上 下
9 / 117

SIDE. 森の魔法使い 2

しおりを挟む
「――シン様! ご無事で良かったですわ!」

 石造りの建物の外に出てソワソワしていたナナは、シンの姿が見えるや否や顔を輝かせて走り寄ってきた。
 シンはその姿に気付いて溜息を吐いた。

「中で待ってろって言ったのに」
「そんなことできませんわ! あ、でもシン様のことを信じていなかったわけではありませんのよ!」

 嬉しそうに話すナナは、シンの後ろにいる人影に表情を一転させた。

「誰ですの!?」

 ナナは目尻を吊り上げ、鋭い視線でレンリを睨み付けた。
 更に、両手でぎゅっとシンの右腕を掴むと、レンリを牽制するかのように自分の方へと引っ張ったため、レンリはその剣幕にただただ戸惑った表情を浮かべた。

「ナナ、止めろ。彼女はレンリだ、おそらくナナと同じ状況だから連れてきた」
「それって本当ですの? この女の見た目に騙されているんじゃありませんの!?」
 ナナはシンに抗議しながらも、レンリから目を逸らさず威嚇を続けた。

「心配しなくても確認した。研究所が関係しているかはまだ分からないが、俺に嘘は言ってなかったし、何より刺青がある。俺にはそれだけで十分だ」
「シン様の魔法を破るほどの魔道士であれば、嘘を見抜かれないようにすることも可能かも知れませんわ!」
「たとえそうだとしても、彼女が竜の子なら保護するのは当然だ」
 そうしないと、いつまた研究材料にされるか分からない、そうシンが諭すように続けても、ナナは不満げな表情を隠すこともなくキッとレンリを睨んだ。

「あたしは認めませんわ、貴女の化けの皮を剥がしてやりますわ!」
「あの、ナナ様――」

「貴女に名前を呼ばれる筋合いはありませんわ!」

 ナナは瞳を怒りに染め上げて、ふんっと顔を逸らした。
 鼻息荒く怒りを露わにするナナの様子に、シンはもう一度溜息を吐いてナナの手から自分の腕を抜き取った。

「レンリ、悪いな。じゃれつく大型犬とでも思ってくれ」
「じゃれついてなんかいませんわ! シン様の分からず屋!」

 ナナは興奮で顔を赤く染めると足音を響かせながら建物の中に駆け入り、大きな音を立てて扉を閉めてしまった。
 シンが肩を竦めると、レンリは眉を下げて恐る恐る口を開いた。

「……私、ここに来ない方が良かったのでは?」
「ナナの世界には今まで俺しかいなかったから、あいつは俺に依存してるんだ。だから、これからレンリがここにいてくれたら、自分の世界を広げるきっかけになる」
「……ですが、私まだここに残ると決めたわけでは」
「どこも行くところがないのに?」

 言葉に割って入るようにシンが尋ねると、レンリは押し黙った。
 その深刻そうな表情に、シンは違う違うと手を振った。

「悪い、そんな風に捉えないでくれ。別に俺はあんたをこの場所に縛り付けるつもりはない。何かを思い出して、目的が見つかったならここを離れることを引き留めることはしない」

 シンは真っ直ぐにレンリを見つめた。

「ただ、研究所の被害者かも知れないあんたを守る責任が俺にはある」
「……そうと決まったわけではないのでしょう?」
「決まってはいないが、俺の中ではある程度答えが出ている。その刺青と、竜の子であること。その情報だけで十分だ」

 シンが自分の左腕に刻まれた赤紫色の刺青を撫でると、何とも言えない表情でレンリが口を噤んだのが見えた。
 レンリはシンの左腕に刺青があることに気付いていたのだろう。
 だからこそ、自分にも同じものがあるのだと隠さず告げてくれたのだとシンは推測していた。

「……ナナ様にも刺青が見えました。私がナナ様と同じ状況というのは、それと関係が?」
「あの状況でよく見てるな」

 想像以上に賢明な言動に、シンは口の端を吊り上げて笑った。
 まさしくナナもまたヒトが持たざる色を持った《竜の子》である。
 黄色い髪と真っ赤な瞳のその組み合わせを持つ者は、この世界のどこを探してもおそらくナナしかいないだろう。
 そして、ナナもレンリと同じく、刺青を持った《竜の子》なのだ。

「ナナは研究所で造られた竜の子のクローンだ。そして、研究所で否応なしに刺青を入れられた。俺は、あんたもその一人なんじゃないかと思ってる」

「クローン……」
 レンリが呆然と呟くのを尻目に、シンは建物を指し示した。

「少し込み入った話になりそうだ、中に入ろう」
「っあの、約束は?」
「勿論守る。でも、あんたも自分が何者なのか気になるだろう?」

 シンはくるりと背を向けると建物の扉を開けてレンリの反応を待った。
 レンリが僅かに瞳を揺らしながら近付いてきたため、シンは案内するように先を歩いた。

 石造りの重厚な外観とは異なり、中は木造でできている。
 一見不可思議に見えるその造りも、魔法にかかればそれこそ容易に出来るのである。

 リビングまで足を進めたが先に入った筈のナナの姿は見当たらず、自分の部屋に籠もったのだろうシンは見当づけた。

「座ってくれ」

 促されてレンリが木製の椅子に腰を掛けるのに続いて、シンはその真向かいに腰掛けた。

「覚えてないことも多いと言っていたが、竜の子については知っているのか?」
「……ヒトの持たない色を持つ、稀有な存在だと聞きました」
「なるほどな。一般常識程度は知ってるわけだ」

 シンは考えるように顎に手を置き、それから視線を上げてレンリを見た。

「あんたが純粋に竜の子で、刺青を入れられる存在だった可能性もあるが、竜の子は本当に少ない。一万人に一人か、十万人に一人か、もしくはそれ以上。それに加えて刺青があるなんて確率は、本当に限られている」
「それは、刺青を入れている方も少ないと言うことでしょうか?」
「そうだ。今入れてる奴は皆、研究所の関係者か、貴族ぐらいだろうな。……俺に刺青があるのも元々研究所にいたからだ」

 シンは微妙な表情を浮かべて刺青に視線を落とした。

「研究所は竜の子を使って実験を繰り返していた。だから仮に、レンリが純粋な竜の子だったとしても、奴らから守りたい。そしてクローンだとしたら、研究所にいた人間として――俺に贖罪させて欲しい」

 研究所は既にない。
 しかし、研究者がいないとは限らない。
 シンが頭を下げると、レンリは戸惑った声を上げた。

「あ、頭を上げてください、あの、私、何も覚えていませんし……」
「勿論、ここにいたくないなら引き留めない。だけど、せめて自分の身を守れるように魔法の使い方を教えさせてくれ」
 俺にあんな簡単に捕まってるようじゃ心配なんだ、とシンは真剣な顔つきで告げた。
 
 レンリは当惑した様子で目を伏せた。
「……少し、考えさせてください」
「勿論、俺の側なら安全だ。結論が出るまで考えればいい」

 シンは徐に席を立つと一つの扉の前で立ち止まった。
「ナナ、俺は少し外に行ってくる」

 瞬間、ドタバタと扉の向こうから騒がしい物音が聞こえ、それに負けないほどの大きな音を立てて勢いよく扉が開かれた。

「っどこに行くんですの!?」
「ナナには言ってなかったが、最近周囲をうろついている奴がいるから、釘を刺してくる」
「危険はありませんの?」
「中にも入れない奴らだ、脅威じゃない」

 その言葉にナナは安心したように息を吐いた。

「だから、また留守番頼めるか?」
「……分かりましたわ、すぐに帰ってきてくださいませ」

 シンはその場でレンリに向き直った。

「レンリ、行こう」
「っその女も一緒ですの!?」
 先程のしおらしさが嘘のように、ナナはまた声を荒げた。

「彼女はそいつらの世話になったらしいし、俺が無理矢理攫ったと勘違いされちゃ困るからな」
「そんなの、熨斗でもつけて返せばいいんですわ!」

 ナナは再び目を吊り上げてレンリを睨んでいる。
 その様に耐えきれずシンが深く溜息を吐くと、ナナはびくりと大袈裟に体を揺らした。

「頼むから聞き分けてくれ」
「……それなら、あたしも一緒に行きますわ」
「ややこしくなるからダメだ」

 ナナは地団駄を踏んだ。

「なんであの女が良くて、あたしがダメなんですの!?」
「……話聞いてたか?」
「えぇ、勿論聞いていましたわ! それでも到底納得できませんの!」

 シンは目を閉じて、自身の米神のあたりをトントンと叩いた。

「……邪魔はしないと誓えるか?」
「誓いますわ!」
「レンリを威嚇しないか?」
「それは……」
 ナナが口ごもって目を逸らすと、シンはナナの額をトンと突いた。

「お前は待ってろ」

 有無を言わさない声色に、ナナは泣く一歩手前まで瞳を潤ませ、唇を噛みながら静かに部屋の中へと戻っていった。
 途端に室内は静寂に包まれ、シンはもう一度大きく息を吐いた。

「……待たせたな。さぁ、行こうか」
「……ナナ様は大丈夫でしょうか?」
「ほっとけばいい、その内機嫌は直る」

 シンは振り向くことなく出入り口へと向かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

Anotherfantasia~もうひとつの幻想郷

くみたろう
ファンタジー
彼女の名前は東堂翠。 怒りに震えながら、両手に持つ固めの箱を歪ませるくらいに力を入れて歩く翠。 最高の一日が、たった数分で最悪な1日へと変わった。 その要因は手に持つ箱。 ゲーム、Anotherfantasia 体感出来る幻想郷とキャッチフレーズが付いた完全ダイブ型VRゲームが、彼女の幸せを壊したのだ。 「このゲームがなんぼのもんよ!!!」 怒り狂う翠は帰宅後ゲームを睨みつけて、興味なんか無いゲームを険しい表情で起動した。 「どれくらい面白いのか、試してやろうじゃない。」 ゲームを一切やらない翠が、初めての体感出来る幻想郷へと体を委ねた。 それは、翠の想像を上回った。 「これが………ゲーム………?」 現実離れした世界観。 でも、確かに感じるのは現実だった。 初めて続きの翠に、少しづつ増える仲間たち。 楽しさを見出した翠は、気付いたらトップランカーのクランで外せない大事な仲間になっていた。 【Anotherfantasia……今となっては、楽しくないなんて絶対言えないや】 翠は、柔らかく笑うのだった。

チートな親から生まれたのは「規格外」でした

真那月 凜
ファンタジー
転生者でチートな母と、王族として生まれた過去を神によって抹消された父を持つシア。幼い頃よりこの世界では聞かない力を操り、わずか数年とはいえ前世の記憶にも助けられながら、周りのいう「規格外」の道を突き進む。そんなシアが双子の弟妹ルークとシャノンと共に冒険の旅に出て… これは【ある日突然『異世界を発展させて』と頼まれました】の主人公の子供達が少し大きくなってからのお話ですが、前作を読んでいなくても楽しめる作品にしているつもりです… +-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-+-  2024/7/26 95.静かな場所へ、97.寿命 を少し修正してます  時々さかのぼって部分修正することがあります  誤字脱字の報告大歓迎です(かなり多いかと…)  感想としての掲載が不要の場合はその旨記載いただけると助かります

拾ったものは大切にしましょう~子狼に気に入られた男の転移物語~

ぽん
ファンタジー
⭐︎コミカライズ化決定⭐︎    2024年8月6日より配信開始  コミカライズならではを是非お楽しみ下さい。 ⭐︎書籍化決定⭐︎  第1巻:2023年12月〜  第2巻:2024年5月〜  番外編を新たに投稿しております。  そちらの方でも書籍化の情報をお伝えしています。  書籍化に伴い[106話]まで引き下げ、レンタル版と差し替えさせて頂きます。ご了承下さい。    改稿を入れて読みやすくなっております。  可愛い表紙と挿絵はTAPI岡先生が担当して下さいました。  書籍版『拾ったものは大切にしましょう〜子狼に気に入られた男の転移物語〜』を是非ご覧下さい♪ ================== 1人ぼっちだった相沢庵は住んでいた村の為に猟師として生きていた。 いつもと同じ山、いつもと同じ仕事。それなのにこの日は違った。 山で出会った真っ白な狼を助けて命を落とした男が、神に愛され転移先の世界で狼と自由に生きるお話。 初めての投稿です。書きたい事がまとまりません。よく見る異世界ものを書きたいと始めました。異世界に行くまでが長いです。 気長なお付き合いを願います。 よろしくお願いします。 ※念の為R15をつけました ※本作品は2020年12月3日に完結しておりますが、2021年4月14日より誤字脱字の直し作業をしております。  作品としての変更はございませんが、修正がございます。  ご了承ください。 ※修正作業をしておりましたが2021年5月13日に終了致しました。  依然として誤字脱字が存在する場合がございますが、ご愛嬌とお許しいただければ幸いです。

ブラック・スワン  ~『無能』な兄は、優美な黒鳥の皮を被る~ 

ファンタジー
「詰んだ…」遠い眼をして呟いた4歳の夏、カイザーはここが乙女ゲーム『亡国のレガリアと王国の秘宝』の世界だと思い出す。ゲームの俺様攻略対象者と我儘悪役令嬢の兄として転生した『無能』なモブが、ブラコン&シスコンへと華麗なるジョブチェンジを遂げモブの壁を愛と努力でぶち破る!これは優雅な白鳥ならぬ黒鳥の皮を被った彼が、無自覚に周りを誑しこんだりしながら奮闘しつつ総愛され(慕われ)する物語。生まれ持った美貌と頭脳・身体能力に努力を重ね、財力・身分と全てを活かし悪役令嬢ルート阻止に励むカイザーだがある日謎の能力が覚醒して…?!更にはそのミステリアス超絶美形っぷりから隠しキャラ扱いされたり、様々な勘違いにも拍車がかかり…。鉄壁の微笑みの裏で心の中の独り言と突っ込みが炸裂する彼の日常。(一話は短め設定です)

人質から始まった凡庸で優しい王子の英雄譚

咲良喜玖
ファンタジー
アーリア戦記から抜粋。 帝国歴515年。サナリア歴3年。 新国家サナリア王国は、超大国ガルナズン帝国の使者からの宣告により、国家存亡の危機に陥る。 アーリア大陸を二分している超大国との戦いは、全滅覚悟の死の戦争である。 だからこそ、サナリア王アハトは、帝国に従属することを決めるのだが。 当然それだけで交渉が終わるわけがなく、従属した証を示せとの命令が下された。 命令の中身。 それは、二人の王子の内のどちらかを選べとの事だった。 出来たばかりの国を守るために、サナリア王が判断した人物。 それが第一王子である【フュン・メイダルフィア】だった。 フュンは弟に比べて能力が低く、武芸や勉学が出来ない。 彼の良さをあげるとしたら、ただ人に優しいだけ。 そんな人物では、国を背負うことが出来ないだろうと、彼は帝国の人質となってしまったのだ。 しかし、この人質がきっかけとなり、長らく続いているアーリア大陸の戦乱の歴史が変わっていく。 西のイーナミア王国。東のガルナズン帝国。 アーリア大陸の歴史を支える二つの巨大国家を揺るがす英雄が誕生することになるのだ。 偉大なる人質。フュンの物語が今始まる。 他サイトにも書いています。 こちらでは、出来るだけシンプルにしていますので、章分けも簡易にして、解説をしているあとがきもありません。 小説だけを読める形にしています。

【完結】魔王様、溺愛しすぎです!

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
「パパと結婚する!」  8万年近い長きにわたり、最強の名を冠する魔王。勇者を退け続ける彼の居城である『魔王城』の城門に、人族と思われる赤子が捨てられた。その子を拾った魔王は自ら育てると言い出し!? しかも溺愛しすぎて、周囲が大混乱!  拾われた子は幼女となり、やがて育て親を喜ばせる最強の一言を放った。魔王は素直にその言葉を受け止め、嫁にすると宣言する。  シリアスなようでコメディな軽いドタバタ喜劇(?)です。 【同時掲載】アルファポリス、カクヨム、エブリスタ、小説家になろう 【表紙イラスト】しょうが様(https://www.pixiv.net/users/291264) 挿絵★あり 【完結】2021/12/02 ※2022/08/16 第3回HJ小説大賞前期「小説家になろう」部門 一次審査通過 ※2021/12/16 第1回 一二三書房WEB小説大賞、一次審査通過 ※2021/12/03 「小説家になろう」ハイファンタジー日間94位 ※2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過作品 ※2020年8月「エブリスタ」ファンタジーカテゴリー1位(8/20〜24) ※2019年11月「ツギクル」第4回ツギクル大賞、最終選考作品 ※2019年10月「ノベルアップ+」第1回小説大賞、一次選考通過作品 ※2019年9月「マグネット」ヤンデレ特集掲載作品

女子高生研ぎ師見習い 悪役令嬢に転生しました❗ 〜農高出身転生者の私、勇者の剣を研いだけど、結局追放されました。よっしゃー!~

みちのあかり
ファンタジー
桜 凛(さくら りん)は調理師を目指す農業高校生。調理クラブの先輩から道具の手入れの大切さを叩きこまれ、研ぎの魅力に目覚める。大好きな恋愛シミュレーションゲームの二次制作をしていたら、なぜかゲームの世界の悪役令嬢リリアの子供時代に転生してしまった。 義母義姉からは疎まれ、母屋にも入れてもらえない日々。学園入学する前に餓死しそうよ! そんな中、農業高校での実習を思い出し、自給自足の生活を。 恋愛フラグ? そんなものよりまずご飯! 自給自足の子供時代 シャベル片手にコカトリスを倒す! 冒険者なら丁寧な言葉遣いなんて使ってられるか! やさぐれ街道まっしぐら! 偉い人にも忖度なし! どんどんレベルを上げましょう! 学園編 元王の養女になったリリア。 勇者達の指導係になったり、魔導具開発したり大忙しの学園生活。 目指すは卒業パーティでの追放劇。 早く勇者達から手を切って追放されたいリリアは無事に追放されるように頑張るけれど、ゲームヒロインちゃんが許してくれません。 カクヨムなどで投稿しています。

チートなタブレットを持って快適異世界生活

ちびすけ
ファンタジー
 勇者として召喚されたわけでもなく、神様のお告げがあったわけでもなく、トラックに轢かれたわけでもないのに、山崎健斗は突然十代半ばの少し幼い見た目の少年に転生していた。  この世界は魔法があるみたいだが、魔法を使うことが出来ないみたいだった。  しかし、手に持っていたタブレットの中に入っている『アプリ』のレベルを上げることによって、魔法を使う以上のことが出来るのに気付く。  ポイントを使ってアプリのレベルを上げ続ければ――ある意味チート。  しかし、そんなに簡単にレベルは上げられるはずもなく。  レベルを上げる毎に高くなるポイント(金額)にガクブルしつつ、地道に力を付けてお金を溜める努力をする。  そして――  掃除洗濯家事自炊が壊滅的な『暁』と言うパーティへ入り、美人エルフや綺麗なお姉さんの行動にドキドキしつつ、冒険者としてランクを上げたり魔法薬師と言う資格を取ったり、ハーネと言う可愛らしい魔獣を使役しながら、山崎健斗は快適生活を目指していく。 2024年1月4日まで毎日投稿。 (12月14日~31日まで深夜0時10分と朝8時10分、1日2回投稿となります。1月は1回投稿) 2019年第12回ファンタジー小説大賞「特別賞」受賞しました。 2020年1月に書籍化! 12月3巻発売 2021年6月4巻発売 7月コミカライズ1巻発売

処理中です...