66 / 120
episode5「鬼人の報復」
episode5 #17「第2ラウンド」
しおりを挟む
「がっ! ぐっ! ごはっ!!」
顔面から地面に叩きつけられるようにバウンドして転がっていった。
「ハア…ハア、ッシ!!」
炎美は息切れを起こしながらも小さくガッツポーズをとった。最悪な状況から一撃を与えられたのは炎美にとってかなり大きな一撃だった。
この一撃は『本気で来い!』という意味が込められていた。これが鬼平に届くと炎美はふんでいた。
「……ハハ」
それに対して50メートルほど飛ばされた鬼平は突如空高々に声をあげて笑いだした。
「ハハハハハハハハハッ!!」
笑いながら上半身を起こす鬼平。思いっきり頭を打ちつけておかしくなってしまったのか?
「……ハア」
暫く笑っていると今度は急に笑うのを辞め軽く吐息を吐いた。悔しがっているのかと思いきや鬼平は歯をむき出しにするくらい笑顔だった。
「おもしれえー」
「??」
少し離れていた為、鬼平の一言を炎美には聞き取れていなかった。
「おもしろく、なってきたぜーー!!」
今度は一気に立ち上がり叫ぶように大声で発する鬼平。
「よおし! 気に入ったぜアンタ!! アンタの望み通り俺の本気見せてやるよ!!」
「!?」
炎美の考えは読まれていた。それを見越していながら鬼平が本気を出さなかったのは炎美が自分が本気を出すに見合っているのか判断する為であった。
「俺もちっとばかし意固地になってたみたいだ。でももうそんなモンどうだってよくなってきた! アンタの本気を見てみたくなった。だからちゃんと本気見せろよーー!!」
鬼平は自分を奮い立たせるかのように下を向いて自分の拳を見つめた。そして見つめた拳を強く握った。
「しゃあーーー!!! よく見てろーーー!!!」
今まで以上の大声で叫ぶ鬼平。鼓膜が破れそうになる程の大声で思わず耳を塞ぐ炎美。
だがようやく鬼平は本気を出す。そうすればこちらも能力が使える。嬉しいような嬉しくないような複雑な気分になる炎美。
それでもここまで来た意味はあったかもしれないと炎美は自分の胸に言い聞かせた。
何十人もの怪我人を出し数人の命を奪った元凶は間違いなく鬼平だ。その元凶を倒して捕まえれば今回の事件を終わらせることが出来る。
「分かった。イクゼ!」
まだ痛みは引いてはいないがそんなことを言っているところではなかった。それに今の炎美はアドレナリンが出まくって痛みよりも『戦ってみたい!』という意欲が強くなっていた。
「奮い立て! 我が血闘よ!」
炎美VS鬼平の第2ラウンドが始まろうとしていた。
顔面から地面に叩きつけられるようにバウンドして転がっていった。
「ハア…ハア、ッシ!!」
炎美は息切れを起こしながらも小さくガッツポーズをとった。最悪な状況から一撃を与えられたのは炎美にとってかなり大きな一撃だった。
この一撃は『本気で来い!』という意味が込められていた。これが鬼平に届くと炎美はふんでいた。
「……ハハ」
それに対して50メートルほど飛ばされた鬼平は突如空高々に声をあげて笑いだした。
「ハハハハハハハハハッ!!」
笑いながら上半身を起こす鬼平。思いっきり頭を打ちつけておかしくなってしまったのか?
「……ハア」
暫く笑っていると今度は急に笑うのを辞め軽く吐息を吐いた。悔しがっているのかと思いきや鬼平は歯をむき出しにするくらい笑顔だった。
「おもしれえー」
「??」
少し離れていた為、鬼平の一言を炎美には聞き取れていなかった。
「おもしろく、なってきたぜーー!!」
今度は一気に立ち上がり叫ぶように大声で発する鬼平。
「よおし! 気に入ったぜアンタ!! アンタの望み通り俺の本気見せてやるよ!!」
「!?」
炎美の考えは読まれていた。それを見越していながら鬼平が本気を出さなかったのは炎美が自分が本気を出すに見合っているのか判断する為であった。
「俺もちっとばかし意固地になってたみたいだ。でももうそんなモンどうだってよくなってきた! アンタの本気を見てみたくなった。だからちゃんと本気見せろよーー!!」
鬼平は自分を奮い立たせるかのように下を向いて自分の拳を見つめた。そして見つめた拳を強く握った。
「しゃあーーー!!! よく見てろーーー!!!」
今まで以上の大声で叫ぶ鬼平。鼓膜が破れそうになる程の大声で思わず耳を塞ぐ炎美。
だがようやく鬼平は本気を出す。そうすればこちらも能力が使える。嬉しいような嬉しくないような複雑な気分になる炎美。
それでもここまで来た意味はあったかもしれないと炎美は自分の胸に言い聞かせた。
何十人もの怪我人を出し数人の命を奪った元凶は間違いなく鬼平だ。その元凶を倒して捕まえれば今回の事件を終わらせることが出来る。
「分かった。イクゼ!」
まだ痛みは引いてはいないがそんなことを言っているところではなかった。それに今の炎美はアドレナリンが出まくって痛みよりも『戦ってみたい!』という意欲が強くなっていた。
「奮い立て! 我が血闘よ!」
炎美VS鬼平の第2ラウンドが始まろうとしていた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

生まれ変わっても一緒にはならない
小鳥遊郁
恋愛
カイルとは幼なじみで夫婦になるのだと言われて育った。
十六歳の誕生日にカイルのアパートに訪ねると、カイルは別の女性といた。
カイルにとって私は婚約者ではなく、学費や生活費を援助してもらっている家の娘に過ぎなかった。カイルに無一文でアパートから追い出された私は、家に帰ることもできず寒いアパートの廊下に座り続けた結果、高熱で死んでしまった。
輪廻転生。
私は生まれ変わった。そして十歳の誕生日に、前の人生を思い出す。

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる
三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。
こんなはずじゃなかった!
異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。
珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に!
やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活!
右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり!
アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
素材採取家の異世界旅行記
木乃子増緒
ファンタジー
28歳会社員、ある日突然死にました。謎の青年にとある惑星へと転生させられ、溢れんばかりの能力を便利に使って地味に旅をするお話です。主人公最強だけど最強だと気づいていない。
可愛い女子がやたら出てくるお話ではありません。ハーレムしません。恋愛要素一切ありません。
個性的な仲間と共に素材採取をしながら旅を続ける青年の異世界暮らし。たまーに戦っています。
このお話はフィクションです。実在の人物や団体などとは関係ありません。
裏話やネタバレはついったーにて。たまにぼやいております。
この度アルファポリスより書籍化致しました。
書籍化部分はレンタルしております。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる