夏空模様

慶名 安

文字の大きさ
上 下
21 / 29

第21話

しおりを挟む
 ---「でねー、なっちゃんってば、自分で言い出しておいて、ジャンケン負けたんだよ!? 私、思わず笑っちゃったよ!」

 「はっはっは、夏樹ー、女の子に荷物を持たせようとした罰が当たったわね!?」

 「…やかましい…」

 無論、そのことは夕飯時の話題として取り上げられていた。

 すると、真っ先に母さんが嫌味っぽく反応してきた。予想はしてたけど、言われるとでーじわじわじーしてくる。ちなみに『わじわじー』とは腹が立ったときに使う方言だ。

 「よし! 明日こそプールで泳ぐぞー!」

 「あら? プール、明日行くの?」

 そんな中、なつが楽しみにしているところに母さんが不意に俺達に向かって問いかけてきた。

 「ん? 明日、なんかあったっけ?」

 急に問いかけられ、その意味がわからず、逆に俺は母さんに向かって問いかけていた。なにか用事でもあったっけ?

 「あんた、明日、学校の掃除当番だったでしょ? ほら、クラスのやつの」

 「掃除当番って、ああ、あれかー」

 すると母さんの返事を聞いて俺はようやく思い出した。

 明日は学校の掃除当番の日になっていた。俺の学校では夏休み中に2回ほどクラスごとで学校の掃除当番の日が決められているのだ。

 「けどあれ、強制参加じゃないから、別に行かなくてもいいし、部活してる連中はほぼ確実に来るだろうから、別に参加する必要は…」

 「なに言ってんのよ?! 自分の通ってる学校なんだから、自分達で学校をキレイにしないとー。午前中には終わるんだから、行っときなさい!?」

 しかし強制参加というわけでもないし、運動部系の部活動はほぼ間違いなく参加させられる羽目になるから、俺が行かなくてもクラスの三分の一以上の生徒は参加するはずだ。

 だから行く必要がないのだが、母さんは変な理屈で俺に行けと言ってきた。マジで意味がわからん。

 「っていうことだから夏海ちゃん、ごめんなんだけど、行くなら午後からにしてね?」

 「うん、わかったよ。学校の用事なら仕方ないよね」

 「おい、だれも行くなんて…」

 「行きなさい!」

 「…チッ、わーったよ」

 俺は行く気なんてサラサラなかったが、あまりにも母さんが威圧してくるから、俺は仕方なく頷いた。なんであんなメンドイこと、俺がやわなくちゃいけないば?

 「じゃあ明日は午後からだね、なっちゃん」

 「…ああ、そうだな」

 ---結局、明日の予定は午前中は学校の掃除をして、午後からプールに行くことが決まり、その日は早めに寝ることにした。

 ハア、明日は大変な一日になりそうだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

一夏の性体験

風のように
恋愛
性に興味を持ち始めた頃に訪れた憧れの年上の女性との一夜の経験

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

完全なる飼育

浅野浩二
恋愛
完全なる飼育です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

パート先の店長に

Rollman
恋愛
パート先の店長に。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...