13 / 28
袖すり合うと……side洸太 13
しおりを挟む
注)軽い性的描写が入ります。
「ちょっ!? だからっ! やめっ?!」
椅子からずぼっと引き抜かれ、パソコンデスクの隣にある敷きっぱなしの布団の上に転がされる。
ベッド? そんなもん急な引っ越しで買う余裕はなかった。
ていうか、前もそうだったけど、優真さん力強いなっ! 長躯に見えるのにしっかり筋肉ついてるのは伊達じゃないな!?
僕だって自称170センチあるはずなんだけど、ひょいひょい持ち上げられて色々メンタル削られるわっ! 男としての尊厳とかなっ!
「だからさぁ~、逃げちゃダメだよ~~って言ったじゃん? 俺、言ったよねぇ?」
部屋の照明を背中に背負って、優真さんの顔が影に沈む。
僅かに浮かび上がる唇の両端が上がって笑みを形作っているけど、吐き出される言葉はどこか冷たく……哀しい。
「ちょぇ?! だ、だって?! それっ?! んあっ!!」
スウェットの裾をまくられて、あの長い指が僕の身体を這いまわる。
男の身体に付いてる事になんの意味があるんだろうと常々思っていた部分にその指先が触れるだけで……僕のカラダはあの日の快楽を思い出して腰が跳ねた。
逃げ出したくても頭の上で腕をひとまとめに掴まれて、優真さんの身体の下で無意味に自分の身体をくねらせる事しかできない。
「な~? こんなビンカンな乳首持っててさぁ~、俺の元離れて~、誰にヤラせるつもりだったのかなぁ~~。
心配だなぁ~。ホント心配だよ……。
なぁ? 聞いてンの?」
「あうっ!」
じんじんと痛みと紙一重の疼きを溜めていたソコを抓られて、抓られたのに僕の脳内はソレを快楽と判断した。
「あ~、ホントかぁわぃぃなぁ~。もうさぁ~、洸太外出なくていいからさぁ~。俺のうちでイイコで待ってよ?」
「だっ?! そんなこっ……うぅ……んっ」
涙の膜が張った目をなんとかこじ開けて優真さんを見上げると、そこには……泣き笑いの優真さんがいて……意味がわかんなかった。
いや、アンタが捨てたんだろ?
ヤった次の日、もういらないと言わんばかりに帰ってこなくなったのそっちだろ?
なんでアンタが泣きそうなんだよ?
泣きたいのは僕の方だ……っ!
男にヤられて、めでたくもない童貞非処女ってヤツになって……。
忘れたくて、忘れらんなくて……。
捨てられたのに別の相手がいるって知って、どうしようもない激情に苛まれて。
やきもちなんてガラじゃないのに。
嫉妬なんて持っても意味がないのに。
それでも……それでも……っ!!
「ふざっ! ふざけんなっ!!」
「ぐふっ!?」
さっきまでのホラゲ配信で恐怖耐性が限界だったのも相まって、僕の精神はリミッターが外れたらしい。
無理やり腹筋を使って身体を起こして、思い切りお綺麗な優真さんの顔に頭突きをかまして。
ていうか、腕いてぇ……。肩外れるかと思った。
だけど、油断しきっていた顔面に頭突きを喰らわせて、なんとか優真さんの拘束から逃れることが出来た。
「こ、こぉた?」
手で鼻を押さえながら涙目でこちらを見る優真さんの鼻先に指を突き付ける。
優真さんの指の隙間から赤いナニカが見えたような気がしたのは、気のせいだと後回しにした。
「アンタさぁ! いったい何がしたいんだよっ! いつもいつも好き勝手しやがってっ!!
僕は……っ! 僕はっ! ちゃんと僕が好きな人としかヤりたくないんだよっ!
だからこの年まで童貞なんだよっ!」
分かれよっ! といつにない大声でぶちまける。あぁ、ホントこの部屋が防音で良かった。
「こうたは……俺のことまだ好きじゃ……ない?」
涙目で鼻を赤くしたイケメンがこっちを見てくる。たらりと一筋鼻血が出ていたとしても鑑賞に堪えうるというのだから、ホントこの人顔面強いなっ!
「僕がアンタを好きだからって、セフレにしていい義理はねぇんだよっ!
僕はなぁ! そんな都合のいいヤツになる気はないっ! 僕はコミュ障で根暗でオタクでついでになんか色々ダメダメだけどっ! 自分を安売りするつもりも、僕の好意を搾取するだけのヤツの相手をする気も毛頭ないわっ!」
「なんでそうなるんだよっ!」
「はぁ?! ヤった次の日から帰ってこないってそれヤリ捨てっていうんだよっ!
大人しく出てってどこが悪いんだよっ! 一回ヤったからって次もホイホイケツ差し出すと思うなよ?!」
「だからなんでそうなるんだよっ! 俺、洸太のこと好きだって言ったよね? 大事にしたいって言ったよね? 付き合おって言ったよね? 恋人って言ったよね? なのになんでセフレって……「言ってない」……え?」
僕のすんとした表情に思うところあったのかどうなのか、優真さんの言葉が止まった。
「え? 俺、付き合おって言ったよね?」
「それは言った」
ついでにいうならその時の僕の返事は「……どちらにですか?」だった。
「え? え? じゃあなんで……?」
「……だって」
「え?」
「……きだって……」
「え? ごめん、聞こえないよぉ」
きっと優真さんを下から睨みつけて、ついでにほっぺた引っ張って。ていうか相変わらず頬肉柔らかいなっ!
「好きだって言われてないっ!」
「……えぇ~~」
いやなんだよその反応。失礼なやつだな。
て、顔を覆うな顔を。
「あ~、いや、うん。あ゙~~! うん、わかってた、知ってたよ~。洸太が初心な子だって知ってたぁ~~」
なんか小声でボヤくも、人のことを処女のオンナノコみたいだと称したことあんのはそっちだそっち。
顔を覆ったまま上を見たり下を見たりなんだかせわしない動きをしていた優真さんだったが。
ぐっと一度自分の顔を強くつかんで、僕に向き直った。
グレーのカラコンが入った瞳はいつになく真剣で、いつも笑みの形に弧を描いている唇は真一文字に結ばれて。
あの長い指が僕の手を取って。
「洸太、好き……デス。付き合って?」
真っ赤な顔でそういうから……。
僕は是と返すしかなかった。
「ちょっ!? だからっ! やめっ?!」
椅子からずぼっと引き抜かれ、パソコンデスクの隣にある敷きっぱなしの布団の上に転がされる。
ベッド? そんなもん急な引っ越しで買う余裕はなかった。
ていうか、前もそうだったけど、優真さん力強いなっ! 長躯に見えるのにしっかり筋肉ついてるのは伊達じゃないな!?
僕だって自称170センチあるはずなんだけど、ひょいひょい持ち上げられて色々メンタル削られるわっ! 男としての尊厳とかなっ!
「だからさぁ~、逃げちゃダメだよ~~って言ったじゃん? 俺、言ったよねぇ?」
部屋の照明を背中に背負って、優真さんの顔が影に沈む。
僅かに浮かび上がる唇の両端が上がって笑みを形作っているけど、吐き出される言葉はどこか冷たく……哀しい。
「ちょぇ?! だ、だって?! それっ?! んあっ!!」
スウェットの裾をまくられて、あの長い指が僕の身体を這いまわる。
男の身体に付いてる事になんの意味があるんだろうと常々思っていた部分にその指先が触れるだけで……僕のカラダはあの日の快楽を思い出して腰が跳ねた。
逃げ出したくても頭の上で腕をひとまとめに掴まれて、優真さんの身体の下で無意味に自分の身体をくねらせる事しかできない。
「な~? こんなビンカンな乳首持っててさぁ~、俺の元離れて~、誰にヤラせるつもりだったのかなぁ~~。
心配だなぁ~。ホント心配だよ……。
なぁ? 聞いてンの?」
「あうっ!」
じんじんと痛みと紙一重の疼きを溜めていたソコを抓られて、抓られたのに僕の脳内はソレを快楽と判断した。
「あ~、ホントかぁわぃぃなぁ~。もうさぁ~、洸太外出なくていいからさぁ~。俺のうちでイイコで待ってよ?」
「だっ?! そんなこっ……うぅ……んっ」
涙の膜が張った目をなんとかこじ開けて優真さんを見上げると、そこには……泣き笑いの優真さんがいて……意味がわかんなかった。
いや、アンタが捨てたんだろ?
ヤった次の日、もういらないと言わんばかりに帰ってこなくなったのそっちだろ?
なんでアンタが泣きそうなんだよ?
泣きたいのは僕の方だ……っ!
男にヤられて、めでたくもない童貞非処女ってヤツになって……。
忘れたくて、忘れらんなくて……。
捨てられたのに別の相手がいるって知って、どうしようもない激情に苛まれて。
やきもちなんてガラじゃないのに。
嫉妬なんて持っても意味がないのに。
それでも……それでも……っ!!
「ふざっ! ふざけんなっ!!」
「ぐふっ!?」
さっきまでのホラゲ配信で恐怖耐性が限界だったのも相まって、僕の精神はリミッターが外れたらしい。
無理やり腹筋を使って身体を起こして、思い切りお綺麗な優真さんの顔に頭突きをかまして。
ていうか、腕いてぇ……。肩外れるかと思った。
だけど、油断しきっていた顔面に頭突きを喰らわせて、なんとか優真さんの拘束から逃れることが出来た。
「こ、こぉた?」
手で鼻を押さえながら涙目でこちらを見る優真さんの鼻先に指を突き付ける。
優真さんの指の隙間から赤いナニカが見えたような気がしたのは、気のせいだと後回しにした。
「アンタさぁ! いったい何がしたいんだよっ! いつもいつも好き勝手しやがってっ!!
僕は……っ! 僕はっ! ちゃんと僕が好きな人としかヤりたくないんだよっ!
だからこの年まで童貞なんだよっ!」
分かれよっ! といつにない大声でぶちまける。あぁ、ホントこの部屋が防音で良かった。
「こうたは……俺のことまだ好きじゃ……ない?」
涙目で鼻を赤くしたイケメンがこっちを見てくる。たらりと一筋鼻血が出ていたとしても鑑賞に堪えうるというのだから、ホントこの人顔面強いなっ!
「僕がアンタを好きだからって、セフレにしていい義理はねぇんだよっ!
僕はなぁ! そんな都合のいいヤツになる気はないっ! 僕はコミュ障で根暗でオタクでついでになんか色々ダメダメだけどっ! 自分を安売りするつもりも、僕の好意を搾取するだけのヤツの相手をする気も毛頭ないわっ!」
「なんでそうなるんだよっ!」
「はぁ?! ヤった次の日から帰ってこないってそれヤリ捨てっていうんだよっ!
大人しく出てってどこが悪いんだよっ! 一回ヤったからって次もホイホイケツ差し出すと思うなよ?!」
「だからなんでそうなるんだよっ! 俺、洸太のこと好きだって言ったよね? 大事にしたいって言ったよね? 付き合おって言ったよね? 恋人って言ったよね? なのになんでセフレって……「言ってない」……え?」
僕のすんとした表情に思うところあったのかどうなのか、優真さんの言葉が止まった。
「え? 俺、付き合おって言ったよね?」
「それは言った」
ついでにいうならその時の僕の返事は「……どちらにですか?」だった。
「え? え? じゃあなんで……?」
「……だって」
「え?」
「……きだって……」
「え? ごめん、聞こえないよぉ」
きっと優真さんを下から睨みつけて、ついでにほっぺた引っ張って。ていうか相変わらず頬肉柔らかいなっ!
「好きだって言われてないっ!」
「……えぇ~~」
いやなんだよその反応。失礼なやつだな。
て、顔を覆うな顔を。
「あ~、いや、うん。あ゙~~! うん、わかってた、知ってたよ~。洸太が初心な子だって知ってたぁ~~」
なんか小声でボヤくも、人のことを処女のオンナノコみたいだと称したことあんのはそっちだそっち。
顔を覆ったまま上を見たり下を見たりなんだかせわしない動きをしていた優真さんだったが。
ぐっと一度自分の顔を強くつかんで、僕に向き直った。
グレーのカラコンが入った瞳はいつになく真剣で、いつも笑みの形に弧を描いている唇は真一文字に結ばれて。
あの長い指が僕の手を取って。
「洸太、好き……デス。付き合って?」
真っ赤な顔でそういうから……。
僕は是と返すしかなかった。
26
お気に入りに追加
19
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【同級生BL】ミカヅキと太陽【完結済み】
DD
BL
話したことはないけど、互いに存在は認識している"よそのクラスの目立つ奴"同士。
そんなふたりが仲良くなったり、ぎくしゃくしたり、仲直りしたりする短編。
前後編で完結済みですが、加筆修正はしばらく入ります。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。
死に戻り騎士は、今こそ駆け落ち王子を護ります!
時雨
BL
「駆け落ちの供をしてほしい」
すべては真面目な王子エリアスの、この一言から始まった。
王子に”国を捨てても一緒になりたい人がいる”と打ち明けられた、護衛騎士ランベルト。
発表されたばかりの公爵家令嬢との婚約はなんだったのか!?混乱する騎士の気持ちなど関係ない。
国境へ向かう二人を追う影……騎士ランベルトは追手の剣に倒れた。
後悔と共に途切れた騎士の意識は、死亡した時から三年も前の騎士団の寮で目覚める。
――二人に追手を放った犯人は、一体誰だったのか?
容疑者が浮かんでは消える。そもそも犯人が三年先まで何もしてこない保証はない。
怪しいのは、王位を争う第一王子?裏切られた公爵令嬢?…正体不明の駆け落ち相手?
今度こそ王子エリアスを護るため、過去の記憶よりも積極的に王子に関わるランベルト。
急に距離を縮める騎士を、はじめは警戒するエリアス。ランベルトの昔と変わらぬ態度に、徐々にその警戒も解けていって…?
過去にない行動で変わっていく事象。動き出す影。
ランベルトは今度こそエリアスを護りきれるのか!?
負けず嫌いで頑固で堅実、第二王子(年下) × 面倒見の良い、気の長い一途騎士(年上)のお話です。
-------------------------------------------------------------------
主人公は頑な、王子も頑固なので、ゆるい気持ちで見守っていただけると幸いです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【旧作】美貌の冒険者は、憧れの騎士の側にいたい
市川パナ
BL
優美な憧れの騎士のようになりたい。けれどいつも魔法が暴走してしまう。
魔法を制御する銀のペンダントを着けてもらったけれど、それでもコントロールできない。
そんな日々の中、勇者と名乗る少年が現れて――。
不器用な美貌の冒険者と、麗しい騎士から始まるお話。
旧タイトル「銀色ペンダントを離さない」です。
第3話から急展開していきます。
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
魔術師の卵は憧れの騎士に告白したい
朏猫(ミカヅキネコ)
BL
魔術学院に通うクーノは小さい頃助けてくれた騎士ザイハムに恋をしている。毎年バレンタインの日にチョコを渡しているものの、ザイハムは「いまだにお礼なんて律儀な子だな」としか思っていない。ザイハムの弟で重度のブラコンでもあるファルスの邪魔を躱しながら、今年は別の想いも胸にチョコを渡そうと考えるクーノだが……。
[名家の騎士×魔術師の卵 / BL]
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる