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第14話
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---「うわぁー、大っきいーー!! 広ーい!!」
「はしゃぎすぎだろ、おまえ」
夏休み二日目の朝、俺となつは路線バスに乗って隣町にある水族館に来ていた。
到着するや否やなつは大はしゃぎし出した。あんまり他の人に見られるとしに恥ずかしいのだが。ちなみに『しに』とは『かなり』みたいな感じで使う方言だ。
それにしても、久しぶりに来てみたが、たしかに大きい。あのときはまだ小学校低学年くらいだったから大きく感じていたかと思っていたが、今見てもでーじ広くて大きい。もうどこになにがあったのかなんて覚えていない。あと『でーじ』とはさっきの『しに』と同じような意味で使われる。
「ねーねー、なっちゃん!? 早く行こうよ!? 時間は有限なんだよ!?」
「はいはい。わかったから一回落ち着け」
さっきから興奮気味のなつをなだめながら俺となつは水族館の中へと歩いて行った。
---「うへー、気持ち悪いー」
「うげっ、よく触れんな?」
まず最初に向かったのは入り口から入ってすぐ近くにある触れ合いコーナー的な場所に向かって行った。
ここでは浅瀬に住むナマコやヒトデなんかが触れるコーナーになっていた。この水族館に来たらまず間違いなく最初に向かうコーナーだ。
その触れ合いコーナーでなつは気持ち悪いなどと言いながらも楽しそうにナマコを触りまくっていた。俺なんかヒトデでも抵抗があるというのに、あんな気持ち悪い生き物、よく触れるな。
「ほれほれー、なっちゃんも触ってみー?」
「おい、水槽から出すなって」
そんな俺をからかうかのようになつは俺のところに自分が触っていたナマコを持ってきた。それに対して俺は水槽に戻すようなつに促していた。こいつ、俺が生き物触るの苦手だと知っててやってやがるな。
「へへへっ、なっちゃんってば、相変わらず生き物触るのダメなんだね?」
「…やっぱ、わかっててやりやがったな」
「もう克服したのかなぁと思って、試してみただけだよ」
「さすがにナマコはダメだろ!?」
なつのやつ、やっぱりわかっていてやっていたようだ。しかし、いきなりナマコで試すのはなしだろ?
---「ふー、楽しかったー」
「早く手ぇ洗いに行け」
「うん、ちょっと待っててー」
しばらくして満足したなつは水槽から手を出し、俺に促されるようにお手洗いに向かって行った。それにしても本当に楽しそうだったな、なつのやつ。
「………」
俺の頭の中にふと楽しそうにしていたなつの顔が思い浮かんだ。あんな顔を見せられると来てよかったなと心の底からそう思った。
「なっちゃん、おまたせー!!」
「ッ!? お、おう」
そんなことを思っていると、いつのまにかなつがお手洗いから帰って来ていた。そんな中、あのときの顔がまだ脳裏に焼き付いていて、ドキッとさせられた。
「さ、さあ、行こうぜ! 時間は有限だからな!」
「? う、うん」
俺はそれをごまかすためになつから顔を背け、さっさと移動することにした。なつはそんなことなど知りもしなかったが。
「はしゃぎすぎだろ、おまえ」
夏休み二日目の朝、俺となつは路線バスに乗って隣町にある水族館に来ていた。
到着するや否やなつは大はしゃぎし出した。あんまり他の人に見られるとしに恥ずかしいのだが。ちなみに『しに』とは『かなり』みたいな感じで使う方言だ。
それにしても、久しぶりに来てみたが、たしかに大きい。あのときはまだ小学校低学年くらいだったから大きく感じていたかと思っていたが、今見てもでーじ広くて大きい。もうどこになにがあったのかなんて覚えていない。あと『でーじ』とはさっきの『しに』と同じような意味で使われる。
「ねーねー、なっちゃん!? 早く行こうよ!? 時間は有限なんだよ!?」
「はいはい。わかったから一回落ち着け」
さっきから興奮気味のなつをなだめながら俺となつは水族館の中へと歩いて行った。
---「うへー、気持ち悪いー」
「うげっ、よく触れんな?」
まず最初に向かったのは入り口から入ってすぐ近くにある触れ合いコーナー的な場所に向かって行った。
ここでは浅瀬に住むナマコやヒトデなんかが触れるコーナーになっていた。この水族館に来たらまず間違いなく最初に向かうコーナーだ。
その触れ合いコーナーでなつは気持ち悪いなどと言いながらも楽しそうにナマコを触りまくっていた。俺なんかヒトデでも抵抗があるというのに、あんな気持ち悪い生き物、よく触れるな。
「ほれほれー、なっちゃんも触ってみー?」
「おい、水槽から出すなって」
そんな俺をからかうかのようになつは俺のところに自分が触っていたナマコを持ってきた。それに対して俺は水槽に戻すようなつに促していた。こいつ、俺が生き物触るの苦手だと知っててやってやがるな。
「へへへっ、なっちゃんってば、相変わらず生き物触るのダメなんだね?」
「…やっぱ、わかっててやりやがったな」
「もう克服したのかなぁと思って、試してみただけだよ」
「さすがにナマコはダメだろ!?」
なつのやつ、やっぱりわかっていてやっていたようだ。しかし、いきなりナマコで試すのはなしだろ?
---「ふー、楽しかったー」
「早く手ぇ洗いに行け」
「うん、ちょっと待っててー」
しばらくして満足したなつは水槽から手を出し、俺に促されるようにお手洗いに向かって行った。それにしても本当に楽しそうだったな、なつのやつ。
「………」
俺の頭の中にふと楽しそうにしていたなつの顔が思い浮かんだ。あんな顔を見せられると来てよかったなと心の底からそう思った。
「なっちゃん、おまたせー!!」
「ッ!? お、おう」
そんなことを思っていると、いつのまにかなつがお手洗いから帰って来ていた。そんな中、あのときの顔がまだ脳裏に焼き付いていて、ドキッとさせられた。
「さ、さあ、行こうぜ! 時間は有限だからな!」
「? う、うん」
俺はそれをごまかすためになつから顔を背け、さっさと移動することにした。なつはそんなことなど知りもしなかったが。
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