われていようとあのルックスとスタイルを持ちおまけに頭まで切れて異常なまでに金を稼ぐのが上手い兄に群がる人間は多かった。
だが兄は誰に対しても興味を持つ事も無ければ特別を作る事も無かった。

だが知らない間に兄は『特別』を見つけていた。誰にも言わなかっただけで。
詳しい経緯はどれだけ強請っても教えては貰えなかったけれど、ぽつぽつと集めた情報を繋ぎ合わせるとどうやら何処に行っても不思議と見掛ける『色々なバイトを常に掛け持ちして毎日駆けずり回っている大学生』を遠くから見守っていたのだがその大学生の彼氏はどうやらクズらしいと知り調査に乗り出し、さてこれは酷いぞどうしたものかと思っていた中で当のクズ彼氏本人がたまたま玲一郎の店の金に手を出した……と言う訳だ。
正に渡りに船。兄の為に自分が何かできる日がくるなんて思っていなかった玲一郎は喜んで手を貸した。
その結果が、今だ。

クズ彼氏はとっくにと言うか最初から捕まっているからいつまで待っても押し掛けてなんて行かない。
あの解体予定のアパートに住んでいた他の住人は兄が大家と話を付けて、なんなら兄が立退料と解体費すら全額負担する契約を取り付け平和かつ合法的な追い出し作業が進み譲以外の入居者は今月末で全員居なくなる手続きも済んでいる。
あんな古くてぼろいアパートでも好きな相手と静かに暮らせるなら兄にとっては立派な本家の離れより心安らげる空間なのだろう。

いくら兄の事が好きで、尊敬していて、何より負い目があっても堅気の人間を無理矢理巻き込むのは駄目だという考えは玲一郎にもあった。
しかし譲も決して脈無しではなさそうなので今の所はこのまま見守るつもりでいる。

「結局ぜぇんぶ譲君任せなんだけど、上手くいきますよーに」

ぱんっと一つ手を合わせて玲一郎は祈った。
それから数日後兄から滅多に来ないメッセージが来た玲一郎は慌ててスマホに飛び付く。



――付き合う事になった。譲にはおいおい話す。



弟としては嬉しいが、兄の性格を思うと譲の人生が確定したような物なのだが……まあ当人同士が幸せなら良いか、と玲一郎は一つ頷いた。
あの馬鹿のシリーズもそこそこ売れているし、本人も『すっかりその気になった』からもう少し位は稼げるだろう。

うん。
何一つ問題なんて無いな。順調順調。



今日も晴天、とっても良い一日である。
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