夏空模様

慶名 安

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第22話

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 ---「おお、なっちゃん! 掃除当番、来たのかよ!? 俺、てっきりサボんのかと思ってたよ!?」

 「母さんが行ってこいってシツコいんだよ」

 掃除当番の日、学校に行くと聡が声をかけてきた。聡は野球部だから来るのは当然か。

 ---「それよりさー、なっちゃん」

 「ん?」

 俺と聡は二人で体育館横の自転車置場で掃き掃除をしていた。そんなとき、聡が俺に話しかけてきた。

 「夏海ちゃんって、いつ頃来んの?」

 「………」

 聡に言われて俺は聡から頼まれていたことをふと思い出した。そういえばなつが来たら連絡してくれと頼まれていたのだが、めんどくさくて結局、忘れてしまっていた。

 「で、いつ来るって夏海ちゃん」

 「…もう来てるよ」

 「…は?」

 期待に胸踊らせる聡に俺はボソリと呟くように答えた。

 すると聡の手から竹ぼうきが滑り落ちた。そこまでショックを受けなくてもいいと思うのだが。

 「なんで言わんかったばー?!」

 「わりー。忘れてた」

 聡は俺の胸ぐらを掴み身体を揺さぶりながら怒鳴り散らしてきた。そんなに怒ることか?

 「いつ頃来てたんだよ?」

 「一学期終わってすぐだけど」

 「それ、俺と約束してすぐじゃねーか!?」

 「すまん。おまえとの約束はどうもすぐ忘れちまう」

 「ヒドッ!?」

 しかし俺は言ってしまった矢先、開き直り聡の説教も適当に返した。

 「なっちゃん! 今日、おまえん家、行ってイイ!?」

 「今日、部活あるんじゃないば?」

 「部活終わってからだよ! まあ夜になると思うけど」

 「…まさか泊まるつもりじゃないよな?」

 「もちろん、って言いたいところだけど、部活あるしちょっと顔出すだけにするわ」

 「ちょっと顔を出すだけで夜来られても困るんだが」

 「そーゆーなやー」

 しかし聡も引こうとはしなかった。こういうときの聡は中々にめんどくさい。

 「ハア、わかったわかった。ちょっとだけだからな」

 「ああ。サンキュー、なっちゃん!?」

 結局俺は家に来るのを承諾してしまった。今更思うが、俺って押されると弱いタイプのようだ。

 「じゃあ、今日の夜、ちゃんと家で待っとけよな、なっちゃん!?」

 「わかってるって。夜、どっか行く予定なんてないし」

 こうして俺は聡と男同士の約束をしてしまうのであった。ハア。変な展開にならなければいいのだが。
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