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3級商業簿記編
chapter18 「減価償却累計額」って何!?
しおりを挟む「失礼します!1年A組の嶋尻美琴です。戸山先生はいらっしゃいますか?」
私は、この前の授業で分からなかった部分を聞くため、職員室の戸山先生を訪ねた。
いつもなら、煉先輩に真っ先に聞くところなのだが、生憎忙しいみたいで、捕まえることができなかったからだ。
「おう嶋尻か!俺に何か用か?珍しいな!」
「戸山先生。実は、今日の授業のところで、分からなかったところがありまして…」
「あれっ!美琴ちゃん!?」
「紗代!どうして職員室に!?」
「この前の戸山先生の授業で、少し難しいのがでたじゃない?それをもう1度聞こうと思って…」
「それってもしかして…「減価償却累計額」だったりする?」
「もしかして、美琴ちゃんもそれを聞きに?」
「うん!そうなんだ!!今まで、減価償却を決算でした時って、直接備品や建物の価値を減らしていたけど、この前の授業で「累計額」が登場して、訳わからなくなっちゃって…」
「2人とも累計額のことを聞きに来たとは…今風で言えば「類友」って奴か!?」
「先生!私と紗代は「親友」なんです!」
「美琴ちゃん♪」
「そうかそうか!それで「累計額」の話だったよな」
「はい!「減価償却累計額」って、減価償却を行った際に、今までは備品や建物を直接減らしていた代わりに使うものだと習いましたけど、何で直接減らす方法じゃダメなんですか?」
「「ダメ」ではないぞ!今までやってきた、直接建物や備品の値段を差し引く方法は「直接法」と呼ばれている、れっきとした経理処理の方法の1つなんだ」
「それと減価償却の価額は、3級では取得原価から残存価額を差し引いた額を耐用年数で割って均等額を償却していく「定額法」によっている」
「携帯電話のパケット定額制みたいなものですよね!」
「ちょっと意味合いは違うが、毎年同じ金額にはなるから、今はそういう考え方でいいだろう」
「ここで2人に質問。直接法の場合、建物や備品の資産価値はどうなる?」
「決算の減価償却によって、値段が下がります…よね…」
「その通り。例えば、5年前の期首に購入した耐用年数7年、残存価額0の備品の減価償却を行うとして、今まで直接法により記帳していたとする。備品の帳簿価額が300,000だったとして、今期の減価償却額はいくらになるでしょうか?」
「え~と、備品の値段は300,000で残存価額が0、耐用年数が7年だから、300,000を7で割って…」
「美琴ちゃん!ちょっと待って!!5年前の期首に購入したってことは、もう4回決算を迎えているから、この300,000っていうのは、減価償却後の価額だよ!」
「あっ!!!そうか!!300,000ていうのは今の備品の価額だから、耐用年数の7年で割っちゃだめなのか…」
「大正解!!今の例では、耐用年数7年のうち、4回分は決算で減価償却を行っているという前提がある。ということは、残りの減価償却は3年分だから…」
「減価償却の額は100,000という訳ですね!」
「そういうこと。今の例で分かるように、備品の帳簿価額を直接いじってしまう「直接法」だと、決算で減価償却額を算定する際、元々の価額が分からないという事態が発生してしまうだろ!」
「確かに、あと何年の耐用年数が残っている備品なのかっていうところまで考えなければならなかったです!」
「この問題を解消できるのが「減価償却累計額」を使用する「間接法」という訳だ」
「確か、間接法で減価償却を行った場合は…
(借方(左側))減価償却費
/
(貸方(右側))減価償却累計額
という仕訳になるんですよね…」
「その通り。その仕訳に「備品」や「建物」といった、減価償却を行う資産は入っているか?」
「入っていないですよね。なるほど!!間接法を使うと、備品や建物を直接減らさないから、買った時の値段のまま、帳簿価額が維持されるんですね!」
「そういうこと。間接法で減価償却を行っておけば、減価償却額は減価償却累計額に積み立てられていくから、耐用年数さえ分かればすぐにでも減価償却額が算定できる、という訳さ」
「やっぱり、簿記って頭いいですね!!」
「先生!直接法と間接法、実際の会社ではどちらの方法がとられているんですか?」
「減価償却は毎年の決算で必ず行われるもので、これを行うためには取得価額・耐用年数に加え、2級以上で出てくる「定率法」では今までの減価償却の累計額が必要になってくるから、取得価額・減価償却累計額が一目で分かる「間接法」により記帳している会社が多いようだ」
「直接減らしておいた方が今の資産価値は分かりやすいけど、決算で煩雑な処理を行う必要が出てくるから、実際は「間接法」で減価償却が計上される、ということですね!」
「そういうことだ!これからの簿記の勉強で「直接法」はほとんど出て来なくなるから、よく覚えておくように!」
「はい!分かりました!!」
「戸山先生!ありがとうございました!!」
「…失礼します…って、美琴と紗代!2人は職員室に居たのか!」
「あっ!煉先輩!!」
「沢継!ここにいるお前の後輩2人を探しているのか?」
「戸山先生!!はい。2人が俺を探していると聞いたもので…」
「そうか!でも、その用事はもう解決してしまったかも、だぞ!」
「えっ!そうなのか?」
「煉先輩!確かに簿記のことを先輩に聞こうとは思っていましたけど、それは戸山先生にお聞きして解決はしてます!でも、先輩には別の用事があります!ねっ、紗代!」
「今日は部活が休みで、先輩がお暇だったら、美琴ちゃんのお姉ちゃんも誘って、けやきボウルに行こうって相談していたんです!」
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「お姉は大丈夫だって言ってたから…煉先輩!早く行きましょう!戸山先生!ありがとうございました!!」
「おう!あまり帰りが遅くならないように、な!!」
「では、失礼します」
「ボウリング、か。今度、酒井先生を誘ってみようかな…」
「戸山先生!お呼びになりましたか!?」
「さっ酒井先生!いつの間に!?」
「先ほどからここに居ましたけど…?で、何か御用ですか?」
「いっ、いや。何でもないんだ。何でも…」
「???」
「…」
chapter19 に続く
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