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episode5「鬼人の報復」
episode5 #14「能力使用禁止!?」
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---遠征前日
「いいかい炎美君。これだけは守ってほしいんだ!」
「? 何ですか?」
志村から遠征の説明を受けた後のことだった。いつにもなく真剣で真っ直ぐな顔で炎美の顔を見る志村。炎美も目を逸らさずしっかりと志村の目を見つめて聞いた。
「相手が能力を使ってこない以上は絶対に能力を使っては駄目だよ!?」
「それは何か理由が?」
更に聞いてくる炎美。志村は眼鏡の位置を直し口を開いた。
「能力が使える人間とそうでない人間の身体は大きく違うんだ。もし能力者が無力の人間に攻撃をした場合、無力の人間は豆腐を崩すぐらい簡単に壊れてしまうのさ」
「!!」
その言葉を聞いて炎美の背中に寒気が走った。自分がもしそんなことをしてしまったかと想像してしまったのだ。
万が一その鬼と呼ばれている存在が能力を使わないただの喧嘩の強過ぎるだけの人間だったとしたら…
「まあ拳銃持った警官相手でも返り討ちにしちゃうぐらいだがらハッキリ言って能力者ではあるだろうけど、一応そのことだけは頭に入れておいてほしいだけだから」
炎美が黙り込んでいるとフォローを挟む志村。
「そう…ですよね」
炎美も気を遣わせてしまったことに申し訳なさそうに志村の意見を肯定した。
---そして現在、鬼平と対峙している炎美は彼が能力を使うのを待っていた。
しかし予想は裏切られ鬼平は能力を使ってこない。
(ひょっとして身体能力を強化する能力なのか?)
炎美は使うべきかどうか判断に迷っていた。
「オラァ!!」
判断に悩んでいる炎美を他所に攻撃の手を緩めず木の棒を振り回す鬼平。
(くっ、近づけないうえ能力も使えないのはかなりキツイな!)
鬼平の攻撃を次々と回避する炎美だが相手の懐まで近づくどころか後ろに下がっていくばかりだった。
「ちっ、スバシッケーな~! なら…」
舌打ちをする鬼平だったが次にとった行動は…
「オラァ!!」
「ッ!!」
なんと振り回していた木の棒を炎美に向かって投げつけてきた。慌てて回避しようと試みるがその瞬間、鬼平は炎美の懐に入り込もうとしていた。
(くっ、しまった!)
「しゃあ!!」
炎美の前まできた鬼平は気合いの声をあげると同時に回し蹴りを入れる。
「うおっ!」
炎美は反射的に横に跳んだ。回し蹴りは微かに炎美の脇腹をかすめただけだったが鬼平は笑みを浮かべていた。
「あまいな!!」
「!?」
回し蹴りで一回転した鬼平は走った勢いでそのまま前に進んでいたがその先にはさっき投げた木の棒がコンクリートの壁に穴を開け突き刺さっていた。
「へっ! これは避けられるか!?」
鬼平は突き刺さった木の棒を掴みそのままコンクリートの壁を破壊しながら横に振り回した。
「何!?」
思わぬ攻撃に炎美は驚きを隠せなかった。飛び散るコンクリートの破片が炎美に向かって飛んでくるだけではなかった。
(しまった! この距離は…)
鬼平と炎美の距離は5メートル圏内。木の棒が届く範囲内に炎美はいた。そのうえさっきの横飛びでまだ足が地面についていなかった。
「ぐうっ!!」
炎美は咄嗟に片腕を縦に構え防御態勢に入るが鈍い打撃音と骨の折れる音がその場に響いた。
「いいかい炎美君。これだけは守ってほしいんだ!」
「? 何ですか?」
志村から遠征の説明を受けた後のことだった。いつにもなく真剣で真っ直ぐな顔で炎美の顔を見る志村。炎美も目を逸らさずしっかりと志村の目を見つめて聞いた。
「相手が能力を使ってこない以上は絶対に能力を使っては駄目だよ!?」
「それは何か理由が?」
更に聞いてくる炎美。志村は眼鏡の位置を直し口を開いた。
「能力が使える人間とそうでない人間の身体は大きく違うんだ。もし能力者が無力の人間に攻撃をした場合、無力の人間は豆腐を崩すぐらい簡単に壊れてしまうのさ」
「!!」
その言葉を聞いて炎美の背中に寒気が走った。自分がもしそんなことをしてしまったかと想像してしまったのだ。
万が一その鬼と呼ばれている存在が能力を使わないただの喧嘩の強過ぎるだけの人間だったとしたら…
「まあ拳銃持った警官相手でも返り討ちにしちゃうぐらいだがらハッキリ言って能力者ではあるだろうけど、一応そのことだけは頭に入れておいてほしいだけだから」
炎美が黙り込んでいるとフォローを挟む志村。
「そう…ですよね」
炎美も気を遣わせてしまったことに申し訳なさそうに志村の意見を肯定した。
---そして現在、鬼平と対峙している炎美は彼が能力を使うのを待っていた。
しかし予想は裏切られ鬼平は能力を使ってこない。
(ひょっとして身体能力を強化する能力なのか?)
炎美は使うべきかどうか判断に迷っていた。
「オラァ!!」
判断に悩んでいる炎美を他所に攻撃の手を緩めず木の棒を振り回す鬼平。
(くっ、近づけないうえ能力も使えないのはかなりキツイな!)
鬼平の攻撃を次々と回避する炎美だが相手の懐まで近づくどころか後ろに下がっていくばかりだった。
「ちっ、スバシッケーな~! なら…」
舌打ちをする鬼平だったが次にとった行動は…
「オラァ!!」
「ッ!!」
なんと振り回していた木の棒を炎美に向かって投げつけてきた。慌てて回避しようと試みるがその瞬間、鬼平は炎美の懐に入り込もうとしていた。
(くっ、しまった!)
「しゃあ!!」
炎美の前まできた鬼平は気合いの声をあげると同時に回し蹴りを入れる。
「うおっ!」
炎美は反射的に横に跳んだ。回し蹴りは微かに炎美の脇腹をかすめただけだったが鬼平は笑みを浮かべていた。
「あまいな!!」
「!?」
回し蹴りで一回転した鬼平は走った勢いでそのまま前に進んでいたがその先にはさっき投げた木の棒がコンクリートの壁に穴を開け突き刺さっていた。
「へっ! これは避けられるか!?」
鬼平は突き刺さった木の棒を掴みそのままコンクリートの壁を破壊しながら横に振り回した。
「何!?」
思わぬ攻撃に炎美は驚きを隠せなかった。飛び散るコンクリートの破片が炎美に向かって飛んでくるだけではなかった。
(しまった! この距離は…)
鬼平と炎美の距離は5メートル圏内。木の棒が届く範囲内に炎美はいた。そのうえさっきの横飛びでまだ足が地面についていなかった。
「ぐうっ!!」
炎美は咄嗟に片腕を縦に構え防御態勢に入るが鈍い打撃音と骨の折れる音がその場に響いた。
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