25 / 29
第25話
しおりを挟む
---「もー、なっちゃんってば、遅い!」
「し、仕方ねーだろ! 終わるのは十二時ぐらいだって先に言ったやっし!」
「もう一時過ぎてるよ!?」
玄関を開けるなりすぐになつの怒声が飛んできた。わざわざ玄関の前まで待ち伏せているとは、相当暇してたんだろうな。
「さっ、早く行くよなっちゃん!」
「まだ昼メシ食べてないんだけど」
そんななつは俺の手を取り、早々に家を出ようとしたが、俺はそれを止めた。午前中ずっと外にいたからちょっと疲れてるし、昼メシも食べてないから腹が空いていてこれ以上動く気力が出ないのだ。
なつには申し訳ないが、正直に言うと少し休みたいのだが。もっと言うと昼寝がしたい。
「へへーん! そー言うと思ってなっちゃんが学校に行ってる間に作っちゃいましたー!!」
「ん? なにそれ?」
するとなつは自慢気に風呂敷のようなものを見せつけてきた。俺はそれになにが入っているのかわからず、なつに聞いてみた。
「それは向こうに着いてからのお楽しみ♡」
しかしなつは意地悪な笑顔を浮かべて焦らしてきた。
「どうせ弁当だろ?」
「なんで今言っちゃうの!?」
だが、なんとなくわかっていたから別段気になるほどでもなかった。
それになつにイジワルされるのがなんとなくムカついた。
「けど、なつが弁当作るなんて珍しいやー。あっ、そうか。約束の時間過ぎたから俺に毒入りのメシ食わせて…」
「失礼な!? ちゃんと自分で味見して作ったもん!」
しかしなつが弁当を作るなんて珍しいからちょっとばかし冗談を言ってみたが、なつは本気に捉えたのか、頰を膨らませムスッとした表情を浮かべていた。いちおう、なつが本気で作ったということだけはよく伝わった。
「けど、マジでどうしたば? 料理なんて普段しないやっし。食う専門だろ?」
「なっちゃん、私、一回も食べる専門だなんて言ってないよ?」
「言わなくても見てたら大体そう思うだろ?」
「私、大食いじゃないから!?」
「…だれもそんなこと言ってんやっし」
イメージからしてなつは食う専門だと本気で俺は思ってた。まあ実際になつが料理をしてるところなんて見たことないし、想像もできなかった。そのことを言ったらさらになつは不機嫌になってしまったが。なんか変な勘違いしてたけどな。
「ほら、早く行くよ、なっちゃん!」
「はいはい。わかったわかった」
俺の冗談で不機嫌になったなつは急かすように家を出ようとしていた。俺は仕方なくなつの後に続くように家を出ることにした。
「し、仕方ねーだろ! 終わるのは十二時ぐらいだって先に言ったやっし!」
「もう一時過ぎてるよ!?」
玄関を開けるなりすぐになつの怒声が飛んできた。わざわざ玄関の前まで待ち伏せているとは、相当暇してたんだろうな。
「さっ、早く行くよなっちゃん!」
「まだ昼メシ食べてないんだけど」
そんななつは俺の手を取り、早々に家を出ようとしたが、俺はそれを止めた。午前中ずっと外にいたからちょっと疲れてるし、昼メシも食べてないから腹が空いていてこれ以上動く気力が出ないのだ。
なつには申し訳ないが、正直に言うと少し休みたいのだが。もっと言うと昼寝がしたい。
「へへーん! そー言うと思ってなっちゃんが学校に行ってる間に作っちゃいましたー!!」
「ん? なにそれ?」
するとなつは自慢気に風呂敷のようなものを見せつけてきた。俺はそれになにが入っているのかわからず、なつに聞いてみた。
「それは向こうに着いてからのお楽しみ♡」
しかしなつは意地悪な笑顔を浮かべて焦らしてきた。
「どうせ弁当だろ?」
「なんで今言っちゃうの!?」
だが、なんとなくわかっていたから別段気になるほどでもなかった。
それになつにイジワルされるのがなんとなくムカついた。
「けど、なつが弁当作るなんて珍しいやー。あっ、そうか。約束の時間過ぎたから俺に毒入りのメシ食わせて…」
「失礼な!? ちゃんと自分で味見して作ったもん!」
しかしなつが弁当を作るなんて珍しいからちょっとばかし冗談を言ってみたが、なつは本気に捉えたのか、頰を膨らませムスッとした表情を浮かべていた。いちおう、なつが本気で作ったということだけはよく伝わった。
「けど、マジでどうしたば? 料理なんて普段しないやっし。食う専門だろ?」
「なっちゃん、私、一回も食べる専門だなんて言ってないよ?」
「言わなくても見てたら大体そう思うだろ?」
「私、大食いじゃないから!?」
「…だれもそんなこと言ってんやっし」
イメージからしてなつは食う専門だと本気で俺は思ってた。まあ実際になつが料理をしてるところなんて見たことないし、想像もできなかった。そのことを言ったらさらになつは不機嫌になってしまったが。なんか変な勘違いしてたけどな。
「ほら、早く行くよ、なっちゃん!」
「はいはい。わかったわかった」
俺の冗談で不機嫌になったなつは急かすように家を出ようとしていた。俺は仕方なくなつの後に続くように家を出ることにした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説



【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本
しましまのしっぽ
恋愛
男性向け(女声)シチュエーションボイス台本です。
関西弁彼女の台本を標準語に変えたものもあります。ご了承ください
ご自由にお使いください。
イラストはノーコピーライトガールさんからお借りしました

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる